昨晩は雨が強まり、外に出ている風呂釜にあたり大きな音が続いた。家の北側のプラタナスは樹上の枯葉はほぼ落ちてしまい、芝生や道路上に溜まった葉も片づけられたため、落葉にあたる雨の音もはとんど聞き取れなかった。いよいよ冬本番の様相である。
乾燥した冬の日ならば際立って聞こえるはずだが、雨がひどいと救急車や消防車、パトカーなどのサイレンの音も少し和らいで聞こえた。
本日の明け方には雨が上がる予想になっていたが、まだ0.1ミリ未満のレーダー雨量計には表示されない弱い雨が降っている。
★永遠の待合室や冬の雨 高野ムツオ
★傘ささぬ子の現れし冬の雨 波多野爽波
第1句、「永遠の待合室」とはどこか。たぶん斎場というのが、一般的な解釈。火葬を待つ間の寒々とした待合室なのだろう。普段交際のない親族などの間で無口に時間を過ごすことが多い。さまざまな思いが去来する。故人を介して成り立つ場である。寒々しい冬の雨が生きている。一方で、廃線あとに残された駅舎の待合室だと、寒々しい待合室でも、少し温かみを感じる。この待合室を利用した親族でも近所付き合いのない人も入るかもしれないが、椅子や壁に刻まれた痕跡はなつかしみがある。斎場の寒々しい雰囲気とはおおいにちがう寒さである。少し救いすら感じないだろうか。
第2句、窓越しに眼で見る冬の雨である。雨が上がったのを子どもと傘の視覚、そして子どものいきおいのある息遣いで認知する。