■こころの健康シリーズ『自律神経失調症の治し方がわかる本』(主婦と生活社)
村上正人/著
また最近、例のしつこい首の凝り、頭重感、カラダの痛みが戻ってきて、気づくと指圧マッサージをしているから、
ラジオ体操や、整形外科医から教えてもらったストレッチをしたり、町歩きも再開したけど変わらない。
図書館で自律神経系の本を見つけたから借りてみた。
その時は気づかなかったんだけど、パラパラ見ているうちに、このイラスト、レイアウト感が懐かしい・・・
って確認してみたら、やっぱり、新入社員で入った編プロが関わっていた
イラストレーターも、わたしがよく発注していた方だ。本書は改訂版で、表紙のイラストは今っぽいけど、
内容は10年前のものに加筆・修正したものだから、ほとんど変わってない。
にしても、この長い不況で中小の編プロがばたばた潰れた中でよく生き残れたなあ!驚
って感心してないで、肝心の内容のほうは、たくさん当てはまる項目があったから、またメモが長くなりました/謝
著者の村上さんは、日本大学板橋病院心療内科科長でもある。
【内容抜粋メモ】
自律神経失調症の生活習慣にも様々なクセが見られるが、それはその人の感性から生まれるもので、
決して「よい・悪い」の問題ではない。
個性的な性格は、その人の能力を伸ばす反面、その人を傷つけることもある。
その傷が症状になって現れることがある。p13
ストレスも軽いうちなら楽に処理できるが、長く続くと、精神的にも肉体的にも疲労困憊状態に陥り、
ホメオスターシス(生体の恒常性維持機能)が崩れ、体調の異常として現れる。
女性は、ホルモンの変化に加えて、社会的役割が評価されにくいこともあって、自律神経失調症にかかりやすい。
西洋医学は、ヒトを「体」と「心」に分けて、「身体疾患」「精神疾患」に分類しているが、
この分け方では対応できなくなり「心身症」という概念が出た。
ただ、神経症やうつ病など病名のついた精神疾患に伴う症状は含まれない。
自律神経は全身に張り巡らされているために、ある部分が変調をきたすと、一見関連性のないほかの臓器にまで影響を及ぼす。
心身に溜まったストレスを知性で押さえ込んでいるうちに、体の疲れや痛みの感覚をなくす「失体感症」「失感情症」に陥り、無自覚になる。
自律神経とは
・意思と関係なく活動するために「植物神経」とも言われ、意思で動かせる「動物神経」と区別されている。
・「交感神経(活動する神経)」+「副交感神経(休む神経)」の2つに分けられる。
・中枢は「視床下部」にある。
・本能的な欲求、喜怒哀楽の感情を抑えるうちに、大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部の間のコミュニケーションが乱れるため、自律神経のリズムも乱れる。
・心臓の鼓動、血管の拡張・収縮、胃や大腸の運動、呼吸のリズムなど条件反射を作りやすい臓器はストレスの影響を受けやすい。
怖いのは慢性的ストレス
・初期症状は、「眼精疲労」「肩凝り」「筋肉痛」「手足の冷え」「めまい・立ちくらみ」。
・さらに進むと「疲れやすい・疲れがとれない」「腹痛・下痢・便秘」「不眠」「イライラ」
・「人と付き合うのが億劫」「意欲がわかない」などのうつ状態は深刻
Ⅰ期:警告反応期
Ⅱ期:抵抗期
Ⅲ期:疲はい期
ストレスの種類
ストレスを最も感じているのは40代の独身女性
若い世代は現実に適応するのが未熟なために、ストレスを自分で生み出し、
中・高年層は、現実に過剰に適応するためにストレスを抱え込む
→ストレス耐性を高めることが必要。
変化の激しい現代社会そのものがストレス
・大学病院の内科を受診する患者の約40%は、ストレス絡みの心身症。
・自律神経失調症の約30%は、不安症+うつの「混合型不安抑うつ障害」→感情をうまくコントロールできない人に多い
・パニック障害は、ストレスに強く、心の病とは無縁と思われるような人がかかりやすい
共通点は、完璧主義、やり始めたらとことんやってしまう、空腹・眠気、疲れを無視する強迫的ともいえる行動パターン。
・「慢性疲労症候群」は20~40代がかかりやすい。
・「更年期」は、閉経をはさんで前後約5年間ずつ、年齢的には45~55歳頃まで。
・「月経前症候群(PMS)」は、月経が近付くと、不眠、頭痛、吐き気などが現れる。
・過食症・拒食症などの「摂食障害」の大きな原因は「自己評価の低さ」や「家族間の葛藤」。
・最近増えた「非定型うつ病」(前も書いたな
・うつ病の約6割は「双極Ⅱ型」。
・ストレスが原因で起こる慢性の痛みを「慢性疼痛」という。うつ病患者がなる率は健康な人の約4倍。
・中年女性に多く見られる「繊維筋痛症」
***正しい病院選び
症状を自分でコントロールできなくなったら治療が必要。
自分の行動パターンや性格によって生じたものだと認識し、生活の改善を心がける。
(別の本には性格のせいじゃないって書いてあったな
心療内科を受けるポイント
・不定愁訴がみられる。
・内科、整形外科をいろいろ受診しても、はっきりした疾患が見つからない。
・対症療法で改善しない。
・血圧の異常:立ちくらみ、めまいなどの「起立性低血圧症状」を起こしやすい
・睡眠障害は成人の20%にある
注意:「うつ病をみたらがんを疑え」と言われるほど、がんが原因のうつで自律神経失調症が起こることもある。
初診から快方まで
薬物投与で1週間に1~2回の通院→不安定期~安定期は2、3週間に一度の通院→治癒期
良い医師選び
患者の生活のクセをつかみ、生育歴、家族歴、家庭状況なども把握して、生活に基づいた治療をしてくれる医師。
患者の心や立場に理解する目(心)を持っていること。など。
薬物療法はあくまでも補助であり、根本的ではない。心理療法や生活改善も大切。
心配な点は積極的に医師に質問する。
意味もなく薬を怖がる患者、潔癖性が強く、薬を飲むことに罪悪感を持つ患者は多い
めざすところは、薬がまったく不要になることではない。多少薬を飲んでいてもストレスを上手に処理できるようになること。
漢方療法
東洋医学では、病気の原因を「内因」(感情の変化)+「外因」(環境)+「不在外因」(生活習慣)と考え、心と体を総合的にとらえる。
心理療法
患者自身が「自己洞察(気づき)」を深めるのが目的。
自分では気づかない“対人関係をまずくする性格”やそれによるひずみに対処するガイダンスも行う。
カウンセリング
・「受容」「保証」「支持」の3本柱で成り立っている。
日本ではカウンセリングや精神科にマイナスイメージを持ちがちだが、アメリカでは一種のステータスになっている。
・カウンセリングは“人生相談”とは違う。自身に対して正当な評価をしているか、家庭や職場に過剰に適応して無理をしていないかなど、
ストレス状態にある自分を発見し、解決方法を考えていくことが目的。
・成長する過程で「ベーシック・トラスト」(基本的信頼感)が得られなかった場合は、信頼関係が築かれず、転職や対人トラブルを繰り返す。
・幼少期の人格形成にどう影響したかを探る「精神分析的アプローチ」を行うことで原因を突き止めることもある。←わたしのはこれかなあ?
・自己流だと「父母が悪い」「環境が悪い」と他者に責任を押し付けたり、自分を卑下したりして余計傷つけてしまう。
「人生は安らかで愛情に満ちたもの」であると認識し、治癒する意欲を支えること。
交流分析
「過去と他人は変えられない。変えられるのは現在の自分だ」
・目的は、自分への気づきを深め、自己コントロールする、自立性を高める、他者とこじれた関係に陥ることなく、親密な触れ合いを経験すること。
エゴグラム
人生に対する態度「基本的構え」が反映される。
自律神経失調症患者はFC(自由な子ども)よりAC(順応した子ども)のほうが高い
→わたしはN字で、タイプD。「私はOKでない、他人はOKである」だった
対人トラブルが減少する会話パターンとは
日常のパターン
・相補的交流
・交差的交流
・裏面的交流←これかも。親は親の姿勢をとっていても、本当は子どもにすがって安心しようとしている。
子どもは親の姿勢を受け入れ、同時にすがりたい気持ちも暗黙の了解で受け入れる。
マイナスのストロークを出してしまう原因
「ストローク」とは人が人に投げかける言動の意。
「CP人間」物事を批判的に見ている人。相手をディスカウント(評価を下げる)して見てしまう。
「AC人間」人に遠慮し、合わせすぎて、交流が深まらない。「どうせ・・・」と消極的。愚痴や文句もマイナスのストローク。
注意:自分がどんなストロークを出しているか注意する。
ゲームをやめる
「ゲーム」対人交流の中で「つい」演じてしまう、自分にも他人にも悪い結果となる交流。
その特色は、交流後に不愉快、後悔、自己嫌悪、憂鬱、苛立ち、惨めさなどの不快な感情が残ることが、あらかじめ予測されていること。
ゲームをしてしまう目的
・他人の評価や注目を得ようとする
・私はこういう人間だという確認をするため
・自分の時間を消費するため
注意:相手の挑発に乗らない、こちらからも挑発しない
他人の陰口、批判、皮肉などのマイナスのストロークに強く反応しない。自分からプラスのストロークを発する。
ストレスの脚本
自律神経失調症患者は、あと少しで成功という時につまずく「人生脚本」を持ちやすい。
駆り立てられるように仕事に熱中したり、自分を抑えてしまう→子どもの頃の「禁止令」が根底にある。
親のC(自我状態の子ども)から発せられた破壊的なメッセージは、裏面的交流(言葉の裏に真意がある)によって、
子どものP(親の部分)に記録され、「禁止令」となって焼き付けられる。例:「人生は楽しむな、休むな」など
「プロセス脚本」決まったパターンで行動してしまう。
「ミニ脚本」に注意
「いつも遅刻する」など外から観察できる行動は「ミニ脚本」といい、その人の人生脚本を端的に表する。
脚本に陥りやすい時
・直面している状況がストレスフルな時
・直面している状況が子ども時代の苦痛を思い出させる時
「再決断療法」で人生脚本を書き換えることができる
「空の椅子技法」「ゲシュタルト療法」(今・ここでの気づきを大切にする)など。
自分を客観視する力がつき、心を統合できる。
心身のリフレッシュ
・「筋弛緩法」は、自律神経の働きを根本から調整する。
・「自律訓練法」
・「認知行動療法」:「認知(ものの見方や考え方)」「行動」「情動」「生理」などは互いに影響し、環境の影響も受けている。
・心身がリラックスすると、不安、恐怖、痛みが起こりにくくなる。
「森田療法」
悩み、不安、恐怖は排除しようとするとさらに強く感じる。これらは「よりよく生きたい」と表裏一体。
気分や症状を「あるがまま」受け入れて、目の前のやるべきことをとりあえず行って「生の欲望」を建設的な方向に向ける。
内観法
幼少から今まで関わりの深かった人との関係で
1.してもらったこと
2.して返したこと
3.迷惑をかけたこと
を克明に思い出して、自己洞察する。「集中内観」→「分散内観」、「日記内観」もある。
自分の夢を実現させようとする人は、心の健康度が高い。
***日常生活から改善する
・ライフスタイルは、1.生活時間、2.毎日の活動、3.人生観の3つで構成されている。
・日常生活は、食事、睡眠、労働、休養、運動の5つの要素があり、その歪みからストレスが生まれる。
1.不規則な生活習慣を正す
2.体が発するシグナルを無視しない
3.感情を素直に表す
4.休養を十分とる
注意
・過剰な責任感、余計な仕事を抱え込む、効率や結果を優先する偏った価値観に気をつける。
・ストレス度が最も高いのは、タバコを1日20本前後吸う人。
・日本では疲労回復のための「休息」「休憩」が多く、長期間の「休養」がなかなかとれない。
「休養」の養には“人間らしい情操を磨く”“積極的に体力・気力を養う”などの意味がある。
ソーシャルサポートが豊富な人はストレスも少ない
・女性のほうが社会的援助を受けやすい。
・「ファミリーサポート」はストレスに耐えるために重要。生き甲斐、幸福感、存在意義にもつながっている。
・自分から相談を持ちかけたり、気持ちを素直に表現することが大切。
・「自分は愛されない」と自己評価を下げると、ほんの少しの行き違いから人間関係を破綻させる。
「私の最大の勝利は、あるがままの自分と一緒にやっていけるようになったこと。
私は理想からは程遠い人間ですが、自分をそう見捨てたものでもないと思うことにしました」
オードリー・ヘップバーンは、父から見捨てられ、母からは“才能がない子”と言われ続け、自己評価が低かった。
自律神経失調症の子どもを作る親
遺伝・体質が関係する。かかりやすい気質も親から子へ伝わる。
子どもは、親とは違った人格をもつ一方で、親の長所・短所も引き継いでしまう側面ももっている
親がいきいきと生きている姿を子どもに見せること。
***自律神経失調症を治す食事
・イライラのために副交感神経が優位に作用し、強い酸をもつ胃液が大量に分泌され、胃壁がダメージをうける。楽しい食事が大切。
・食事が「楽しみ」より「義務感」になり、早く食べる習慣がつきやすい→よく噛むと脳を刺激し、活力を与え、心を落ち着かせる
○赤身の魚、大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、くるみ、ゴマ
○ビタミンB
×砂糖は少なく
・ストレスに曝されるとたんぱく質が大量に消費される。防御機能にもっとも重要なのは「副腎」。
ストレスにさらされると、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモンの分泌が活発になる。
セロトニンは「必須アミノ酸」(体内で合成できないから、食品から摂取しなければならないたんぱく質)が材料。
○DHAは大腸がん、乳がんのリスクを減らし、アレルギーの抑制にも効果あり。
×マーガリン、お菓子の中のショートニング(トランス脂肪酸)は悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化の危険大!
×「潜在性ビタミン欠乏症」最近の野菜は以前に比べてビタミン含有量が大きく減少している!
○カルシウムは神経の興奮を鎮め、ストレスを抑える。
○鉄分。疲れやすさ、立ちくらみ、動悸・息切れなどは「鉄欠乏性貧血」
×現代人の食事には「微量元素(ミネラル)」が不足している。マグネシウム、マンガン、セレン、ヨードなど
著しい精製や、加工食品の増加が原因。
×加工食品には「リン酸」「リン酸塩」「縮合リン酸塩」が添加物として含まれている。過剰摂取によりカルシウムの利用率を低下。
×糖質、塩分のとり過ぎ。外食は味が濃い。
「JHFAマーク」:健康補助食品として認可された食品。
○緑茶や紅茶などのツバキ科の植物に含まれるアミノ酸の「テアニン」は、ストレスによる心拍数や血圧の上昇を抑え、リラックスを促す効果がある。
○抹茶に含まれるアミノ酸のテアニンは深い瞑想状態に出るα波を出す。
***ストレスをなくす快適生活
趣味
・自分の欲望や願望に素直になれる趣味を見つけ、趣味にまでノルマを課さない
・問題から逃げるためじゃなく、問題解決に近付く手段と考える。
・自分だけの時間と空間をもっている人は、ストレスに強い。
・「ダンス療法」
・週に2、3回程度の運動が健康によい
鍼灸・指圧・マッサージ
心療内科を受ける前に通った経験のある人が多い。
「βエンドルフィン」というホルモンは、痛みを緩和させ快適感を高める。
ヨガや気功
「調身、調息、調心」の3つの原則。
リラクゼーション音楽
音楽療法は、呪術師が治療の際に歌ったり踊ったりしたことが起源と言われ、
古代ローマやルネッサンス時代には、すでに精神病治療に使われていた。
お腹から声を出して歌うのも血液循環によい。カタルシスの効果もある
香り
・植物には「フィトンチッド」という芳香物質が出て、生体の組織を活性化する。
・「香りによって風邪やがんにかかりにくくなる」というデータもある。
・ジャスミンは脳を刺激、ラベンダーはリラックス効果、レモンの香りは仕事のミスを減らす効果もある。
「アロマテラピー」「アロマコロジー(芳香心理学)」なども注目されている。
自然
外に出るか、内にこもるかの手段に関係なく、自由な時間・空間は、自分を客観的に見る「もう1人の自分」を育てることにつながる。
笑い
「自由への道は笑いを通じて入手できる。そしてそれを学ぶまでは、人間は奴隷のままだろう」エリック・バーン(交流分析の創始者)
笑いはがんや糖尿病予防にも効果あり。ナチュラルキラー細胞の活性を促し、リウマチの痛みも改善。
行動療法
「シェイピング(形造る)」「モデリング(手本を真似る)」方法。
自分のイメージに合った生き方をしている人を探して、共感できるところを手本にして行動してみる。
日日是好日
たとえ辛い日でも、するべきことをすることにより、その日が「好日」になる。まず行動すること。
「やっても得にならない」と思って何もしないのは間違い。見返りを期待せずにやることが自己成長のカギ。
村上正人/著
また最近、例のしつこい首の凝り、頭重感、カラダの痛みが戻ってきて、気づくと指圧マッサージをしているから、
ラジオ体操や、整形外科医から教えてもらったストレッチをしたり、町歩きも再開したけど変わらない。
図書館で自律神経系の本を見つけたから借りてみた。
その時は気づかなかったんだけど、パラパラ見ているうちに、このイラスト、レイアウト感が懐かしい・・・
って確認してみたら、やっぱり、新入社員で入った編プロが関わっていた
イラストレーターも、わたしがよく発注していた方だ。本書は改訂版で、表紙のイラストは今っぽいけど、
内容は10年前のものに加筆・修正したものだから、ほとんど変わってない。
にしても、この長い不況で中小の編プロがばたばた潰れた中でよく生き残れたなあ!驚
って感心してないで、肝心の内容のほうは、たくさん当てはまる項目があったから、またメモが長くなりました/謝
著者の村上さんは、日本大学板橋病院心療内科科長でもある。
【内容抜粋メモ】
自律神経失調症の生活習慣にも様々なクセが見られるが、それはその人の感性から生まれるもので、
決して「よい・悪い」の問題ではない。
個性的な性格は、その人の能力を伸ばす反面、その人を傷つけることもある。
その傷が症状になって現れることがある。p13
ストレスも軽いうちなら楽に処理できるが、長く続くと、精神的にも肉体的にも疲労困憊状態に陥り、
ホメオスターシス(生体の恒常性維持機能)が崩れ、体調の異常として現れる。
女性は、ホルモンの変化に加えて、社会的役割が評価されにくいこともあって、自律神経失調症にかかりやすい。
西洋医学は、ヒトを「体」と「心」に分けて、「身体疾患」「精神疾患」に分類しているが、
この分け方では対応できなくなり「心身症」という概念が出た。
ただ、神経症やうつ病など病名のついた精神疾患に伴う症状は含まれない。
自律神経は全身に張り巡らされているために、ある部分が変調をきたすと、一見関連性のないほかの臓器にまで影響を及ぼす。
心身に溜まったストレスを知性で押さえ込んでいるうちに、体の疲れや痛みの感覚をなくす「失体感症」「失感情症」に陥り、無自覚になる。
自律神経とは
・意思と関係なく活動するために「植物神経」とも言われ、意思で動かせる「動物神経」と区別されている。
・「交感神経(活動する神経)」+「副交感神経(休む神経)」の2つに分けられる。
・中枢は「視床下部」にある。
・本能的な欲求、喜怒哀楽の感情を抑えるうちに、大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部の間のコミュニケーションが乱れるため、自律神経のリズムも乱れる。
・心臓の鼓動、血管の拡張・収縮、胃や大腸の運動、呼吸のリズムなど条件反射を作りやすい臓器はストレスの影響を受けやすい。
怖いのは慢性的ストレス
・初期症状は、「眼精疲労」「肩凝り」「筋肉痛」「手足の冷え」「めまい・立ちくらみ」。
・さらに進むと「疲れやすい・疲れがとれない」「腹痛・下痢・便秘」「不眠」「イライラ」
・「人と付き合うのが億劫」「意欲がわかない」などのうつ状態は深刻
Ⅰ期:警告反応期
Ⅱ期:抵抗期
Ⅲ期:疲はい期
ストレスの種類
ストレスを最も感じているのは40代の独身女性
若い世代は現実に適応するのが未熟なために、ストレスを自分で生み出し、
中・高年層は、現実に過剰に適応するためにストレスを抱え込む
→ストレス耐性を高めることが必要。
変化の激しい現代社会そのものがストレス
・大学病院の内科を受診する患者の約40%は、ストレス絡みの心身症。
・自律神経失調症の約30%は、不安症+うつの「混合型不安抑うつ障害」→感情をうまくコントロールできない人に多い
・パニック障害は、ストレスに強く、心の病とは無縁と思われるような人がかかりやすい
共通点は、完璧主義、やり始めたらとことんやってしまう、空腹・眠気、疲れを無視する強迫的ともいえる行動パターン。
・「慢性疲労症候群」は20~40代がかかりやすい。
・「更年期」は、閉経をはさんで前後約5年間ずつ、年齢的には45~55歳頃まで。
・「月経前症候群(PMS)」は、月経が近付くと、不眠、頭痛、吐き気などが現れる。
・過食症・拒食症などの「摂食障害」の大きな原因は「自己評価の低さ」や「家族間の葛藤」。
・最近増えた「非定型うつ病」(前も書いたな
・うつ病の約6割は「双極Ⅱ型」。
・ストレスが原因で起こる慢性の痛みを「慢性疼痛」という。うつ病患者がなる率は健康な人の約4倍。
・中年女性に多く見られる「繊維筋痛症」
***正しい病院選び
症状を自分でコントロールできなくなったら治療が必要。
自分の行動パターンや性格によって生じたものだと認識し、生活の改善を心がける。
(別の本には性格のせいじゃないって書いてあったな
心療内科を受けるポイント
・不定愁訴がみられる。
・内科、整形外科をいろいろ受診しても、はっきりした疾患が見つからない。
・対症療法で改善しない。
・血圧の異常:立ちくらみ、めまいなどの「起立性低血圧症状」を起こしやすい
・睡眠障害は成人の20%にある
注意:「うつ病をみたらがんを疑え」と言われるほど、がんが原因のうつで自律神経失調症が起こることもある。
初診から快方まで
薬物投与で1週間に1~2回の通院→不安定期~安定期は2、3週間に一度の通院→治癒期
良い医師選び
患者の生活のクセをつかみ、生育歴、家族歴、家庭状況なども把握して、生活に基づいた治療をしてくれる医師。
患者の心や立場に理解する目(心)を持っていること。など。
薬物療法はあくまでも補助であり、根本的ではない。心理療法や生活改善も大切。
心配な点は積極的に医師に質問する。
意味もなく薬を怖がる患者、潔癖性が強く、薬を飲むことに罪悪感を持つ患者は多い
めざすところは、薬がまったく不要になることではない。多少薬を飲んでいてもストレスを上手に処理できるようになること。
漢方療法
東洋医学では、病気の原因を「内因」(感情の変化)+「外因」(環境)+「不在外因」(生活習慣)と考え、心と体を総合的にとらえる。
心理療法
患者自身が「自己洞察(気づき)」を深めるのが目的。
自分では気づかない“対人関係をまずくする性格”やそれによるひずみに対処するガイダンスも行う。
カウンセリング
・「受容」「保証」「支持」の3本柱で成り立っている。
日本ではカウンセリングや精神科にマイナスイメージを持ちがちだが、アメリカでは一種のステータスになっている。
・カウンセリングは“人生相談”とは違う。自身に対して正当な評価をしているか、家庭や職場に過剰に適応して無理をしていないかなど、
ストレス状態にある自分を発見し、解決方法を考えていくことが目的。
・成長する過程で「ベーシック・トラスト」(基本的信頼感)が得られなかった場合は、信頼関係が築かれず、転職や対人トラブルを繰り返す。
・幼少期の人格形成にどう影響したかを探る「精神分析的アプローチ」を行うことで原因を突き止めることもある。←わたしのはこれかなあ?
・自己流だと「父母が悪い」「環境が悪い」と他者に責任を押し付けたり、自分を卑下したりして余計傷つけてしまう。
「人生は安らかで愛情に満ちたもの」であると認識し、治癒する意欲を支えること。
交流分析
「過去と他人は変えられない。変えられるのは現在の自分だ」
・目的は、自分への気づきを深め、自己コントロールする、自立性を高める、他者とこじれた関係に陥ることなく、親密な触れ合いを経験すること。
エゴグラム
人生に対する態度「基本的構え」が反映される。
自律神経失調症患者はFC(自由な子ども)よりAC(順応した子ども)のほうが高い
→わたしはN字で、タイプD。「私はOKでない、他人はOKである」だった
対人トラブルが減少する会話パターンとは
日常のパターン
・相補的交流
・交差的交流
・裏面的交流←これかも。親は親の姿勢をとっていても、本当は子どもにすがって安心しようとしている。
子どもは親の姿勢を受け入れ、同時にすがりたい気持ちも暗黙の了解で受け入れる。
マイナスのストロークを出してしまう原因
「ストローク」とは人が人に投げかける言動の意。
「CP人間」物事を批判的に見ている人。相手をディスカウント(評価を下げる)して見てしまう。
「AC人間」人に遠慮し、合わせすぎて、交流が深まらない。「どうせ・・・」と消極的。愚痴や文句もマイナスのストローク。
注意:自分がどんなストロークを出しているか注意する。
ゲームをやめる
「ゲーム」対人交流の中で「つい」演じてしまう、自分にも他人にも悪い結果となる交流。
その特色は、交流後に不愉快、後悔、自己嫌悪、憂鬱、苛立ち、惨めさなどの不快な感情が残ることが、あらかじめ予測されていること。
ゲームをしてしまう目的
・他人の評価や注目を得ようとする
・私はこういう人間だという確認をするため
・自分の時間を消費するため
注意:相手の挑発に乗らない、こちらからも挑発しない
他人の陰口、批判、皮肉などのマイナスのストロークに強く反応しない。自分からプラスのストロークを発する。
ストレスの脚本
自律神経失調症患者は、あと少しで成功という時につまずく「人生脚本」を持ちやすい。
駆り立てられるように仕事に熱中したり、自分を抑えてしまう→子どもの頃の「禁止令」が根底にある。
親のC(自我状態の子ども)から発せられた破壊的なメッセージは、裏面的交流(言葉の裏に真意がある)によって、
子どものP(親の部分)に記録され、「禁止令」となって焼き付けられる。例:「人生は楽しむな、休むな」など
「プロセス脚本」決まったパターンで行動してしまう。
「ミニ脚本」に注意
「いつも遅刻する」など外から観察できる行動は「ミニ脚本」といい、その人の人生脚本を端的に表する。
脚本に陥りやすい時
・直面している状況がストレスフルな時
・直面している状況が子ども時代の苦痛を思い出させる時
「再決断療法」で人生脚本を書き換えることができる
「空の椅子技法」「ゲシュタルト療法」(今・ここでの気づきを大切にする)など。
自分を客観視する力がつき、心を統合できる。
心身のリフレッシュ
・「筋弛緩法」は、自律神経の働きを根本から調整する。
・「自律訓練法」
・「認知行動療法」:「認知(ものの見方や考え方)」「行動」「情動」「生理」などは互いに影響し、環境の影響も受けている。
・心身がリラックスすると、不安、恐怖、痛みが起こりにくくなる。
「森田療法」
悩み、不安、恐怖は排除しようとするとさらに強く感じる。これらは「よりよく生きたい」と表裏一体。
気分や症状を「あるがまま」受け入れて、目の前のやるべきことをとりあえず行って「生の欲望」を建設的な方向に向ける。
内観法
幼少から今まで関わりの深かった人との関係で
1.してもらったこと
2.して返したこと
3.迷惑をかけたこと
を克明に思い出して、自己洞察する。「集中内観」→「分散内観」、「日記内観」もある。
自分の夢を実現させようとする人は、心の健康度が高い。
***日常生活から改善する
・ライフスタイルは、1.生活時間、2.毎日の活動、3.人生観の3つで構成されている。
・日常生活は、食事、睡眠、労働、休養、運動の5つの要素があり、その歪みからストレスが生まれる。
1.不規則な生活習慣を正す
2.体が発するシグナルを無視しない
3.感情を素直に表す
4.休養を十分とる
注意
・過剰な責任感、余計な仕事を抱え込む、効率や結果を優先する偏った価値観に気をつける。
・ストレス度が最も高いのは、タバコを1日20本前後吸う人。
・日本では疲労回復のための「休息」「休憩」が多く、長期間の「休養」がなかなかとれない。
「休養」の養には“人間らしい情操を磨く”“積極的に体力・気力を養う”などの意味がある。
ソーシャルサポートが豊富な人はストレスも少ない
・女性のほうが社会的援助を受けやすい。
・「ファミリーサポート」はストレスに耐えるために重要。生き甲斐、幸福感、存在意義にもつながっている。
・自分から相談を持ちかけたり、気持ちを素直に表現することが大切。
・「自分は愛されない」と自己評価を下げると、ほんの少しの行き違いから人間関係を破綻させる。
「私の最大の勝利は、あるがままの自分と一緒にやっていけるようになったこと。
私は理想からは程遠い人間ですが、自分をそう見捨てたものでもないと思うことにしました」
オードリー・ヘップバーンは、父から見捨てられ、母からは“才能がない子”と言われ続け、自己評価が低かった。
自律神経失調症の子どもを作る親
遺伝・体質が関係する。かかりやすい気質も親から子へ伝わる。
子どもは、親とは違った人格をもつ一方で、親の長所・短所も引き継いでしまう側面ももっている
親がいきいきと生きている姿を子どもに見せること。
***自律神経失調症を治す食事
・イライラのために副交感神経が優位に作用し、強い酸をもつ胃液が大量に分泌され、胃壁がダメージをうける。楽しい食事が大切。
・食事が「楽しみ」より「義務感」になり、早く食べる習慣がつきやすい→よく噛むと脳を刺激し、活力を与え、心を落ち着かせる
○赤身の魚、大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、くるみ、ゴマ
○ビタミンB
×砂糖は少なく
・ストレスに曝されるとたんぱく質が大量に消費される。防御機能にもっとも重要なのは「副腎」。
ストレスにさらされると、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモンの分泌が活発になる。
セロトニンは「必須アミノ酸」(体内で合成できないから、食品から摂取しなければならないたんぱく質)が材料。
○DHAは大腸がん、乳がんのリスクを減らし、アレルギーの抑制にも効果あり。
×マーガリン、お菓子の中のショートニング(トランス脂肪酸)は悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化の危険大!
×「潜在性ビタミン欠乏症」最近の野菜は以前に比べてビタミン含有量が大きく減少している!
○カルシウムは神経の興奮を鎮め、ストレスを抑える。
○鉄分。疲れやすさ、立ちくらみ、動悸・息切れなどは「鉄欠乏性貧血」
×現代人の食事には「微量元素(ミネラル)」が不足している。マグネシウム、マンガン、セレン、ヨードなど
著しい精製や、加工食品の増加が原因。
×加工食品には「リン酸」「リン酸塩」「縮合リン酸塩」が添加物として含まれている。過剰摂取によりカルシウムの利用率を低下。
×糖質、塩分のとり過ぎ。外食は味が濃い。
「JHFAマーク」:健康補助食品として認可された食品。
○緑茶や紅茶などのツバキ科の植物に含まれるアミノ酸の「テアニン」は、ストレスによる心拍数や血圧の上昇を抑え、リラックスを促す効果がある。
○抹茶に含まれるアミノ酸のテアニンは深い瞑想状態に出るα波を出す。
***ストレスをなくす快適生活
趣味
・自分の欲望や願望に素直になれる趣味を見つけ、趣味にまでノルマを課さない
・問題から逃げるためじゃなく、問題解決に近付く手段と考える。
・自分だけの時間と空間をもっている人は、ストレスに強い。
・「ダンス療法」
・週に2、3回程度の運動が健康によい
鍼灸・指圧・マッサージ
心療内科を受ける前に通った経験のある人が多い。
「βエンドルフィン」というホルモンは、痛みを緩和させ快適感を高める。
ヨガや気功
「調身、調息、調心」の3つの原則。
リラクゼーション音楽
音楽療法は、呪術師が治療の際に歌ったり踊ったりしたことが起源と言われ、
古代ローマやルネッサンス時代には、すでに精神病治療に使われていた。
お腹から声を出して歌うのも血液循環によい。カタルシスの効果もある
香り
・植物には「フィトンチッド」という芳香物質が出て、生体の組織を活性化する。
・「香りによって風邪やがんにかかりにくくなる」というデータもある。
・ジャスミンは脳を刺激、ラベンダーはリラックス効果、レモンの香りは仕事のミスを減らす効果もある。
「アロマテラピー」「アロマコロジー(芳香心理学)」なども注目されている。
自然
外に出るか、内にこもるかの手段に関係なく、自由な時間・空間は、自分を客観的に見る「もう1人の自分」を育てることにつながる。
笑い
「自由への道は笑いを通じて入手できる。そしてそれを学ぶまでは、人間は奴隷のままだろう」エリック・バーン(交流分析の創始者)
笑いはがんや糖尿病予防にも効果あり。ナチュラルキラー細胞の活性を促し、リウマチの痛みも改善。
行動療法
「シェイピング(形造る)」「モデリング(手本を真似る)」方法。
自分のイメージに合った生き方をしている人を探して、共感できるところを手本にして行動してみる。
日日是好日
たとえ辛い日でも、するべきことをすることにより、その日が「好日」になる。まず行動すること。
「やっても得にならない」と思って何もしないのは間違い。見返りを期待せずにやることが自己成長のカギ。