★冷まじや竹幹の透く昼の闇 熊谷愛子
★冷まじや化野の灯よ幾仏 松村和子
「冷(すさ)まじ」は晩秋の季語。「荒(すさ)ぶ」が語源という。荒れ衰える意味という歳時記の説明がある。別の歳時記では、「寒々とした秋の終りを心理的に表現」と説明がある。
古い言葉で今は使われてない。白川静の字訓によれば「「すさぷ」とは、神が神として、思うままにふるまうことであった」とある。季語としての「冷まじ」はこの語感も遠い。ただし秋の枯れた荒野が荒ぶる神の通ったあと、とするならばわからなくはないが、冬の荒野の方が相応しいとも思う。語の起源は結局は分からなかった。
現代の多くの句が「冷まじ」を「怖い」や「おそろしい」「凄まじい」という意味で使っているが、そのほうが無意識ながら元の語感に近いのかもしれない。