Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

五月雨

2019年07月07日 19時58分39秒 | 俳句・短歌・詩等関連

★さみだれや大河を前に家二軒      与謝蕪村

 蕪村の有名な句。梅雨で増水した大河のすぐ傍に今にも飲み込まれそうな家が2軒。何気ない風景も災害時には不安がひかえている。蕪村らしい絵画的な風景である。
 この句について「蕪村句集」(玉城司訳注、角川ソフィア文庫)に「家二軒を蕪村と一人娘の寓意、また蕪村の家とこの年離縁した娘の婚家の寓意とする説もある」と記している。断定はしていない。そういう風に読むのも鑑賞者の側に任されてはいるだろうが、折角大きな景と風景にひそむ不安を眼前に現出させてくれたのに、あまりに生々しすぎる読みではないか。

★空も地もひとつになりぬ五月雨     杉山杉風

 本日のように熱い雲に空が覆われ、時々雨が強くなるどんよりとした天気、空も地も、区分けがつかない。鬱陶しい気分が私にはよく伝わる。「空も地もひとつになりぬ」が「五月雨」にすんなりと続く。不思議といえば不思議。
 「空も地もひとつになりぬ」だけを書き出して、はて次は何を記そうか、と考えてみた。明るい空と海の青でもひとつになる。雪の空でもひとつになる。新月の星空でもひとつになる。でも梅雨時の鬱陶しい空がもっともふさわしい。鬱陶しい、湿り気、強い雨、弱い雨‥不随するいろいろな感覚がついてくる。「五月雨」以外の季語ならば何かもう一工夫・一ひねりしないといけないような気になってしまはないだろうか。
 杉風は芭蕉の江戸での後援者。「奥の細道」では冒頭の段落の末尾に「杉風が別墅(べっしょ)に移るに」と記されている。

 



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