なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ275 人間50年

2020年08月09日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ、第274回。8月2日、日曜日。

まずは報道部から1週間の動きをまとめて。
2日日曜日、松林寺総代会
3日月曜日、写経会
4日火曜日、地酒を造りたい夢を語る会
5日水曜日、宿用院葬儀
7日金曜日、on lineやまがた自然エネルギー学校
というような1週間でした。

先週は少し動きがありましたね。
メダカと戯れることもいいなと、最近まったりな日常にも慣れつつありますが。
それでもやっぱりジッとしていられないのですね。

今同時に進めているプロジェクトがいくつかあります。
その一つが酒造りです。
最上町は、分水嶺に代表されるように、奥羽山脈に源を発するピュアな水があります。
その水で作るおいしい米があります。
温泉場が3か所あって温泉旅館があります。
しかし、地酒がない。
明治はじめまで東小国村西小国村には合わせて5つの酒蔵がありましたが、時代とともに廃業し、最後まで残ったのは瀬見の佐藤酒造さんでした。
現在はそれも、「此君」という銘柄を残すのみで、実際は大蔵村の小屋酒造さんで作られています。
来町者が「地酒」を所望しても、その酒が大蔵村産というのでは寂しい。
ということで、何とか最上町産の酒米と水で、いわゆる地酒ができないか、その夢を語る仲間が集まっています。その第2回会合を4日に行いました。
酒米を試験栽培している仲間がいます。いい水も見つかりました。来年春に田植えをして、秋に収穫、その冬に仕込む方向で進めることになりました。
製造依頼をする酒蔵は河北町の和田酒造さんです。
主力銘柄の「あら玉」はじめ、「月山丸」や「玉彦」「葉山おろし」などなど、小さな酒蔵ながら何度も金賞に輝いた数々の名酒を製造する酒蔵です。
はじめ、最上町に酒蔵を復活と考えましたが、自前で酒造権を取得して製造するのにはとてもハードルが高く、不可能だと断念しました。
もう一つの方法は、昨年末にできたいわゆる「清酒特区」を利用して造る方法ですが、こちらも設備投資やら認可の制限やらの問題で準備が必要なため、とりあえず委託製造ということでスタートすることにしたものです。
今現在ある「此君」さんと違うのは、米も水も最上町産で造るというところです。
どんな酒にするのか、量はどのぐらい造るのか、名前は何にするのか、と一献酌み交わしながら夢は膨らんできます。この時間がまたたまらない。
1年半後、出来上がった酒で乾杯することを思い描くと、今からワクワクが止まりません。楽しみです。

もう一つのプロジェクトは、鶴楯の城址を再整備する計画です。
こちらについてはもう少し具体的になってからお話させていただきます。

さて、予告していた今村翔吾の『じんかん』ですが、少し感想を述べてみます。
まず書名の『じんかん』。不思議なタイトルですが、漢字にすると「人間」で、人の世の中というような意味で語られています。
冒頭に登場する織田信長が好んで舞ったとされる幸若舞『敦盛』の歌詞
 人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり
は、「じんかん」と読むのだそう。
それが書名となりました。
物語は信長が天下を取る少し前の時代。戦に明け暮れる世の中で、武士とそれに雇われる足軽が跋扈し、強い者が弱い者を襲い、弱い者がさらに弱い者から奪い取る。餓死者が続出し、親を亡くした子供が売り買いされる地獄のような時代。
そんな時代に生まれた、九兵衛と甚助の兄弟は、父親を足軽に殺され、餓死寸前の母親は自ら命を絶つ。子供に喰わせるためだった。
子供だけの追剥ぎ団で生きる多聞丸と行動を共にし、その思いを共有していく。
武士のいない平和な世の中を目指す夢を語る三好元長と出会い、武士に取りたてられる。
その宿敵細川高国を捕らえ、引き立てられる高国が語る。
「民は支配されることを望んでいるのだ。」
「日々の暮らしが楽になることを望んではいる。しかし、そのために自らが動くことを極めて厭う。それが民というものだ。」
「民は自らが生きる五十年のことしか考えていない。その後も脈々と人の営みが続くことなどどうでもいいというのが民の本音よ。」

時代は違いますが、現代にも通底する見方だと思ってしまいました。
政治家のことを批判はしますが、では自分はどう行動するのかと問われると、それは政治家が考えることと、責任を預けてしまっているのではないでしょうか。
武士の時代と違って、今は国の舵取りをする政治家を自分の力で選べるのに、結局目先の自分のことしか考えずに選挙にもいかない国民が多いと思います。
それは「支配されることを望んでいる」と受け止められても仕方ないことです。
批判するだけでなく、自ら行動を起こし、住みよい国を自らつくっていかなければなりません。
人生は短いのです。生きて何を残すのか。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。