本日から19日までが「啓蟄」。「啓」は「開く」、「蟄」は「虫などが土中に隠れ閉じこもる」意味で、「啓蟄」で「冬籠りの虫が這い出る」(広辞苑)という意を示す。
★啓蟄のとぐろを卷いてゐる風よ 島田牙城
本日は啓蟄、北風であった。虫が土から顔を出す時分、冬と違った春の南風が吹くころでもある。この南風を「とぐろを巻いて」いると形容している。この句が、人を惹きつけるところ
である。感覚的に捉えるしかないが、わたしは分かったような気がした。
いよいよ春、植物ばかりか冬眠していた動物も活動を活発にする。生命が生命たるゆえんは他者を食べることで自己の生存と種の保存を維持する。そんな食物連鎖も活発になる季節である。強者はとぐろを巻くように土から這い出して来る虫を狙っている。春の息吹にはそのような生々しい生存を巡る秘密を秘めている。
私はそんなふうに捉えてみた。いかがであろうか。