Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

国立新美術館とサントリー美術館

2009年11月22日 22時17分29秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 昨日友人より「折口信夫せめて「死者の書」を」といわれ、たった一冊で好き嫌いを論じた傲慢、驕慢を反省して「死者の書・身毒丸」(中公文庫)を購入し読み始めた。光文社文庫の「折口信夫」集は棚になかった。

 さて小雨と寒さの中妻と、まだ行ったことのない新美術館とサントリー美術館へ。六本木駅を降りて新美術館へ向かう。途中八戸ラーメンなる小さなラーメン店に寄る。太麺と豚骨スープ全盛の折り、極細麺と煮干のあっさりスープはなかなかホッとする味。悪くなかった。
 新美術館はTHEハプスブルグと日展。THEハプスブルグは本日の日曜美術館で放映されたこともあり、入場制限をする盛況。日展も広すぎて見る気持ちが共に萎えてしまった。
 黒川紀章氏設計の「周辺の緑地にとけこむ」「周囲の森と共生する建築」の明るく広大な空間を見ようと中を散策。「共生」が設計者の独りよがりと今後もならないことを願うのみ。建築物をよく「周囲の自然と共生」とうたわれるが、私にはどの建築物も「共生」ではなく「周囲を圧して」としか感じていない。ここも例外ではなさそう。
 旧陸軍歩兵第三聯隊、近衛歩兵第五聯隊、近衛歩兵第七聯隊兵舎跡地とのことだが、管内の模型に石炭を運び入れるトロッコとその引込み線が表現されていて妙にリアルであった。軍隊施設の跡地の美術館が再び軍の施設と変貌しないよう祈るのみ。
 3階のレストランでコーヒーを、と覗くと3000円也のランチと1000円のコーヒーに長蛇の列。あきれて退散するが、下の2階、さらに1階のレストランと下がるにつれ値段が安くなる不思議なレイアウトに驚いた。
 地下のミュージアムショップを覗いて(購入無し)から、東京ミッドタウン内のサントリー美術館まで10分もかからない。ここも広大な空間の中に高級そうなブランドショップが並ぶ奥にサントリー美術館。鏑木清方展とのことなのではじめから入場はしなかった。
 ショップ併設の喫茶店で、金沢の加賀麩の老舗「不室屋(ふむろや)」が運営する展覧会限定スイーツの「よもぎ生麩のごましることお茶」を注文。白胡麻を使用したおしるこに、国産よもぎを使用した不室屋特製のよもぎ生麩。甘さも大いに控えめでこれには満足。
 ということで帰宅したが、あのような広い場所、ビルは疲れる。行きつけていればそれほどでもないだろうが‥。現に横浜のみなとみらい地区でも広大な建物の中を歩いてもそれほどの疲労感はない。
 国立新美術館といい、東京ミッドタウンといい、広大な建物が街そのものを内部化して、道路も憩いのスペースも供えるようなものが次から次へと作り上げられる。このように周囲の自然も街も内部化しようとする建築物、自然をも徹底的に人の管理下におこうとする指向が目につきすぎて、私には疲れるをもたらすだけのものに見える。