昨日読んだ「九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史」の第2章のまとめ。
「第一に、九相図は九相観と呼ばれる観想修行に用いる画像として発生‥。九相図と観想との強い結びつきが首肯される。」
「第二に、観想は浄と不浄の両方について行うもの‥。どちらか一方だけでは不完全‥。九相図の先に浄土へとつながる道が延びている‥。」
「第三に、仏典だけでなく派生した九相詩も、八世紀には日本へもたらされた。‥聖と俗を架橋するテクストとして九相詩は登場した。日本人の精神の原風景ともいうべき、万葉集、平安の和歌へも継承された。日本で描き継がれた九相図を理解する上では、仏典だけではなく、世俗の文学も視野に入れて図像を解釈していく必要がある。‥発心譚、教訓譚、女人教化譚など‥説話の世界観が日本の九相図に一層の深みをもたらしている。」
九相図は日本の絵画では時々目にしていて、気になっていた分野。少しでも読み解きの参考にしたいと思っている。