モクセイがさかんに匂っているらしい。妻に匂っているといわれてもほとんど匂わない。微かにそれらしき匂いはするようだが、眼で見て確認するだけである。
★木犀や同棲二年目の畳 高柳克弘
★木犀をみごもるまでに深く吸ふ 文挾夫佐恵
★夜霧とも木犀の香の行方とも 中村汀女
モクセイの句は匂いで読まれる。その花の形状や根もとにうずたかく重なって落ちている花を詠んだ句は私は知らない。第3句も「匂い」で詠んでいる。
残念ながら私は匂いでは句づくりに挑戦できない。それでも過去に匂ったことはある。その匂いの印象は強烈である。
匂いというのは艶めかしさをともなって脳内に印象付けられるみたいである。第1句、第2句はそのことを物語っている。