メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

桜ふぶき

2013-03-28 23:55:55 | 日記
クリニックに行く道中も桜並木があって、たくさん咲いていたけど、
風が吹くたびに桜ふぶきが舞っていた

時間を変更されたのを忘れていて、早めに着いてしまったが、
前の患者さんも早く済んで、それほど待たされずに順番がきた。

いつも通りのやりとり。
「前のようにムリしてあちこち疲れるほど回らずに、町歩きも疲れたら帰るようにしている」
「それはいいことだね。それが本来の形だしね」

で、またカウンセリングの様子も聞かれて、それなりに答えて、
「人間関係について今の視点からのアプローチはいいと思う」と似たり寄ったり。

最後にふいに「最近、楽しんでいることはありますか?」と聞かれて、
ちょっと考えてから「読書とか・・・」と当たり障りない言葉を返したが、
実際、私はここ最近、心からなにかを楽しんでいるだろうか?と疑問に思った。


  


21時すぎ、久々、母から電話があって、手紙の返事が遅いから心配してかけたとのこと。
母は、私からの連絡がちょっとでもないと、「孤独死」していると思い込む。私はまったく信用されていない。
最初は犬の話でとても和んだけれども、母が本当に話したかったのは、
4月に小学校の同級生が結婚するって話。

そのコもずうっと母親から独身でいることを心配され続けて、毎日ケンカばかりしていたって噂を聞いていたらから、
母親の心配を止めさせるために決断したんじゃなきゃいいけどと、逆に私はそっちを心配していた。
そして、前回私が手紙に書いたとおり、友だちの母は私の母に話すことで安心感を伝え、
母は逆に私にハッパをかけてきたという、本当に筋書き通りな展開。

「ああしろ」「こうしなさい」「~すべきだ」
ここ最近の手紙のやりとりで、なんとなく分かり合えてきた気がしていたけれども、やっぱり全然何も変わっていない。
母は私をコントロールすることで、自分自身の孤独感を埋めている。
それは昔は兄の役割だったが、兄が結婚してお嫁さんのものになってからは、私に役割が回ってきた。

私が何を言おうと「でもね・・・」とかぶせてきて、聞く耳持たず。
私はいつもの通りに傷つきながら、それを黙って聞かされるしか手立てがない。
このループから逃れる方法を、今まさにカウンセリングで学ぼうとしている時のこのタイミング。

「これ以上話していたら辛すぎるから切るね」と言って切ってしまった。
私には泣きながら、これ以上責めるのは止めてほしいと懇願することしかできないんだ。
子どもの頃からずっと。
これを変えるには一体どうすればいいのか・・・?


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『ゼロの焦点』(2009年)

2013-03-28 12:20:16 | 映画
『ゼロの焦点』(2009年)
原作:松本清張 監督:犬童一心
出演:広末涼子、中谷美紀、木村多江、西島秀俊、杉本哲太、鹿賀丈史 ほか
主題歌:♪愛だけを残せ/中島みゆき

trailer

西島秀俊出演作シリーズ。
これまで2度映画化されているそうで、1961年版も昔観た。ヒロイン役は大好きな久我美子さん
でも、暗い印象だけでストーリーもほとんど覚えていなかったから新たな気持ちで楽しめた

今回は「松本清張生誕100年記念」として製作・公開され、第33回日本アカデミー賞11部門、12受賞ってスゴイね
昭和38年と言えば、自分の親の青春時代でもある。「もう戦後ではない」と言われた高度成長期。
戦後まもない日本のまだまだ生々しい傷痕を、ちゃんと現代の視点から再びこうして格式ある形でリバイバルさせたことが素晴らしい。
初めて『人間の証明』や『白痴』を観た時と同じような見応えがあり、とてもやるせない余韻が残る名作に仕上がっている。


story
禎子は見合いで鵜原憲一と結婚し、わずか1週間後、金沢での引き継ぎのために駅で見送り、
「(1週間後の)8日に必ず戻る。すぐだよ」その言葉を最後に、夫は消息を消してしまった。
予定日を1日過ぎたところで義兄・宗太郎を訪ねるが
「あいつは昔からぷいっとどこかに行ってしまうようなところがあるんだ。心配ないよ」と言われ、
改めて自分が夫のことを何も知らないということに気づき不安が募った禎子は金沢に赴く。
夫の上司と、仕事を引き継いだ本多良雄と会い、「実は今日、自殺の名所の崖から死体があがった」と聞かされる。。


なんといっても作品を引っ張っているのは、今の邦画を代表する3人の旬の女優たち。
それぞれの個性を生かしたキャスティングでの競演が見応え十分。
映画の重要な主題の1つに「女性の社会進出」がある。
地方の金沢で初の女性議員が誕生する瞬間、それに情熱を燃やす1人の女の悲しい過去。
「あなたみたいな男がいつも女を苦しめているのよ!」という彼女のセリフが耳に残る。

二重生活をしていた夫は、戦争で生き残ったことを恥じ、「新しい時代」に対してさ迷い、
まったく新しい別人に生まれ変わって人生をやり直そうとしていた点において女と共通している。
もう1人、財を成して成功したかに見える室田儀作の言う「すべては運命だったんだ!」というセリフには
彼なりの1本筋の通った激しい愛し方が垣間見えた気がした。

ラスト、夢も希望も失った禎子が発した1声で、すべての復讐を果たすところもまたさすが。
今作の主題歌は中島美嘉・・・ではなくて、中島みゆきさんでビックリ/驚
挿入歌にはプラターズの♪オンリー・ユー が流れて、当時ラジオからこうしてオールディーズが流れていたのを
わたしの両親も聴いていたんだろうなあと想像してみた。
冬の金沢の雪景色がなんとも寒々しく、美しい。


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