なあむ

やどかり和尚の考えたこと

日本人の美意識

2014年12月01日 09時44分45秒 | ふと、考えた
日本人とよその国の人が、美しいと思う感覚は同じではないのでしょう。
庭園なども、欧州では人工的な造形美を競い、日本ではいかに自然に見せるかを美の極致とするように思います。
うがった見方をすれば、自然をどう利用するかを考える欧州に対して、無作為の自然そのもの、人智の及ばない神々しさに畏敬の念を抱く日本人の違いかと思います。
ですから、山の紅葉を美しいと感じる日本人の感覚は他所の国の人々とは違うのではないかと思うことです。
日本人の美意識は、単なる絵画鑑賞的な美醜に留まらず、人としての生き方にも及んでいるでしょう。
桜の花をこよなく愛するのは、花そのものを愛でるというよりも、散る姿に価値観を見いだす生き様の美意識を投影しているからでしょう。
我々は、ズルいこと、利己的な行為、依怙贔屓や不公平なことに「キタナイ」「醜い」と感じます。
逆に、潔い、利他的、正義、などを「美しい」ことだと思います。
簡単な言葉で言えば、「清く、正しく、仲良く」を美しい態度だと思う美意識があります。
それは、自然を手本として、無作為の、貪りのない姿を良しとする美意識を根底にするものだと私は思うのです。
武者小路実篤が「仲良きことは美しき哉」という言葉を残し、それをまた、美しいと感じる日本人が多くいました。
さて、今の若い日本人にこの美意識がちゃんと伝わっているでしょうか。
ズルいことを醜いと感じる心を持ち合わせているでしょうか。
少し不安に思います。
この国の向かっている方向は間違っていないでしょうか。
経済成長戦略、経済最優先、この道しかない、本当にそうでしょうか。
その先にあるのは、利己的、不公平、ズルしても強いものだけ生き残るというような、美意識とはかけ離れた道ではないのか。
未来の日本人に伝え残す宝は、日本人固有の美意識なのではないかと思うこの頃です。
高倉健、菅原文太の生き方は、まさに日本人の美意識を表現して見せたものだと思いますが、過去のものと捨て去るのでしょうか。
美意識を失った日本人など誰が評価してくれるでしょうか。
残念。