メランコリア

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『Beauty うつくしいもの』(2008)

2011-01-14 22:03:03 | 映画
『Beauty うつくしいもの』(2008)
監督 後藤俊夫
出演:片岡孝太郎、片岡愛之助、麻生久美子、嘉島典俊、眞島秀和、大西麻恵、赤塚真人、二階堂智、井川比佐志、串田和美、北村和夫、高橋平、大島空良、兼尾瑞穂 ほか

「多少お粗末かもしれないが、やっぱりオレはあの梶原源太くらいいい男だよなぁ」

「忠兵衛さん、あんたいつから会ってないか覚えてますか」

「あんまり忙しくて忘れてしもた」


story
昭和10年。自然が美しい長野県伊那路村。両親がすでに亡く、祖父に育てられた半次は、
村に代々伝わる歌舞伎を踊る雪夫の姿に憧れ、踊りを教えてもらい、共に初舞台を踏む。
素朴な村にも戦争の足音は刻々と近づき、とうとう村の歌舞伎役者たちにも赤紙が届く。
戦いの末にシベリアの強制収容所に送られた半次、雪夫、政男らは、極寒の地で、
ロクな食料も与えられず、過酷な労働をし、仲間は次々と倒れ死んでいった。
政男は肺炎で逝き、雪夫もまた病に倒れて隔離され、墓地に埋められたとの訃報が届く。

1人村に帰った半次は、祖父も亡くなった家を継いで木材業を営む傍ら、歌子を相手役に歌舞伎役者を続ける。
数年後、盲目の役者が話題となり、それが雪夫だと知り、村に帰るよう説得するが、
満州にて日本人の母子らを殺めてしまった罪の意識に苛まれ、心の病とともに、雪夫は体も蝕まれていた。。


上の感動的な台詞は、歌舞伎『恋飛脚大和往来』の『封印切』の段の中で、
遊女梅川が恋人忠兵衛に問うた科白とのこと。

なんだか『ディア・ハンター』を思い出した。レスリー・チャンの『さらば、わが愛/覇王別姫』もよかったなあ!
地元ながら伊那市ってどこか分からなかったけど、地図で見てみたらかなり山間の場所
片田舎で歌舞伎を観るって風習はいまでもあるのだろうか?
その村ごとにスターがいたのかな。土地に根付いた芸能もステキだ。

劇中の客席には片岡孝夫さんの姿もあった。主演の片岡孝太郎と片岡愛之助は、
同じ片岡の姓でも血はつながっていないのか?複雑だ・・・
さすがに芝居シーンは若年から老齢までの演じ分けも素晴らしかったけど、
素に戻った時の演技までなんだか時々芝居がかっている感じがした

麻生久美子は、そんなプロの歌舞伎役者さんと共演して、しかも年齢の幅も演じ分けなければならず、難しかったことだろう。

シベリア抑留の話は、去年町歩きをした際、水木しげるのマンガなどでも描かれていたのを見たけど、
1日ひとかけらのパンを4人で分けて食べていたとか、まったく想像を絶する世界。
町にいるふつうのおじいさん、おばあさんにも、こんな風に長い長い思い出話があるのだろうか。

オペラもいいけど、日本の歌舞伎ももっと知りたくなった。



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