メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.10~ part5)

2013-02-18 13:25:34 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『リトル・ブッダ』(1993)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:キアヌ・リーブス、ブリジット・フォンダ ほか

“僧が神への生贄として羊の首を切ろうとすると羊は微笑んだ。「なぜ笑うのか?」
 「私はずっと昔から生贄の羊だったが、今度は人間に生まれ変われるのです」すると羊は泣き出した。
 「なぜ泣くのか?」「あなたはたくさんの羊を殺し、生贄にしてきた」
 僧は泣いて許しを求めた「もう二度と羊を殺さず、命を大切にしよう」”

キリストを扱った伝記映画はいくつか撮られたが、イタリアの監督がブッダをこんなに細部に渡って描いたのも珍しい。
この神話、輪廻を信じる信じないに関わらず、フシギな色の効果~N.Y.はすべて青、よってこの夫婦はどこか冷めて物質的、
インドとブッダのシーンはすべて赤系、よって生命力と躍動感で生き生きしている、この対照。
インドのつかみどころのない魅力的な吸引力。物欲と日々の迷い。その日単位で生きているわたしたちに数々の仏教の教えが染みわたってゆく。
このような宗教の起源説は実際の歴史なのか? 語りから生まれた神話なのか?
神の使いは超能力者とどう違うのか? 信じる信じないは理屈じゃないんだ。


『ディーヴァ』(1981)
監督:ジャン・ジャック・ベネックス 出演:リシャール・ボーランジェ ほか
フランス流にキッチュなハードボイルド。普通の青年の巻き込まれ型ストーリーだけど、
クラシックへの敬愛、ディーヴァへの崇拝、ファンならずとも彼女の歌声を一度聴けば、聴き惚れずにはいられない。
深く美しく官能的。日傘をさす彼女と青年の静かなシーン。ファンと過ごし、やがて惹かれてゆく歌姫のくだりもイイ。
ひとクセもふたクセもある他のキャラクターと、ちょっと凝ったユーモアがなんともいえない。
とくに「これは嫌いだ」となんにでも難癖をつける、爆風の河合さんみたいな風貌の殺し屋がサイコー。
警察と青年の追跡劇もある。バイクで地下鉄をどんどん走って、階段も上がったり下がったり、負けじと走る、走る!
青年の住んでいるバラックがまたなんともポップ。
床にはなまめかしいラクウェル・ウェルチの絵、周りはクラッシュにあったロールスロイスなど。
万引きばかりするけど芸術の価値は分かるベトナム少女のロリータっぽい魅力は
作品をフランス映画というよりアジア系の雰囲気にしている。


『THE PICK-UP ARTIST』(1987)
監督:ジェームズ・トバック 出演:モリー・リングウォルド、ロバート・ダウニーJr.、デニス・ホッパー、ハーベイ・カイテル ほか
'80盛んに作られたポップなボーイミーツガールもの。21歳のダウニーが今作で映画初主演ということで
とにかくバネの入ったネズミみたく跳んではねて、若いエネルギーそのもの。
ポップな青春グラフィティで同じく人気を得たモリーのチープファッションは、今作でも注目。
といってもちょっとシックなグレー系が多かったかな。
同類の作品に『レス・ザン・ゼロ』や『プリティ・イン・ピンク』なんかがある。
飲んだくれオヤジ役でホッパーが出てるのにビックリ。
ほんとに最初から最後まで飲んだくれてワケの分からんことを言い続けるだけなの!
台本にちゃんとした彼のセリフがひと言でも書いてあったのかしら?
あと『ピアノ・レッスン』で記憶も新しいカイテルなど後々も注目株の俳優ぞろいの割に
ストーリーは平凡、等身大のアメリカン・ラブ・コメディだからね。


『フィアレス 恐怖の向こう側』(1993)

監督:ピーター・ウィアー 出演:ジェフ・ブリッジス ほか
「恐れ」高所恐怖症や閉所恐怖症も、あるいは獣、ナイフ等、恐怖も人格を構成する一要素であり個性でもある。
どれもいきつくところ「死」を恐れることにつながる。近頃、「臨死体験」というのが話題になっており、
今作にも用いられている「穴」や「光」に吸い込まれてゆく感じは世界共通している臨死体験のイメージだ。
フィアレス・・・死を奇跡的に免れた男の心の中を描いた異色作。

いじめによって自殺する子どもがニュースになり、「生」へのこだわりがなくなっている病んだ都市生活者が増えている現代に
改めて「死」の偶然性、神や宗教が死への恐怖の裏返しであるということ、それでも生き抜いていこうとする人間の姿を問いかける。

悲劇を象徴する飛行機事故、その本来の様子は当人らにしか分からない衝撃と、愛する者を突然奪われることの悲しみ。
それをよそに賠償金をより多く請求しようとする弁護士や、その時のニュースだけを求めてたかるマスコミなども語られてゆく。
「父が突然死んだ時、こう思うことにした。この世に神様などいないのだ。
 結局、本当のところ人は神など心から信じちゃいない。誰か話す人が必要なだけなんだ」
そういうマックスの仕事机に何枚もの黒い穴の絵にまじって光の中に入ってゆく裸の人々の絵があるのがフシギだ。
怖ろしくも魅惑的な無の世界・・・死から地上へと戻る理由は人それぞれだろうが、私にとっては一体何だろう?


『つめたく冷えた月』(1991)
監督:パトリック・ブシテー 出演:ジャン・フランソワ・ステヴナン ほか
「自分のクソを見せつけられた気がした」というたけしさんのコメント付き。
海にとりつかれた男たちを描いた『グラン・ブルー』のリュック・ベッソン総指揮の下、
“30数種類のモノクロ”を使ったというブシテー監督の仏映で、かなりエグイ“死体とのセックスシーン”なんてあるけど、
別に死体愛好者の話じゃない。R.ロバートソンに似た、ハンサムだけど少年がそのまま中年になった感じの
なまけ者で酒好き無責任男デデと、いつも彼の面倒をみて一緒にバカばかりやっているシモンの一風変わった友情物語。

ジミヘンにかなり心酔してギターを買いたくても金がないデデのために、ケンカしたお詫びに盗み出そうとしたり、
まったくどうしよーもない迷惑なやつなんだけど、あのクリクリした眼に、いつも笑ってる真っ白い歯、
陽気でのん気なデデにはついつい怒る気もなくなってしまう。
死んでもレイプされちゃうなんてあの女性も随分ひどい目に遭ったものだけど、
ここでは彼女が誰なのか、どうして若くして死んだのかなどは一切語られない。
モノクロだから妙に生々しいグロテスクさは感じられず、2人のバカな中年男の度の過ぎた冗談て感じ。


『永遠の愛に生きて』(1993)
監督:リチャード・アッテンボロー 出演:デボラ・ウインガー、アンソニー・ホプキンス ほか
「私が死んでからの痛みは今の幸せの一部」というシーンに涙しない者はいないだろう。
絵はがきのようなイギリス郊外の家と木々の風景の中で育くまれる静かで熱い真実の愛。
悲劇には違いないけれど、孤独な老作家と、離婚し、不治の病にかかったジョイの、
それぞれの状況があったからこそ素晴らしい出会いと別れを知ることができた。
ジョイのどこまでも誇り高く、ポジティヴで正直な考え方に私たちは学ぶことが多い。

「経験こそすべて」「本は孤独を救う」とは正反対の言葉だ。
「本は人を傷つけない」「傷つくのが真実なのか?」「傷つくことから学べるもの」
最愛の者を失くす悲しみがどれだけ深く人を傷つけるか、幸いにもまだ私はそれを知らない。
しかし、あれほど自信に満ちた男の態度が傷つくことへの不安や悲しみの裏返しであると教えられてから、
彼は教師として、義父として、作家として、そしてなにより人間としてもっと柔軟に優しく深い人間に
成長してゆく様子を見て、再度変わるチャンスはいくらでもある、その先の世界も体験し、分かりたい気がした。

デボラは『愛と哀しみの果てに』と同じような役で、他にも『危険な女』の映画化やコメディにも活躍し、
鼻っ柱の強いエネルギーがいつも伝わってくる。ホプキンスの円熟した静かで厚みのあるルイス役も見事。
『ナルニア国物語』のC.S.ルイスの原作はきっと夢とマジックと優しさに満ちているのだろう。ぜひ読んでみたい。


『ホーム・アローン2』(1992)
監督:クリス・コロンバス 出演:マコーレ・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン、ジョン・ハード ほか
今年も家で『ホーム・アローン』を観るクリスマス。ま、これもいいじゃないの。
初作と同じメンバーで初作に劣らぬファミリードタバタコメディが楽しめるんだから
しかも今作には、かのティム・カリーが豪華ホテルのマネージャー役で大爆笑シーンを繰り広げてくれる。
前回のビデオの声を使ったトリックも良かったけど、今度もサイコー笑える。やっぱりケビンはフツーの子どもじゃない!
ホームレスのB.フリッカーの寂しげな役がなんとも印象的。
「大事にとっておいて結局履けなくなったスケートぐつみたいだ。せっかくあるハートは使わなくちゃ」
なんて悟ったセリフはなかなか少年の口から出るもんじゃない。
今作も♪デーオ のおばさんのあったかボケママぶいは快調。太っちゃったジョン・ハードのフツーのパパぶり、
そしてなんといってもカルキン君なしでは本作は成り立たない。
“I don't think so.”のセリフがもう一度聞けて、次から次へと新しいアイデアに走り回る
元気いっぱいのエネルギーが、観ているこちらにもビンビン伝わってくる。


『英国式庭園殺人事件』(1882)
監督:ピーター・グリーナウェイ 出演:アンソニー・ヒギンズ ほか
グリーナウェイの色濃い、常軌を逸した感覚は初期から変わらない。
イギリスの国民的趣味である「庭作り」をめぐる巧妙に仕組まれた財産相続の罠。
そのセリフのアクセント自体に強烈な毒気と皮肉を感じさせ、豪華で完璧に凝った衣装は重苦しく非人間的。
昔は警察や裁判で公正な正義が行われることもなく、あんな風に勝手な物的証拠や偽証、
誰かのはかりごとによって簡単に汚名を着せられて消されちゃう世の中だったのね。空恐ろしい。

これまた完璧に整備されたあの庭はすごい。あんな庭を持ち続ける人間とは一体どんなケタ違いな富豪か?
美しさを超えて自然とも異なる人工的な傲慢さすら感じるほど。
もっとフシギなのはストーリーに関係なく突如出現する裸の男。噴水の彫刻になったり、壁になりすましたり、
はたまた松明を持っていたり。黒子のような、単に見切れているような、一応何か意味があるのかしら?
グリーナウェイ作品の登場人物やストーリーにはひとつも温かい情や善は存在せず、
ひたすら人の残虐性、動物的、それ以下の意識的な暴力描かれる。
そればかり執拗なまでに追求する監督のイメージとは一体何なのだろうか?

(私もけっこう懲りない性格だなあ!あの『ベイビー・オブ・マコン』で懲りなかったんだから/驚


『BACK BEAT もう一人のビートルズ』(1994)

監督:イアン・ソフトリー 出演:スティーヴン・ドーフ ほか
何十年かぶりにニューアルバムが出て、イギリスチャートのNO.1になっているという話題も出ているビートルズ。
デビューしてから今日に至るまで、そしてこれからもずっと彼らの創った音楽は生き続けてゆく。
今回はバンドが売れる前の裏話とステュアートにスポットを当てて、語り尽くされた伝説に、もう1つ神話が加わった。
今作を観ると、それほどの下積み時代もなくデビューと同時にトントン拍子のスーパースター道まっしぐらって感じ。
メンバーも周囲も後の未来が見えているかに思えるような自信と予知めいたセリフが多い。

画家としても腕のいいステュと、ドイツ人写真家のアスリットの純愛は今の若者にいかにも受けそうな、実話とは思えないカッコ良さ。
ステュ役俳優の何気ない中性的な美形と、『ツイン・ピークス』以来のシェリル・リー
キュートでエキゾティックなショートカットの魅力はピッタリお似合い←ドイツ訛りにはムリがあったけど
リヴァプール訛りはスゴイ。まるで英語じゃないみたい。

アスリットはまだドイツに顕在。しかし、今はもう悲しみをわかち合うジョンもいない。
どうして天才的な人間は短く散ってしまうのか? もっとも苦しむのは後に残された者たちだ。
♪MONEY (THAT'S WHAT I WANT) 、♪ROCK'N ROLL MUSIC 他、多数の初期の曲が聴けるのも嬉しい。
今作のもう一人の主人公はもちろんジョン・レノンだが、“Everything is Dick.”は口ぐせ?
シニカルで屈折した性格で、ゲイの気が少しあったとは初耳で驚いたけど、男女の別ない大きな愛を持っていたんだろう。


『ジョー、満月の島へ行く』(1990)
監督:ジョン・パトリック・シャンリー 出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン ほか
『笑い飛ばそうクリスマス'94』第2弾は息のぴったり合ったトムとメグのコンビ。
ファンタジックコメディ、爆笑ものというよりは、大人のためのおとぎ話風。
"Once upon a time..."から始まって、"They lived happy ever after. the end"で閉じるお話の典型。
でも、主人公はどこにでもいるストレスたまり放題、金もなく、上司にイビられ、いつも体調不良のサリーマン、ジョー。
Everything is money. でも、無駄遣いするほど、その価値が上がるってワケ。メグの七変化ぶりも面白い。
それから音楽。最初のブルースは誰が歌っているんだろう。とってもイイ。
トムが漂流している時にのんきに歌うウクレレ演奏とハワイアンみたいな歌もイイ。
カウボーイ、カウボーイ、カウボーイが向こうからやって来る~
人間死ぬ気でやればなんとかなるものよね。


『おじさんに気をつけろ!』(1989)
製作・監督・脚本:ジョン・ヒューズ 出演:ジョン・キャンディ、エイミー・マディガン、マコーレ・カルキン ほか
『笑い飛ばそうクリスマス'94』第3弾。こちらも腹を抱えて笑うユーモアより、ハートウォーミング系。
かのコメディ青春グラフィティの傑作『フェリスはある朝突然に』を撮ったヒューズ監督。
3人の子どもの子守りにやってきて家の中はメチャメチャ。こうゆうはた迷惑でテンション高い親戚中の嫌われ者ってどこかにいそう。
なぜか子どもに対しては妙に筋が通ってて、血の通わない教育よりずっといいモラルを持っていて、子どもに好かれてたりする。
でも一番難しいお年頃の女の子ティアの冷めた現代っコの感覚とはどうもぶつかってしまう。

家族の問題って本当に言葉で言えないほど根深くて、単純なのにとてつもなく複雑で、
近すぎるからかえってその答えは遠くにあるものなのよね、分かる、分かる。
まだまだ幼いカルキン君が出演しているのにも注目。小さくてもこの頃から生意気なセリフが一杯。
とてもセクシーとは言えないキャンディの横綱級の体型には参るなあ!
ちなみにレンタルショップで耳に入った「これ面白いんだよ」て噂を聞いたのが今作を観るキッカケ。
少なくともジャケットの宣伝コピーよりは口コミのほうが信じられるでしょ。

コメント

notes and movies(1994.10~ part6)

2013-02-18 13:25:33 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.1』(1970)

気に入った 笑いはナンセンスでドタバタじゃなきゃ!
『ひょうきん族』や『サタデー・ナイト・ライヴ』を凌ぐこの英国の笑いの世界。
実はチラっとデイヴ・スペクターが「イギリスはモンティ・パイソンを生み出したんですからねえ」というのを聞いたのがキッカケ。
なんだか年季の入ったビデオテープできっとたくさんの人がコレ見てゲラゲラ笑ったんだなって分かる。
腹がよじれるほど笑える番組なんて日本にはもうないもの。このカルティックな世界はタダモノじゃない。

ひとつのスケッチから次のスケッチに移るキッカケがあって、全部根元がつながってるのね/驚
そこに入るアニメーション。とはいっても切り貼りの、これはまさに芸術(品はないにせよ)シュールレアリスムそのもの。
1時間番組で2本分の中には意味不明な英国民にしか分からないローカルネタや、
オカマ、宗教団体、他国民のジョークなどキワドイものも多くて、そのためか番組中何度も自発的に
謝罪のテロップが入るんだけど、当人たちは全然気にしちゃいないんだな、これが。
下ネタも勿論、裏も表もさらけ出してるこの連中は一体全体何者なんだろう

覚えているだけ爆笑ものだったスケッチを書き留めるとしたら、やっぱりSILLY WALKERSの皆さん!
政府の予算までもらっているいたって真面目な団体。

「バカな歩き方」省(シリーウォーク)


次に大ウケしたのが「建築家のコント」。間違えてと殺専門の設計者が来てしまい、「ご苦労さん」と追い払ったが最後、
突然完全にキレちゃって怒り出す男。相手を「フリーメイソンだろ!」と罵って、結局「入信するから!」と懇願するんだけど、
やっぱり追い出されちゃう。そこに信者の奇妙な握手のスローモーションが入る。

「建築家のコント」


バカバカしくて笑えるのは超貧乏な浮浪者が賞までとった詩人で、タイトルもズバリ「200ポンド貸してくれねえか」
あと、オフィスまで女子社員が案内していく先に林や川、洞窟があるってゆうのも可笑しい。
それから「手旗信号による嵐が丘」とか。そうそう「心の世界」て番組を進行する男性が
テーマにあげる「デジャヴ現象」で自らハマりこんじゃう怖いスケッチほかいろいろあった。

デジャヴ

すっごくワルい兄弟の悪党のドキュメンタリーでインタビュアーが喋る時、相手にマイクを向けて、
相手が喋ると自分に向けて、2人だけで話が進んでいくってギャグも笑った。

「ザ・ビショップ」では、高級聖職者がチンピラみたいに通りを歩いていくのも可笑しいし、
全然怖くない拷問をする3人のスペインのまさかの裁判とか。
ま、とにかくこの続きはレンタルショップにいっぱいあったし、また見ようっと。


(ノートいっぱいにスケッチのメモが書いてあるけど、それは割愛させていただきますw


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.2』(1970)
VOL.1ほどじゃないけど、笑えたのは「Idiots~バカ族」。人前ではバカばっかしやってて、
その実、アホ道を追究すべく日々訓練したり、学校まであって、「アホは人々の精神浄化である」
なんていう理論まで持っているのがスゴイ。

それから政府の役人のストリッパー。政治のことを喋りながら音楽に合わせてスーツやら脱いでいく。
品はないけど、そこまでやるかって感じで笑える。

「ブラックメール」では、ヤバい映像を流して「早くストップの電話をしないと支払う罰金が加算されますよ~
っていうルールの番組や、「問題を棚上げする協会」の会議など。

 

どれもこれもメンバ中心であらゆる役柄になりきっていて、エリック・アイドルとジョン・クリーズ、
あとおばさん役がハマっているテリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリン、グレアム・チャップマン。
それぞれ“いかにも”ってキャラクターを的確に演じていて、それが英国流のキョーレツな風刺なのに感心する。
婚姻届を出しに来た男たちと次々結婚する役所職員のスケッチもイイw


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.3』(1970)
んーちょっとテンションが落ちているけど、小さな昆虫を体を張って追い詰めるハンターのドキュメンタリーはイイ。
テレビの上のペンギンについてムダ話をするおばさん2人組や、騒音だらけのベートーベン家の様子w
デカ鼻を手術しに来て整形外科医とデキちゃったりするゲイバッシングはキツイ。やっぱりそうとうなタブー扱いなのね。
カミカゼ、サムライ、真珠湾攻撃等の日本関連もチラホラ。
体の部分の名称がベースになってて、時々挟む「Naughty Bits(イタズラもの)」が可笑しい。
「おかみさん劇団」の紹介を海岸でやってて満ち潮になり、海水の中でもまだやってるスケッチもイイ。

(キラーカーから逃れた人が襲われる巨大にゃんこ大好き!
MONSTAR CAT



『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.4』(1970)
全身包帯だらけの重傷患者らを酷使する方針の病院が笑える。
「普通ならベッドに休ませてもらえる」のが、ここでは重傷なほど重労働やスポーツを楽しまされる。

「あ、違う」を連発してトチり続ける司会者が紹介する、監督が象牙のような歯の持ち主で、本人はそれにまったく気づいていないスケッチ、
女王が御覧になるため、「普段どおりに行儀よくコントを進めていく」てシチュエーションで「食人種」のコントをやったり。
時間にやたらうるさい一家の殺人ミステリー、宗教のむりやり勧誘に、ムリヤリ商品をほめるCMなど。

でも大抵、言葉のギャグが多くて、字幕スーパーの量と速さにちょっとついていけない上、
笑いどころがつかめなくて分からないのも多かった。
学のある炭鉱夫とか、こじつけの批評家とか、それなりアイロニーのあるひねりが加えてあるんだけどね。
おばちゃんによる潜水艦でのウェールズ作戦なんてのもイイ味出してる。
一番のオススメは、言葉の最初、中間、最後しか喋れない3人のインタビュー。


『THE MEANING OF LIFE~人生狂騒曲』(1883)
 
監督:テリー・ジョーンズ 出演:モンティ・パイソン ほか
MPのメンバが英国テレビから抜け出してハリウッドの映画界へ殴りこみ、「人生とは何ぞや」という哲学的テーマをひっさげて
人生の始まりから終わりまでパートごとに分けて、それぞれの段階をMP流に要約している。
これでどんなメンバで演っているのか名前が揃ったけど、誰がどれかはまだ不明。
話を一緒に見ているメンバの顔がある魚のキャラはサイコー!「おはよう」て挨拶から不気味で笑える。

あのテリー・ギリアム監督がアニメーションを担当していたとはビックリ
ちょっと考えれば納得する関係。どこに出演しているかはやっぱり分からない。
あれから10年。メンバも歳をとって、それなりのおやじの味が出ているのはいいけど、この突然の時間の流れに少々戸惑ってしまう。
それにスペシャル版とあって、テレビより数倍ドギつくって、とてもついていけないキョーレツなコントもある。
まるでピストルズレヴェル。日本のお笑い界もかなり下品なのが多いけど、英国で果たしてどう受け止められたか不明。
さすがに映像技術も、コメディセンスも時代とともに変化して、裸シーンもあり、CGあり、幅が広がって、
本当にのびのびやりたい放題ってゆうのはたしか。アカデミー審査員特別賞をとったんだって!分からないもんだね。

(上記でグロいと評しているのは、美食家の男が食べすぎてパンクするシーンのこと
 アイドルが「ちょっとウチまでおいでよ」って相当歩いていくスケッチが一番好き♪

THE MEANING OF LIFE


『MONTY PYTHON'S THE SECRET POLICEMAN'S PRIVATE PARTY』(1976~1985)
出演:モンティ・パイソン、ピーター・クック ほか
ライヴ版。これで名前と顔が一致した。なんといっても芸達者であちこちに顔を出して笑かしてくれるのはクリーズ。
「The Pet Shop」は、死んだオウムを買わされて怒ってやって来た客と、
あくまでも「寝ているんだ」とシラをきりとおす店員のコント。

「The Pet Shop」

殺人犯に犯行をこれでもかと自白させてしまう弁護士、最後の晩餐に29人も描いた画家に激怒する法王etc...
彼の真面目に笑かす様子にメンバまで笑っちゃってる。

テリー・ジョーンズは子どものクイズ対抗戦で問題と答えのカードがメチャメチャになり、トンチンカンなクイズを披露。
基本的なボケの講座では、転び方、木材での打ち方、パイの投げ方を教えてくれる。
一発芸もあり。マジックじゃないマジックで、綱抜け出来ずにフォークが刺さる名人。
チーズ屋にチーズマニアの男が来て、次から次へと名前を言うけど、結局店内には何一つ置いてなくて、
耳障りな楽団連中に怒るコント(これ大好き

CHEESE SHOP

成金たちの貧乏話がどんどんエスカレートする貧乏自慢。なんだか往年のドリフターズを見ている気分になってきた。
最後は♪木こりの歌 で締めv

Lumber jack song


『ベートーベン』(1992)
監督:ブライアン・レバント 出演:チャールズ・グローディン ほか
ストーリー展開は分かりすぎるほど分かりやすくて、コメディセンスも『ターナ&フーチ』風。
勧善懲悪の家族もの。アメリカ映画の典型。中流家庭のシンボルの犬がテーマとあってはなおさらありがちなシチュエーション。
でも、まあ犬好きの家族向けとしては、可愛い犬が登場して活躍するだけで許せてしまうってこともある

それに現代、眼をそらしていられない動物実験の問題もほのかに取り上げている。
毎日必ずどこかで、犬だけでなく無数のあらゆる動物が人間の勝手な都合で信じがたい苦痛を与えられた末に殺されているというのが現実だ。
映画のように動物自ら反撃することができればいいが、そうはいかない。
今作では、動物が人間の視点で、まるで人間のように行動し考えるように描かれているけど、
実際こうまでうまく人間のためばかりに生きているワケではない、もっと自然さが欲しい。


『インド夜想曲』(1989)
監督:アラン・コルノー 出演:ジャン・ユーグ・アングラード ほか
知っている通り同名ベストセラーの映画化。フランスの人気男優アングラードがフランス訛りの英語を話しているのにちょっと驚いた。
大体原作に忠実に物語は進行していく。少々違っている部分を気づいたところだけ挙げていけば、
私の好きなセリフのひとつ「人の体はカバンのようなものだ」というのがなく、
代わりにドイツ人医師が「輪廻転生など存在しない。シバ神の像は生のサイクルであり、それにはいつしか終わりがある」と変えられている。
荷物を置き忘れる女性は登場せず、バス停で出会う奇妙な兄弟は姉に変わり(このキャストがどうなるか一番気になったのだが)
特にメイクもない実際の障害者を使っていたのが印象的。

図書館での夢(ここも面白いのだが)は、単に威圧的な仏像に逃げ出すのみ、
郵便配達のトミーは重要な人物と思われたが、学校帰りの女の子に代わっている。
主人公は映画関係の仕事になっていて、「私もこれで生活しているので・・・」という最後のオチも
何かいい足りないオングラードの「おやすみ」のひと言に代わっている。

おかげでストーリーの深みや二重性の迷路のような面白味に欠け、いつまでも正体を現さない失踪中の友人を探し歩く単調さが目立つ。
その代わり、実際のインドロケが生かされ、作者の足取りの風景が目の前で再現され、旅を追体験してゆく魅力は保っている。
監督がアクの強い人なら、もっと幻想的であって欲しい気がする。
小説には小説、映像には映像、それぞれ長所と短所があるということだ。


『クジョー』(1983)
原作:スティーブン・キング 監督:ルイス・ティーグ 出演:エド・ローター、ディー・ウォーレス ほか
原作本もヒットしたキングの映画化。これを同じセントバーナードを扱ったコメディの後に観たから、
同じ題材でもジャンル別、撮り方でこうも印象が変わるかっていう見比べができた。
本来、この犬種は人命救助に活躍する大型犬で、気が優しいんだけど、狂犬病がいかに脅威か、
自分の家の愛犬を見る目も少し慎重にならざるを得ない。
血生臭いだけでないキング調の心理的怖さが伝わってくる。

キングお得意の、場所が違った他人同士がなんらかの事情で結びついてゆく、同時進行する別々の人物の描き方。
まるで悪魔の化身か怪物のように賢く獰猛になるクジョーとともにとり残されるというサイコと、
本気で泣いている子どもの恐怖心が直接伝わってきてなお一層盛り上がる。
しかし、この惨劇によって夫婦、親子の団結、距離が近くなるという過程もあり、単なるホラーにはとどまっていない。
どれをいつ誰と見てもそれぞれの恐怖を見せて必ず満足させてくれるキングはやっぱりスゴイ!


『ムーンリットナイト』(1989)

監督:リナ・ウェルトミューラー 出演:ルドガー・ハウサー、ナスターシャ・キンスキードミニク・サンダ、ピーター・オトゥール、フェイ・ダナウェイ ほか
しわがれたトム・ウェイツの独特の詩をもつ歌に乗せて、パリ、ローマ、N.Y.、マンハッタンの
それぞれ洗練された風景の中に流れる大人のラブストーリー。
'89といえば、今ほどまだエイズが騒がれず、大した研究もされず、
人々にはただ死をもたらす疫病、悪、恥辱のごとく考えられていた。

愛するが故に一緒に暮らせない、エイズ感染は単なる病気でなく、人々の愛情、未来、生活をも蝕み、脅かしてゆく。
まだその感染ルートなどに誤解や、不必要なほどの恐怖心がつきまとい、偏見が多い。
今でこそエイズを取り扱う作品が増えているが、この時代に、この豪華キャストで、
音楽、ファッション、映像テクニック、センスもバツグン。
シリアスな中にも洗練されたエンターテイメントが溢れている。
チラっと出演するドミニク・サンダの姿もファンとしては嬉しい限り。

コメント

notes and movies(1994.10~ part7)

2013-02-18 13:25:32 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part6からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『月の輝く夜に』(1987)
監督:ノーマン・ジュイソン 出演:ニコラス・ケイジ、シェール ほか
イタリア系の家族だけあって陽気な気質が常にエネルギーとして放出していて、いかにもあったかい感じ。
その実、1人1人好き勝手バラバラに心は遠く離れている。
「どうして男は女を追いかけるの?」
「アダムはあばら骨でイヴを創った、その骨を探しているんだ。でっかくあいた穴を埋めるために」
「どうして複数必要なの?」「死を恐れるからだろう」
どうやらこれが今作のキーポイントらしいが本当の意味は理解しがたい。
初対面なのにまるで何十年来の友人の様に話し合う教授とのシーンは味があって、彼のひとなつこい笑顔はまるで少年。
「美しく自分の魅力に興味を持ってくれる女の子らは自分に月明かりのような美しさをみいだすんだ
アカデミー賞作品にしては小品だけど、まるで恋の呪文のような満月のフシギなパワーに導かれて
様々な人間模様が素朴に素直に正直に描かれていくほのぼのファミリー映画で、
オスカーをとったシェールの個性的な魅力が作品を引っ張っているといえる。
ケイジは相変わらず情熱家で野性味あふれる一風変わった役だけど、若いのに人生を悟っちゃってる役がハマってる。
5匹の犬をこまめに散歩させる気のいいイタリア人老義父もいい。


『プリティ・ウーマン』(1990)
監督:ゲイリー・マーシャル 出演:ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギア ほか
映画、俳優、主題歌ともにビッグヒットした今作。階級や生活環境の違う男女を扱ったシンデレラストーリーで、
バリバリ働く女性の心の奥に根強くひそむ「いつか王子様がやって来て、美しいお姫様はなに不自由なく、
苦労もなく愛されて暮らすでしょう」てゆうおとぎ話の世界を、
現代を舞台に実現させたのがヒットとなった理由だろう。
着る服を変え、金をちらつかせるだけでサービスの態度が天地ほど違うホテル従業員などへの皮肉でもあり、
“金がすべて”という現実と、“それでも友情や愛情はある”てゆう真理もうまく織り込んでいる。
やっぱりお目当ては、仕立てたスーツを自然に身につけるギアの優しく、リッチで、ハンサムで、仕事がデキる男の魅力と、
今作で一気に花開いたジュリアのナチュラルで大輪、ゴージャスな変身ぶりが見物。
1ランクも2ランクも上の豪奢な暮らしぶりと、金銭感覚の差も庶民には興味と羨望の的。

今の世代がちょうど過渡期だよね。「男は仕事で金を稼ぎ、女は家で家事・育児」だという母と、
「キレイにして待っていればいつかステキな男がやってくる」と耳元で囁かれる少女時代。
仕事をもって自立する社会の期待と、自身のプライド、理想との大きな歪み。
今作みたくこれだけあけっぴろげにシンデレラになる夢を表に出して、
幸福をつかんでハッピーエンディングになるラストも開き直っていいかもしれない。
夢を見て、夢を叶えるのがハリウッド映画なら。


『天使にラブ・ソングを・・・』(1992)
監督:エミール・アルドリーノ 出演:ウーピー・ゴールドバーグ ほか
続編“SISTER'S ACT”も好評なウーピーの主演痛快コメディ。
彼女のファンキーなエネルギーを注ぎ込めば、お堅い修道院も楽しく明るいエンターテイメントになっちゃう
相変わらずの派手派手ファッション、爆発ヘアのシンガーから、黒白のシスターに変身して
巻き起こす俗世間の行動で、活性化される教会の雰囲気と、最悪オンチな聖歌隊。
宗教はジメジメした暗い場所に閉じこもって、人間の自然な欲求を抑える犠牲心からだけじゃなく、
おおらかに明るく楽しい歓びを分け与えることのほうが大切なんじゃないかしら?
みるみる変わっていく聖歌隊。黒人が教会で神への賛歌をソウルフル、パワフルに歌うように
'60ポップなラブソングまでアレンジして素晴らしいコーラスに振り付けまで加えて、
人々の心を陽気に、癒してゆく過程は観ていてウキウキしてくる。

本編終了後にテーマ曲のビデオクリップまであり、レコードまで出して『ローリングストーン』誌に出ちゃうなんて
エンディングのちょっとした雑誌の1カットは笑える。
尼僧ルックだけであらゆる人々への権力になりうるってゆうのもなんだかフシギ。


『アンダーカバー・ブルース』(1993)
監督:ハーバート・ロス 出演:キャスリーン・ターナー、デニス・クエイド ほか
能天気な口笛の曲にのせて、完全無敵の子連れスパイ夫婦が、盗まれた核爆弾を追って活躍する痛快アクションコメディ。
これまでも口八丁手八丁のヒーローはいたけど、口八丁手八丁の奥さんてのはアメリカらしい。
『私がウォシャウスキー』ですでに見せたターナーの強くて賢いデキる女ぶりが見どころ。
もちろん今作でも彼女の美しい脚線美のサービス満載。
クエイドの強くてセクシーでおチャラけたタフガイぶり、今回はトランペットを吹くシーンもあって音楽好きの一面もチラリ。
ニューオリンズが舞台とあって陽気なリズムとサウンドに溢れたギャング退治の一作。

夜の一人歩きも銃なしで全然へーきのこの2人。カンフーの達人らしいけど、
これだけ自己防衛ができればさぞかし安心だろうね。
赤ん坊がもっと関わったら面白いだろうけど、それは『ベイビートーク』の世界。
ラストは泥んこプロレスシーンまであってスリルたっぷりのバケーションてこと。


『LIFE OF BRIAN』(1979)

監督:テリー・ジョーンズ 出演:モンティ・パイソン ほか
こちらもみんな揃って能天気な連中が口笛を吹いていつも人生の明るいほうだけを見よう~と歌うMP流救世主の人生。
メンバがあらゆる役にとっかえひっかえなりきって芸達者なところを見せてくれる。

石投げのゲームにヒゲをつけて参加するおばちゃんたちが、待てずに執行人に投げつけて殺しちゃったり、
「はりつけなんか逆さづりよりずっとラッキーだ」と言い張るおやじ。
分からない名前に関するジョークで吹き出すのを必死におさえる部下と、いつもフガフガゆってるシーザーも笑える。
しっかり分かる隠れ方をしてるのにぜんぜん気づかないローマ軍に、いつか子どもが産みたいと夢見る過激派グループの一員。
テリー・ギリアムのアブノーマルなアニメーションも出だしから冴えてる。
ローマ軍が逃げる途中で1つ目宇宙人の抗争に巻き込まれるなんてのもイイv

このテーマ曲はエリック・アイドルが書いたって知ってビックリ!音楽の才能もあるんだね。
歌詞の中にMP流の人生哲学が感じられる。人生辛いことばっかりだけど、だからどーしたってゆうね。
ったくそのとうりだよ。開き直って楽しまなきゃ♪

Always look on the bright side of life
この曲は今でも大好き!


『LIVE AT THE HOYWOOD BOWL』(1982)
 
出演:モンティ・パイソン ほか
これはイイ!永久保存版。MPはアメリカでもウケたんだね。ネオンばりばりの始まり方はまさにハリウッド風。
ヤンキー相手のスペシャルナイトとあって、これまでのサイコーに笑えるベストコント集といったところ。
それを生で見れたこのお客さんたちはなんてラッキーだろう
おっきなスクリーンを3枚用意して、広い会場で皆が楽しめる工夫がしてあり、客席にまで入ってきてコントを演るサービスぶり。
すでにビデオで観たものもアレンジが加わって、メンバの役割分担がちょっとずつ変えてあって、マンネリ化させないところもスゴイ。
それになんといってもこれだけのコントの長いセリフをひと言も間違えずベラベラ早口でまくしたてられる才能は舞台俳優以上
お客もアルコールが入っててすごい盛り上がり様。アメリカ人向けのギャグもたくさん。もちろんギリアムのアニメもあり。
テレビからそのまま飛び出して出張してきたみたい。ラストは「Piss Off!!!(とっととうせろ!)」の文字。
最後までやりたい放題とんでもない奴らなんだ!


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.5』(1972)
今作にはライブ版にもあったいくつかのベストコントが入っている。
首に刺青のある司教殺しの夫とその家族や、議論屋~これはもうちょっと長いverで、他にグチり部屋、罵倒部屋等もある。
1日に何十人も殺した連続殺人犯は、妙に礼儀正しくてつい刑を軽くしてしまうスケッチ。
お金の番組でお金大好きのアナウンサーが興奮して歌まで披露しちゃうスケッチ、

Money Programme Eric Idle Sketch

言葉を逆に喋る遊びって英語でも可能なのね。それぞれメンバに味があるv
ヘンテコな痩せるパンツでの「大脱走」てのもいいし、婦人部隊に入りたがる志願者、バカ馬が大活躍。
金の亡者と寄付金集めの男のスケッチも笑える。ケン・ラッセル監督の『ガーデン・パーティ』をパロったり、
密林ジャングル内のレストラン、なにか言うたびに死ぬほど笑われちゃうサラリーマン
テーマ曲のアニメももっとアブノーマルなやつに代わったし。
親友のおばさんが突然爆発したり、話を始める前に話しているかそうでないかを延々話まくるアナウンサー。
貧乏なBBCの内情が垣間見れて、予算が足りないせいでセリフを削られたり、番組を中断してスポンサーの宣伝が入ったりetc..


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.6』(1972)
ここにもライブ版にあったスケッチが入ってる。Mr.Smoketoomatch の旅行代理店でBとCを替えたすごい長い愚痴!

Travel agent sketch & theory of the brontosaurus

その後、なかなか新説とやらの説明をしないで変な咳ばかりしてるクリーズの女博士は笑える。
消防署に電話しても無視され、電話ではいつも靴のサイズを聞かれたり、救命艇とおばさん家がつながってるって発想も面白い。
バカな脳外科医も笑った!ラストのサム・ペキンパー監督のパロは血が噴出すエグイもの。
「チーズショップ」もあり。エリックの長いヘアスタイルには参っちゃうな


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.7』(1972)
残るはあと2本となったこのシリーズ。見終わりたくないいいい!!!
日本で再放送するこっとなんて絶対ないだろうな。日本の検閲もかなりゆるくなってきたけど、
BBCっていったらNHKみたいな国営放送でしょ
今回は、サイクリングツアーで転びまくり、地元の人には無視され、妙な多重人格の男につかまって、
何度も処刑の弾がハズレちゃうスケッチ、かくれんぼうの決勝戦で11年もかかって中継するってのもバカバカしくてイイ。
テリー・ギリアムの合成アニメも冴えてる。ミセス・アイドルって、エリックの奥さん!?


『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS VOL.8』(1972)
せっかくのラストは吹き替えしかないなんて笑えるギャグもこれじゃ面白さ半減
理屈っぽくてルピナスばかり盗む義賊デニス・ムーア、献血コントはよかった。

デニス・ムーア(大好き!


芸能大賞では受賞者が皆故人で、代理人が冷蔵庫やら。ここでもエリックが古臭いアナで笑かしてくれるのに吹き替えだとイマイチ。
BBCへの皮肉もだんだんエスカレート。偏見のススメはキツすぎない?
一番ウケたのは「おそうじオバサーン!」。この唐突さがたまらない。

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notes and movies(1994.10~ part8)

2013-02-18 13:25:31 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part7からのつづきで、草色のノートはこれでラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ミスター・サタデー・ナイト』(1992)
監督・出演:ビリー・クリスタル 出演:デビッド・ベイマー ほか
『恋人たちの予感』『シティ・スリッカーズ』で演技のうまさも証明したクリスタルが3役兼ねて
ショービジネスへの想い入れたっぷりに撮り上げた、笑いあり、涙ありのヒューマン・コメディ。
スターとして名を馳せた頃と、歳とともに落ち目になったシーンを絶妙に組み合わせてそれぞれを見事に演じきっている。
彼自身、SNL出身のスタンダップ・コメディアンから今じゃアカデミー賞の名物司会者にまで成功した売れっ子。
自らの自伝的作品かどうかは分からないけど、細部にまで行き届いた数々のエピソードがリアルだし、
終始飛び出す可笑しいギャグの連発もアドリブ的セリフもあり、
思い切り笑かした後に兄弟愛や夫婦愛、父娘愛でホロっと泣かせるあたりは本当にうまい。
スポットと歓声を浴びてステージに立ち、大勢の人を笑わせ、喜ばせる興奮てきっとたまらないものなんだろうね。
そんないにしえのコメディアンたちは今ごろどうしているのかしら?
時代の流れに沿って変わる笑いのスタイルやセンス、次々と若いパワーが出てくる。
どんな世界でもそれは同じだろうけど、その華やかな花道と静かな老後のギャップになんともいえない哀愁が感じられる。
散りばめられたサッチモのジャズが粋。


『SWEET TRONT Rockn' Roll Revival Festival 1969』(1988)
出演:THE PLASTIC ONO BAND, ERIC CLAPTON, KLAUS VOORMAN, ALAN WHITE
KEEP ON ROCKIN'!!! これは参った、完璧に。バンド結成のエピソードの後にヨーコが振り返る。
「ジョンのユーモアは独特で、他に例はない」と言うシーンから、'69のステージへターン。
ビッグなロックスターが一堂に会してモンタレーポップフェスティバル風の雰囲気。
リトル・リチャードの妖しさにはビックリ。「未完成なプリンス」みたいだもの

夜になって噂のバンドが出現。顔中クッションみたいなヒゲに覆われたジョンと、常に傍に影のように居るヨーコ。
彼女が♪Yer Blues から不気味な裏声でバックコーラスを入れ始めてステージはだんだん異様な雰囲気に。
そして出たっ タイトルも♪京子ちゃん心配しないで
「ア~~~~ア~~~~ア~~~~イ~~~~ハァアアア~~~~ア~~~~」
延々と続く続く。次の曲も似たり寄ったり。これはすごい。なんとも言いがたい。
一応なにかしらのコンセプトを基に演ってるんだろうね。白い布をかぶってステージ中央にうずくまったり、
曲目を書いたメモを見ながら進行し、見ながら歌ったり。
このオノバンドは音楽の域を超えてアート化してる。じゃなきゃ呪われてるか、
stonedしちゃってるとしかいいようのない、彼女のこのキョーレツなキャラクター
これを何千人、もしかしたら何万人の前で堂々と披露できるとは並の人間じゃないゾ。

それにジョンやクラプトン他のメンバーも笑いもしなければ無表情で、ア~~~~の声にあわせて
しきりにギターをハウリングさせたり、ドラムを加えたり、真面目にプレイしてるのがまたなんとも可笑しいやら不思議やら。
そしておもむろにステージを去って、ハウリングさせたままのギターを残してライトが消えて“KEEP ON ROCKIN'”のテロップ。
観客もさぞかしヤラれたって気がしたんじゃないかしら? まさになんでもありのヒッピーの祭典。
これをもう一度試みようとするアーティストはまず出てこないだろうね。
同じ日本人女性とは思えないオノ・ヨーコ。彼女はただ者じゃないな。


『LOVE HAPPY』(1949)
 
監督:デビッド・ミラー 出演:グルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、マリリン・モンロー、エリック・ブロア、イローナ・マッセイ ほか
コメディ界で伝説的存在の「マルクス兄弟」。実は観るのは今回が初めて。
'49だもんね。モノクロでコマ送りの映像がチャップリンの無声映画を思わせる。
でも、これは声も音楽もあり。昔は今と違って本物の芸で笑わせてたんだよね。
ドタバタ喜劇の中に楽器演奏まであって、ピアノやハープまで聴かせてくれる。コメディにはもったいないくらい

ハーポのなんともいえない天真爛漫さがイイ。
彼の不思議な上着のポケットから出るわ出るわ何から何まで。犬まで出てきたのには笑った。
自称、読心術が出来るというピアノ弾きとのジェスチャー連想ゲーム状態のやりとりも楽しい。
逃げ回るシーンでも夜のネオン街を最大限に利用して、ネオンの馬に乗ったり、
カーテンのパラシュート等、ファンタジックな要素もある。本物のミュージカルも観れるし。
ちょっと色っぽいシーンでは「フランス映画ならあり得るけどね」なんてセリフもある。
マリリンの出演にはビックリしたけど、なんてこたない、探偵事務所を訪れる客の1カットのみ。
催眠術師の婦人がどことなくディートリヒ調で時代を感じさせる。

(そっかマルクス兄弟に出会った年でもあったんだ!グルーチョ大好き


『LISZTOMANIA』(1975)
監督:ケン・ラッセル 出演:ロジャー・ダルトリー、リンゴ・スター ほか
ロジャー・ダルトリー主演のロックオペラ『トミー』と同じ年に撮られた今作。同系だけどもっと難解。
退屈で宗教的なクラシックをオチョクったのか、それともあまりに巨大なマーケットと化した商業的ロック業界をオチョクったのか。
とにかく金のかかったゴージャスなセットは、イギリス版フェリーニ風に大掛かりで、
特にピアノと結婚したリストのピアノ・ローブやピアノ・カーテンetc ここまで凝るか!?
ダルトリーが演じればどことなく無邪気で、リスト役も嫌味でなくなる。
その魅力は青い眼よりも、どこまでもクルクルのヘアスタイルにあるとみた。
途中初めて見るストレートスタイルに魅力半減して証明された。
ちょっとテンポのズレた歌声も、上手いのかヘタなのかとっても微妙だし。
ザ・フーのメンバも顔を出して、とにかく自由気ままなイメージと幻想世界へトリップ。
なにが不満って、女性が男性を崇めて狂信し、裸で踊る性の道具にしか見えないのかしら?
魔女か子羊のどちらかなのね。ユダヤ人虐殺シーンやら、なんだか行き過ぎたブラックユーモアは笑えない。


『メル・ブルックスの大脱走』(1983)
 
監督:アラン・ジョンソン 出演:メル・ブルックス、アン・バンクラフト、クリストファ・ロイド、チャールズ・ダウニング ほか
監督兼主演が主なキング・オブ・コメディのメル・ブルックスが、今作では奥さんと共演して出演のみだけど、
彼流の笑いのセンスが保たれているのは、彼がプロデュースしているせいかな。
思い切りナチ占領下の話で、ともすれば湿りがちなところを、夫婦愛、不倫騒動、スリ替わりのドタバタで明るく乗り切っている。
最初、幕開けがワケの分からんあやしいポーランド語で始まって「健康と理解のため英語でやろう」なんていう細かい芸も忘れない。
実際もこんなスリ替わり劇で命を助けることができたらよかったのに。

名コメディアンと名女優。とっても奇妙な組み合わせなのに息もピッタリで仲がいいんだね、この2人
ヒットラーをジョークのネタにする処刑室の鬼役にC.ダウニング、マヌケなドイツ兵役にC.ロイドがチョイ役で出てる。
テーマがテーマだけにブルックスの徹底的ナンセンス・ギャグが少ないのがちょっと淋しい。


『コールド・ドッグ・スープ』(1989)
製作総指揮:ジョージ・ハリスン、デニス・オブライエン
監督:アラン・メッター 出演:ランディ・クエイド、フランク・フェリー、クリスティン・ハーノス ほか
なぜかMP関連らしいけど、製作に関わっているのかしら。
全然笑えないB級映画だけど、ラストの終わり方だけ妙に解放された思いがして気に入った。
ちょうど今みたいなウィークエンドの小春日和で、さんざんな目に遭った主人公の青年マイケルが
別の犬を埋めに来た男に出会って、同じように「この犬は売れるよ」ともちかける。
流れる音楽が'80代で懐かしさと一抹の淋しさまで覚える。きっと今日のわたしの気分が妙なんだわ。。


『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(1988)
監督:チャールズ・クライトン 出演:ジョン・クリーズ、ジェイミー・リー・カーティス、ケヴィン・クラインマイケル・ペイリン ほか
これは文句なく面白い MPの存在を知る前に観ても同様に楽しめただろうけど、
これをジョンやペイリンがやってると思い入れがあるからなおさら一層可笑しい。
お互い歳はとったけど、裁判官のコントはお手のものだし、映画作りも鮮やかなお手並み。
ロマンス、アクション、コメディ、あらゆる要素がいっぱい詰まって、2時間たっぷり満足できる痛快コメディ。
原作はジョン・クリーズ自身で製作にも関わっている。
「英国人でいるのは窮屈だ。いつもマヌケなことをするんじゃないかとビクビクする死人だ」なんてセリフは本音かな?
アメリカ人に対しての最悪の悪口「ベトナム戦争で完敗した」なんてのもキョーレツ。
英米合作とあってお互いタブーもとっぱらった自由さが溢れてる。


『アメリカン・パロディ・シアター』(1987)
監督:ジョン・ランディ 出演:ジョー・ダンテ、ロバート・K・ワイス、カール・ゴットリーブ ほか
とことんツイてない黒人の話。ビールは吹きだすわ、流しにネクタイを吸い込まれるわ、間違い電話、感電
ビデオテープは顔めがけて飛ぶ、テレビは爆発、本棚の下敷きになって窓から落ちちゃう最初から爆笑もの。
(ネタ部分のメモは割愛)
ほとんどMPのノリでよかったのに、やっぱ最初のが一番爆笑。1人の部屋でバカをやってるのが妙に孤独で笑える。


『バロン』(1989)
 
監督:テリー・ギリアム 出演:ジョン・ネビル、エリック・アイドル ほか
一度観たから詳細は省くけど、観たのは随分と前で確かスティングシリーズじゃなかったかな?
結局1カットのみのチョイ役でしかなかったんだけど。
改めて観たら『はてしない物語』ばりの空想ファンタジー。「夢は信じなきゃ」って子どもへのスピルバーグ的メッセージ。
ミッキー・ルーニーの年寄り版みたいな格好のエリック登場。そっか彼だったのかあ! いやあ'89の彼が観れるだけで価値あり。
でもメンバー総動員なんて、目を凝らして観てたけど、彼1人だったよ。
あと、役人役に『未来世紀ブラジル』のジョナサン・プライス。やっぱり時の流れは隠せない。
少女が言う「みんな年老いて疲れてるわ。昔のようにはいかないのよ」ってセリフが妙に心に染みる。

キャストはスゴイし、製作費用が70億だっけ?豪華、豪華。BBCの低予算でやってた頃とは大違い。
でも時間オーバーで、完成後、プロデューサーと相当モメて、結局ギリアムが勝って、
英、仏、日版の3カ国で出回ったっていう因縁があるらしい。
過去の映画も忘れずにみて、MPの後々の活躍の経緯を追ってゆくのも楽しい。
エリックは監督やらないのね。彼のありあまるタレントは、その後一体どこに費やされたのかしら?
とにかく今、イギリスのコメディ映画が面白い。同じ英語圏でもアメリカとは、感覚や歴史、文化もろもろ違う。
今後の研究課題にピッタリ。


『ローズランド』(1977)
監督:ジェームズ・アイボリー 出演:クリストファー・ウォーケン、ジェラルディン・チャップリン ほか
なんと長く待ったことか! 6~7年前、ウォーケンシリーズで観たくて観れずにいた今作にやっとお目にかかれた。
'77とあって、若くてハンサムなジゴロ役の彼の魅力がたっぷり撮られている。吹き替えで声が聴けないのが残念。
N.Y.に実在している由緒あるダンスホールにおける人間模様をダンスナンバーとともに3つのエピソードから成っている。
ウォーケンもダンスとは切っても切れない関係で、クラシックダンスを優雅にスマートに踊るシーンはサマになってる。
退廃的ムードが漂い、夜年波でパートナーや人生の目的を失った人々、ダンスに熱狂的な人ばかりが集う特殊な場所は都会の1つの顔。

「いつまでも人生をエンジョイする気持ちは大切だ」と高齢化社会を迎えた都市で繰り返し言われるが、
剥げ落ちた化粧、息切れ、重く鈍くなった体、皺になった肌にまとった宝石、派手なドレスは
どれも過ぎ去ってしまった時を思わせるだけの空しい努力に見えてくる。
過去と自分を隠して、まるでホールでしか生きられないかのように、
着飾ってダンスに没頭する人々の光景は一種異様なものさえ感じる。
優雅な老後生活と思いきや、ほとんどが地下鉄やバスを利用する年金生活者らしい。
ホールにいても全然誘われない日もある。若さと老いの意味を改めて考えさせられる気がした。


『バトル・オブ・バロン~テリー・ギリアム創作の秘密』(1989)
『バロン』の製作を通じてギリアムワールドのタネ明かしをしてくれる。
75億円の製作費、企画から製作に取り掛かるまでがまず最初の難関で、気づけば撮影開始12週間前になっていたとか。
中世劇でもあるし、幻想ストーリー、大ボラ吹きの話でもあるSFファンタジーの大半は特殊撮影のたまもの。
出演者ソックリの人形やスタント、スペイン、ローマをロケ地にして、
フェリーニとともに製作に参加した腕のいいスタッフに助けられ、
書割の建物、エキストラ全員にまで及んだ衣装や細かな小道具から、月世界、火山、下着の気球、
あらゆるシーン、1カットごとが並々ならぬ大掛かりなプロジェクトで、
大勢のスタッフと時間、費用が費やされて作られていく過程が分かる。

監督のコメントもあり「私はバロンになっていた。ムリだというスタッフに無理難題を押しつけた。映画自体が勝手に作りだしたのさ。
苦しい時には♪バロンは絶体絶命、彼の運命はどうなる? という節が頭の中をいつもめぐった」
同じロンドンに住んでいるというスティングが出演にすぐOKしたと答えるくだりもあり。
大ファンらしいけど、あんな大げさなメイクアップでもたったの1カットに終わっている。

それぞれのコメントの中にエリックもチラっと出てくるのは見逃せない。
その後、作家になったのか。へえ!小説?それともTV作家?書くほうに回ったってわけね。
大量のフィルムが編集されて、やっと1本の映画が創られる。こうゆういきさつを見るのもなかなか楽しい。
SFファンタジーにメイキングはありがちだけど、ぜひギイアム作品のほかのメイキングも一緒に発売してくれたらいいのに。
『未来世紀ブラジル』の近未来的映像の裏側もとっても興味深い。
ところで、彼は今現在何を撮っているのかしら?
ほかのMPメンバをもっと起用してまた揃って元気な姿が見たいものだ。


『CAROL KING IN CONCERT』(1994)
♪NATURAL WOMAN、SO FAR AWAY、JAZZMAN、BEAUTIFUL、SMACK WATER JACK、I FEEL THE EARTH MOVE、IT'S TOO LATE、
LOCOMOTION、YOU'VE GO A FRIEND、WILL YOU STILL LOVE ME TOMMOROWなど
多数の名曲を生み出したシンガーソングライター、キャロル・キング最新のライヴビデオ。
グレン・クローズみたいなクリクリのブロンド、スリムなボディで動き回る姿は、
フォーク・ロックをイメージしていたけど大違い。
彼女自身ギターとピアノを弾くけど、ガンズのギタリスト、スラッシュらを迎えて、
ベストヒットナンバーにアレンジを加え、ホットなステージを見せてくれる。

「'60を覚えてる人はいる? 覚えてない人は何人? '60を過ごした人には懐かしく、そうでない人は音楽のお勉強の時間」
というわけで、アニマルズほかの曲をメドレーで紹介。
客席ではそれぞれの思いを馳せて口ずさむ人々の様子、見ればけっこう年齢層は高い。ロックンロールチルドレンってとこかな。
ちらほらティーンエイジャーもいて時代を超えて愛されていることが分かる。
アメリカの音楽の芯を支えるミュージシャンの1人なんだ。ジャズあり、フォークあり、ブルースあり、
その他あらゆる要素を含んだ幅広いアレンジに彼女のハスキーでソウルフルな独特の声、
あっちこっちをピョンピョン跳び回るヤンキーでもあるし、しっとりとピアノの弾き語りもきかせる。
才能と実力あるキャロルの世界が存分に楽しめるライヴビデオ。ほかのアルバムも聴いてみたくなる。


『ERIC THE VIKING』(1990)
監督・出演:テリー・ジョーンズ 出演:ティム・ロビンス、ジョン・クリーズ ほか
テリーが子どものために作ったというバイキングの冒険物語。
MPのメンバってこうゆう夢あふれる古代ロマンみたいなのが好きなのかしら?
『バロン』を思い起こさせる今作にはかのメンバのうち、テリー、クリーズが出演。
なぜか関根勤がオールを漕ぐ男をせっつく文句たらたらの男、日本語のセリフに英訳がついてるチョイ役で出演。

いろんなアイデアが次々と現れ、冒険談や笑いの中にもメッセージがある。
自分の力を信じれば隠れみのがなくても戦えるとか、争うのを止めて互いに仲良くしようだとか。
女性は男を産み、育て、大人へと成長させる勇気の源であり、知恵でもある。
冒険に勇ましく出かけるのも、女、子どもが泣いて引きとめ、彼らの帰りを待っているからであり、
彼女たちを守りたいという理由がそこにあるから。
ちょっとトボけたヴァイキングのエリックも長い旅を通じて、その辺を学んだんじゃないかしら?
今作も負けじと金がかかっていそう。島の宮殿やら神々の住む星に囲まれた城等々
イメージの世界がどこまでも広がってゆくファンタジックワールドだ。


『イマジン』(1988)
 
監督:アンドリュー・ソルト  出演:ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、シンシア・レノン ほか
今なお世界中で愛され、指示され続けるビートルズと、カリスマ的存在であるジョン・レノンの軌跡。
100分にも渡るインタビューと貴重な記録フィルム、数々の歴史的偉業をうちたてた活動と、名セリフetc..
これを見ると今まで何気なく聴いてきた曲に、それぞれ想い入れや強烈なメッセージがあり、
ジョンとヨーコがどんなに結び付けられた関係だったかとか、ジョンがどれほど音楽、政治、思想、価値観に影響を与え続けているか、
等身大の彼がこんなに人間的でユーモアがあるアーティストで、今までの漠然としたイメージが刷新された感じ。
先日観た『バック・ビート』と重なる部分もあって、本当のスーパースターとはこれだ!て感じ。
今後これほど全世界を巻き込んで一挙手一投足に大騒ぎされるスターは出現しないだろう。

リバプールのクラブから、ブライアン・エプスタインのマネッジもあって、英国から賞までもらい、アメリカほかのツアーでも大人気。
あまり信じがたい映像に、この映画自体ジョンの指揮によるコメディ仕掛けになってるんじゃないかって疑いたくなるくらい。
インタビュアーの喋り方がまるでモンティ・パイソンなんだもの!
ブライアンのオーバードゥース死後、宗教にハマって、ヨーコとの運命的出会い、グループの解散。
個展でのオブジェがキッカケで18ヶ月後バツイチのレノンはヨーコと再婚した。先妻との別れで、列車に乗り遅れたエピソードにも説得力がある。
体の一部となったヨーコ。彼女の声といい容姿といい、すごいキャラクターだよね。
でも、ベッドインでの記者会見では漫画家との辛らつな会話で無視されてたりしている場面もあり。
すっかり成長したジュリアンとショーンの話もある。
同じ血をひいてるけど、育った環境がかなり違っているのが興味深い。

ジュリアンはジョンが24~25歳の時の子ども。仕事に忙殺されて、イギリス郊外で母に預けっぱなし。その後は関係が回復したらしい。
ショーンは“専業主夫”てイメージに変わったジョンが子育てに専念して育てあげた。
しかし、1980年。40歳で銃に撃たれ、病院で死亡したジョン。
「しばらくは父の曲を聴くたびに泣いてばかりいた。周りにいないのが寂しい」というショーンのセリフは心に残る。

「キリストより有名だ」ほかの発言や行動で常にカメラに追われ、新聞に載り、人気と同時に悪意に満ちた批判に曝されたジョン。
レノンは「ただLOVE & PEACE を唱える1人の人間だ」と強調していた。
ファンは勝手に崇め、人以上の存在を求めて、彼に押し付けていた。
さかんに拍手を送り、塔のてっぺんまで持ち上げて、見事そこから突き落とす。
D.ボウイと共作した♪FAME がそれを歌っている。
幸か不幸か激動の時代のトップを走り続け、焦点のボヤけた生ぬるい時代になる前にこの世を去ってしまった。
「彼は私の夫であり、恋人であり、パートナーであり、一緒に戦う戦士だった」ヨーコのラストのセリフに重い響きが宿っている。

自らの半生、ビートルズからヨーコとのバンドほかもろもろについて語るジョン。
これを観るかぎり、彼がもうここにいないとは思えない。
♪LOVE ME DO から♪IMAGINE までヒット曲もズラリ。♪ヨーコー!と気恥ずかしくなるようなストレートなラブソングを
閉口気味のスタッフとレコーディングするシーンまであって、ヒット曲を振り返ることもできる。
ジョンの“愛と平和”の思想はまだまだ実現されず、信じない人々も多いことが残念に思われる。




【読書感想メモ】
「天使の自立」シドニー・シェルダン
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「SILSIE」Marie Redonnet
「A SIMPLE PLAN」SCOTT SMITH


【歌詞をメモした曲】
♪(YOU MAKE ME FEEL LIKE) A NATURAL WOMAN/CAROL KING
♪JESSE/JANIS IAN
♪COME ON HOME/C.LAUPER
♪WAY OVER YONDER/C.KING
♪HELLO IN THERE/JOHN PRINE
♪SOMEBODY CHANGED THE LOCK/MAC REBENNACK

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