本日は涼しい天気、湿度も低くカラっとしていた。午前中は家で、午後は喫茶店で「全国海外地名をゆく」(谷川彰英)の前書きと第1章「東京・関東地方を襲った水害と地名」を読み終わった。全体の三分の一ほどを読了。
「一、地名は水害へのアラームを発している。二、しかしそれを一方的に決めつけることは出来ない。三、歴史的現実から目をそらさない。四、風化を防ぐ。五、そこに人が住むにはそれなりの理由がある。」の5点をコンセプトにしているとのこと。
さらに、
「近年異常気象による河川の氾濫によって、「危ない地名」とか「住んではいけない地名」などネガティブキャンペーンが貼られることが多いが、洪水によるデメリットだけを強調することに異議を申し立てたい。どんなに水害の危険にさらされようとも、そこに住むようになったのには必ず訳がある。それを探らずに一方的にネガティブキャンペーンを貼ることには反対する。」
という指摘は私も同感である。地名は都市化によって、人為的に元の土地からズレたところに移動する場合もある。私が子どもの頃住んでしたところでも造成によって逆に危険な土地になっていたところもあった。
現代では、地名が人為的に替えられたり、移動してしまったり、消えてしまったりする。元の地形を丹念に見極め、地名の変遷を見極めることも大切になっている。
もうひとつ、茨城県の「水海道(みつかいどう)」という地名について。柳田国男は「地名の研究」の最後で取り上げており、「御津垣内(みつかいと)」説を披露している。私もよんだ記憶がある。しかしこの作者は「川の水と海をつなぐ道」という説を披露している。手もとにある「地名の研究」では「昭和26年3月」の発表である。
学問的にどちらが正しいと判断できる能力は私にはないが、むかし柳田国男のこの書を読んだ時、少々強引に感じていたこともあり、この書の説にすんなりと納得した。一方で、柳田国男の説の根拠のひとつに「水(みず)」の発音がこの土地では「みつ」と読んでいることも示している。ここら辺は確かにまだ考察の余地はあるようだ。
あまり学究的な言及ではなく、またそれは本書の目的でもないと思われる。分かりやすい解説書としてなかなかおもしろい書物である。この手の解説書は久しぶりに読んだ。