メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『地球異変』(ランダムハウス講談社) vol.1

2014-01-29 10:06:17 | 
『地球異変』(ランダムハウス講談社)
朝日新聞社/編

さすが新聞社だけあって、現地に密着した鮮やかな写真ばかり。
地球が発するSOSは、文章で訴えるより、実際の生の写真を観たほうが危機感が伝わる。

本書にも記述があったが、冒頭に取り上げられているのは、写真家・星野さんがかつて暮らしたことがあるアラスカ、
まさにシシュマレフ島の危機が紹介されているほか、著書で何度も出てくる生物たち、マッキンリーの山々などが出てきてショックだった。
星野さんが危惧したとおり、さらに激変しつづけているというリポートが悲しい。

まずは、現状をしっかりと知ることからはじめよう。


【内容抜粋メモ】

「地球第三の極」と呼ばれるヒマラヤでも巨大な氷河はやせ細り、人々は危機にさらされている。
自然の摂理によって制御されてきた地球の精妙なメカニズムが、
この40年で2倍にまで膨れ上がった人口、2.5倍に増えたエネルギー消費によって、大きく崩れつつある。

国境や政体の違いを越えて、エネルギー多消費社会から脱却する道を探ることが急務。
朝日新聞は、2003年から「地球異変」というタイトルで地球温暖化を現場から報道してきた。その集大成が本書。


*************************アラスカ

北極海に面したシシュマレフ島は、海岸の永久凍土が高波に削られ、家屋が次々と倒壊していた。
2007年、夏、北極海の海氷が観測史上もっとも小さくなった。

海に氷が浮かぶ風景は、不毛な世界を思わせるが、実は海に豊かな恵みをもたらしている。
氷の縁は、生物たちの楽園なのだ。


大規模な森林火災の跡地に広がるヤナギランの大群落
2004年、過去50年のうちで最大の270万haが森林火災で焼けた

キナイ半島では「キクイムシ被害」が深刻で、白く立ち枯れた針葉樹が広がる。
焼けて衰弱した木々は、虫害に遭いやすくなる。


落雷か人為的な失火でくすぶり続ける森林@フェアバンクス近郊

●退く氷河
コバシウミスズメ:コロンビア氷河の周りで繁殖期を過ごす。この20年間で7~8割が減った。


北極海の油田からアラスカを縦断する石油パイプライン(約1300km
カリブーの季節移動のルートにも重なる。


土台を失い倒壊した家屋@シシュマレフ島

住民が村ごと本土に移住する計画もある。
極域の自然は脆く、壊れやすいため、地球環境の変化を映す「センサー」と呼ばれる。



*************************シベリア

油田掘削プラント建設のためにつくった道路はツンドラを傷つけている。

昔から放牧をしてきた少数民族ネネツたちに土地の所有権はない。
そこに、開発許可をもらった石油会社が入り、次々とプラントを作り、
化学物質が湿地の水を汚染し、それを飲むトナカイが内臓の病気で死んでゆく。

中国向けに輸出する木材の集積地ダリネレチェンスクでは、丸太を満載した貨車がずらりと並ぶ。
半分は保護地区などで違法に伐採されたものだという。

サハリン北部で進む大規模油田開発
重油などが漏れれば、海流の影響で一番被害を受けるのは、チュレニー島だという。


夏の森林火災で燃えた地中の泥炭が、冬になっても雪の下でくすぶり続ける

●『デルス・ウザーラ』の末裔たち
かつて辺境に暮らす先住民族は、保護政策によって安定した生活を送っていた。
ロシアとなった今、市場原理が生活を支配する。
人々は森を捨てて大都市に出かけ、近代的なマンションに住み、高級車を持とうと競争する。


*************************グリーンランド

●短くなる海氷の季節
NASAなどは、グリーンランドを覆う氷河の年間流出量が10年間で約2.5倍になったと報告。
海氷が解ける時期が早くなり、犬ぞりを使える期間は年々短くなっている。
犬ぞり猟の最中に氷が割れ、猟師が流される事故も増えている。
橇を引くことだけが仕事のエスキモー犬たちは、どんな運命をたどるのだろうか



*************************スバールバル諸島

●ホッキョクギツネ
ホッキョクグマを除けば、自分たちより強い動物はいないこの島は楽園だった。

 
世界最北端にある郵便局から手紙を出すために列を作る観光客。
観光客の立ち入りを厳しく制限しているが、大型観光船の一時立ち寄りは例外。

魚を追って生育域を北に移す鳥もいる。
北の動物にとって、短い夏は繁殖、子育て期。
そこに侵入者がやってくれば脅威となる。


●北極海の氷がなくなる?
予測をはるかに上回るスピードで北極海の氷は減少している。
ほぼ10年で半減し、日本7.6個分も縮小した。

1997~1998にかけての「エルニーニョ現象」が一気に推し進めた。
いったん沿岸部の氷が減ると、氷は風の影響でどんどん動き始める。

北極海から大西洋に流れ出す海氷が増えている。
北極海の黒い海は、白い氷に比べて太陽の日射を吸収しやすく、さらに暖められるという悪循環に陥る。


*************************ヒマラヤ


「ヒマラヤの氷河は、温暖化の影響を探る鋭敏なセンサー」と言われる。

「白く輝くヒマラヤだからこそ私たちは憧れ、その頂点を極めたいと思った」


30年ぶりの空撮カメラがとらえたのは、やせ細る氷河と、拡大する氷河湖ツォ・ロルパの姿だった。
モレーン(氷と岩くずが堆積したもの)が天然のダムとなって大量の湖水をせき止めているが、モレーンは脆い。

湖が決壊すれば、川の下流にあるベディン村は、15分後に大洪水に見舞われる。
女性やお年寄りが川岸に石を積み堰堤を造っていた。

ネパール国内の氷河湖20個に決壊の危機があるという。


「ヒマラヤは私たちだけの宝ではない。一緒に守ろう」


ここにも児童労働があるなぁ・・・



*************************バングラデシュ

●水がひかない

雨期明けから2ヶ月過ぎても浸水地が広がる

3つの大河と幾千もの支流は低地へ広がっていく。
国土の多くは標高3m以下。異例の2回目の大洪水に襲われ、1000人が亡くなった。


知人が見つけてくれた写真1枚だけが唯一の財産

2007年、史上最大級のサイクロンが襲った。900万人が被災、死者・行方不明者は4000人以上。
だが住民は「温暖化? 聞いたことないし、わからない」という。

洪水になると、生活に使う水に汚水が混ざり、下痢に苦しむヒトが爆発的に増える。

家畜の世話は子どもの大事な仕事。

各地で鳥インフルエンザが確認され、大流行が懸念されている。


ハティア島は川の浸食で、別名「動く島」と言われる。

洪水、サイクロン、自然災害に翻弄されるバングラデシュ。
温暖化の原因となるCO2を大量に出している先進国のわたしたちは安全に暮らしているというのに。
まさに地球の危機が迫ってきた今こそ、国境、利害を越えて協力して乗り越える知恵を活かす必要がある。


*************************沖縄

●白いサンゴ
サンゴ礁は、世界の海の約0.2%だが、海の魚の1/4種が暮らしている。
医薬品開発や自然の防波堤としても役立っている。

2006年、サンゴ礁の30%が深刻な損傷を受け、30%は2030年までに失われる可能性があると言われる。
世界の平均気温が1~2度上昇すると、世界のサンゴ礁のほとんどが白化し、
2度以上になると広範囲が死滅すると報告されている。

環境の変化に敏感なため「海のカナリア」と呼ばれる。
(昔、炭坑で有毒ガスを吸わないようカナリアを伴ったことから

 
「ホワイトシンドローム」で左半分が死に絶えている/白い固まりはサンゴの腫瘍


褐虫藻が抜け出して真っ白になったサンゴ。このままだと死に絶える


移植のための稚サンゴ

慶良間諸島の研究所は、サンゴを卵から育てる人工増殖で世界をリードする。
沖ノ鳥島は、波による侵食が激しく、海中に沈めば約40万平方kmの排他的経済水域を失う。
慶良間諸島で育てた稚サンゴを移植するため沖ノ鳥島に運ばれた。



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『地球異変』(ランダムハウス講談社) vol.2

2014-01-29 10:06:16 | 
『地球異変』(ランダムハウス講談社)
朝日新聞社/編


*************************インドネシア

●燃える大地

人が放った火は、森だけでなく、泥炭にも延焼

農地開発等に伴い、泥炭地の乾燥化が進んだ結果だ。
パーム油をとるためのアブラヤシの植林が爆発的に広がっている。
排出されるCO2は年平均20億t。化石燃料を消費して出る8%に相当する。



インドネシアでは、毎年、四国ほどの面積の森が失われ続けている。
焼き畑に加えて、コピー用紙の原料や、ウッドデッキ材などとして、樹木が切り続けられる。
焼き畑をしても、数年たてば作物はつくれなくなり、また焼き畑を繰り返すため森は再生しない。


泥炭層から運河に染み出した水は赤褐色をしている。

●売られるギボン

政府に保護されているはずの国立公園内でも、人の手による森林火災、違法伐採が後を絶たない。
森が減って、ギボンは狭い範囲に集中して住むようになり、ペット業者に捕まりやすくなった。


道路に沿って延々と7.5kmも続く「森の墓場」
違法伐採による丸太は、皆伐するため直径がバラバラなのが特徴。

●苗木を育てる
日本や欧州のNGO支援で、火災の焼け跡に植えた苗木を育て、枯らさなければ、少額ながら定期的にお金が支払われる。
共通するキーワードは、森を守るための「動機付け(インセンティブ)」


6度目の大絶滅
地球の歴史の中で、ここ5億年の間に5回大絶滅が起きている。
今、6回目の大絶滅が進行していると言われる。その速度は、過去の1000倍以上。


*************************オーストラリア


干上がったウィンドリー湖
半世紀前にメルボルンオリンピックでボート競技が行われた場所。

2006年、オーストラリアの「100年に一度」という大干ばつは、日本の讃岐うどんの値段を上げた。


湖岸が後退し、桟橋がとり残された


民家に納品される雨水を貯めるタンク

庭の水やりを巡って住民のトラブル、殺人事件も起きている。
洗車、芝生の水やりなどを罰則付きで制限する州もある。
が、2008年は水害が起きるほどの豪雨となった。


*************************南太平洋諸島

●温暖化で最初に沈む国 ツバル

大潮前後の満潮時、集会所前の広場は冠水する

『砂上の船 水上の家 アラル海とツバルふたつの水物語』(ポプラ社)も参照。

環礁の島々は、大海原を漂う船のように弱い存在だ。
近年は塩害による不作が目立つようになった。


テプカ島の海岸は浸食され、ヤシの木が倒れる

環礁の島は、サンゴ礁のかけらや砂が積もった、脆い地面でできている。
首都フナフティへの一極集中により、湿地や池の上まで住宅がひしめき、浸水被害につながる。



海面上昇で次に消える島 バサフア島


IPCCが予測する100年後
1980年代に温暖化を予測した当初は、「人為的な影響ではなく自然変動だ」などという意見もあった。
気温上昇は、感染症を媒介する蚊などの生息域を広げる。

 
このまま使い続けると、石油は41年、天然ガス63年、石炭147年分しかない。
「対策はもう待ったなしなのです」


*************************ガラパゴス諸島

世界自然遺産第1号の島は、2007年、緊急な保全策が必要な「危機遺産」となった。

 
リクイグアナ/グンカンドリ

天敵がいないため動物たちはあまり人を恐れず、野鳥も写真撮影に望遠レンズがいらないほど。
島に寄港した船乗りたちは、大量のゾウガメを殺して食べ続けたため、個体数が激減。

ガラパゴス諸島は、かつて大陸と地続きになったことがない「海洋島」のため、
島の生物種同士の競争が厳しくなく、外来種が入ると、固有種は一気に脅かされる。
在来植物は約500種、外来植物は約800種。

●エコツアーの先進地
1人のガイドが案内できる観光客は16人まで。
観光の中心サンタクルス島では、年間10万人以上が訪れる。
水道水から基準を大幅に超える大腸菌が検出された。
諸島を領有するエクアドル政府は、厳しい選択を迫られている。

『ガラパゴスがこわれる』(ポプラ社)も参照。


*************************アマゾン

 
森林に開発道路が走る/森を焼いた後は、肉牛を放つのが一般的

世界最大の熱帯雨林が広がるが、各地で違法伐採が横行している。
木材業者は、勝手に森に道路を造り、木々を根こそぎ切り倒す。
伐採跡地は焼かれ→広大な牧場に変わる


熱帯雨林を切り拓いた広大な大豆畑

日本も資金援助や専門家の派遣などで開発を後押しした。2007年の生産量は世界2位。
バイオエタノールの原料となるサトウキビの増産も進む。


野生のカワイルカとたわむれる地元の少女

開発が進み→人口が増加し→魚の消費が増えた→漁師は魚をとられまいとイルカを殺している


バイオ燃料は地球を救う?
主なバイオ燃料は2種類。バイオエタノールとバイオディーゼル
バイオエタノールの3/4はアメリカとブラジルが生産している。原料はサトウキビとトウモロコシ。

ヘンリー・フォードが開発したT型自動車は、エタノールを燃焼にする計画だった。
ルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルエンジンも、ピーナッツ油が燃料だった。

バイオ燃料をつくるために森林が切り開かれ、原料の価格が高騰している。
「世界で何億人も飢えに苦しむ中で、穀物で燃料をつくる必要があるのか」という批判も多い。


*************************アフリカ


旧市街の建物は砂に飲まれて扉まで埋まっている

砂漠の広がりで遊牧民の生活圏が狭まってしまった。
水や牧草地を巡る農民と遊牧民のトラブルが深まっている

砂は内陸部の町を飲み込み、じわじわと広がっている。
昔はナツメヤシの林が青々と茂っていた。


「馬上の悪魔」と呼ばれるジャンジャウイードの攻撃で焼き討ちされた村の廃墟


ミレットが育たない

「高地マラリア」
マラリアは、エイズ、結核と並ぶアフリカの3大感染症の1つ。
免疫力の低い子どもたちの命が狙われている。
住友化学が協力した蚊帳工場の利益で小学校に新校舎が建った。


援助で配られた蚊帳は、小魚を干すために使われていた


*************************南極


アゴヒゲペンギンが乗った氷山

地球上の氷の9割を抱える南極。
最近、氷の動きが速くなり、氷が減りつつある。


スノーアルジー
気温上昇がもっとも激しい場所の1つで、雪氷藻類が大発生している。


雨でずぶ濡れになったジェンツーペンギン
撥水性のない羽毛に水が入ると凍って凍死してしまう

 
上陸する観光客/かつての捕鯨基地が放置されている

南極は世界で唯一、国境のない大陸。南極条約によって領有権が認められていない。




問題は変化するスピードの速さ
20世紀は「人間活動が爆発的に膨張した時代」と言われる。
穀物生産は7倍、鉄鋼生産やエネルギー消費は約15倍、アルミニウム生産は数千倍に伸びた。

「今の100年は、昔の地球の1000万年の変化を地球上に起こしている」東京大学・松井孝典教授

1億年近くかけてつくられ、3億年間地中にあったものが、200~300年で掘り出され、燃やされようとしている。

1972年「成長の限界」という報告書では、
「今の成長率が続けば、100年以内に成長は限界に達し、制御不可能な人口・工業力の減少が起こりうる」と警告した

最大の外来種はヒトなのかもしれない。


追。

巻末に「FSC ミックス品」マークがついていた。
この本は、森林環境保全に配慮し、地域社会の利益にもかない、
経済的にも持続可能な形で生産された木材からつくられた紙を使用しております。


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TO ZION

2014-01-29 09:39:26 | 日記
ブラサキラジオ2014.1.28 OA

♪There Is Something On Your Mind

【ユキさん(1965生)の武勇伝コーナー】
Cohさん「まず48歳って時点で面白い」て/爆

その他にも
・高円寺にて。何もしてないのに、子どもに指さして爆笑された。
・ステージの真ん中に立っただけで笑いがとれる。
・肉じゃがのエピソードはスナック宇宙でも聞いたね。

【居酒屋コーナー】
サボテンで行った北九州のお店を紹介。

【Cohさん+修二さんの(真面目な)音楽コーナー】

♪Bebop Spoken Here/Charlie Barnet

初期のビバップとのこと。底抜けに明るくて、カッチョいい!



その他のトピックス。

ふたりの時計

 

ムロさん、アイドル路線なのでしょうか?w
なぜか静止画。途中ときどき動画。
あ、このペンギンさん、スカイツリーの中の水族館だ→here


モツナベの緊急取調室 田中哲司さん・後編

 

「グレー」を「グレン」と言ってしまったシーンについて。

それに対する被疑者の言い分は、
「いや、もう疲れてて、これくらいの噛みはいいだろう」
「無表情で、触れないでねって思ってたら、天海さんが許してくれなかった」w

 

「役者同士のバトルが観れます。ボクは入ってないですけど、その中には」
後編も面白かった




図書館で借りたCDシリーズ。
自宅のカセットテープをデジタル化していく、ひとりリバイバルコーナー。

The Miseducation Of Lauryn Hill/Lauryn Hill
たしか『WOMAN』てコンピで♪EX-FACTOR が気に入って借りた1枚。
息子のことを歌った♪TO ZION も聴くたび鳥肌がたつし、
ボーナストラックに大好きな♪君の瞳に恋してる がステキアレンジで入ってて嬉しい。


スパイク/PUFFY
やっと♪プールにて が聴けるv


miss M./中島みゆき
初めて自分でカセットテープで買ったアルバムだから、このテープはさすがに捨てられないんだけど、
何度もリピートしてるうちに、やっぱり伸びちゃったんだよね



「lyrics」もアップしました。


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