メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『八日目の蝉』(2011)

2013-03-23 18:43:43 | 映画
『八日目の蝉』(2011)
原作:角田光代 監督:成島出
出演:井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、余貴美子、平田満、風吹ジュン、劇団ひとり、田中泯 ほか
主題歌:♪Dear/中島美嘉

「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。」

trailer

story
野々宮希和子は妻子ある秋山丈博と不倫関係にあった。堕胎経験があったため、子どもが産めない体の希和子に対して、
妻の恵津子は、希和子のアパートを訪ねて「あなたみたいな空っぽの体の女に何ができるの」と別れることを強く要求した。
恵津子が子どもを産んだ時、赤ちゃんの顔をひと目見れば気持ちに整理がつくだろうと思った希和子は、
恵津子が外出した時を狙って家に侵入し、泣いている赤ん坊・恵理菜を抱くと、無意識に連れ去ってしまった。

希和子が誘拐犯として逮捕され、恵理菜は大学に通いつつ、バイトをして自活している。
4歳まで母だと思っていた希和子を「家庭をめちゃくちゃにした女」として憎む一方で、
自分を母だと認めてくれない傷を持つ実母はヒステリーを起こし、両親とはどう接していいのか分からない。
そして、また、自分も希和子同様、妻子ある岸田との子どもを身ごもっていると分かる。

「過去の事件の話を書きたいから、詳しく話してほしい」と千草という女が現れる。
千草が「あれはあなたのせいじゃない」と言ってくれたことで、恵理菜は少しずつ心を開き、
千草の言われるままに、かつて自分がいた場所を訪ね歩く旅に出る・・・


公開当時から、きっと重いけど素晴らしい作品だろうなと思っていたが、期待以上に素晴らしかった。
大半のロケ地はウィキであるとおり、小豆島だろうか。地元の方も出演して自然と寄り添った素朴な生活がステキ。
映画でも取り上げられている火の行事は、「虫送り」といって、肥土山地区において約300年の伝統があるそうな/驚

ちなみに、エンジェルホームのロケ地は、長野県富士見町の廃校が使われているらしい/驚
社会から疎外され、男性から虐待等を受けるなどした女たちが逃げ込む、いわば「駆け込み寺」。
そこで暮らす子どもたちは、俗世間をまったく知らない純粋無垢な存在として尊重されているが、
団体解散後、特殊な環境で育った子どもたちは、急に現実世界に投げ出されたことでココロが歪んでしまう結果になるのも皮肉だ。

たしかに、恵理菜のたどった運命は過酷すぎるが、本作には絶対的な悪は存在しない。代わりに人間の弱さがある。
そして、どんなに傷が深かったとしても、幼少期に注がれた余りあるほどの愛情は、彼女のその後の支えにもなった。

千草は、タイトルにもある8日目の蝉の話を何度も恵理菜に問いかける。
蝉は生まれて7日で死んでしまう。それは皆死んでしまった後に一人だけ残されて悲しいことか?
それとも、もしかしたら、8日目に皆が見れなかったとても美しいものがたくさん見れて幸せだったか?
「お母さんとたくさんたくさん、キレイなものを見ようね!」
恵理菜は、もしかすると、ふつーに生まれた子どもより、ずっと濃くて、深い愛情に包まれて育ったのかもしれない。
そして、その愛された記憶は一生消えないんだ。


本作は、井上真央、永作博美、小池栄子という3人の女優の見事な演技が見物。
いろんな面で先日観た湊かなえ原作のドラマ『贖罪』も思い出して、小池栄子さんの演技の幅に正直驚いた。
『純と愛』でおかみさん役だった余貴美子さんの変身ぶりもびっくりだし/驚

きっと、テレビドラマのほうもいいだろうし、原作はさらに素晴らしいんだろうなあ!
原作者の角田光代さんの他の作品も気になってきた。



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notes and movies(1995.1~ part1)

2013-03-23 14:48:08 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は青色のノートからご紹介。
引き続きお笑いと音楽が中心。

  

photo1:好きになると徹底的に調べたくなる。こちらはモンティ・パイソンメンバーの略歴/驚
photo2:そして、ついにピーター・セラーズにたどり着いた!
photo3:トム・ウェイツの音楽ビデオもかっちょイイ!

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『un operachi romantico TOM WAITS BIG TIME』(1988)
監督:クリス・ブラム 出演:トム・ウェイツ ほか
このノートの初頁を彼のこのビデオで飾れるのは嬉しい限り。
まさに今までのミュージックビデオでサイコー! このハイテンションなノリを一体いつまで続けることが出来るかしら?
♪DOWN IN THE HOLE セクスィ ♪COLD COLD GROUND アコーディオンが歌謡曲してる静かな曲。
♪STRANGE WEATHER 『ムーンリット・ナイト』を思い出す。白いスーツにサングラスと帽子
♪GUN STREET GIRL 鳥肌が立つ。スタンダップコメディアンか? 音楽とエンタテイメントとコメディはいつもイコール。
(その他割愛)わけわかんジョークもいい。


『THE FISHER KING』(1991)

監督:テリー・ギリアム 出演:ロビン・ウィリアムズ、ジェフ・ブリッジス ほか
♪I like N.Y. in June, How about you? I like Gershwin tune, How about you? ~
T.ギリアムが現代のN.Y.を舞台に『バロン』でも起用したロビンを主役に撮った
ウルトラ運の悪いDJと、彼のせいで人生すっかり変わっちゃったホームレスの男の友情を描いた作品。
作品中、何度もロビンが口ずさむ♪How about you? がラスト静かに甘い歌声で流れるあたりはシャレてる。
途中ちょい役でT.ウェイツが出てきたのにはビックリ 精神病院でのシーンだったけど、
彼が話すストーリーにはいつも何だか分からない重みがある。
N.Y.の夜は間違いなく危険だけど、こうして見るとなかなかキレイ。
ホームレスに扮したロビンのマシンガントークはギリアムのお気に入りかしら?
「子どもを産む女は神に近くて、男は悪魔に近い。互いが一緒に暮らすのには意義がある。
 だって悪魔のほうが神より魅力的なんだもの」なんて、笑いの中にトゲがあり、都会の中の友情。侘び寂び。


『DEEP PURRPLE』(1974)
カルフォルニアライブ。今回初めて触れる、噂に聞くディープ・パープルの音。いでたちはツェッペリン風。
音楽はガンズに継がれてるいわゆるハードロックだな。でももうちょっとメロディ重視といったところ。結構キレイなメロディ。
ステージは悪魔にとりつかれたハードさなのに、その合間、合間はとっても行儀が良くてビックリ。曲の紹介でも汚い言葉なし。
ヴォーカリストとともにベーシストがかなりの高音で歌える。飲んでいるのはコーラ。
セットは今じゃうるさいほどレーザービームが飛び交うけど、なんとハードロックに虹のかけ橋!

このキーボードはなかなかグッド。ドアーズを初めて聴いた時は、ロックとオルガンの音ってフシギな取り合わせだと思ったけどね。
結構それを演ってるバンドも多い。ん?日本で作った曲だって。親日派か?来日もしてるのかね。
日本も'70にこんなハードなのも取り入れていたのね。満月の下でのドラムの長いソロ。
全体的にちゃんとまとまっててリハーサルもちゃんとしてる感じ。

広い野外会場に集まったビートニクの数もかなりのもの。でも、せっかくのソロの見せ場に対しての反応は悪い。
『未知との遭遇』ばりのキーボードの効果音にラストはジミヘンとザ・フーのドッキング。
つまりギタリストが次々とギターを壊し始める。計3本も。
客席に投げたらハイエナみたくとりあって、アンプの機材までステージから落としちゃうかなりの大盤振る舞い。
だけどこーゆーのって音楽と何か関係があるのか? こんなパフォーマンスなしでもちゃんと聴かせることができるバンドなのにね。
ま、ところどころブルースもどきのもどかしいフレーズはあっても。


『The Other Side of Nashville』(1983)
出演:WILLIE NELSON, KENNY ROGERS, CAROL PERKINS, HANK WILLIAMS JR., JOHNNY CASH,
KRIS KRISTOFFERSON, EMMYLOU HARRIS, BOBBY BARE, CHARLIE DANIELS, RICKY SHAGGS, TERRI GIBBS,
GAIL DAVIES, RATTLESNAKE ANNIE, OWEN DAVIS ほか
カントリー・ミュージック発祥の地。最初、貧困労働者の間で歌われ、ラジオ局が出来て、
オプリーていうDJがCMの間にヒルビリーを演奏させたのがキッカケ。
無数のミュージシャンが集まり、ジュークボックスの普及にともないスタジオもでき、
今じゃ衛星放送で世界中のテレビやラジオに送る巨大産業と化したカントリー・ミュージック。

宝石をちりばめたスーツを着ている奴に、オーソドックスなカウボーイ風帽子+すりきれたジーンズ
ウーマンリブを歌う女性シンガー、♪What'd I say もあり。
カントリーって田舎臭い、泥臭い、酒臭い音楽だと思い込んでいたけど、ブルースやロックの要素も多く含んでるじゃん。
「ブルースは労働が身についている者から生まれる」

♪Amazing Grase の迫力はすごい。「主を讃えれば幸福になれる」この曲、ジョーン・バエズのアンソロジーアルバムにもあった。
皆がジミー・ロジャースのことを言ってる。カール・パーキンス♪Don't step on my blue suade shoes の由来を語る本人。
歌詞からセリフ全部に翻訳がついているのは本当にありがたい。ナッシュビルでの野外コンサートのビデオかと思いきや、
この地と結びついたアーティストらのルーツの貴重な記録映像の数々。
'63ニューポート・フォークフェスでのB.ディラン、J.キャッシュの出会い。♪北国からきた女
わあ!昔はロマンティックなルックスと声だったのね! カントリーの貢献者ときたか。
♪Blond on Blond の後でしょ。すべてのタブーを破った男か。クリスの話は面白いし、弾き語りも感動的。
アウトローの話、自分でやりたいことをする奴のこと。W.ネルソンのあまりにストレートなラブソングはメランコリック。
(ノートには曲名と演奏者名も全部書いてある/驚


『ソープディッシュ』(1991)
監督:マイケル・ホフマン 出演:サリー・フィールド、ケヴィン・クライン、ウーピー・ゴールドバーグ、ロバート・ダウニー・Jr.、エリザベス・シュー ほか
テレビ業界のクレイジーな裏側を描いた痛快コメディ。豪華キャスティングが勝因かな。コメディで鳴らしてる大物スターが勢ぞろい。
アカデミー、エミー賞などを思わせるテレビ界の晴れ舞台で、見事主演女優賞を受賞するセリスタと、彼女の人気No1長寿番組「日はまた沈む」。
この番組がまたハリウッドぷんぷんのドラマのパロで、なんでもありの視聴率合戦のストーリー、出演者も超高慢、
情緒不安定な主役のセリスタ、夫役はいつもジム帰りみたいなマッチョ、主役の座を狙ってる助演女優たち、女好きのディレクター、
局長はゴッドファーザー並、視聴率が下がり始め、なんとか切られまいと奮闘するようす。

サリーの個性は言うまでもなく、脇を固めてるクセのある演技派が作品を盛り上げ、支えている。
常に冷静沈着で完璧なタイミングでつっこむウーピー。今作は飛んだり跳ねたりの身軽さは抑え気味。
ひたすら美女抱きたさに操られっぱなしのロバート、やはりなんといってもアンユージュアルな魅力たっぷりのK.クライン。
特にド近眼なためにモニターのセリフをトンチンカンに間違えてボケ続けるシーンは笑える。
MPのスタイルに似通ったフィーリングがある。毎日大騒ぎの乱ちきパーテイ。
こんな世界が映画の誇張とは言い切れないのがハリウッド、テレビ業界なんだろね。


『2つの頭脳を持つ男』(1983)

監督:カール・ライナー 出演:スティーヴ・マーティン、キャサリーン・ターナー ほか
とにかく笑えるコメディ映画。少なくとも90分中、1分に1回は笑える。次から次へとギャグやジョークがあふれだす。
自他共に認める名脳外科医ハフハールの車にぶつかってきた超セクシー美女は、夫を怒り死にさせ莫大な遺産を稼ぐのが生き甲斐の悪女。
SNLで鍛え上げたS.マーティンの絶妙な笑いのセンスと、強くて美しい女としてコメディにも強いターナー。
彼女がこの上なくセクシーでブッ飛んだキャラなのがイイ。そのつど変わるド派手セクシーファッションも見どころ。
身投げの演技では、救助にスッポンみたいな手で壁づたいに這っていったり、歌も歌えば、妙なダンスに
バク転はあやしいけど、サーカスの真似事も出来る。マーティンて本当は多芸多才なのね。ビックリ
酔っ払ってないか調べるのにここまでやらせる警官はいないだろうが。
とにかくマーティン初期作品とあって、テンションが高くて100%楽しめる作品。

(日本じゃなかなか知名度がイマイチなのがフシギなS.マーティン


『ダウン・バイ・ロー』(1986)

監督:ジム・ジャームッシュ 出演:トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベリーニ、エレン・バーキン ほか
思ったとおり渋い作品だなあ。モノクロで撮ったのはすごい。より寓話的。
サッチモが歌ってた♪ジョニーはまんまと逃げ出した ってあの歌を思い出す。
トムにバーキンの組み合わせはぴったり。ゴージャスだねえ!

ボブの母さんが最初は可愛がっていたウサギを殺したように、自分も殺すんだろう?って延々の一人言に笑った!爆
ウェイツのブルースが何気なく流れる。彼の曲は都会の騒がしい車の往来や、さびれた酒場が似合うけど、
この映画は文明の歪みより、開拓前のシンプルで素朴な情緒が漂っているのは土地柄のせいだろうか?
鉄格子の中でジャックが理想として思い描く最高の夢は、高級車、裸の女、ドラッグ、音楽・・・
まるで世の男たちのいう“成功”そのまんま。でも、3人の放浪者がいくら一匹狼の根無し草を気取ってみても、
暖と食べもののある家、そこにいる女の存在の確かさ、安心感を捨てきれはしない。

それにしてもジャックとザックの違いも分からないボブの役所には素直に笑えないものがある。
能天気なイタリアのコメディアンの、ロベルトのキャラのせいもあるけど、妙な英語を喋るだけで馬鹿扱いはヒドイ。
2人の仲をとりもったり、食べものをとったり、逃げ道を教えたのも彼なんだから。
最初のそれぞれの女たちが覚醒するシーンや、長いクレディットを最初にもってきたところ、
効果音の使い方、ゆったりとした時間の流れなどなど、こーゆー映画がもっとこれからもみたいもんだね。


『天国から落ちた男』(1980)
監督:カール・ライナー 出演:スティーヴ・マーティン、バーナデッド・ピータース ほか
S.マーティンって本当面白い。キャラも芸風も確立していて、大なり小なり彼の主演作は必ず笑えるって保障がある。
今作は1人の男の成功と挫折の物語。黒人も白人も関係なくこの家族みたいに歌って踊って助け合って生きていけたらどんなに素晴らしいだろう。
この南部の大家族はまさに都会人にとって理想郷だ。大きくはないけど木造りの家、ポーチに集まる家族、犬、あたりの木々に響き渡る幸せな歌声。。
「働くものには幸せがやってくる」予想もしない大金を持ったせいで身も心もズタズタになり、
人格まで変わっちゃったネーヴィルが見つけたものは、ビッグママのいる大家族なんだよね。
さんざん笑かしといてラストはホロっとさせるのがマーティン出演作の特徴。
特技のジャグリング(今回は子猫で!)もあるし、突然ブルース・リーに変身して、
黒人差別主義者をアチョー!てやっつけたり、すぐそこまでヒッチハイク、教会ごと逃走する泥棒、
そうそう今回大活躍するのはバカ犬。話は分かるし、演技もバツグン。とにかく笑えるシーンがたっくさん!


『殺したいほどアイ・ラヴ・ユー』(1990)
監督:ローレンス・カスダン 出演:ケヴィン・クライン、ウィリアム・ハート、キアヌ・リーブス、リバー・フェニックス ほか
ケヴィン特集第3弾。人種の坩堝、そしてなんでも起こりうるアメリカで起こった映画のような本当の話。
イタリア系はタフだってイメージはあるけど、ここまでくると驚異的としかいいようがない。
ケヴィンてイタリア系じゃないと思うけどピッタシ。なかなかシブトそうだもの。
ディスコでナンパするシーンでは実妻のフィービー・ケイツもチラっと出演。
「ファック」を連発する超危ないジャンキー役のキアヌ。
でも実際ドラッグにハマってたのはフェニックスのほうなんだよね。なんで彼はこんなに早く逝ちゃったんだろう。。
作品を観るかぎり、もうこの世にいないなんて信じがたい。でも、フィルムの中では永遠に生き続けている。
実話だけにストーリー展開重視でナンセンスギャグは控えめに抑えられている。
ケビンの見どころもイマイチ。もっとアブノーマルな演技を楽しみたい感じ。


『ジョニーの事情』(1991)
監督・出演:ロベルト・ベニーニ 出演:ニコレッタ・ブラスキ ほか
巻き込まれ+スリ替わりものの爆笑コメディ。『ダウン・バイ・ロー』のロベルトが
自ら監督・主演だけあって、能天気でとにかく陽気に楽しめるイタリア映画。
今回は母国語を自由に喋って見事にすっとぼけたバス運転手のダンテと、
泣く子も黙るシチリアのギャングのボス、ジョニーを演じ分けて、ロベルトの個性がたっぷり楽しめる。
保険をもらうために手をブルブルさせる芝居をするシーン、その後大臣の障害もウソだと思いこみ
「20年もバレなかったなんて立派だよ」なんてシーンや、ジョニーへの食事を犬のボビーのものと信じて、
マヨネーズやワイン、サラダの豪華版を作る時に、戸棚に隠れた2人が見合わせて鏡に見せる二重撮りもうまい。
言われてみればそうね、ウディ・アレンをとことん陽気にさせたって感じ。
ヒヨコみたいなヘアスタイル、ファニーフェイス、ペラペラ喋るイタリア人。
このキャラはこれからもいろんな笑いを期待できそう。これだけバナナが重要な役割をする映画も珍しい。
今作の大事な教訓「パレルモは陽気な町だが、バナナには手を出さないこと」
これでいろんな問題を抱えた街も一挙解決。OKだv
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notes and movies(1995.1~ part2)

2013-03-23 14:48:07 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『走れ!尼さん』(1990)

製作総指揮:ジョージ・ハリスン、デニス・オブライエン 監督:ジョナサン・リン
出演:エリック・アイドル、ロビー・コルトレーン、カミーユ・コドュリ、ジャネット・サズマン ほか
これが噂のエリックのその後の出演映画。ストーリーとしては『天使にラヴソング』の前衛って感じ。
ちょっとパンチの弱い笑いだけど、尼僧、看護婦、スチュワーデスまでエリックの七変化女装ぶりが再び楽しめる。
でも今作じゃ女装なんかまっぴらの良心的ギャングスターで、初見のキスシーンは見物。
このタイトルも好きだな。原題は「NUNS ON THE RUN」て韻を踏んでるしw

デニス・オブライエンがクレディットされてる。女装シーンが多いのは彼のアイデアか?それともエリック?
尼さんのコメディだけに、キリスト教と宗教一般に関するジョークも多い。
「宗教は人の弱みにツケ込んだイイ商売だ」というブライアンのセリフとか。
近眼って手もありがち。もうちょっとMPファンとしてはナンセンスジョークが欲しいところ。
われらがヒーローを再び拝めただけでも超ラッキーだと思わなきゃ。
もう1つエリック製作のほうが彼らしいノリ期待できそうだけど。


『BLAME IT ON THE BELLBOY』(1992)
監督:マーク・ハーマン 出演:ブライアン・ブラウン、ダドリー・ムーア、パッツィ・ケンジット ほか
美しき水の都ヴェニスを舞台に3人のイギリス人の名前のせいで大騒ぎとなるスリ替えもの。
ちょっと笑いはパンチが控えめだけど、妙に人のいい殺し屋のブラウンがイイ味出してる。
こんなに情があって誠実で、夢は花屋さんなんていってる殺し屋がいたら会ってみたいもんだ?
彼のセリフがそのままタイトルの『The Perfect Moment』のやわらかなメロディは
なんだか私たちもヴェニスにちょっと楽しみに旅をしている気分。


『サボテン・ブラザース』(1986)

監督:ジョン・ランディス 出演:スティーブ・マーティン、チェビー・チェイス、マーティン・ショート ほか
SNLからは本当にドル箱コメディアンが何人も生まれているけど、とりわけアクの強いキャラを持つ
この3人の共演で、アメリカの魂・西部劇を面白可笑しくしちゃった名作コメディ!
サボテンと荒野の書割、スペイン美女に貧しい町、荒くれガンマンとのドンパチもろもろ、
まさにウェスタンを見事にパロった笑える1本。

しょっぱなの3人でハモる♪ア~~~~ミーゴ て歌や、揃ってのヘンテコ決めポーズから爆笑もの。
こわーいガンマンの仲間と勘違いされてラブソングを歌って踊るシーン、
砦まで行く途中でもカントリーを1曲。馬まで「ボン、ボン、ボン、ボン」とバックコーラスをつけるし、
フクロウ、オオカミ、カメまで聴きにくるほのぼのシーン。
S.マーティンはなんとか鎖を外そうとジムのトレーニング。
この3人の中では先輩格のようで作品全体を引っ張ってる。彼の出演作はどれをとっても面白い。
ビックリなのは、チェイスと師弟関係にあるM.ショートがこれが初映画出演ってこと。
当時36歳なんて信じられない童顔と身の軽さ、他の2人のキッツイ個性に圧倒されて今作では抑え気味だけど、
彼もなかなか多芸多才。他の作品も要チェック。


『相続王座決定戦』(1993)

監督:ロバート・ヤング 出演:エリック・アイドルジョン・クリーズ、リック・モラニス、バーバラ・ハーシー ほか
待ってましたのエリック製作指揮、脚本、主演、ゴキゲンな主題歌ほかサントラほとんどを歌いこなしちゃってる最新コメディを拝見
J.クリーズも友情出演して、英国調のコメディの出来上がり。なんといっても嬉しいのはエリックの出番、活躍が多いこと。
素敵でゴージャスな庭と城のロケもすばらしい。
とにかく'93もスクリーンに元気に顔を出してくれてるだけでもファンとして言うことなし、すべてハッピーなんだ。
細かい芸、テンポの組み合わせでなかなかノリのイイ感じ。
母親が超男好きで、そうとは知らずに実の息子まで誘惑しちゃうハーシーのコケティッシュさも効いている。
モラリスとのコンビも上々。エリックは音楽が好きなんだな。
今後も頑張ってメンバを集めてスクリーンに顔を出してほしい、絶対に。


『PURE LUCK』(1991)
監督:ナディア・タス 出演:マーティン・ショート、ダニー・グローバー、シェーラ・ケリー ほか
M.ショートシリーズ第2弾。超ドジで災難を磁石のごとく吸い寄せる社長の娘ヴァレリー。
類は友を呼ぶがごとく全く同じ“超ドジ症候群”のネーディーンとプロの私立探偵のコンビをメキシコへ送る。
次から次からふりかかってくる災難、また災難。ドアに顔をぶつけるなんて日常茶飯事。
ここまで災難が続いても生き延びて、本人は全然気に病んでもいないだけじゃなく、
ラッキーとすら思ってる“超ドジ症候群”の皆さんは、実は超ハッピーな人たちで、
悪運をもらってるのは周囲の人たちのほうかも。

グローバーのタフガイ、ハスキーヴォイスがショートと全く対照的でこうゆうコンビこそ笑えるんだよね。
最初苦虫をつぶしたようなレイモンドがだんだん事情が分かってきて、なんだか情が移って
優しい表情に変わってゆく感じはほのぼのさせてくれる。
それにしてもショートの若さはこれこそ奇跡だよね。宇宙人並に時空を飛び越えてるとしかいいようがないくらい。
ラスト、ジャングルの陽だまりの中で2人のドジなベストカップルが立っているシーンはSF的ですらある美しさ。
ああ、でも彼らの悲しき性であるドジさ加減はとても他人事とは思えない


『THE LONELY GUY』(1983)
製作・監督:アーサー・ヒラー 出演:スティーブン・マーティン、チャールズ・グローディン ほか
あーなんて陰鬱なんだろ。これを夜、独りで観ているとなおさらに気が滅入ってくる。
こんな完璧に徹底した孤独な人間がいるものかと思いきや、これが都市生活者の現実だよ。
「結婚していても孤独なんだ」人は皆一人で生きていかなくちゃ。
でも、この2人の男、少なくともマーティン(主人公の名前すら浮かんでこない。皆、影みたく印象が薄いんだもの!)は、
誰かを必要とし、愛そうと手を伸ばして求めている。ココロを開く努力をしているから救われる。
まさに「人を愛するには勇気がいる。傷つくのを恐れちゃいけない」ってことなのよね。
ハッピーエンドのはずが霧に包まれたうす暗い橋の向こうに消えてゆく4人の姿はどう見ても陰気だ。
♪土曜に独りの女の子がロンリーガイと出会って・・・ってゆうラストの曲も、さらに孤独感を深めている。
マーティンのアクの強さもロンリーガイ症候群の暗さの中にドップリ浸かっちゃってる。
暖炉の火や、水槽の熱帯魚のビデオテープ、1人チェスゲーム・・・
暮らしは豊かで、独りでも時間をつぶせる遊び道具が増えるほど、生の人間関係が失われてゆく。
ああ、コメディでも観て笑わなきゃ!


『マーヴェリック』(1994)
監督:リチャード・ドナー 出演:メル・ギブソン、ジョディ・フォスター ほか
『許されざる者』『ワイアットアープ』など相変わらず古き良き時代ものは人気がある。
それも単なるヒーロー伝でないストーリーの面白味、真実味を加えて、西部劇は、
派手な撃ち合いのシーンだけじゃなくなっている中で、コメディタッチに趣向を変えたのが今作。
テレビシリーズの映画化らしいけど、日本じゃ知る由もなく、もっぱらセクシー俳優として依然人気が高いギブソンと、
華も実力もある、まさに脂がのってるジョディの共演で話題を呼んだ。

ギャンブル・ポーカーが人生ってゆう連中の一風変わったドタバタで、川の流れるが如く
臨機応変のマーヴェリックが大会資金を集めるのに奔走する前半たっぷり、
そして張り詰めた大会のハイライトに続いて、ドンデン返しのドンデン返しのドンデン返しまくったラスト。
1本で2度も3度も面白い西部劇コメディを2時間たっぷり。最近はコメディでもなんでも2時間ものになったね。

ギブソンの肩の力が抜けた3枚目役は、早撃ちガンマンでケンカもギャンブルも強く、悪運もあるやっぱ映画的ヒーローだよな。
ジョディはちょっと小悪魔的、なんだかロリータっぽい魅力で、可愛いだけじゃない。
少しも油断ならない一枚も二枚も上手の女詐欺師なのが小気味イイ。
ほかにも西部劇にもってこいのジェイムズ・コバーンらが脇を固めて、それっぽい雰囲気を守っている。


『愛と精霊の家』(1993)

監督:ビレ・アウグスト 出演:メリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ、ウィノナ・ライダー、グレン・クロース ほか
どこまでも正統派なタッチで、予知能力を持った女性と家族が経た、南米チリの激動の時代がゆったりと描かれる大河ドラマ。
今作で過去を振り返り、起ったことをすべてしばし立ち止まって考えようとしているのが分かる。
ベテランのメリルが、20代から老齢まで、彼女以外には考えられないといった演技を見せている。
フシギな能力を持ち合わせた故に混乱し、物事が過ぎてゆく様を静かに受け入れてゆく、
生死をも超越した聖母のごとき役柄でまさに女優冥利に尽きるだろう。

「復讐は何も意味もない。死はいつか訪れるのであって生きるために闘うこと」

これは古き良き時代の昔話などではなく、今日、この瞬間にまでも確実につながって関係している。
ここまでじっくりと家族の絆を通じて、最大にして最悪の傷を生々しく世界にさらけ出しているドラマもないだろう。
ほんの40~50年前は南米も大農場の風景が広がっていた。こうして見てみると、生活、価値観の変貌ぶりは信じがたいほどだ。
中にはずっと見続けた人もいる。彼らは今作をどう受け止めるだろうか?


『モンテカルロ殺人事件』(1992)
監督:ユージーン・レヴィ 出演:ジョン・キャンディ、ジェームズ・ベルーシ、ショーン・ヤング ほか
「絶対に結末で笑わないで下さい」とジャケにあるけど、頼まれなくてもあまり笑えない。
作ってすぐレンタルショップ行きが運命付けられたようなB級コメディ。
殺人事件が起きて警察がいかにも怪しい容疑者らを問い詰めてゆくショートコントを引き延ばしたみたいな作品。
その容疑者らがほとんど皆同じようなキャラで、同じテンションで喋って、
似たようなドタバタ状態でからみあって見分けがつかない。結末を観る前に寝そうになった
唯一シビル・シェパードが『ブルームーン』のマディそっくりのキャラで元気な姿を見られたのがファンとして嬉しいかな。
でも、なんでこの映画に出たりしたんだろ。ジョン・キャンディって亡くなったの?
一体ハリウッドでは何が起こっているのか、そっちのほうがよっぽどミステリアス。


『ジェラシック・ボーイ 恐竜小僧』(1989)
監督:ポール・フラハーティ 出演:マーティン・ショート ほか
コメディはこうゆうハイテンション、ハイテンポでなきゃ。ショートがなんとっ10歳から老牧師まで、
メイクアップ技術もさることながら、ここまでいっぺんに幅広く演じきれる役者はいないよね。この才能は筋金入り。
恐竜ブームピークに育つ現代っ子の行く末が心配になってくる。
彼らも時々こんな小さな怪物に変身するんだろうね。でもクリフォードの場合は、なめたらいかんダイナマイトもの。
IQの高さを利用して10歳らしからぬ復讐をして、自分のせいじゃないと平気でウソをつき、とってもイイ子に見える徹底ぶり。
この世のものとは思えないショートのオーバーリアクションに、妙なディスコダンス、まったく信じ難いコメディアン。
共演のC.グローデンのうろたえ、怒る演技も思わず熱が入る。共演陣も冗談でなくさぞかしビックリしたことだろう。
オモチャ怪獣ステファンをしっかり持ってすっかり飛んでるショートの活躍ぶりは、凝った恐竜ワールドラリー館
(ラストの10数秒間だけにするのにはもったいない迫力満点のコースターアトラクション)よりSFぽい。

コメント

notes and movies(1995.1~ part3)

2013-03-23 14:48:06 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『マンハッタン殺人ミステリー』(1993)
監督・出演:ウディ・アレン 出演:ダイアン・キートン ほか
やっぱしアレンフィルムのコメディは質感が全然違うね!
I happen to like New York ってゆうシナトラ風な粋なN.Y.賛歌でスタートする。
騒々しく、物騒で、ミステリアスで、ロマンティック、スリリングで、ハートウォーミングな芸術品。
長い間のブランクをまったく感じさせないキートンとアレンの似た者コンビも完璧息が合ってる。
“隣りは何をする人ぞ”覗きや、好奇心を題材に、ニューヨーカーによる、N.Y.を愛する全ての人に贈る、N.Y.が舞台の殺人劇ミステリー。
タイを着けたキートンファッションはじめ、1カット1カットからハイセンスがうかがわれ、
静かなジャズトランペットが流れる雨のN.Y.もまたステキ
毎分毎秒単位で起こる事件、精神科医、変な臭気トラブルを抱えつつも、アレン作品を観ればなんてステキな街だろうと思えちゃう。

ミステリーと同時進行となる夫婦、離婚したてのダテ男テッド、セクシーな小説家の四角関係が微妙に交差するあたりも見どころ。
キートンはいつものバリバリワーキングウーマンから離れて、ヒマをもてあまして事件に首をつっこむ妻役で
他人の部屋に入って眼鏡を置いてきたり、犯人を追ってエレベーターに閉じ込められたり、
一緒にいる夫アレンの相変わらずの過剰な神経質ぶりが可笑しい。喋り続けているセリフは、アドリブも相当あるだろう。
1ショットで撮り続けるカメラの流れやブレもかえって観ている私たちも一緒に謎解きに参加している雰囲気にさせる。
映画館のシーンで古典モノクロ映画が鏡に何枚も映る中で撃ち合うのって、ブルース・リー映画みたい。
さすが映画フリーク。アレン作品をもっと観たくなった。


『トゥルー・アイデンティティー』(1991)
監督:チャールズ・レイン 出演:レニー・ヘンリー ほか
この特殊メイクには本当にビックリ ジャケットを見た時、妙に肌が荒れた人だなくらいにしか思わなかったけど、
まさか右側の黒人と、左側の白人が同一人物だったなんて
SNLでエディ・マーフィーが白人社会を密かに探るためにメイクで白人に変装したのがあったけど、
今作はどっから見ても分からない。人種問題をからめたコメディで、ちょっと肌の色を変えただけで、
タクシーをすぐに止めることが出来たり、飛行機でキャンセルさせられることもない等の差別の様子が一目瞭然。
こわーいマフィアに狙われる売れない役者てゆう、単純にヘンリーのコメディだけでも笑えるけど。

映画用の特殊メイクアップ技術は年々よりリアルに進んでいるけど、
使い道によっちゃスクリーンの観客だけでなく、もっと人を騙せる材料になりそう
悪役で有名な俳優がちょっとマヌケな部下役でイイ味出してる。
好きな時に好きなように全く別人になれたら・・・なんて考えるととっても面白そう。
俳優業もその1つ。皆自分以外の誰かになれたらって変身願望があるけど、
結局一番居心地がいいのは現在あるがままの自分かもしれないね。


『男が女を愛する時』(1994)

監督:ルイス・マンドーキ 出演:メグ・ライアン、アンディ・ガルシア ほか
メグとガルシア、このホットな2人を起用した今作。子役も上手すぎ。
単なる夫婦間の心のスレ違いだけでなく、アルコール中毒、その原因の根本にある
どうしようもない孤独感、疎外感、自信喪失、本人も周囲もなんだか分からない不安と恐怖が
いつのまにかココロをゆっくり蝕み、家族の絆を破壊してゆく様子、そして立ち直るまでをじっくり描いた繊細な問題作。
なにもアル中だけでなく他のありとあらゆる○×症と呼ばれる現代人の心に巣食う病気は、なにかしら精神からくる。
日々、普通通りに見えるその裏に本人も気づかない大きく深い傷が隠れている。

くしゃくしゃヘアスタイル、ボーイッシュでナチュラルなメグのファッションも見所。
甘いマスクのガルシア。こんなに優しくて愛してくれる男ならパーフェクトな、いかにも現代的カップルだけど、
人のココロって本当にカンタンに推し量れないものなのね。たとえ結婚していても、人間はやっぱり孤独なんだな。
でも、話し合い、分かり合える誰かを探して支え合い、なんとか日々生きようと頑張ってる、毎日努力しているわけ。
さざ雨の如く囁く女性ヴォーカルの歌が心に染みた


『四つ数えろ』(1982)
監督:カール・ライナー 出演:スティーブン・マーティン、レイチェル・ウォード ほか
いやあ、今までありそでなかったこんな試み。映画を愛する人間による映画フリークへの贈り物
最新の映像技術と後ろ姿のカットの絶妙な組み合わせ、絶妙のタイミングで現れる銀幕のスターたち。
共演したマーティンは大抵一人芝居か代役相手だったろうけど、フィルム上ではボガードを下っ端に使い、
バーグマンと一緒に酒を飲み、次から次へと出てくる往年のスターがどのシーンでどう使われるかが見どころ。
もっと知識があればもっともっと楽しめるはず。きっと膨大な量のテープと格闘したんだろうなっていう苦労が感じとれる。
音楽もすっかり'40~'50年代の派手な使い方、モノクロでどこまでもかつての名作、
ハリウッド黄金時代を思わせる演出で凝りまくっている。

その他の出演者リスト:
H.ボガード、アラン・ラッド、エヴァ・ガードナー、B.ランカスター、レイ・ミランド、バーバラ・スタインウィック、
K.グラント、ベティ・デイヴィス、ラナ・ターナー、K.ダグラス、ジェームズ・ギャグニー、ジョン・クロフォードなどなど。


『ボギー!俺も男だ』(1972)
原作・脚本・主演:ウディ・アレン 監督:ハーバート・ロス 出演:ダイアン・キートン ほか
これがアレンの記念すべき第一歩の出世作。36歳。若いし、テンション高い
スタンダップコメディアンのノリと、のちのち彼のトレードマークとなる神経質な愚痴、
それとドタバタコメディっぽい雰囲気もあって、なんだか後期作品で見慣れている彼とは大違い。

ボガードの霊はソックリさんかしら? 映画好きが映画好きの役を演ってる。この2人の共通点は背丈だけだけど
クールを装って女を押し倒すより「自分であれ。そうすれば自然と愛してくれる人は現れる」てこと。
とにかくアレンが喋る、喋る。普通のセリフからモノローグまで、心の中の葛藤もこれで筒抜け。
彼の勝手な妄想も現実と一緒くたになって、不安と恐怖という巨大暗黒星雲はいつもアレン演じる男の周りを渦巻いている
これじゃ本当にアスピリン中毒患者になるのも時間の問題。
でも、彼のそうゆう不安の種やありとあらゆる大失敗が大いに笑える映画のネタなんだよね。


『パルプ・フィクション』(1994)
監督:クエンティン・タランティーノ 出演:ジョン・トラボルタ、ブルース・ウィリス、アマンダ・プラマー、ユマ・サーマン、
ロザンヌ・アークエット、エリック・ストルツ、クリストファー・ウォーケン、ハーヴェイ・カイテル、サミュエル・L・ジャクソン ほか
さてHOTな俳優ばかり集めたこれぞオールスターキャストてゆうメンバで
カンヌの賞をとって一気に時の人となったタランティーノのまじりっ気なし世紀末ヴァイオレンス・ムーヴィー。
でもジミーなんて男はストーリーに出てきたかい?

知名度と宣伝のため、ウィリスがジャケットに大きく出ているけど、基本的には複数のエピソードからなっている群像劇。
でも実質的に言って、一番作品を食ってたのは、ヴィンセントの相棒だったな(名前が分からない
鼻血から始まって、ハチの巣、脳みそを吹き飛ばすetc、暴力シーンの大盤振る舞いのあとで、
彼が決まり文句の聖書の言葉を改めてかみ締め、すっかり改心したように見え、同業者に説いて聴かせる。
悪の権化みたいな奴の口から言うんだから説得力はバツグン。155分もの間、肉体的暴力、精神的暴力、
あらゆる悪の限りを尽くす登場人物たち。これが現実だって鼻先に突きつけられた感じ。
一時も目が離せない暴力による円舞ってとこ。ストーリーの途中で殺された男が映画の時間のマジックによって
自らの運命も知らずに飄々と現れる、そんな構成って今まであった?
ヴェンチャーズ風エレキのちょっとレトロな響き、他にもチャック・ベリー等の音楽の使い方も活きてる。

ウィリスのスキンヘッドや、トラボルタの長髪マッチョマン、アークエットのピアス、宗教じみたヤンキーのストルツ、
髪を黒く染めて尻に時計を隠してた話をとくとくと聞かせるウォーケン、皆インパクト強い連中ばっか。
このビッグ・ウェーブに乗れなかった俳優は、さぞかし悔しがっただろう。
怪しげな名前のタランティーノはハリウッドで今ごろ毎日がパーティ三昧だろうね、きっと。


『トリコロール/青の愛』(1994)

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ 出演:ジュリエット・ビノシュ、B.レジャン ほか
タイトルもズバリ「3色旗」として、フランス国旗である3色それぞれから連想される男女の愛の形を描こうなんてコンセプトからしてステキ
それも第1弾から仏女優を代表するキャリア、繊細でクールな美貌のビノシュで、
私の好きな青色から始まっているのが嬉しい(←当時は青が好きだったのかあ・・・

有名作曲家の夫と可愛い娘を、幸せの絶頂に突然の交通事故で失ったヒロイン。
ジュリがショックから立ち直り、現実逃避から、再び音楽、愛を通じて自分を取り戻すまでを
あくまでセリフを抑えた芸術品にまで高めている。
静かな映像美の中に深い絶望感、心の揺らぎ、そして一人の女の感情を取り戻す様子がデリケートに映し出される。
青いガラスを連ねたなんとも美しい飾り、音とともに現れる青い光、プールの水の青、いくつもの青色が
いくつもの表情で撮られていて、ともすると語られるストーリーも付属でしかない気さえしてくる。

続いてはジュリー・デルピーの激しい愛の形を描いた「白」が4月に公開される予定らしい。
ラストはイレーヌ・ジャコブ主演による「赤」。偶然3人がスレ違うシーンもあるとのこと。見逃したくない。


『キスへのプレリュード』(1992)
監督:ノーマン・ルネ 出演:メグ・ライアン、アレック・ボールドウィン ほか
映画という魔法はどんな事でも可能にしちゃう。死期が近い老人と、人生これからの花嫁の魂が入れ替わったらどうなる
こんな突飛なストーリーから男女の愛、しいては人生の移り変わりを甘く切なく描いたストーリー。
タイトルそのままのジャズィなテーマ曲がピッタリはまって心に染み入る。

誰しも一度は、こんな人になれたら、この人と入れ替われたらと思うことがある。
老いた者は、もう一度、若い体に戻って、同じ間違いを繰り返すまいと思い、
若い者は、何も怖くない、不安も迷いも感じない人生の達人、経験豊富な誰かになれたらと思う。
“Nothing to Lose”。とはいえ、生きていれば得る物あれば、失う物もある。
憧れる誰かも同じ人間。幸せもあれば、後悔もある。

なんといっても今作は、メグがめっちゃ可愛い。たくさんのハンサムガイと共演していつもピッタリ似合ってしまう。
今作もボールドウィンといかにもお似合いカップル。同じ輝く金髪、笑顔、白い歯を持っていても、
相手はその人の何気ない仕草や、話し方、価値観、好き嫌いetc・・・も重要な愛する要素になるってこともいっている。
今作のポイントは20代の女の子の心を持った老人役を自然に完璧に演じたあの役者さんだね。
アレックとのキスシーンもそれほど不自然じゃなかったのも驚くくらい。
バーでかかるV.モリソンの♪Someone like you もイイ。


『恋愛小説ができるまで』(1990)

監督:クリスチャン・ヴァンサン 出演:ジュディット・アンリ、ファブリス・ルキーニ、モーリス・ガレル ほか
新作も書かず暇を持て余している小説家が、友人にせきたてられて失恋後の女性に対する復讐を題材に
実際1人の女の子に恋愛の罠をかけ、その記録が小説となり、そのまま映画になってゆくというなんとも粋なアイデア。

「人は誰かを見ている時、その人の半分しか見てない」

このひと言でフランス流の極上のラヴ・ストーリーが見事にキマる。
友人が実は母を亡くしてひどく孤独であることを知るエピソードなどを何気なく挟んでいるだけで
生の男女、生の人間のストーリーがひしひしと伝わってくる。
バックに流れるなんでもないピアノの優しいメロディみたく、自然に心の中に入ってくる心地よさの一方で、
現実の冷たい結末をもったストーリー。
ヒロインには以前の『パルプ・フィクション』にも出演したメディロスが等身大のパリジェンヌを自然体で演じている。
主人公の男優は初見だけど、女好きの小説家で通っているのに、実は一風変わってる価値観を持っていて、
「女が分かってる?」という質問に「今も勉強中だ」と素直に答えるところなんかとっても好ましいキャラ。
アントワーヌ役を肩に力を入れずにそのまま演じているところに魅力あり。
ところでこの実体験に基づいた小説はヒットしたかしら?


『パートナーズ』(1982)
監督:ジェイムズ・バロウズ 出演:ライアン・オニール、ジョン・ハート ほか
2大スターが共演して、こんな映画に出てたなんて知らなかったなあ!
ハリウッドのプレイボーイで知られるオニールがゲイに遊ばれる役を演じるキャスティングがなんともいえない。
ジョンは、すんなりゲイ役にもおさまっている上、細かい仕草まで完璧。
脚をそろえて座ったり、唇に手を当てて考えこんだり、なりきりようは不気味なくらい。
性差別を取り扱ったのか、サスペンスか、コメディか、なんともいいがたい作品で、
冗談で作ったとしても、マイナーで終わったんじゃ出演したほうだってシャレにならない気分だろうね、きっと。

ピンクの車、バンダナ、赤いマッチョシャツ、ピチピチのジーンズ、ゲイファッションてこうゆうのが基本パターンなのかな?
ゲイバー、ゲイ雑誌、ゲイ専用のモーテル、といろいろ、ゲイの世界のことが分かる。
男の中にも女性に憧れる人がいてもフシギじゃない。それが中傷の種になるなら、女性そのものを中傷しているのと同じじゃないだろうか。
それにしても現代のエイズ問題がこれほど大きくなる以前の映画だから、ゲイを扱っていてもどこかほのぼのとした雰囲気が感じられる。

コメント

notes and movies(1995.1~ part4)

2013-03-23 14:48:05 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ウェインズ・ワールド』(1992)
監督:ペネロープ・スフィーリス 出演:マイク・マイヤーズ、ダナ・カービー ほか
映画はともかく、ラストに若くてエジプトファラオのようなフレディが♪ボヘミアン・ラプソディ を歌う貴重なビデオクリップが拝見できたのは嬉しい。
ロック流れるところに彼らあり。近所にもこうゆうガキんちょがいそう。
TVシリーズの地下室から飛び出して、日常の暮らしぶりをホームビデオで撮ったって感じ。
“Excellent!”などを連発して、そりゃ老年代にはちょっと受け入れがたい笑いの感覚だろうけど、
この微妙なズレ加減が最近の冷めた子どもらにはピッタリくる・・・らしい。
道路でいちいち車がくるたびどきながらホッケーしたり、突然ビール工場の見学のシーンが入ったり、
もろヘビメタのアリス他メンバが妙にインテリだったり、個人的には流行語になった俗語がいっぱい学べて英会話教材にいいかも。
“Party On!!!”(←今じゃ使えないだろうな


『こちらブルームーン探偵社』(1985)

製作総指揮・企画:グレン・ゴードン・キャロン 製作:ジェイ・ダニエル 出演:シヴィル・シェパード、ブルース・ウィリス ほか
(映画じゃなく、ドラマシリーズだけど、ここからは延々と本シリーズのストーリーと感想が続いている/驚
 最初に見たのは、たぶんTVでだから、改めて借りて見たのかも。以前もブログに書いたけど、もう一度取り上げる価値大v

第1話:ハイテクは危険な香り
まだマディとデヴィッドが手を組んだばかりとあって新鮮さが感じられる。
2人の色恋はほんの味付け程度で、事件解決のほうがメイン。
この夕焼けの夜景、テーマソングが懐かしい 毎週末これを楽しみに23時まで起きてたっけ。
字幕で見るのは初めて。声優のキャストが良かったからあまり違和感なし。
アリスの韻を踏んだ流暢な電話応対もバッチリ聞けて文句なし。

第2話:ラジオDJ殺人事件
改めて2人の奥深いキャラ設定に感心しちゃう。おチャラけててもマディを気にしているデヴィッドと、
完璧クールビューティだけど完璧主義すぎてうまくいかない元モデルのマディ。
カバーガール写真はシヴィル本人なのが、また想い入れ深いんだよね。2人のテンポのいいかけあいも息ピッタリ。

第3話:スパイは殺しがお好き
(ストーリー解説がメイン)パイ投げ大会、ウィリスが♪マイ・ガール を歌うシーンあり

第4話:サウス・フィラデルフィア某所
デヴィッドの兄貴が登場。デヴィッドとマディの意味あり気な会話が気になる終わり方。
「収録が1分短かったから」という局からの命令で2人の挨拶付き。いやいやながらだけどw
こうゆう楽屋裏のお遊びが好きみたいね、この番組のスタッフって。


『MY BLUE HEAVEN』(1990)
監督:ハーバート・ロス 出演:スティーヴ・マーチン、リック・モラリス ほか
最初のファッツ・ドミノ♪ブルー・ヘヴン にビックリさせられた。これは誰のアイデアだ?
イタリア系マフィア役のマーティンは、今作ではそれほど奇抜でもなく全体的なトーンはノーマル。
モラリスも2.5枚目、真面目なFBIだし。彼が「これで君もカナダ人になれるゾ」て言われるシーンには笑ったけど。
いまいちパンチのないコメディだなあ。


『WOLF』(1993)
監督:マイク・ニコルズ 出演:ジャック・ニコルソン、ミシェル・ファイファー、ジェイムズ・スペイダー ほか
コッポラによって極められた『ドラキュラ』、J.ニコルソンによって演じられる狼男、
そして新作公開中のケネス・ブラナー監督、R.デ・ニーロによって蘇った『フランケンシュタイン』。
こうしてホラー映画の3大キャラクター達は、時代に合わせた映像、解釈によって
少しずつ生まれ変わりながらもずっと愛され続け、受け継がれていくわけね。

それにしても、この狼男の新ストーリー、新解釈はなかなか面白い。狼男の恋物語ねえ。
一歩間違えればパロディとも受け取れる要素がいっぱい詰まってる。
例えばキャスティング。ニコルソンはメイクなしでもすでにウルフマンだし、サイキックな演技は『シャイニング』の世界。
ミシェルはキャットウーマンから狼女になって、同じく狼男となったスペイダーは性欲丸出しで襲い掛かり、
彼女をめぐって狼男同士のバトルが繰り広げられるなんて、今までにないパターンだもんね。
若い狼男老狼男。さてどっちの演技がより狼男っぽかったか。
どのみち狼男は架空のキャラだし、男は皆そうだという説もあることだし。
しかしあの襲いかかりようじゃ狼女も寄り付かないだろうね スペイダーは狼男よりやっぱ嫌味なヤッピー向き。
『ハウリング』なんかのエグイ、スプラッタ式変身シーンに比べると今作はおとなしいほう。

狼男研究家?いわく「これは呪いではなく、狼のような野性は誰の心の中にも潜んでいる。
悪事は人の悪い心がするもので狼になったせいじゃない」とか。
まさに、これらのホラーキャラは人間の心の中に潜む悪のデフォルメなのよね。
今作は“狼男に噛まれるとうつる”“弾丸で死ぬ”“満月の夜に変身する”などの基本ルールはちゃんとおさえている反面、
視力回復など五感が鋭くなって絶好調になるという中年層には嬉しいプラス面が強調されているのも面白い。


『カメレオンマン』(1983)
監督・主演:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー ほか
なんて妙な作品だ。ABCテレビが製作したある男の一生の完全記録ドキュメンタリー。「知ってるつもり?」風。
レナード・ゼリグという名前からして妙な男は神出鬼没。あらゆる者に同化してしまう変な奴。
彼自身ゆってる通り「自分を持て、人と同じだから大丈夫だと思うな」てメッセージなのかな。
それにしても完全’20年代の記録フィルム風に徹したこの映像と音のマジック。
ゼリグのヒットナンバーまで何曲も作っちゃって、いかにも本当っぽいウソを大々的に作り上げた
アレンの初期作品のこのアクの強さに唖然としてしまう。


『Best of John Belushi』(1985)

♪SOUL MAN、サムライ・デリカテッセン、♪KING BEE、♪MY GIRL を歌うベートーベン、
チーズバーガーとペプシとチップしかない店、ジョー・ジョン・コッカーはサイコー
天然色で見るスタートレックが打ち切りの危機、、などなど

文字通りベルーシが最も活躍してた時期、SNLのベスト・パフォーマンス、おいしいとこだけ集めた1時間。
中には『Best of SNL』のビデオに入ってるのもあるけど、いくつかは初見のもあってなかなか貴重なフィルム。
いっちゃん笑ったのは、やっぱイギリスからの予期せぬゲスト、ジョー・ジョン・コッカー
With a little help from my friend ヒッピーファッションでくねるくねる!
しまいには床をのたうち回って、あれじゃ病気だよ!爆×∞

ベートーベンシリーズで歌うレパートリーを見てもブラックミュージックに傾倒してるのが一目瞭然。
それぞれの物まねもイイ。どれをとってもアメリカを代表するものばかり。マーロン・ブランドやカーク大佐。
日本刀でバッサバッサとトマトやソーセージを斬りまくるサムライぶりも驚き。
突然登場する恐怖“あつかましい奴”も可笑しい。真夜中になっても全然帰ってくれない、深夜映画に、長距離電話、こりゃ怖い
あとアイルランドについてコーフンしまくるコメンテイターの爆弾で脳が次の街まで吹っ飛ぶ話に
“ジャガイモ飢饉!”て突然言われたら、これもビックリだよね。
他にもたくさんのコントに出たんだろうけど、今回はたったの1時間。
このベストシリーズは他にもいっぱい出てる。他にもそろえて欲しいな。


『ハドソン河のモスコー』(1984)
監督:ポール・マザースキー 出演:ロビン・ウィリアムス ほか
センティメンタルなサキソフォンのメロディが耳に残るN.Y.に亡命したロシア人のストーリー。
移民の街、人種の坩堝と言われ、それぞれ故郷を離れ、わけありで、毎日一生懸命動き回っている街と
そこで暮らす人々を想い入れ深く描いたハートウォーミングストーリー。

まったく環境の違った異国で暮らす戸惑い、孤独、不安、ささやかな喜びがこまやかに描かれる。
異国で暮らした経験はないけど、家族と離れて独り暮らしをしている身としては共感が持てる部分もある。
しかしトイレットペーパーごときで雪の夜にあんな行列に並ばなきゃならないなんて、出ていきたくなるのも当然。
それを口にしただけで捕まる政治状況も尋常じゃない。コーヒー缶の多様さを見ただけで気絶しちゃうのもムリはない。
でもやはりN.Y.。初めて暮らすには物騒すぎる街だ。何をするのも自由だが、本当の自由とは何なのか。
自由に慣れすぎて粗末に扱っている、その通りかもしれない。

ヒットナンバーのA列車で行こう は移民者の合言葉だったらしい。
その柔らかいメロディの奥に様々な思いがこめられ、ブルーズィに響いている。
「オレは翼のない鳥だ」彼にはどうして出る勇気がなかったのか。道化師の悲しい笑みが心残り。
「ツンとすまして歩いていると転ぶよ」ライオネルはアラバマの妻子に会えたのかしら?
今作のロビンのロシア語も完璧。すっかり移民そのものになりきって、笑いの要素も時折挟んで素晴らしい演技。
「FBIでもKGBでもないGAYだ」っていうセリフは笑えた。


『ERNEST goes to jail』(1990)
監督:ジョン・チェリー 出演:ジム・ヴァーニー、バーバラ・ブッシュ ほか
世の中には変な奴がいるもんだ。人気シリーズで知っている限りじゃ5本は続編が作られているこのアーネストの物語り。
どこからともなく飛び出してきたこの新しいキャ演じるジムという名の軟体動物。
見たところ30~40代くらいのアメリカ人で、ひとたび動き出すと、
まるで実体のないアニメかエイリアンか、この世のものとは思えぬ不思議な奴。
グレーの帽子にシャツ、青いチョッキがトレードマーク。何着もそろえて“夕食用”もへったくれもない。
テーブルでも料理のフタが飛んできてエビが顔にへばりつくシーンも爆笑。
全部、機械化(それもろくでもない)の全身洗濯機も持ってる。
同じナイトシフトの警備員とミステリアスな老人ボビー。それに愛らしいペットのわんこ。
他のメンバも一風おかしな奴ばかり。ま、他のシリーズも近いうちのぞいてみよう。


『アーネスト~モンスターと戦う!』(1991)
監督:ジョン・チェリー 出演:ジム・ヴァーニー、アーサ・キット ほか
アーネストシリーズ第2弾。バーニーのいろんな恐怖の顔と、たくさんの映画に出てくるモンスターたちの映像から始まる。
おなじみ狼男やらにまじって、蜘蛛の化け物や、魚の化け物、なんだか怖いのか笑っちゃうのか妙なのもいっぱい。
キャストは他にあの太っちょさんとボビーが今作ではなんでも屋の店員になってる。
アーネストは相変わらず掃除関連から進歩せず、清掃車の運転手、清掃員。
子どもらの人気者、というより次元が同じ仲間。時に彼ら以下のドジぶり。

バーニーの七変化、多重人格ぶりが多発。姉ちゃんから、おばさん、パイロット、軍人、ローマ兵、木こりetc...
コロコロコロコロ本当妙な人だな、この人。一番活躍したのはリムショットじゃないだろうか。
レバーを操作できるだけじゃない。なんと車の運転もできる。ハンドルさばき、その後姿はなんてセクシー!
なんて賢い犬なんだ! ちゃんと笑いのツボ、ボケとツッコミのすべてを知っている。
主人がどんなボケをかましてもちゃんと飛びついて、顔をペロペロ舐めてる、その愛情深さは感動もの。

そのキュートさに比べ、トールスはお世辞にも可愛いとはいいいがたい。
『ラビリンス』に出てくるホビットを邪悪にしたみたい。ネバネバの口、いつも鼻水だらけで、
でも突っ走っていって車のドアにぶつかって「イデッ」てシンプルなギャグに笑ってしまった
子どもを食う怖い鬼は実は愛情に飢えた孤独な奴だったのね。


『わが街』(1991)

監督:ローレンス・カスダン 出演:ダニー・グローバー、ケヴィン・クライン、スティーブ・マーティン ほか

「奇跡を信じるかい?」「いや、運を信じてる」

これは大当たり!これだけじっくりと都市に住む人々の生活、出会いと別れ、
次々と訪れる幸運と不運が描かれ、見せられると言葉も出ない。
L.A.、そしてそこから車で9時間しか離れていない大自然グランド・キャニオン
「GCに行ったことがあるかい?」その現実離れした景観は最後の最後までとっておかれて、
映画は、世界でも有名な危険で騒々しい街、L.A.で暮らす人間模様がメイン。
「ひどい世の中、ひどい街だ」それぞれの口から何度もこのセリフが吐き出される。
空を始終飛んでいるヘリコプターが人々の心の中にある危機感をなお一層膨らませ、不安と恐怖を暗示している。

GCのシーンで初めてワイドスクリーンになる。この自然の有無を言わさぬ巨大さに人間は何もできない。
どんな悩みもすべてちっぽけなクズに思える。でも、私たちはいつまでもグランド・キャニオンを眺めていられるワケじゃない。
心身を解放する場所や方法は人それぞれだけれど、あるのは、日々の暮らし。
過去も、今も、そしてこれからも目の前にある町。これからも続いてゆく自分の人生のみ。
いい日があると思えば、イヤな日も巡ってくる。その繰り返し。
でも、私たちが次の日も生きてゆくのは単なる習慣でしかないのかしら?
ほんの偶然に思える言葉や行動が誰かを救い、また自分も救われ、誰かと誰かを結びつけ、それがまた自分とも結びついてゆく。
生きてゆくことがそんな輪を作っていく積み重ねだと考えるなら、とても素敵じゃないだろうか。

マックが見るL.A.の夜空を飛ぶ夢の解放感。
空を飛ぶ夢はフロイトで言えばプレッシャーから逃れたいという願望の表れだけど、最近あまり観ないのが残念だ。
夢らしい突飛な状況のつなぎ合わせ。他人の夢をのぞき見るなんて面白い経験。
一生の1/3は睡眠で、常に夢を見ているという説が本当なら、夢だって現実、体験の一部と言えるんじゃないかしら?
ダニー・グローバーが今作でもなんともいえずあったかい役で、久しぶりのデートで緊張したり、
嬉しくてしょーがないってあのいかりや長介さん顔がなんとも言えない。

コメント

notes and movies(1995.1~ part5)

2013-03-23 14:48:04 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ピンク・パンサーの息子』(1993)
監督:ブレイク・エドワーズ 出演:ロベルト・ベニーニ ほか
ベニーニの爆笑コメディ。ピンク・パンサー・シリーズは観たことないけど、十分笑えるクルーゾーJr.の物語り。
確かにこのヒットシリーズてイギリス映画なのよね。面白そうだから元ネタもチェックしたいところ。
ファンなら今作にもおなじみの顔ぶれが揃っているそうで、相変わらずのボケぶりをまた楽しめるということ。

すべて人の声による最初の有名なテーマ曲のジャズ・アレンジはとってもgreat
ロベルトの天然ボケには、どんなプロの殺し屋もかなわない。
このままずっと彼のボケ演技を永遠に鑑賞していたい気さえしてくる芸術的なボケなんだな、コレが。
能天気なキャラも完璧。もっともっと主演コメディを作ってほしいもの。
『Pure Luck』のマーティン・ショートに負けず劣らず人に迷惑かけて本人はいたってハッピーなのが笑える。


『ピンクの豹』(1964)
 
監督:ブレイク・エドワーズ 出演:デビッド・ニーブン、ピーター・セラーズ ほか
これが有名なピンク・パンサー・シリーズの第1作目か。
よくあるサスペンスコメディ形態にしては2時間たっぷり使って、笑いと宝石を巡るやりとりがミックスされている。
ピンク・パンサーは宝石のことで、コメディの中心はセラーズ演じる大ボケ警部クルーゾー

セラーズといえば『博士の異常な愛情』で3役を演じ分けたあのunusualな俳優だ。
イギリス人で当時38歳。シリーズは5作まで。亡くなるまでこのシリーズとは長い付き合いだったようだ。
まだまだ初作ではドタバタ迷惑度は40%くらい。例の警部も出ていないし、ファッションも時代を感じさせる。
女優もハリウッド美人ばかりそろって、クルーゾーの奥さんももったいないほどの美人。

おなじみのテーマ曲にピンク・パンサーのアニメーションも楽しい。
間違って同僚の手にキスしたり、ドアにぶつかったり、譲り合って、結局2人で出口につっかかったり、
回した地球儀に寄りかかって倒れたり・・・セラーズが真面目にボケてるのが笑える/爆

(ピーター・セラーズ大好き


『マウス』(1959)
 
監督:ジャック・アーノルド 出演:ピーター・セラーズ、ジーン・セバーグ ほか
セラーズがつつましい姫と長官、そして間の抜けたタナーの3役を例によって器用に演じ分けている。
『博士の異常な愛情』の兄弟みたいな作品だけど、こちらはいたって平和的。
ヒロインはセシル・カットのセバーグ。キュートな魅力、フランス語のセリフがあるが地元民に通じないのが可笑しい。

「絶対にこの映画のことを他言しないで下さい」なんて警告があったり、
爆弾を運んでいるシーンに爆発したシーンを挟んで「ありがちですがジョークです」といった
自由で皮肉でイギリス的な笑い。もしかしてMPのメンバーもセラーズ作品から学んだものは多いかも。
足を罠に噛まれて狐を追い払ったり、セラーズの真面目にボケた笑いもイイ。
ヒロインが嫌いだといってても、キスひとつですぐに結ばれちゃう安易さはまさに映画の世界そのもの。
爆発寸前の爆弾をフットボールのように投げてゴールすると危機を脱するシーンは笑える。


『ピンク・パンサー2』(1975)

監督:ブレイク・エドワーズ 出演:ピーター・セラーズ、クリストファ・プラマー ほか
邦題ではこれが2になっているけど、この前に『暗闇でドッキリ』がある。
今作にはドレファス警部も登場。上司でありながらクルーゾーを殺したいほど憎んでいる彼w
でも、ボケ、危険度は彼とあまり変わらない。でも、なぜクルーゾーはパリ警察にして喋り方が変なのかな?
セラーズはイギリス人でイギリス映画なのに? 謎の東洋人ケイトー(加藤?)も出てる。
身の回りの世話をしながらクルーゾーから武術を習っているらしい。よく分からん設定/爆

一難去ってまた一難。「道は知ってるか?」「知ってるよ」だけで教えてくれない通行人、
「あの車を追え!」と言われて、車から降りて走っていくタクシー運ちゃん。このギャグ日本のコントでもある!
ドアノブやベルは取っ手が皆外れちゃうし、何が起きても「へこたれないぞ!」と頑張るクルーゾー。
日本料理店でのケイトーの着物姿はスゴイ!「オリエンタルバカ」て爆笑した
例のオープニングアニメも楽しみなんだけど、ドアからドアへ追いかけっこしてる相手はクルーゾーなんだね。
だんだんパターンが分かってきたv


『暗闇でドッキリ』(1964)

監督:ブレイク・エドワーズ 出演:ピーター・セラーズ ほか
さて、これがピンク・パンサーの話じゃないことが分かって、クルーゾーは豪邸での殺人事件を担当することになったワケで、
ひと騒動もふた騒動も起こしてくれる。ドレファス警部の精神状態はかなり悪化してるみたい
ヌードキャンプのシーンも笑える。ギターで前を隠して歩いて、なんだか今作はこんなギャグが多い。
鍵が戸棚に挟まってズボンが割けたり、コサックを踊ろうとしたら、いきなりズボンが割けたり。
ヒッチコック作品も毎回美女が出るので有名だけど、このシリーズのヒロインも毎回違った魅力の一級美人が登場。
有名にはならなかったみたいだけど、その都度お相手できてセラーズも役得だねv
これだけボケまくってもなおかつ鋭い勘が働いて事件解決に結びつけちゃうクルーゾーは、
やっぱり警部たりうる才能の持ち主なんじゃないだろうか?


『ピンク・パンサー3』(1976)
監督:ブレイク・エドワーズ 出演:ピーター・セラーズ、ハーバート・ロム ほか
ドレファス警部が3年間精神病院で療養し、クルーゾーと名前を聞いても発作を起こさなくなって、
やっと仕事に復帰できると決まった当日、見舞いに来た“主任警部”クルーゾーのせいで元の木阿弥。
症状はさらに悪化して病院を脱走してクルーゾー殺害に躍起になる。

3作目は泥棒捕り物帳ではなく、完全にキレちゃったドレファスが大掛かりなクルーゾー殺害計画を実行するストーリーだが、
クルーゾーのドジぶりは筋金入りで、世界中のプロの殺し屋が寄ってたかって狙っても死なないw 彼こそ世界最強の男かも
セラーズは当時52歳というから驚き! 階段落ちから、河へ落ちること数回。
彼は'80に55歳の若さで心臓発作で亡くなっているけど、なんだか納得。ここまでやるのは素晴らしい芸人根性だと感心。

おなじみのアニメもディズニー風クリア&リアルで映画館でおふざけ、数々の名作にパンサーがすり替わるのが楽しい。
映像も'70年代してて、だいぶクリアだし、初めてセラーズの髪が栗色だと分かったほど。
相変わらずケイトーとの対戦も両者かなり腕が上がってヌンチャクやら使って、
毎回このシーンだけに何十分も割いているところも可笑しい
毎日あんなに部屋中メチャメチャにしてたら、家具代がさぞかさむだろうに
笑いに命を賭けてる、こーゆー人最近いないよ、なかなか。
room、phone、dogなどの発音が変でいつも人から聞き直される。
押しいれのドアから出ようとしたり、壁にぶつかって自分で「基本的なギャグだった」と解釈してるのもイイw


『ピンク・パンサー4』(1978)

監督:ブレイク・エドワーズ 出演:ピーター・セラーズ、ハーバート・ロム ほか
オープニングテーマはブルーズィなノリ。セラーズが出演したのはこの4までかな?
さて、消えたドレフェスは無事、精神病院に戻っていたらしい。
今作には『ピンク・パンサーの息子』にも出ていた変装道具を売っているボールズとカニーが登場。
クルーゾーの変身キットはここで揃えてたワケね。
僧の格好やいかにも中国系の農民スタイルとめまぐるしく変わる変装術が見物。

選り抜きの殺し屋Mr.チョンは、香港映画ばりだけど、彼でさえ何階も下に落ちたらたまらない。
ケイトーとの対決は床に穴を開けるほど熱を帯びてきて、それでもなぜか電話が鳴ると
「クルーゾー宅です」てそこだけ正気に戻るところが笑えるw

今回は香港が舞台で'70後半の香港の下町ってなんだか日本と似ているからビックリ。
クルーゾーはどうやら東洋文化が好きらしくて浴衣姿もなかなかサマになってる。
彼の行くところ行くところドレフェスが居合わせる。この2人よっぽど(本人らが望むまいと)固い絆で結ばれちゃってるのね。
クルーゾーを褒めちぎった弔辞を読まされてまた狂気が再発しちゃうのも分からなくもない。
ドーヴィエ役の俳優はどこかで観た覚えがあるけどどこだったかな?


『ピンク・パンサー5 クルーゾーは2度死ぬ』(1983)
監督:ブレイク・エドワーズ 出演:デヴィッド・ニーヴン、ロバート・ワーグナー、ハーバート・ロム ほか
特別編集というから、重ね撮りでもしてセラーズの姿が少しは拝めるかとも期待したけど、やっぱムリか
でも、このクルーゾーの親戚みたいなスレイ刑事のマヌケ捜査ぶりも結構楽しめる。
ピンク・パンサーが再び盗まれ、捜査中のクルーゾーが失踪して3年、彼を探す担当になったドレフェス警部は
コンピュータで世界一のデカを割り出すが、実は逆に世界一ドジなアメリカの刑事スレイを選びだす。
このスレイ、本当にクルーゾーの親類じゃないかと思うほどよく似てるドジ+悪運強さぶり。
今作はまさにシリーズ総決算、主要キャラクター総出演で、クルーゾー=セラーズを偲ぶ、そんな作品。

オープニングテーマはアニメで、MGMということはこれだけアメリカ映画なのかな。
この楽しいシリーズも観終わって、次はピンク・パンサーを離れたセラーズの作品を観てみよう。
活躍したのは20年にわたっていて、出演作はピンク・パンサー以外はそう多くない。
主演したニーヴンはあまり話題にならなかったみたいだけど、その他のメンバはまだ揃っているし、
このピンク・パンサーシリーズの息子編からもっと新解釈版も引き続き観たいもの。


『チャンス(BEING THERE)』(1980)

原作:ジャーズィ・コズィンスキー 監督:ハル・アシュビー
出演:ピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、ジャック・ウォーデン、メルヴィン・ダラス ほか
これは文句なく名作の1本。晩年のセラーズがなんともイノセントな役で
ドタバタコメディとは全く違ったドラマティックな魅力を出している。
マクレーンほかの共演者も名優ぞろい。心の奥が鎮まり、ホッと和む映画になっている。

「人生とは心を映す姿」
彼は現世の人間なのか?とても不思議な余韻の残る終わり方。
家から一歩も外へ出ずにずっとテレビだけを相手に老年まで過ごしてきたなんていうのも信じ難い。
チャンスはTVで見たものしか知らず、車やエレベータも初めての代わりに大統領に対しても怖気づかない。
彼の妙な発言もユーモアにとられてすべてトントン拍子。
外国では物事を遠まわしにたとえ話にすることが多いから、こんな誤解もあり得るかも。

どこでも落ち着き、自然体のチャンス。不穏な世の中にこれほど受け入れられたのは彼の純真無垢、
失うものなど何もないあるがままの心があったからだ。
ラストには黒人の子どもの言葉をそのまま伝えるセリフでセラーズが何度も間違えたり、
吹き出してNGを連発する茶目っ気たっぷりのNGシーンが加えられている。
彼がこの年になくなったことなど信じ難いくらい。偉大なる俳優の早すぎる死は寂しいかぎり。


『THE MAGIC CHRISTIAN』(1969)

監督:ジョセフ・マッグラス 出演:ピーター・セラーズ、リンゴ・スター、リチャード・アッテンボロー、
ローレンス・ハーヴェイ、クリストファ・リー、スパイク・ミリガン、ロマン・ポランスキー、ラクウェル・ウェルチ、ユル・ブリナー、
ジョン・クリーズグラハム・チャップマン ほか
こんなブッ飛んだ映画はなかなかないぞ。私ですらついていくのが難しいほどのブッ飛びワールド
オスカーの特別賞でもあげたい。♪Money, that's what I want 金が全ての世の中を皮肉ったヒットナンバーの裏返し。
♪Come on get it やるから取れよという歌に乗せて、即席大金持ち親子が仕掛ける罠また罠。
とことん金で動くモラルや正義、歪んだ世の中を風刺した作品。ここまでやれるとは恐れ入った。
腐りきってもなお歴史を刻んでゆく英国パワーは並じゃないと、この映画で分かった。
なにが驚いたってセラーズとMPのメンバの共演 でも今作のセラーズはMPを超えるキレぶり。

最も度肝を抜かれたのは、♪Man met a boy を歌う妖しいゲイボーイがなんとユル・ブリナー!息が止まっちゃった!
ウェルチはSM女王のごとく、女の子がボートを漕ぐのを急かして、ゴリラは出るわ、大混乱。
パーキングチケットを飲んじゃうオヤジはじめ、金に弱い人間の心理、もう言うことなし。
電車で東洋人がすり替わったり、席がズレたら性倒錯者の乱チキパーティで尼僧のセラーズが怖い。
その他の変装もたくさん。一応英国人の役だけど喋り方はやっぱり変。フランス系なままり?
こんなアクの強い時期があったのねぇ。主役がストリッパーのハムレットってのもあったな。

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notes and movies(1995.1~ part6)

2013-03-23 14:48:03 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5らのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『アーネスト キャンプに行く!』(1987)
監督:ジョン・R・チェリー 出演:ジム・ヴァーニー ほか
このシリーズって不思議。主人公は同じアーネストなのに、このキャンプの彼と町の清掃員の彼、
銀行員になりたがってる彼は同一人物なのか?それとも1作1作別なのかな?
寂しいのは今作にあのリムショットがいないこと。このアーネストの友は口数の少ないカメさんなのよね。
ボビーもいないし、太っちょのおじさんはコックで「さまよう卵」に夢中。

アーネストが最初に乗り捨てた車がいつまでも一人で走ってたり、おなじみのコスチュームの帽子が
吹き飛ばされていったん脱げたのに、次のシーンではもうかぶってたりする妙なこだわりがあって、
なんか不思議なんだよね。映画自体も、バーニーも。
今作は彼がしんみり歌うシーンもあり。でも、どうして女の子がキャンプにいないの?
女の子にも自然体験やインディオの勇気は必要だと思うけど。

♪Gee, I'm glad it's raining is always something to be thankful~
雨はステキだ 思わず感謝したくなる 雨は優しい 悲しい涙を隠してくれる
稲妻は心の傷を消してくれる 寂しい瞳も雨のせいにしてしまおう
雨は友だちだ 辛い叫びが雨音に紛れる
星はいらない 傷ついた戦士は闇に安らぐ
友だちになれると思っていたのに 英雄になれといわれたんだ
雨が好きだ 朝陽など見たくない
裂けたハートを雨に浸そう 雨はいい すべてを包んでくれる


『AMERICAN WAY』(1986)
監督:モーリス・フィリップス 出演:デニス・ホッパー ほか
サイコーにマイナーでマニアックな作品。『Aチーム』の裏版とでも言おうか。
ベトナム退役軍人の選りすぐりが飛行機からあらゆる電波妨害でTV番組を乗っ取り
退屈で曲がった体制をロックンロールでぶち壊す。“ロックンロールが世界を支配する”
宗教番組のアクの強さもスゴイけど、SMの連中のノリもファンキー。
ジミヘンにザ・フー、ヴェトナムの映像すべて破壊的だけど狂った世の中に渇を入れる結構マジな奴らなんだ。

アメリカって国は本当に計り知れない面白い国だね。
いろんな人間、いろんな価値観がありながら、愛国心ではひとつにつながっている。何でも起こり得る国。
なにもかもバカデカくて、それでいて一部の人間がそれを動かすことができる。メディアを使えば
嘘も真実になり、嘘を見破ることも出来る。金を集めるのもカンタンそのもの。
こんな連中が日本にもいたら、退屈なTVも少しはマシになるかも。
でも、男がそろって何十年も同じ飛行機で暮らすのはあまりいただけない状態だけどね。


『ゴースト・パパ』(1990)
監督:シドニー・ポワティエ 出演:ビル・コスビー、キンバリー・ラッセル、デニス・ニコラス ほか
なんだかムリヤリなストーリー展開も見られるけど、要は普段から家族を大切にして
仕事オンリーパパは止めようってハートウォーミングなメッセージが狙いみたい。
コスビーって名前は聞いたことある。アメリカじゃ有名なコメディアンらしいけど日本では初見。
なかなか味のあるおじさん。でもどんな芸風が得意なのか今作を観た限りではつかみきれない。


『トイズ』(1992)
監督:バリー・レビンソン 出演:ロビン・ウィリアムズ ほか
いまや引く手あまたのコメディアクター、ロビン主演のSFファンタジー。
テーマは「子どもに夢を」でありがちだけど、この天国のような緑の丘と広がる青い空を見せてくれたスタッフにまず感謝
絵に描いた美しさ。自然こそ最高の遊び場なんだよね。
そしておもちゃ工場のなんとも夢のような世界。こんな「おもちゃの国」があったらぜひ行ってみたい。
きっとディズニーほどの人気が出る・・・てお金の話は本作にそぐわないね。
仕事場もなんとも楽しい♪ハッピー・ワーカー の曲が流れて、こんな職場ならきっと楽しく働けるのにね。

笑うブタやクルーゾーみたいな可愛い偵察刑事おもちゃなどなど思わず欲しくなるものばかりで、
加えてストーリーを面白ろおかしくおもちゃの魅力を際立たせているのがロビンのトーク。彼自身喋るおもちゃだもんね。
妹役のボーっとした女優もイイ味出してる。あとカンペキ訓練された軍人にJJ.クール。
カメレオンマンみたいに周りに同化しちゃって、率いる軍隊のユニフォームもキマってる。
♪ハッピー・ワーカーのメロディが一変してラップ調のセクシーなのに変わっちゃう徹底ぶり。
これは単なる映画じゃなく、現実にも戦闘機の開発がバーチャルリアリティ化してるし、
ゲーム世界の攻撃性も冗談じゃなく、どんな大人になっちゃうのか本当に先が心配。


『KENTUCKY FRIELD MOVIE』(1977)
原案・監督:ジョン・ランディス 出演:コリン・メイル、ビル・ビクスビー ほか
スタイルはMP系の笑いだけど、あんまり期待したほど笑えない。下ネタ系の下品さが目立つ。
ニキビから脂をとるなんてリサイクル、環境によくてもいただけない
ニュースのパロディに長いブルース・リー風カンフー映画、『オズの魔法使い』につなぐのはいいけど、
そこまでいくのに長い長い眠りに2度、3度おちてしまった
よって、その後の成り行きも印象も薄いんだけど、裁判所のコントはまあまあ。
J.ランディスといえば『アニマルハウス』、『ブルース・ブラザース』『サボテン・ブラザース』などなど
数々の笑いの傑作を作り出した人。今作はそれらの前触れってとこかな。


『TUNNEL VISION』(1976)
監督:ブラッド・スワーノフ、ニール・イズレイエル 出演:チェビー・チェイス、フィル・プロクター ほか
上と同じノリだからスタッフも同じかと思ったら違うのね。
1時間ちょっとの間に何十個ものコントやパロディが詰まっているんだけど意味不明のが多くてあまり笑えない。
HSBの彼女がほとんど裸で「恥ずかしいプライベートをさらけ出すショウ」てやつに出ているのにはビックリ。
「ラスト・ヒッピー」は笑える。時代遅れのジョークを飛ばして、時代を生き延びたのがたったの2人ってやつ。
SNLにも影響を与えたシリーズらしいけど、全然ピンとこない。印象が薄くてあまり記憶に残らない作品。


『泥棒株式会社』(1959)

監督:ロバート・デイ 出演:ピーター・セラーズ、デヴィッド・ロッジ、ベルナルド・クリビンス ほか
時代を感じさせるセラーズの初期作品。日本で知られるようになったのは今作からとか。
当時34歳とあって若くて魅力的。なんだ、ちゃんと英語のアクセントで喋ってるってことは、
後々の妙なアクセントは芸風だったわけね。声やルックスがジョン・レノンの若い頃みたい。
まだセラーズの独特でアナーキーな芸風は見られない。泥棒役をノーマル?に演じているのがまた興味深くて面白い。
ずっと後になってこの続編が撮られたパート2があるんだけどレンタル屋にないのが残念。

ここで図書館で見つけたセラーズのプロフィールをメモ。
両親は劇場の芸人で、ピーターは一時弁護士を目指していた(!)みたいだけど、
空軍に入って、慰問班として人気を集め、コメディアンに転向。
他国語をとりまぜ、一人何役もこなす芸風がウケ、「マウス」ではアメリカにも進出。
本人によると彼の演じる人間には「人格がない」そうだ。言われてみれば非人間的だよね。
クルーゾー警部役で世界的に知られるようになる。女優と結婚して2児もうけたが、'64離婚。
次も女優だったかな。これも離婚。次も4年周期くらいで1人子どもがいて離婚。
で、リン・フレデリックと結婚。もともと心臓が弱いのに、半ば強制的に仕事を続けて(やっぱりね)'80に心臓発作で亡くなっている。
20歳になる娘さんが女優になって'80代後半の映画に出ているらしい。観てみたい気もする。
記憶の間違いもあるかも知れないけど、ここまで覚えた自分がすごい
『ロリータ』『Dr.Strangelove』の2作はすでに観たけど、もう一度チェックし直したい。


『博士の異常な愛情』(1964)
監督:スタンリー・キューブリック 出演:ピーター・セラーズ  ほか
再び観直してみたらセラーズの主演作だってことに改めて気づいた/驚
前回はS.キューブリックシリーズの視点しか持っていなかったから、
3役こなしているのはJ.C.スコットだと勘違いしてたけど、セラーズが見事な変装と演じ分けによって
将校、大統領、そして自称ドイツ人博士ストレンジラブの3役をやっていたことが判明。
教えてもらわなきゃ見分けがつかない、これには本当に感心。

名優スコットの超軍人キャラもかなりブッ飛んでいて目をひくけど、
セラーズを3役に起用したキューブリックのアイデアもすごい。
イギリス人将校は問題ないだろうけど、ハゲ頭のアメリカ大統領までねぇ。
アクセントはもちろんのこと、受ける印象も違ってよく出来てる。

一番セラーズの芸風に近いのは、やっぱりストレンジラブ博士。
右手がロボットなのかよく分からんけど、コントロールが効かないらしくて、自分の首を絞めたり、
勝手に高くあがって自制して叩いたりして1人で遊んでるシーンは彼の独壇場ってとこ。
タイトルもこの博士だし、出番は後半少しなのに、役割は大きいみたい。

それにしても、改めてキューブリックはアンチハリウッドなアートを生み出して、
独特のイメージ、メッセージ、コンセプトを持っている。
この前に『ロリータ』があって、世界的に今でも使う心理学用語にまで広めたのをはじめ、
この後にはSF映画ブームの火付け役となった『2001年宇宙の旅』、そしてカルトファンが今後も更に
増えるであろう『時計じかけのオレンジ』とアンユージュアルな大作ばかり。

今作も核爆弾という最も繊細な問題を取り上げて、コメディでもあるし、空中・陸上船のバトル・アクションもあるし、
政治への強烈なアイロニーを持つ芸術作品でもある。
クセの強い2人の男優を使って、1.5時間あまりのモノクロながら強烈な印象を残す作品。
ちなみにセラーズは『ロリータ』『ピンク・パンサー』の後で乗りまくってる最中の出演。
同年には『暗闇でドッキリ』にも出てる。39歳、心身ともに充実している感じが画面からも伝わってくる。


『ホスピタル』(1971)
監督:アーサー・ヒラー 出演:ジョージ・C・スコット ほか
さて、こちらはスコットがオスカーにノミネートされたという作品。
どのみちアンチハリウッド主義者で、賞を初めて蹴ったっていう記録保持者なんだけど、
反体制派の彼らしい作品選択で、役は神経衰弱ギリギリの医師。

「中年の男にはセックスよりももっと欲望をかきたてるものがある。それは責任だ」

それは今じゃ女性も同じ状況になろうとしているんじゃないかしら?
それにしても、こんなシリアスな問題にインチキ預言者みたいなオヤジが絡んじゃって、
そのマッドマンぶりは、コメディ映画になりかけるところをスコットが渋く抑えている。
さすが舞台俳優としてのキャリアも十分にある彼らしいダイナミックな迫力と
疲れきった過労死寸前の医師の絶望感、人間性を取り戻すまでの過程を演じて大きな存在感を示している。


『シティ・スリッカーズ2』(1994)
監督:ポール・ウェイランド 出演:ビリー・クリスタル ほか
待望のパート2が早くもビデオ化。2も初作に劣らぬ冒険とあったかい感動が詰まってる。
暴走馬の群れに追いかけられ、馬車の下につかまるビリーのアクションにはハラハラドキドキの猛迫力
3が出来そうな嬉しい予感がするエンディング。

インディジョーンズばりの冒険アクションだけど、このシリーズが面白いのは
現代のシティボーイズらが活躍するところにある。
日頃使っている文明機器が、どれだけ人を自然の中で無力な存在にしているか改めて思い知らされる。
無防備になって頼れるのは、自分、友人、家族だってこともあったかく描いている。

弟役のジョンとビリーはSNLの同級生。彼の喋り方を聴いているとコントを思い出しちゃう。
今作でもビリーはノリまくっている。妙な踊りの数々に、ジョークも連発、
笑わせながら演技もできる、脂ののったパフォーマンスを見せている。
ジャック・バランは、今作では海の男役で、無口で無骨なカーリーとはまた違ったお茶目な顔ものぞかせているのがなんともイイ。
大々的なオーケストラの楽しいテーマソングに乗せて、まだまだ荒々しい原型をとどめるアメリカの自然の中で
思い切り命をかけた夢あふれる冒険アドベンチャーは、都会に住む私たちを最高に楽しませてくれる。

コメント

notes and movies(1995.1~ part7)

2013-03-23 14:48:02 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part6らのつづきで、青いノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『スペース・エイド』(1992)
監督:グレッグ・ビーマン 出演:テリー・ガー、ジェフリー・ジョーンズ、エリック・アイドル ほか
さて、エリックが'92に出演した作品。どんな形で出てくるのかドキドキして観たけど、結局2シーンしか出番がないのが残念。
『フェリスはある朝突然に』で大いにボケをかましていたジェフリーの主演SFコメディ。
バカばっかりの星という設定といい、『スターウォーズ』のパロディ風クリーチャーがたくさん登場。
意外と予算がかかっているんじゃないかしら?
オバタリアンとも言えないこともないママ役のテリーがコケティッシュな好演を見せている。

魚やブルドッグの異性人がなんとも可愛い。ちゃんと家族があって情も分かるし。
ディックは腰が悪いといいつつも、高い所から落ちても、レーザーに襲われてボロボロになりながらも結構タフ。
J.ジョーンズのやられっぷりのよさ、何度も蘇るタフな反骨精神はいつ見てもご立派で笑える。
MPの面々は、こうゆうSFコメディが好きなのか? わざわざ2シーンのために出演しているんだものね。
やっぱりマーケットが大きなアメリカ映画への出演が続いているけど、イングリッシュな笑いの世界も捨てたもんじゃないんだけどね。
エリックの話から始まる今作。いろんな声の持ち主で、渋くていい声なんだから歌が入っていないのが残念。


『欲望』(1993)

監督:スティーブン・ギレンホール 出演:デブラ・ウィンガー ほか
デボラの熱演がセンセーショナルな話題となった。ファンには嬉しい主演作品で、久しぶりにプロの演技がじっくり味わえる。
微妙で複雑な男と女、ある愛の形を繊細に描いている。
共演のバーバラ・ハーシーと、ガブリエル・バーンらががっちり脇を固めて、
思い通りにならない人生をそれぞれの立場から表現。単なるロマンスでないストーリーにしている。

デボラはいつも一風変わった役どころが多いが、このマーサは特別変わったキャラクターだ。
町や学校、職場で一人はいそうな変わり者。でも、こうした人をヒロインとしてとりあげる映画は今までなかった。
歩き方から服装もすべてダサくて、正直さがかえって人間関係を壊している。普通なら嘘も方便。
自分を守るために偽り、世の中を渡っていく、それが出来ずにいる彼女が笑われるような世の中なんだ。

「幸せがただ通り過ぎてゆく」このセリフが作品中2度も繰り返される。

登場人物は皆なんらかの心の痛みを抱えて悩んでいる。
マックもけして女をもて遊ぶタイプでなく、正直なゆえに人を傷つけ、自分も傷ついている。
欲望に負け、酒で紛らわす人間の弱さを持っていて、それを隠すことすらできずにいる。
人それぞれ幸せの価値や基準は違って、愛することの意味も違う。
そこから生まれる男女間のひずみ、また孤独な人生観の中で翻弄されながらも、
折り合いを見つけて生きていく人間の様を今作は見せてくれる。


『バンデットQ』(1980)
監督・出演:テリー・ギリアム 脚本・出演:マイケル・ペイリンジョン・クリース、ジェリー・デュヴァル、ショーン・コネリー ほか
バンデッド=山賊・強盗・ならず者 なぜ邦題にQが付いているのか?
ギリアムが本格的に映画界に進出した初期作品。あふれんばかりの奇想天外なアイデアが詰まったSFファンタジー。
MPのメンバも2人出演しているのも見逃せない。

J.クリースが怪演。ケビンが名を言いかけて「ケ・・・」と言ったのを名前と思い込むシーンは笑える。
"ke...? It's jolly good name, yes."
小人の頭は『Private Party』にMPと出演していた彼。
ギリアムはこの後'85にあの『Brazil』を撮るわけだが、今作を超えるブッ飛びイメージの世界へとつながっていく。
奇抜なアイデアと映像の絶妙な組み合わせによって生まれるギリアムの世界。
ペイリンとの共同脚本も生きて、子どもも大人も冒険できるファンタジー映画。ビックリの連続で開いた口がふさがらなかった。


『ロリータ』(1961)

監督:スタンリー・キューブリック 出演:スー・リオン、ジェームズ・メイソン、ピーター・セラーズ ほか
以前観た時はS.キューブリックシリーズで、改めてセラーズ出演作品として見直すと、
こんな深刻なサイコドラマの中でもunusualなスタイルがそのまま生きているのが可笑しい。
命を狙われていながら、ひっちゃかめっちゃかの部屋でシーツの下に眠っていたクィンテンが起き、
「病気なんだ」と言いつつチャンプ直伝のピンポンをしたり、ピアノを弾いたり。

その後はいろんな変装で2.5時間のあちらこちらに顔を出す。
ある時は、母の昔の恋人で、黒髪の怪しげな女性と一緒にすましてダンス!
ある時は、心理学者ゼンフ博士。クルーゾー系のなまりで、教授とロリータの家庭環境に問題があると指摘。
また、ある時は、ホテルのテラスで背を向けてアレン風に喋りまくる警官。
「疑っていると思って逃げるんですね。私も疑われて仲間に捕まったことがある」そうで、
黒髪の女性とは柔道をしているそうなw

セラーズはこの翌年、国際的に知られる俳優となるチャンスを掴む。つまりピンク・パンサーのクルーゾ役。
今作の変装とunusalさが伏線となっているわけ。
セラーズ自身もロリータ趣味があるのではと噂されるほど若い女優とのいく度かの結婚歴がある。アレンも同じく。
セラーズは'61当時は36歳。キャリア初期の作品を観るのも楽しい。
先日、新聞を調べていた時、都内のアートシアター系で今作が再上映されていたのを知った。
どんなコンセプトで上映したのか知らないけど、当時のポスターのキャッチが印象的。
"She's not more girl, She's not woman enough. What is she?"(ちょっと違っているかも)
コギャルと呼ばれる女子高生が売春して服代を稼ぐ今の世の中とは比べものにはならないけどね。
若い娘に惹かれる中年男の気持ちも分からんでもないが、この倒錯の源がどこにあるのかが問題なのよね。


『何かいいことないか子猫チャン』(1965)
 
監督:クライブ・ドナー 音楽:バート・バカラック、歌:トム・ジョーンズ
出演:ウッディ・アレン(兼脚本)、ピーター・オトゥール、ピーター・セラーズロミー・シュナイダー ほか
trailer
♪What's new pussy cat WOOW WOOW WOOW~ トム・ジョーンズの情熱的な歌声で始まる今作。
なあーーーんてゴージャスな映画。こってこてのバタークリームにマヨネーズ、
チーズにオリーブ油をかけたようなてんこ盛りゴージャスコメディだ
当時30歳、大はりきりのアレンが脚本担当。映画はこれが初出演? セラーズのほうがずっと先輩なわけね。
この2人の顔合わせは夢のよう。まるで師弟か双子のようだもの。
そこにオトゥール。英国演劇界のプロフェッショナルにどんな役を演らせてもパーフェクトな上、この若さと美しさはいつかのD.ボウイのよう。
2大コメディアンが跳びはね回っても、彼の存在感は変わらず。負けずとも劣らぬコメディ演技を披露。
そして若き日のシュナイダーは、もぎたてフルーツみたく初々しい美しさをたたえて、
他にもアメリカ、パリ、ロンドンからよりぬきの美女が次から次から。これはフェリーニの『女の都』に次ぐ美女多出演記録。
最初のテンションが落ちるどころか上がる一方。ついにはいしにえのモノクロ無声映画のドタバタ喜劇風になっちゃうのは映画フリークのアレンの発案か?

ルーにフラれて船着場で自殺しようとしている英国国旗をまとっているセラーズと
誕生日祝いでテーブルをセットしてディナーをとってるアレン。
このなんともエキサイティングな2人のコメディ対決。そろって常軌を逸しているから不思議と調和している。
英国と米国の笑いのミックスが本当にゴージャス。
でも、相変わらずセラーズは妖しいアクセントのパリの医師なのはどうしてか?w で、やっぱり柔道の話をしている。
この時の格好がまたなんとも愛らしいピエロのように大きな白いダッフルコート。
カーレースの時なんか上下デニム。笑わせてくれるよね、ほんと。
きっとトーンの合っているアレンの脚本をセラーズは大いに気に入ったと思うな。
出演者が皆イキイキと好きに動いていて、撮影中もこのストーリーと変わらない刺激的な混乱が起きていたんじゃないかって気さえしてくる。
そうそう、自分の子どもに変質者、変質者と歌われるシーンなんてスゴイ家庭!爆


『パパ』(1979)
監督:ルイス・ジョン・カリーノ 出演:ロバート・デュヴァル、プライス・ダナー、マイケル・オキーフ ほか
アメリカ映画が問い続ける家族の絆。
骨の髄まで軍一色のワンマンおやじと、戦争を知らない新人類のいたって平和な息子、
ちょっと皮肉がキツいおどけ役の娘、優しく包み込む母親。
日本じゃ戦争の恐ろしさ、無意味さを説いて、二度と繰り返さないと願う気持ちが強いけど、
アメリカじゃ勝利、闘う潔さ、誇りを大事にするある種の文化みたいなものがあるのか。
子どもを喜んで兵士に送って、自分の子だけは死なないとでも思っているのか? ギャンブルかゲームみたいに。
父と息子の心の溝と、南部アメリカに根強くはびこる人種問題も絡めてじっくり描いている。
父親って理解しがたい存在だな。そんなパパを演じきっているのがデュヴァル。
彼のような俳優がいい映画に絶対必要。あの乾いた皮肉っぽい笑い方が好きだ。


『あきれたあきれた大作戦』(1979)
監督:アーサー・ミラー 出演:ピーター・フォーク、アラン・アーキン ほか
フォークがいつものしかめっ面のコロンボを離れて、テンション高いコメディ演技をしているのが見物。
巻き込まれてウロたえるアーキンとのコンビが最高。ほんの2分で済むから・・・て話がそもそもの始まりで、
次々と迫るドンづまり状態でも、明るい展望を失わないヴィクターのタフな楽観性はご立派。
本当にCIAだったからよかったものの、誇大妄想狂だったらどうなっていたことやら。
どんなにクレイジーでもフォークが演じるとどこか信用できちゃうのは、彼からにじみ出る人柄の良さのせいかな。
スナイパーの弾をよけるためにわざわざ戻ってからジグザグ歩きをする生真面目なシェリーのシーンも笑える。


『キャプテン・ロン』(1992)
監督:トム・エバーハート 出演:カート・ラッセル、マーティン・ショート ほか
マーティン・ショートがやっと歳相応の役を演じている! でも何をやってもドジって頼りがいのないダメおやじ。
グイグイ引っ張って皆をひきつけるロンとは大違い。でも、彼のちょっとしたアイデアで父親の威厳を取り戻す。
1ヶ月まるまる海、また海のアドヴェンチャー・ホリデー。都会暮らしのせせこましさもパァーーーーっと晴れる爽快感。

ラッセルが声音まで荒っぽく変えて、片目をサメに食われてガラス玉が入っているってゆういかにも海賊のようなワイルドな男を好演。
最初は幽霊船みたく冴えなかった船も磨きあげて乗りこなすうちに命を吹き返したように立派な帆船に見えてくるから不思議。
嵐や海賊はいただけないけど、こんな自由で破天荒な海の旅も気ままでイイ。
どこのロケなのか夕陽で赤く染まった椰子のある海岸。人の手がはいっていない原型をとどめた島々、
どこまでも真っ青にすみきった海と空。無計画で進んでいったにしちゃもったいないくらいのゴージャスツアー!
陽気なサンバのリズムに日焼けした陽気な人々。1ヶ月もこんなに解放された場所にいたら
元の生活になんか絶対戻りたくなくなるよね、ほんとに。


『イカレたロミオに泣き虫ジュリエット』(1986)

監督・出演:アンニャ・フランケ、ダニ・レビー ほか
図書館の司書の選択眼て称賛に値する。こうゆうレンタル屋にはないマイナーでいい作品を並べてくれるんだもの
MPの『人生狂騒曲』もあったし、行くたびに新たな発見がある。ドイツもなかなかやわらかな作品を撮るんだな。
注目なのはジュリエット役の女優と、ロミオ役の男優が、脚本、監督まで兼ねていること。何者なのか?
日本じゃあまり話題にのぼらなかったけど、この邦題はとっても粋。
それにこのジャケット。フランケの元気いっぱいの笑った顔と、いっぱいのコラージュが当たった勝因じゃないかな。
美人てタイプじゃないけど、光の具合でゲジゲジまゆげがビョークみたくとってもチャーミングで印象的。

男がトイレで用を足している横にいるなんて倦怠期もここまでくるとさすがにイヤだな
洗わない手で握手したくないし。地下鉄でタダのりしてつかまって、ロンドンから来た医師と患者のマネをしたり、
ショーの途中でくだらんジョークを披露したり、ハチャメチャ破天荒な2人だけど、自由に大空を飛べたのは夢の中だけ。
現実では翼をもぎとられる。いまだ影をひきずっているドイツの政情の影響か?


『CLUB PARADISE』(1986)
監督:ハロルド・ライミス 出演:ロビン・ウィリアムス、ピーター・オトゥール、リック・モラリス ほか
3大クセ者俳優が揃って、南の島のロケーションで、さぞかし撮影も楽しかっただろうと思われるパーーーっと解放しちゃおうコメディ。
島につきものな陽気でのん気なレゲエ、レゲエ、レゲエ 歌手が本業だろうか現地民アーネスト役の彼に注目。
ストーリーはなんであれ、いつでもどこでも、なにが飛び出すか分からないロビンのジョークが可笑しい。
牢屋にいっぱいのノミが軍隊作って「あいつを襲え」なんてゆうのとか。
今回はブロンドの英国娘が相手だけどお下品なやつは控えめ。
モラリスも脇役ながら、無人島に流れ着いたと思い込んで「家を作ろう」と冷静な判断。
猛進するヨットのバックにベンチャーズのアパッチ 友との感動的な再会にはクラシック映画音楽など音の遊びも楽しい。
オトゥールはすっかり日焼けした退役軍人風。こうゆうオフビートなマイナー映画、特にナンセンスコメディが好きなんだね。
ツアー客の1人でキョーレツなおばさんリンダ役の女優(どこかでよく見る)もスカイダイビングで林に突っ込んだり、ギャンブルでも大活躍。
ツアー旅行にありがちなシチュエーションがパロってあって、実際起こり得るから、うまい話にはご用心。


『COMEDIE!』(1987)
監督:ジャック・ドワイヨン 出演:アラン・スーション、ジェーン・バーキン ほか
最後に気持ちだけ流れる主題歌はバーキンも彼女らしい声で歌っている
ともに歌手でもある2人きりの出演で、これだけ中身の詰まった作品になるのはフランス映画だから。
でもほんと映画で観るかぎり、フランス人は饒舌。それともフランス語が人をそうさせるのか?
普段こんなに喋り続け、動き続け、行き当たりバッタリにたくさんのことをしてたら、きっと1日でぐったりしちゃう
男女がもっと相手を知ろうとして、愛そうとするほど傷つけ合う。ギリギリまで自分をさらけ出し、また隠して、
ひとつ屋根の下で過去や現在、欲望と嫉妬がぶつかり、こすり合う。

当時40歳のバーキンが時に夢追う少女、時に嫉妬に疲れた大人の女、時にワイルド、時に純情に様変わりし、
一方のアランも暴君、色男、傷つきやすい少年、素顔の1人の男にどんどん変わってゆく。
一時も目が離せない2人の心情の移り変わり。演技対決が見物。
そしてラスト「愛してる」という告白にやっとたどり着くまで。
「お静かに」とこちらにふいに話しかけられ、傍観者から証人になった気がしてドキっとする。
ともかくハッピーエンディングは仏映にしては珍しくホッとさせられる。
本当は1分1秒ごとに違ったシチュエーション、粋なセリフで溢れんばかりだけどとても書ききれない。
水に困りそうだけど、プールもあるし、眺めはいいし、こんな自然に囲まれた立派な別荘、手放すことはないと思うけどね。




【歌詞をメモした曲】
♪星めぐりの歌/エリック・アイドル

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