三ちゃんのサンデーサンサンラジオ、第254回。3月15日、日曜日。
まずは報道部から1週間の動きをまとめて。
9日第15回松林寺集中講座企画委員会。
10日郡内寺院住職の本葬参列。
10・11日宮城県亘理町、徳泉寺本堂落慶・慰霊法要。
13日雪囲い外し。
そのような1週間でした。
おはようございます。
3月11日、9年目のその日を亘理町で迎えました。
9年目にして本堂・客殿を立派に再建させた住職は、『まけないタオル』の歌詞を作った早坂文明師です。
津波は、すべての伽藍のみならず、墓の下のお骨まで根こそぎ持って行ってしまいました。
笠野地区は今も人が居住できない荒涼とした砂漠のようになっています。
そこにお寺は再建されました。墓地も整備されました。
当初は住職も、「青空寺院」になる以外ないなと思われたようです。
しかし、約1か月後、奇跡的にご本尊がほとんど無傷で檀家さんの畑から見つかりました。
「どんな災難に遭っても、人々の支えになろうとする一心でふみとどまってくれた」本尊様を「一心本尊」と名付け、それを安置する本堂の再建を決意されたというのです。
そして、「ハガキ一文字写経」を発願され、全国から2000名を超える納経、寄付が集まり、この度の落慶を迎えたのでした。
その一文字の第1号となったのが永六輔さんでした。すべてが流された跡地に立った永さんは、一枚の色紙を残されました。「大津波 全部持ってけ 馬鹿野郎」。
でも、大津波も、住職の心まで持っていくことはできませんでした。
住職の強い願いと、多くの人々の思いが一つになった結果がこの本堂なのです。
心が一つになったからでしょうか。法要もとても心のこもったいい法要となりました。
「ゼロからのスタートというけれど、最初はゼロにもならないマイナスからのスタートでした。本尊様が発見されてゼロとなり、本堂ができてプラスに転じた感じです。プラス1、これでようやく位置(1)に着いたのです」と住職は語りました。
新しくなった本堂をこれからどう使っていくのか、その意思表示として、復興感謝祭5DAYsが開催されます。その第一弾として行われたのが、やなせなな<ひとつの心>コンサートでした。
コロナによる自粛ムードの中でしたが、行事は予定通りにスタートしました。
「もしかしたら誰も来ないかもしれない、でも聴いてくれるのは本尊様だけでもいいからやります」と強行されました。コンサートの開始には、客殿一杯の来場者で埋まっていました。みなさん待っていたんですね。感動のコンサートになりました。久しぶりに「チームまけないタオル」もそろいました。
「念ずれば花ひらく」という言葉がありますが、「念ずる」とは強く思う、ということでしょう。「一心に」と言ってもいいですね。強く思い続けていれば必ずそうなる。
道元禅師も「切に思うことは必ずとぐるなり」と教えています。
切に思えば、行動が少しずつ変化していきますし、自分が動けば誰かが賛同して手助けしてくれるものです。そして共に喜んでくれます。本当によかったなあ。
さて、先週予告した『Fukushima50』について。
この映画の原作は、ノンフィクション作家、門田隆将の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」です。
出版された事故の次の年の12月、息をつかずに読んだ記憶があります。
映画の出演者の言葉もほとんど原作そのままに語られています。
あの時あそこで何があったのか、誰がどうやって原発に対峙していたのか。
それは知らなければなりません。
あの時、現場にいた男たちが、文字通りの命がけで作業にあたっていなかったら、原発から半径250キロ、東日本のすべて、5000万人が避難対象となっていたのです。オリンピックどころか、この国そのものが存在したかどうか。
一緒に映画を観たカミさんが言いました「そうなってたらどこに避難したんだろう」。東北は北海道、関東は関西だろう。家族もバラバラになったに違いない。北海道はロシア、西日本はアメリカが入ってきただろうか。首都を失った国は国そのものが消滅しても不思議ではなかった。
震災から9年が経ち、のほほんと、食べたり飲んだり、震災などなかったかのように「忘れない」などと言っていられるのは、あの時、吉田昌郎所長はじめ、69名の男たちが死ぬ覚悟でこの国を守ってくれたからなのです。海外のメディアでは「Fukushima50」と呼ばれましたが、実際に最後まで現場に残ったのは69名でした。
そのことは、日本人全員が知らなければなりません。さらに後世まで語り継いでいかなければなりません。
「国民栄誉賞」というものが贈られるならば、スポーツ選手や芸能人などではなく、この人たちにこそそれを受ける価値があるというものです。
映画という作品に仕上げられてはいますが、これはドラマではなく間違いなく事実です。その事実を知るだけでも見る価値はあります。
今週はここまで。また来週お立ち寄りください。
まずは報道部から1週間の動きをまとめて。
9日第15回松林寺集中講座企画委員会。
10日郡内寺院住職の本葬参列。
10・11日宮城県亘理町、徳泉寺本堂落慶・慰霊法要。
13日雪囲い外し。
そのような1週間でした。
おはようございます。
3月11日、9年目のその日を亘理町で迎えました。
9年目にして本堂・客殿を立派に再建させた住職は、『まけないタオル』の歌詞を作った早坂文明師です。
津波は、すべての伽藍のみならず、墓の下のお骨まで根こそぎ持って行ってしまいました。
笠野地区は今も人が居住できない荒涼とした砂漠のようになっています。
そこにお寺は再建されました。墓地も整備されました。
当初は住職も、「青空寺院」になる以外ないなと思われたようです。
しかし、約1か月後、奇跡的にご本尊がほとんど無傷で檀家さんの畑から見つかりました。
「どんな災難に遭っても、人々の支えになろうとする一心でふみとどまってくれた」本尊様を「一心本尊」と名付け、それを安置する本堂の再建を決意されたというのです。
そして、「ハガキ一文字写経」を発願され、全国から2000名を超える納経、寄付が集まり、この度の落慶を迎えたのでした。
その一文字の第1号となったのが永六輔さんでした。すべてが流された跡地に立った永さんは、一枚の色紙を残されました。「大津波 全部持ってけ 馬鹿野郎」。
でも、大津波も、住職の心まで持っていくことはできませんでした。
住職の強い願いと、多くの人々の思いが一つになった結果がこの本堂なのです。
心が一つになったからでしょうか。法要もとても心のこもったいい法要となりました。
「ゼロからのスタートというけれど、最初はゼロにもならないマイナスからのスタートでした。本尊様が発見されてゼロとなり、本堂ができてプラスに転じた感じです。プラス1、これでようやく位置(1)に着いたのです」と住職は語りました。
新しくなった本堂をこれからどう使っていくのか、その意思表示として、復興感謝祭5DAYsが開催されます。その第一弾として行われたのが、やなせなな<ひとつの心>コンサートでした。
コロナによる自粛ムードの中でしたが、行事は予定通りにスタートしました。
「もしかしたら誰も来ないかもしれない、でも聴いてくれるのは本尊様だけでもいいからやります」と強行されました。コンサートの開始には、客殿一杯の来場者で埋まっていました。みなさん待っていたんですね。感動のコンサートになりました。久しぶりに「チームまけないタオル」もそろいました。
「念ずれば花ひらく」という言葉がありますが、「念ずる」とは強く思う、ということでしょう。「一心に」と言ってもいいですね。強く思い続けていれば必ずそうなる。
道元禅師も「切に思うことは必ずとぐるなり」と教えています。
切に思えば、行動が少しずつ変化していきますし、自分が動けば誰かが賛同して手助けしてくれるものです。そして共に喜んでくれます。本当によかったなあ。
さて、先週予告した『Fukushima50』について。
この映画の原作は、ノンフィクション作家、門田隆将の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」です。
出版された事故の次の年の12月、息をつかずに読んだ記憶があります。
映画の出演者の言葉もほとんど原作そのままに語られています。
あの時あそこで何があったのか、誰がどうやって原発に対峙していたのか。
それは知らなければなりません。
あの時、現場にいた男たちが、文字通りの命がけで作業にあたっていなかったら、原発から半径250キロ、東日本のすべて、5000万人が避難対象となっていたのです。オリンピックどころか、この国そのものが存在したかどうか。
一緒に映画を観たカミさんが言いました「そうなってたらどこに避難したんだろう」。東北は北海道、関東は関西だろう。家族もバラバラになったに違いない。北海道はロシア、西日本はアメリカが入ってきただろうか。首都を失った国は国そのものが消滅しても不思議ではなかった。
震災から9年が経ち、のほほんと、食べたり飲んだり、震災などなかったかのように「忘れない」などと言っていられるのは、あの時、吉田昌郎所長はじめ、69名の男たちが死ぬ覚悟でこの国を守ってくれたからなのです。海外のメディアでは「Fukushima50」と呼ばれましたが、実際に最後まで現場に残ったのは69名でした。
そのことは、日本人全員が知らなければなりません。さらに後世まで語り継いでいかなければなりません。
「国民栄誉賞」というものが贈られるならば、スポーツ選手や芸能人などではなく、この人たちにこそそれを受ける価値があるというものです。
映画という作品に仕上げられてはいますが、これはドラマではなく間違いなく事実です。その事実を知るだけでも見る価値はあります。
今週はここまで。また来週お立ち寄りください。