■『夜間飛行』
サン=テグジュペリ/著 片木智年/訳
装画・本文イラスト/須藤由希子
テグチュベリとの出会いは、たしか短大の第2外国語でフランス語をとって、
『星の王子さま』を辞書をひきながら原語で読む課題を出された時か?(もちろん和訳も買ったけど
その他の作品もいつかじっくり読んでみたいと思いつつ、今ごろになってしまったが、
いざ読んでみると詩のような文章の連続で、物語りのイメージを掴むまでに時間がかかった。
本には、ウェストールのように読み進めるのになんの支障もない時と、1行1行進むのに苦労する時があるよね。
「~のような」って表現が多くて、例え方が哲学的なのはフランス人気質のせいもあるだろうか?
何度も読み返すたび味わい深く、また理解も深まるのかもしれない。
▼あらすじ(ウィキにほぼ完璧なものあり)
支配人リヴィエールは、些細なミスも決して許さず、例えそれが天候不良などによる不可抗力であっても厳しく罰することによってパイロットの安全、確実な郵便輸送が保たれるという信念を貫いている。
部下ロビノは、その重圧に耐え切れず、飛行士ベルランを食事に誘い、弱味をさらけ出そうとするが、
リヴィエールによって呼び出され、「君の部下を口に出さずに愛しなさい」と強く咎められる。
飛行士ファビアンは、パタゴニアの快晴の空からブエノスアイレスへ帰還する途中、嵐に巻き込まれる。
各地のスタッフは、徹夜で無線を待つがつながらない。現在位置もどこに向っているかも分からず、
藁をも掴む思いで小さな光を目指して急上昇させると、不意に嵐の上に広がる静寂で神聖な場所に出る。
「燃料はあと30分しかもたない・・・」
飛行士を失ったことでリヴィエールは打ちのめされるが、ロビノが言葉をかけようかと管理人室に入ると、次の便の飛行を命令するのだった。。
どんな世界においても、前例のないことを成し遂げようとする者は、こうまで追い込まれるものか。
孤高の支配人の一見冷徹な言動の奥には、もっとずっと懐の深い人間愛が横たわっている。
一方、空を飛ぶパイロットの描写においては、俯瞰から見る世界の美しさ、
絶対的に純粋な孤独に気づいてしまった者は、地上の日常生活の煩雑さなどに耐えられなくなってしまったのでは?と思わせるような文章がよく出てくる。
テグジュペリ自身もパイロットだった経歴が作品にも大いに生かされているのが分かる。
飛行中に行方不明となってそのままってゆう謎めいた結末も興味を惹きつけ続ける理由のひとつ。
飛行士への強い憧れを持ちつつ、あくまで地上で待つ人間側だったウェストールとの決定的な違い。
なんと、宮崎駿さんはテグジュペリも好きなようで、新潮文庫の表紙画を描いているとのこと/驚→こちら
趣味が合うな・・・
ひきつづき、その他の作品も読んでみたい。
p.13
「もはや行動の中のみに、人生の糧を見出すことができないとしたら、確かに彼は老いたのだ」
p.23
「とはいえ普通の人間が強く執着するものすべてから、彼はほとんど引きはがされていたのだ。---やっかいだが大切な旧友、人間の小さな不具合の数々と再会できるかすら知らずに」
p.52
「彼は今夜のように孤独を感じていた。しかしすぐにこうした孤独のもつ豊かさを発見したのだ」
p.62
「ものごとの流れは支配すれば、従う。そうやって人はものを創り上げていく」
p.153(解説)
「『王子さま』自体、まぼろしのような存在ですが、実は「行動」と「犠牲」により死を超える命を探る「人間」の本質を寓意していたように思われるのです」
p.155(解説)
「デグジュペリの生まれ故郷、リヨンの町には彼の像が建っています。そこには、故国のために死んだ作家へのはなむけと共に、彼の残したこの言葉が刻まれていました」
『ぼくは死んでしまったようにするだろう。でもそれは本当じゃない』
帰順=反逆や抵抗をやめて服従すること。帰服。「武器を捨てて―する」
呻吟(しんぎん)=苦しんでうめくこと。「病床に―する」「小説の書き出しに―する」
サン=テグジュペリ/著 片木智年/訳
装画・本文イラスト/須藤由希子
テグチュベリとの出会いは、たしか短大の第2外国語でフランス語をとって、
『星の王子さま』を辞書をひきながら原語で読む課題を出された時か?(もちろん和訳も買ったけど
その他の作品もいつかじっくり読んでみたいと思いつつ、今ごろになってしまったが、
いざ読んでみると詩のような文章の連続で、物語りのイメージを掴むまでに時間がかかった。
本には、ウェストールのように読み進めるのになんの支障もない時と、1行1行進むのに苦労する時があるよね。
「~のような」って表現が多くて、例え方が哲学的なのはフランス人気質のせいもあるだろうか?
何度も読み返すたび味わい深く、また理解も深まるのかもしれない。
▼あらすじ(ウィキにほぼ完璧なものあり)
支配人リヴィエールは、些細なミスも決して許さず、例えそれが天候不良などによる不可抗力であっても厳しく罰することによってパイロットの安全、確実な郵便輸送が保たれるという信念を貫いている。
部下ロビノは、その重圧に耐え切れず、飛行士ベルランを食事に誘い、弱味をさらけ出そうとするが、
リヴィエールによって呼び出され、「君の部下を口に出さずに愛しなさい」と強く咎められる。
飛行士ファビアンは、パタゴニアの快晴の空からブエノスアイレスへ帰還する途中、嵐に巻き込まれる。
各地のスタッフは、徹夜で無線を待つがつながらない。現在位置もどこに向っているかも分からず、
藁をも掴む思いで小さな光を目指して急上昇させると、不意に嵐の上に広がる静寂で神聖な場所に出る。
「燃料はあと30分しかもたない・・・」
飛行士を失ったことでリヴィエールは打ちのめされるが、ロビノが言葉をかけようかと管理人室に入ると、次の便の飛行を命令するのだった。。
どんな世界においても、前例のないことを成し遂げようとする者は、こうまで追い込まれるものか。
孤高の支配人の一見冷徹な言動の奥には、もっとずっと懐の深い人間愛が横たわっている。
一方、空を飛ぶパイロットの描写においては、俯瞰から見る世界の美しさ、
絶対的に純粋な孤独に気づいてしまった者は、地上の日常生活の煩雑さなどに耐えられなくなってしまったのでは?と思わせるような文章がよく出てくる。
テグジュペリ自身もパイロットだった経歴が作品にも大いに生かされているのが分かる。
飛行中に行方不明となってそのままってゆう謎めいた結末も興味を惹きつけ続ける理由のひとつ。
飛行士への強い憧れを持ちつつ、あくまで地上で待つ人間側だったウェストールとの決定的な違い。
なんと、宮崎駿さんはテグジュペリも好きなようで、新潮文庫の表紙画を描いているとのこと/驚→こちら
趣味が合うな・・・
ひきつづき、その他の作品も読んでみたい。
p.13
「もはや行動の中のみに、人生の糧を見出すことができないとしたら、確かに彼は老いたのだ」
p.23
「とはいえ普通の人間が強く執着するものすべてから、彼はほとんど引きはがされていたのだ。---やっかいだが大切な旧友、人間の小さな不具合の数々と再会できるかすら知らずに」
p.52
「彼は今夜のように孤独を感じていた。しかしすぐにこうした孤独のもつ豊かさを発見したのだ」
p.62
「ものごとの流れは支配すれば、従う。そうやって人はものを創り上げていく」
p.153(解説)
「『王子さま』自体、まぼろしのような存在ですが、実は「行動」と「犠牲」により死を超える命を探る「人間」の本質を寓意していたように思われるのです」
p.155(解説)
「デグジュペリの生まれ故郷、リヨンの町には彼の像が建っています。そこには、故国のために死んだ作家へのはなむけと共に、彼の残したこの言葉が刻まれていました」
『ぼくは死んでしまったようにするだろう。でもそれは本当じゃない』
帰順=反逆や抵抗をやめて服従すること。帰服。「武器を捨てて―する」
呻吟(しんぎん)=苦しんでうめくこと。「病床に―する」「小説の書き出しに―する」