なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ375 楽しむことに貪欲

2022年07月24日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ。第375回。7月24日、日曜日。

東京に来ています。
弟のような古い友人の父親が亡くなり、その際はと以前から葬儀を頼まれていました。
昨晩がお通夜、今日が葬儀です。
大正15年生まれ。三男なのに何故か名前が「八郎」さん。
18歳で志願兵として陸軍柏飛行隊に入隊。
法務省統計事務官を勤め上げ、退官後も達筆を見込まれ、72歳まで法務省発行の表彰状の一切を書いたという、謹厳実直を絵に描いたような人生でした。96歳。
訪問看護で自宅で亡くなり、都内では珍しく自宅葬でお送りします。
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」などと言いますが、人が亡くなった後にはその人の生き方が名とともに語り継がれます。
八郎さんの人生を一言で表現するとすればまさに「謹厳実直」以外にないでしょう。
それを基にして、戒名は「正厳八道居士」としました。
曲がったことが嫌いで自分に厳しい生き方、という意味もありますが、八郎さんの名前を生かせば「八正道」という言葉がすぐに頭に浮かびました。
お釈迦様がこの世のあり様を諦観した、苦諦、集諦、滅諦、道諦の「四諦」、そして悟りへの道として説かれた「道諦」の内容である八つの正しい生き方「八正道」。
八郎さんの生き方はその道に沿ったものと受け止められますし、また、戒名を拝む子孫に、死して後も仏の道を示してもらいたいという願いを込めました。
謹んでお勤めさせていただきます。

先週の日曜日は気仙沼でした。
清凉院さんにて「やなせななバースデーコンサート」が開かれるということで行ってきました。
特に今回は、最上の地酒「山と水と、」のテーマソングを本邦初公開で歌ってくれるというので、敬君と勇んで行きました。
何度も言っていますが、この歌は作詞三部義道、作曲柴田敬の同級生コンビで、一番最初は清凉院副住職の三浦賢道さんに歌ってもらいCDも製作しました。
その後、東京の堀内伸さんという方にカバーしてもらいました。これもいい歌でした。
そしてこの度、ピアノの大山りほさんがバンド演奏にアレンジした曲を、トランペットとヴァイオリン、ピアノ、ベース、ドラムの生演奏でやなせななさんが歌ってくれたのです。
出だしからトランペットで、一気に演歌モードです。ヴァイオリンもいい味を出していました。
とてもいい曲になり、会場でも一番拍手が多かったと思います。
清凉院さんとは震災以前からのおつきあいでしたが、震災後時を追うごとにつき合いのつながりが強くなり、いつしか「兄弟」と呼ぶ仲となりました。
ななさんとも同じように、震災後一気に結ぶ糸が太くなり、清涼院さんと一緒に「兄妹」となりました。
コンサートの後の打ち上げは、想像通りというかいつも以上の大騒ぎで、とても賑やかに楽しく過ごしました。

清凉院さんとの共通点は、楽しく生きようとする姿勢だと思います。兄曰く「波長が合う」と。
自分の楽しみは自分で見つける、あるいは自分で作るという考えと方向性です。
自分の楽しみを他人まかせにし、誰かに依存して受け身ではダメです。
楽しいかどうかは自分の問題です。他人から押し付けれられるものでもなければ、誰かと比べて感じるものでもありません。
自分で楽しいと感じるように自分で仕向けていく以外にありません。
そういう意味では、兄も私も貪欲です。貪欲に楽しみを見つけようとしていますし、どうやったら楽しくなるか、そのために何をすればいいか、そのための努力を惜しみません。そこが「波長が合う」ところです。
楽しみに向かって努力している時が楽しいし、そう感じられる自分を自分でいいと思います。
なので、結果ではなく、経過そのものを楽しもうとし、それが目的でもあります。
たとえ、経過の中で死んだとしても、その楽しさの中で死ぬのですから幸せだと思います。
おそらく二人とも、死ぬまで楽しさを追及していることでしょう。
病気のベットの上でも、どういうことを言えば看護師や病室の人を楽しませられるか、それを考えることに楽しんでニヤニヤしているように思います。
それができなくなったら多分、早めに息を引き取るのじゃないかな。思い残すことはないと。
あるいは、ボケたままでニコニコしているかもしれません。それもいいですね。何を考えているのでしょう。
それを考えただけで、今から楽しくなります。
「貪欲享楽」それが二人の名とともに残る生き方となるはずです。
ああ楽しかった。

山と水と、やなせなな

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。