■ドラマ『贖罪』(全5話)2012年1月8日~2月5日
原作:湊かなえ 脚本・監督:黒沢清
出演:
足立麻子:小泉今日子
菊池紗英:蒼井優(15年前:小俣絵里佳)
篠原真紀:小池栄子(15年前:木村真那月)
高野晶子:安藤サクラ(15年前:菊池和澄)
小川由佳:池脇千鶴(15年前:柴田杏花)
足立敏郎:田中哲司
足立エミリ:木村葉月
紗英の母:久世星佳
真紀の母:水木薫
高野幸司:井之脇海
真紀の父:諏訪太朗
晶子の母:高橋ひとみ
洋子おばさん:平田敦子
小川真由:阿部紗英
今作も幼女殺害の話。
我ながらなぜこうゆうドラマにひかれるのか分からない
実際のところ、見ていると心臓がバクバク鳴り、息苦しくなって、発作が起こるのでは?という恐怖に耐えながら見ている
こんな事件が二度と起きなければいいのに。そんな思いがひきつけるのかもしれない。
事件の悲惨さと同じくらい怖いのは、大人がいかに自分の都合で子どもの純粋な心を簡単に傷つけているかってことだ
子どもは大人になり、知らず知らずに自分を責め、その原因が過去の大人の軽率な言動にあったことなど誰も覚えていないんだ。
“過去と相手は変えられない”というのが心理学の根底にあるとしても、これはあまりに不当で、悲しすぎる。
犯罪を犯してしまう者も、幼少期にそんな不当な扱いを受けた結果なのかもしれない。
このループはいつか止められるのだろうか?
ウィキを見たら、原作とは微妙に違っているみたい。
上田がロケ地ってゆうのは、ストーリーのせいかちょっと複雑な思い
あらすじ(ネタばれ注意
▼第1話「フランス人形」
上田の小学校に、足立エミリが転校してくる。
大企業のお嬢さんで、キレイなお母さん、大きな家などに友人たちは羨望の目を向ける。
そんな中でフランス人形が盗まれる事件が相次ぐ。
ある日、換気扇の修理を手伝って欲しいと頼まれたエミリは、性的暴行を受け、締め殺された。
その時一緒に遊んでいた友だちの4人は、誰も犯人の顔を覚えてないと証言する。
エミリの誕生会に行った4人は、母の麻子から
「半年も経つのにまだ犯人が捕まらないのは、顔が思い出せない、あなたたちがバカだからよ。
あなた達は、一生この償いから逃れられない」と迫られる。
15年後。
菊池紗英は美容サロンに勤めていて、男性恐怖から逃れられないでいる。
15年前の事件当日、紗英はエミリの死体を監視している役目でトラウマとなっていた。
見合い相手の孝博役の森山くん怪しすぎでしょ、最初から
一度も生理がなく、大人になることを拒んでいることを告白する紗英に、
孝博は「自分も親の言いなりの人生だ」と告白する。
「求めてもいないのに、与えられても、それは満たされたことにはならない。
ボクはそうゆうギャップを埋められないまま生きてきてしまって。
うまく人と関われなくなってしまった」
(うまく関われない人がここまで素直に感情表現できるものかねえ・・・?
フランス人形を集めていたのは彼だったが、別に監禁魔ではないのか。
わたしなら人形を見た時点で全力で逃げてるな
でも、紗英は孝博と結婚し、彼の言う通り、夜になると人形のフリをする。
母親に助けのシグナルを出した時も「結婚なんて我慢なんだ」と強要されるのも悲しくなる伝統習慣だ。
▼第2話「臨時PTA総会」
こんなに小さい女の子たちが、悲惨な事件を目の前で目撃してしまったのに、
どの親も抱きしめるわけでもなく、これまでと同じ態度で接して、
「なんで犯人のことを話さないの?」て責めてさえいるのは、どう考えてもおかしい
彼女たちも完全に被害者なのに・・・
篠原真紀は、「先生を呼んでくる」とゆって見つけられないまま警官がやってくるのを見つめていた。
麻子に呼ばれた時の記憶なども、それぞれの少女の中の記憶だから、微妙なズレがある。
4人とも無表情で感情を表に出さず、人と目をあわさない大人になってしまっているのも特徴的。
そんな傷を抱えたままの篠原真紀は教員の道を選び、
自分と同じ傷を大勢の子どもたちに感染させているのが余計悲しい。
どこの学校でもイジメ問題でピリピリしているようなイヤな世の中になったもんだなあ・・・
真紀が生徒に厳しすぎると親から苦情が出て、田辺先生が慰める。
「私、小さい時から本当に自分が正しいのか気になっていつも不安でした。
でもどう探ってみても、心の中に正しさの基準がなくて、
ムリやり外側にそれを捜し求めてたんです。
子どもの時“絶対にコレが正しい”ってゆってくれる人がいればよかったんですけど。
だから、わたしだけはそうゆう教師になろうと思って」
プールに不審者が入り、ナイフで教師が切りつけられ、田辺先生はプールに逃げた。
真紀は、剣道の腕を利用して男をプールに落とすまで殴る。
「わたしに幸せになる資格はありません。それがわたしの一生の贖罪ですから」
小説を書く人などは、人の深層心理を描くのも長けているなあ。
これは男性優位社会で暴力を受け、抑圧され、常に恐怖の中で生活している女性たちの物語でもあるんだ。
▼第3話「くまの兄妹」
みんなから“クマ”と呼ばれていた高野晶子は、麻子に知らせに行った子だった。
15年前のあの日、叔母からもらったオシャレな服を着ると、
「恥ずかしいことしないでよ。笑われるのは親なんだからね」と母から言われたことと、悲惨な事件を結びつけ、
「身分不相応な服を着たからこんなことになった。クマはクマとして生きるべき」という考えに固執するようになる。
「身の丈に合わない服を着るからバチが当たったのよ」なんて母親から言われるなんてヒドすぎる・・・
兄が急に結婚して、妻・春花と連れ子の若葉も一緒に帰省した。
兄は晶子に「春花は不在がちだから若葉の面倒をみてくれ」と住居にしている倉庫に誘う。
春花が晶子に可愛い服を買ってきた時も「あとでどうゆう結果になるか知らないから!」て
母は娘がオシャレすることに反対なのか? 幼児殺害の不安を娘の服に投影しているんだろうか?
子どもが1人亡くなったのに15年も犯人が見つからないままなんて警察もどうなっているんだろう???
▼第4話 「とつきとおか」
警官に通報した小川由佳は、一番事件による心の傷は浅かったのかも。
でも、彼女には元から抱える、より暗い闇があった。
母は、病弱な姉にかかりきりで、由佳の面倒までみられなかったばかりか、
姉は、健康な妹を羨んで、由佳が欲しいと思うものを全て奪おうとしていたから。
麻子から脅された時も、友だちに「大人の言うことなんか信用しない」という由佳。
事件の際知り合った警官と仲良くなったが、その後転勤になってしまった。
15年後、由佳は東京から故郷に戻ってフラワーショップを開く。
姉はすっかり回復して警察関係の仕事をする男性と結婚。
由佳は花の仕入れ屋と不倫関係にあったが、姉の夫とも関係を持つ。
ほんとうは姉が自分に依存していることを知っていて利用する由佳。
麻子が「許したいから会いたい」という手紙がきて会うと、由佳は「旦那と犯人の情報を交換しよう」と切り出す。
かなり太いな。いや、彼女もまた被害者。人間は弱いんだ、どうしようもなく。
▼最終話 「償い」
最後はついに麻子自身の記憶。
麻子は真犯人を知って混乱してなぜか由佳にどうしたらいいのか聞きに行く。
「犯人は最初からエミリちゃんを狙っていたのなら、わたしたちはとばっちりを受けただけなのに人生が狂わされた。
犯人を殺してください。それがあなたの贖罪です」
最初は、犯人さえハッキリ分かればスッキリすると思っていたが、
金田一耕助シリーズみたいに現在と過去が交錯する、もっと根の深い問題だった。
ひと言で言えば、自ら犯した罪は、再び自分に返ってくる。自業自得。
そうか。罪を認めることが償いになるとはかぎらないんだ。深すぎる。
罪の意識を背負いながら日常生活を続けなければならないこと。
自分の良心の呵責こそが本当の意味での償いということかもしれない。
ラスト、救われたかに思えた麻子の祈りと、救われずに呆然と歩く姿が印象的。
キョンキョンのダークな演技に終始圧倒され、作品を引っ張っているのがさすが。
原作:湊かなえ 脚本・監督:黒沢清
出演:
足立麻子:小泉今日子
菊池紗英:蒼井優(15年前:小俣絵里佳)
篠原真紀:小池栄子(15年前:木村真那月)
高野晶子:安藤サクラ(15年前:菊池和澄)
小川由佳:池脇千鶴(15年前:柴田杏花)
足立敏郎:田中哲司
足立エミリ:木村葉月
紗英の母:久世星佳
真紀の母:水木薫
高野幸司:井之脇海
真紀の父:諏訪太朗
晶子の母:高橋ひとみ
洋子おばさん:平田敦子
小川真由:阿部紗英
今作も幼女殺害の話。
我ながらなぜこうゆうドラマにひかれるのか分からない
実際のところ、見ていると心臓がバクバク鳴り、息苦しくなって、発作が起こるのでは?という恐怖に耐えながら見ている
こんな事件が二度と起きなければいいのに。そんな思いがひきつけるのかもしれない。
事件の悲惨さと同じくらい怖いのは、大人がいかに自分の都合で子どもの純粋な心を簡単に傷つけているかってことだ
子どもは大人になり、知らず知らずに自分を責め、その原因が過去の大人の軽率な言動にあったことなど誰も覚えていないんだ。
“過去と相手は変えられない”というのが心理学の根底にあるとしても、これはあまりに不当で、悲しすぎる。
犯罪を犯してしまう者も、幼少期にそんな不当な扱いを受けた結果なのかもしれない。
このループはいつか止められるのだろうか?
ウィキを見たら、原作とは微妙に違っているみたい。
上田がロケ地ってゆうのは、ストーリーのせいかちょっと複雑な思い
あらすじ(ネタばれ注意
▼第1話「フランス人形」
上田の小学校に、足立エミリが転校してくる。
大企業のお嬢さんで、キレイなお母さん、大きな家などに友人たちは羨望の目を向ける。
そんな中でフランス人形が盗まれる事件が相次ぐ。
ある日、換気扇の修理を手伝って欲しいと頼まれたエミリは、性的暴行を受け、締め殺された。
その時一緒に遊んでいた友だちの4人は、誰も犯人の顔を覚えてないと証言する。
エミリの誕生会に行った4人は、母の麻子から
「半年も経つのにまだ犯人が捕まらないのは、顔が思い出せない、あなたたちがバカだからよ。
あなた達は、一生この償いから逃れられない」と迫られる。
15年後。
菊池紗英は美容サロンに勤めていて、男性恐怖から逃れられないでいる。
15年前の事件当日、紗英はエミリの死体を監視している役目でトラウマとなっていた。
見合い相手の孝博役の森山くん怪しすぎでしょ、最初から
一度も生理がなく、大人になることを拒んでいることを告白する紗英に、
孝博は「自分も親の言いなりの人生だ」と告白する。
「求めてもいないのに、与えられても、それは満たされたことにはならない。
ボクはそうゆうギャップを埋められないまま生きてきてしまって。
うまく人と関われなくなってしまった」
(うまく関われない人がここまで素直に感情表現できるものかねえ・・・?
フランス人形を集めていたのは彼だったが、別に監禁魔ではないのか。
わたしなら人形を見た時点で全力で逃げてるな
でも、紗英は孝博と結婚し、彼の言う通り、夜になると人形のフリをする。
母親に助けのシグナルを出した時も「結婚なんて我慢なんだ」と強要されるのも悲しくなる伝統習慣だ。
▼第2話「臨時PTA総会」
こんなに小さい女の子たちが、悲惨な事件を目の前で目撃してしまったのに、
どの親も抱きしめるわけでもなく、これまでと同じ態度で接して、
「なんで犯人のことを話さないの?」て責めてさえいるのは、どう考えてもおかしい
彼女たちも完全に被害者なのに・・・
篠原真紀は、「先生を呼んでくる」とゆって見つけられないまま警官がやってくるのを見つめていた。
麻子に呼ばれた時の記憶なども、それぞれの少女の中の記憶だから、微妙なズレがある。
4人とも無表情で感情を表に出さず、人と目をあわさない大人になってしまっているのも特徴的。
そんな傷を抱えたままの篠原真紀は教員の道を選び、
自分と同じ傷を大勢の子どもたちに感染させているのが余計悲しい。
どこの学校でもイジメ問題でピリピリしているようなイヤな世の中になったもんだなあ・・・
真紀が生徒に厳しすぎると親から苦情が出て、田辺先生が慰める。
「私、小さい時から本当に自分が正しいのか気になっていつも不安でした。
でもどう探ってみても、心の中に正しさの基準がなくて、
ムリやり外側にそれを捜し求めてたんです。
子どもの時“絶対にコレが正しい”ってゆってくれる人がいればよかったんですけど。
だから、わたしだけはそうゆう教師になろうと思って」
プールに不審者が入り、ナイフで教師が切りつけられ、田辺先生はプールに逃げた。
真紀は、剣道の腕を利用して男をプールに落とすまで殴る。
「わたしに幸せになる資格はありません。それがわたしの一生の贖罪ですから」
小説を書く人などは、人の深層心理を描くのも長けているなあ。
これは男性優位社会で暴力を受け、抑圧され、常に恐怖の中で生活している女性たちの物語でもあるんだ。
▼第3話「くまの兄妹」
みんなから“クマ”と呼ばれていた高野晶子は、麻子に知らせに行った子だった。
15年前のあの日、叔母からもらったオシャレな服を着ると、
「恥ずかしいことしないでよ。笑われるのは親なんだからね」と母から言われたことと、悲惨な事件を結びつけ、
「身分不相応な服を着たからこんなことになった。クマはクマとして生きるべき」という考えに固執するようになる。
「身の丈に合わない服を着るからバチが当たったのよ」なんて母親から言われるなんてヒドすぎる・・・
兄が急に結婚して、妻・春花と連れ子の若葉も一緒に帰省した。
兄は晶子に「春花は不在がちだから若葉の面倒をみてくれ」と住居にしている倉庫に誘う。
春花が晶子に可愛い服を買ってきた時も「あとでどうゆう結果になるか知らないから!」て
母は娘がオシャレすることに反対なのか? 幼児殺害の不安を娘の服に投影しているんだろうか?
子どもが1人亡くなったのに15年も犯人が見つからないままなんて警察もどうなっているんだろう???
▼第4話 「とつきとおか」
警官に通報した小川由佳は、一番事件による心の傷は浅かったのかも。
でも、彼女には元から抱える、より暗い闇があった。
母は、病弱な姉にかかりきりで、由佳の面倒までみられなかったばかりか、
姉は、健康な妹を羨んで、由佳が欲しいと思うものを全て奪おうとしていたから。
麻子から脅された時も、友だちに「大人の言うことなんか信用しない」という由佳。
事件の際知り合った警官と仲良くなったが、その後転勤になってしまった。
15年後、由佳は東京から故郷に戻ってフラワーショップを開く。
姉はすっかり回復して警察関係の仕事をする男性と結婚。
由佳は花の仕入れ屋と不倫関係にあったが、姉の夫とも関係を持つ。
ほんとうは姉が自分に依存していることを知っていて利用する由佳。
麻子が「許したいから会いたい」という手紙がきて会うと、由佳は「旦那と犯人の情報を交換しよう」と切り出す。
かなり太いな。いや、彼女もまた被害者。人間は弱いんだ、どうしようもなく。
▼最終話 「償い」
最後はついに麻子自身の記憶。
麻子は真犯人を知って混乱してなぜか由佳にどうしたらいいのか聞きに行く。
「犯人は最初からエミリちゃんを狙っていたのなら、わたしたちはとばっちりを受けただけなのに人生が狂わされた。
犯人を殺してください。それがあなたの贖罪です」
最初は、犯人さえハッキリ分かればスッキリすると思っていたが、
金田一耕助シリーズみたいに現在と過去が交錯する、もっと根の深い問題だった。
ひと言で言えば、自ら犯した罪は、再び自分に返ってくる。自業自得。
そうか。罪を認めることが償いになるとはかぎらないんだ。深すぎる。
罪の意識を背負いながら日常生活を続けなければならないこと。
自分の良心の呵責こそが本当の意味での償いということかもしれない。
ラスト、救われたかに思えた麻子の祈りと、救われずに呆然と歩く姿が印象的。
キョンキョンのダークな演技に終始圧倒され、作品を引っ張っているのがさすが。