午後からの所用が済んでから、馬車道の神奈川県立歴史博物館へ。現在開催中の特別展「関東大震災-原点は100年前-」を見てきた。
関東大震災を引き起こした地震の地質学的調査結果や、震災の模様、復興計画などの視点で構成されている。特に当時の測量成果に基づく地質学的な記録は興味が湧いた。また横浜市の都市計画がどのように作られたのか、地図入りで解説がされていてこれも興味深く見入った。しかしいづれも展示の内容を細かく読み取れなく、また時間も足りなかったのは残念。図録を購入したかったが持ち合わせがなく断念。
9月中旬まで開催されているのでもう一度訪れたいと思った。
火災による当時の凄惨な状況も写真や実写映像があり、是非記憶にとどめたいものである。また冒頭にこの震災に対して宮城県からの支援等の記録が発掘されて展示されており、これも興味深かった。
関東大震災についてはさまざまな視点が必要である。今回は津波についての言及が由比ガ浜の河口の堆積物の剥ぎ取り標本だけだったのが寂しかった。津波についてはあまり記録がないということも聞いたが、どうなのだろう。
また東海道線の被害状況の報道写真もあったけれども、崩壊した根府川駅の状況と復興についてももう少し知りたかった。
さらに関東大震災と言へば流言飛語である。限られた状況下で不確か、あり得ない情報に振り回されることで多くの悲劇が生まれ、そして多くの生命が失われた。このことについては今回の展示ではまったく触れていない。
震災は自然現象だけではなく、さまざまな切り口があるので、すべてに言及することは困難であるが、年度をまたいでもテーマなどを絞って連続的な展開してもらえると、重層的・総合的な意義のあるものに近づくのではないか、と期待している。