メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ドラマ『かなたの子』

2014-01-31 22:25:13 | ドラマ
ドラマ『かなたの子』
出演:坂井真紀、井浦新、宮将、満島ひかり、永瀬正敏、藤村志保 ほか

たまたま観たドラマ『紙の月』に心動かされて、原作が角田光代さんと分かって納得。
その他の作品も調べて観てみた。
「日曜美術館」の司会でしか見たことない井浦新さんが出ててカッコいい。


●第1話「巡る」
山岳ガイド・野澤が率いて富士山に登るグループ。イトコは朦朧とする意識の中で亡娘ナツキを見た。

「山は生きている者だけじゃなく、死者もたくさん歩いているんです」

縁結びのため、病気治癒のためなど、それぞれ登山目的が違う。
ある女性は、亡夫の遺体を18年間火葬もせず手許に置いておいたが、気持ちに区切りをつけたいと漏らす。

「忘れてしまうくらいなら、苦しむほうがいいと思います」

イトコは、幼い頃に祖母の家に預けられ、母に捨てられた。
祖母から、村はずれの寺にあるという即身仏(ミイラ)の話を聞く。
その昔、ミイラとなった上人に質問の答えを聞く「お道ゆき」という慣習があったが、
ミイラは、罪人だということが分かった(『湯殿山麓呪い村』みたい・・・
イトコは村の友だちと見に行ってみると、廃墟となった寺の奥にはまだミイラがそのまま放置されていた/怖

「わしは怖かった。罪から逃れる姿に自分を重ねちもうだ」

富士山って、こんなに木も草もない砂地ばかり続く道なんだな。登山というより苦行だ。



●第2話「道理」
第1話で途中から登山に加わる若い男・岩渕啓吾の話。
妻・シズエと不妊治療のことでケンカして、昔の彼女サクミに電話する。
(5年も前の恋人に電話する気持ちは分からないなぁ。自分でフっておいて番号を残こしてる時点でおかしい。。

ヨガの講師・佐和に「運命の人じゃなくて、運命そのもの」だと言われ、サクミと別れて付き合い始める。

「運命に出会った。僕にはどうしようもない。それが道理だから」
「道理ってなに? 私も勉強するから!」泣きつくサクミ。

サクミの家で手料理を食べ、メールのやりとりをしていたが、それがエスカレートして迷惑メールが大量に送られてくる。
(すぐ着信拒否して、交番に届ければいいのに。ストーカー犯罪がまだ知られていない頃か?

「この世には決められた1本の筋があり、人はみなそれを辿って生きているのかもしれない。
 それこそが正しい生であり、それを無視したり、外れたりすると、
 とんでもないしっぺ返しをくらうのではないか。
 道理というものを無視してしまったら、着実に捻れていってもう修復不可能なのではないか」


満島ひかりちゃんらしい役だね 不法侵入だけじゃなくて、家のベッドに寝てるって怖すぎる。
ケイゴは優柔不断なハッキリしない男で、見ていてイライラした。
チャリティを装ったカルトかぁ。みんな何かにすがりたいんだな。
トランス状態になった姿も怖いし



●第3話「同窓会」
野澤は山伏(行者)。普段は在家でガイドをしながら、時々修行しているという。
山小屋の主人マコトとは、小さい島の少人数の小学校時代からの同級生。その野澤の話。

「なぜ山伏になったんですか?」
「友を弔うため」

マコトの個展に呼ばれた同級生たち。飲み会で、当時、事故で亡くなったダイゴの話になる。
その後、リョウイチ、野澤、トシエ、マコトの4人で集まり、ダイゴの事件を思い起こす。

マコトが持ってきた古い旅行用スーツケースの中に入る遊びをしていて、
ダイゴを入れて鍵のダイヤルを回してしまって開かなくなり、
どうしていいか分からずに、怖くてそのまま置いてきてしまう。
翌日、遺体で発見されたダイゴ。
その後、4人は真実を言えぬまま、暗闇になるとパニックを起こす症状を抱えながら25年経ってしまった。

野澤は富士山の修行を始める(「六根清浄」って富士講なのかな?

「どうにも逃げ切れないと分かったから、こっちから捕まることにしたんだよ」


「オレな、おまえと一緒に遊びたかった」


スーツケースの中に入るなんて、想像しただけで苦しすぎ
誰も悪くないからこそ、どうしようもない悲しみが襲ってきて号泣してしまった。



●第4話「かなたの子」
そして、最後はイトコの話。
離婚後、夫は養育費を払わず、イトコは朝4時頃からチラシ配り、夜までお絞り工場でパート勤務で疲労困憊していた。
娘ナツキは、孤独感から次第にイトコを困らせるようになり、ある日、とうとう首を絞めて殺してしまう。
心神喪失ということで3年の刑期がつくも、祖母の家で心身を休める。
(どうして母親は全部1人で抱え込んでしまうんだろう。ここにも追いつめられたシングルマザーの姿がある

ミイラは土に埋められて、寺ももうないという。

「どうせ罪からは逃げられない」

祖母は、家を出て行った母親について初めて話す。
最初の子を流産したショックで心のバランスを崩したのは、自分が責めたからだと深く後悔していた。

「ナツキを強く抱きしめると、私も抱きしめられたいと思うの。私なんか生まれなければよかった」
「死んで楽になるなら、ばあちゃんが殺してやるから、それまでは生きろ!」

こんな悲しい負の連鎖、止まらないものなのか。

夜通し富士山に登り、イトコは再びナツキの幻影と出会う。

「何度も会ってたよ。何度も、何度も」
「また、いなくなるんだね。ママとナツキは、何のために出会ったの?」
「それでも、また出会うよ」

悲しみは消えない。消えないで、背負い続けたまま、生きていくんだ。
人の業を描いた壮絶なドラマだった。





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notes and movies(2003.2~ part1)

2014-01-31 09:21:41 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はスカパラの切り抜きが貼ってある透明なルーズリーフからご紹介。

  

photo1:ロッキングタイムほか@野音
photo2:PE’Zもいる。
photo3:ミシェルも見たv

昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『新・仁義なき戦い』(2000)
監督:阪本順治 出演:豊川悦司、布袋寅泰、佐藤浩市、岸部一徳、村上淳、松重豊、哀川翔 ほか
これがシリーズで今のところ最新。音楽も布袋さんが担当。
最初のつかみを使った今っぽいロック系と、ラストはヤクザ映画にありがちな渋い歌謡曲系。
話はやはり組長の座を争う内部抗争。
だいぶ静かな争いがホラーと同じで、指をつめたりする基本的ルールは今でも変わってないのね。
やってることはずーーーっと同じなんだな。キリがない。

どんどん若い連中(主に暴走族とかをスカウトしてるらしい)を取り込んで、
この不況下でも様々なビジネスをやって活動を続けてる。
下っ端から始まって上へのし上がるには、サラリーマン以上に厳しい世界じゃないかな?
上下関係もハンパない。時に体育会系な情も絡めてる。
だんだん男性ホルモンが薄くなってきてるし、昔ほど凄みのある男がいなくて、そのうち弱くなってこないかな。
しかし土木系だけじゃなく、「○×経済事務所」なんて看板もあるんだ。
黒い車といかついオジサンたちがいなかったら一見分からないよね。


『チョコレート』(2001)
監督:マーク・フォスター 出演:ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーントン ほか
初の黒人女優オスカー作品ということでいかにアカデミーが偏ってるか改めて分かった。
『マルコムX』『アメリカン・ヒストリーX』ほか同テーマは繰り返し描かれ、
そのつど波紋はよんでもなかなか根絶しない根強い差別意識。

「黒い女を抱いてこそ男だ」

アメリカ映画はあくまでもハッピーエンドにしたいらしい。納得できたのだろうか?
報復は憎しみしか生まないが、差別の家に育ち、そう簡単に考えが根本から変わるか?
ヒロインがハル・ベリーほど美しくなかったらどうか?

今作のように差別は、親や環境から受け継がれているもので、それ自体深い理由などない。
人には生まれつき良心があって、差別主義ですらその矛盾に無意識では抵抗を感じ、苦しいことだろう。
ここまで極端でなくても誰でも心の中に優劣を作ることがある。
自尊心のためだったり、恐怖心からくるもの、この2人の男女のように
どん底の悲しみを共有することでしか同じ人間だと気づけないのは悲しいことだ。


『サイン』(2002)
監督:M.ナイト・シャマラン 出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス ほか
思った通りのB級ぶり。妻の死に泣けもせず、宇宙人との対決に恐怖も刺激もなく、
政治的陰謀もなく―――唯一コメディとしてなら観れる1作。
やたらとアップの多い撮り方が素人臭いし、ひいた男はMr.ビーンソックリw
奇跡を信じろという宗教映画か。

逆光を浴びて、なんか足がいっぱいの、着ぐるみのモジモジ君に近い。
『シックス・センス』では、あんなに緻密なプロットと、
真に迫る映像でアッと驚かせた監督がなぜこんなことに・・・
F氏がオススメの誕生パーティのビデオに写った宇宙人もデカすぎる。
以前“これマジ!?”で流した小人型のほうがカワイクて好きだな


『ドニー・ダーコ』(2001)

監督:リチャード・ケリー 出演:ジェイク・ジレンホール、ドリュー・バリモア ほか
『シックス・センス』的ドンデン返し。
限られた時間と着ぐるみウサギ、カッチョいい主演男優がブッ飛びまくり。
バリモア出演が不安だったが、怪しい彼とともに意外な使われ方をしていてgood!
絶望感漂うREM風音楽もハマってる。

そんなに自分の死期が知りたいか? タイムリミットが分からなきゃ楽しめないか?
“リヴァースムーヴィー”が流行ってるなあ。
腐った大人と、ダルイ学校、異常と正常の境が分からない日常。

「自分の最期を安心して迎えるために夢に見せてもらいたい。やりたい事がたくさんあるので」

でも一体どこまでが妄想なのか?
本人はよく納得しても、死で最も辛いのは残された家族ではないのか?


『THE X-FILES SEASON 6』
監督:クリス・カーターほか 出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン ほか

【FILE No.609 Terms of Enderament】
久々の再会! この曲聴くと心が落ち着くw それにしてもなんだかなぁ。
『ローズマリーの赤ちゃん』のパロか。ここまでくるとブラックジョーク。
X-FILEは超自然現象をなんとかリアルな現実的こじつけ理由をつけて、
少なくともスカリーが納得するように作るところがミソだと思うんだが・・・
元妻に魂を与えるこの悪魔「ノーマルな子どもが欲しかっただけ」ってイイ奴じゃんw


【FILE No.610 The Rain King】
今度は究極の雨男w ほんとにネタに困ってきてるみたいね。
♪Over the Rainbow が流れる中、これまたウソっぽいほど夢みたいな虹の風景。
「スカリーみたいな魅力的な女性と一緒にいて何もしてないだって?」
S「モルダーが恋の相談相手? あなたが最後にデートしたのは一体いつのこと?」
などのギャグもまじえつつ、恋のキューピッドになった2人のほのぼのエピソード。


『クローン』(2001)
監督:スペンサー・オーラム 出演:ゲイリー・シニーズ、マデリン・ストウ ほか
ゲイリーファンのための1本か?w あとSFファン。
でもストーリー展開としては物足りない。近未来ものでは金がかかってるほうだが。
スパイ同士と知らずに愛し合ってたってワケ?ってゆー悲哀が残るSFらしい結末。

人の体温を感知したり、脊髄の部品で犯人を確実に追う未来の捜査や、
切り傷をシューっとふさぐ医療器具、手形でロックするドアetc...ステキな未来世界アイデア満載。
『タイムマシン』にはこの要素が足りなかったからSF映画としちゃ弱い。

が、なんといっても今作の見所はゲイリーv 『ザ・スタンド』の頃のステキな姿復活
いつも苦虫噛んでるような目元、ほどよく鍛えられてるスレンダーボディ、
危機に追いつめられる演技も素晴らしい~。
完璧な美にちょっと老いが見られるマデリンもSFづいてる。


『ムーラン・ルージュ』(2001)
監督:バズ・ラーマン 出演:ユアン・マクレガー、ニコール・キッドマン ほか
オーソドックスに時代を再現したミュージカル映画を復活させて笑わせるのかと思いきや、
あのパンク風『ロミ・ジュリ』を撮った監督らしく、ヒップホップをカンカンで踊るハイテンション。
話はありがちだがきっちりボリュームある作品にまとまってる。

アップがこれまた満載なのが気になるが、とりあえずニコールは、たとえ汗びっしょりでも、
涙ひとすじ、口から血ひとすじ流してもパーフェクトな美しさ
透明なソプラノも披露。おとぎ話風ストーリー。
考えてみれば公爵は悪くない。ってゆーより金目当てにダマされた可哀相な男じゃないか

挿入歌が他にも♪HERO、♪Sound of Music などなどアレンジして、隠れネタ探しも楽しいかも。
DVDだとなんでもメイキングを見せて夢の種明かしをしてしまうが、撮影方法を見せたら興ざめだ。
映画が夢やマジックでなくなったら意味がない。

古い街並みをなめるようなカメラワーク、オモチャみたいにキラキラしたセットで、夜歌う恋人のシーン、
次から次へと妖しいメイクと衣装のダンサーが踊るショーのシーン、
夢の舞台裏は観客に見せないほうがイイ。


『穴』(2001)
監督:ニック・ハム 出演:ソーラ・バーチ ほか
予告編にも使われてる最初のつかみが効いてる!
フラフラブンブン(ハエの音)歩いてる少女が学校の電話から119していきなりキャ~~~
と見事な叫びっぷり。穴の中で何があったのかウソの証言に友人の証言。
最後まで引っ張られ、真実を知った後もモヤモヤが残る。

少女の情熱に任せた未熟な愛情。
相手を神格化し、所有できないなら共に死んで永遠に一緒になれると錯覚する。
確かに直接殺人はしていないが、監禁し死に至らせた立派な犯罪だろうに。
少女が原因だとは思わない周囲の先入観を見事に利用し、逆手にとってる。

おいおい、カウンセラーが警察にひと言話せば内側ドラ他、物的証拠はいくらでも見つかるだろうに。
暗い中に食糧もなしに閉じ込められた時の人間の恐怖と衰弱からくる異常行動は計り知れない。
フラッシュライトに照らされるクレジットの演出効果がまた効いている。


『ドールズ』(2002)
監督:北野武 出演:菅野美穂、西島秀俊、松原智恵子、三橋達也 ほか
なんといっても絵がキレイ 桜から始まって、夏の海、真紅の紅葉、そして雪の白。
日本の四季を舞台に、三様の男女物語が限りなく静寂に綴られてゆく。
暴力的なヤクザ映画から始まった北野作品。
歳を重ねるごとに深く穏やかな心象風景の変化が分かる。
次作『座頭市』も完成前から世界が待ち望んでいるし。

文楽劇がたっぷり5分プロローグとして挿入され、生きているような人形の男女の表情。
和を感じさせる色鮮やかな菅野の衣装が目を引く。
深田の歌うポップスは、なんと小西康治作曲。いろんなところに絡むねえw
人形のように抑えた演技。とゆーか全編歩くだけだが、様々な心情の動きを内包している。
が、皆死につながるのはなぜか?
あっけなく命は消えても、誰かを想う気持ちだけ温かく残り、自然の美しさはそれを静かに見守り、彩って余りある。

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notes and movies(2003.2~ part2)

2014-01-31 09:21:40 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『鉄男』(1989)
監督・脚本・美術・照明・編集・撮影・出演:塚本晋也 出演:田口トモロヲ、藤原京、石橋蓮司 ほか
ひやむ推薦。インパクトあるタイトルとジャケット写真で気にはなっていたが、
こういう前衛&試験的なのは体調のいい、時間にゆとりがある時じゃないとね
病気そのものってカンジ。地獄で見続ける悪夢。
安心して死ぬことすらままならない。こういう作品って“付き合わされる拘束感”を感じる。

まさに自作自演の低予算。藤原は衣装や助監督も兼用。ヨーロッパのなんか賞をとったんだっけな?
TVチャンピオンの特殊メイク選手権に出れるよ。カラーじゃとても耐えられまい。
ゴールデンタイムだってムリだ。子ども、大人だってコレを観て「カッチョいい~」て真似する奴も出かねない。
一応、撮影風景は和やかだったっりして。カットの後「今の笑えるよねー!」みたいな。
たしかモックンの出た『双生児』も同監督? アレも独りよがりでワケ分かんなかったな、長いし。


『まぼろし』(2001)

監督:フランソワ・オゾン 出演:シャーロット・ランプリング、ブリュノ・クレメール ほか
静かな映像が自然なリアリティを演出。子どものいない熟年夫婦に訪れた突然の死。
泣き叫ぶわけでもなく、ただ受け入れることを拒んで日常に戻されてゆくという現実。
誰かを愛するということは、その人の死さえも受け入れることでもある。
ランプリングの自然な内部から湧き出る知性と美しさ、抑えた演技が、
テーマをより深く訴えるにふさわしいものにしている。

「自殺するような一族じゃない。男の夢を追って家出したんだよ。あんたに飽きたか、家族も作らないから」
「老人ホームより精神病院に行くべきよ」
「あんたのほうが先に入るさ。母と子の絆をナメちゃいけない」
「私は妻よ」
こんな会話が哀しい。近い関係で愛すればこそ傷は深く受け入れがたいんだ。

新しい恋人を見つけるべきかもという思いと、夫への未練、罪悪感が
眠る妻に触れる2人の男の手で表現されているのが象徴的。
老衰による自然死ならまだしも、まだ若いうちに亡くしてしまった、残された家族の悲しみと絶望、
どうしようもない空虚感は想像もできない。
それでも自分の人生を生き抜く力もやはり持っているのが生命の力。


『インソムニア』(2002)
監督:クリストファー・ノーラン 出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ ほか
犯人当てミステリーではなく、ベテラン警官を巻き込むことで“人が人を裁くこと”
“何が正しく、何が罪なのか?”を深く問い質す作品になっている。

良心の呵責から不眠症になり、精神も体も限界になることでタイムリミットの緊張感も生まれる。
同僚を撃ってしまった男は、刑事として犯人を挙げる正義感と、良心に苛まれ、
結果死ぬことで永遠の眠りと安息を得られるというラストが哀しい。
刑事役が板についてきたアル・パチーノと、変質者づいてる?ロビンのベテラン競演が見所。
アメリカ田舎の壮大な自然美が素晴らしい。

ロッジの女主人が証拠捏造についてどう思うか訊ね
「その時正しいと思ってしたことなら、それとともに生きるしかない」という答えがイイ。
善悪は必ずしも常に完璧に白黒つけられるものではなく、ましてや、一警官、一判事の判断ですべて解決するものでもない。
その時何をすべきかは、自分の良心の物差ししかなく、それが正しかったか、失敗だったか、
どちらにせよ、一度下した決断は消せない過去となる。


『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)
監督:ウェス・アンダーソン 出演:ダニー・グローバー、ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ビル・マーレイ、
グウィネス・パルトロウ、ベン・スティラー ほか ナレーション:アレック・ボールドウィン
本を読む感覚で進む。淡々としながらも変テコファミリーがひとつにまとまるまで。
多彩なキャスト皆クセがあり、ファッション、音楽で醸し出す'70っぽさがハマる。
ヴァン・モリソン、ヴェルヴェッツ、ニコetc...

マンガのような静止画と抑揚のないセリフ回しがなんとも言えない。
親子、兄妹の愛情表現は十人十色、何十年ものブランクも古い傷も
誠意ある言葉と、たった数日間でも取り戻せるだろうか。

こんな風に和解して納得して最期を迎えられるのは幸せなことだろう。
ビーグル犬が可愛い(轢かれちゃったけど・・・


『御法度』(1999)
監督:大島渚 出演:ビートたけし、松田龍平、武田真治、浅野忠信 ほか
大島渚の復帰作品。『戦場のメリークリスマス』 のメンツ以下豪華スタッフでの時代劇。
とはいえ、幕末のせいか、イスに座ったり、考え方、喋り方も現代風。しかもテーマが侍のゲイ騒動。
たけしさんが珍しく?一番冷静で公平な立場。時代の変化は武士魂を失わせ、統率力も落ちたと見える。


『華の愛』(2001)
監督:ヨン・ファン 出演:宮沢りえ、ジョイ・ウォン ほか
ここ最近は宮沢りえの当たり年。今作と国内の時代劇で賞を総なめした。
まだヤセすぎくらいと思うが、その美しさに円熟味が加わり、女優として大輪の華を咲かせたというところか。

今作は時代の変化とともに衰退していった貴族社会と、それに翻弄された2人の女性の
同性愛にも似た愛情物語をまったりと描いている。超高音で歌われる伝統的な歌が作品を彩る。

ラストが曖昧で物足りないが、敢えて湿っぽいドロドロした部分を省略したのだろう。
複雑な思いに悩み苦しむジョイ・ウォンの演技力の確かさ、これ以上ない男性の魅力を持つ男優にも注目。


『チャーリーズ・エンジェル』(2000)
監督:マックG 出演:ビル・マーレイ、ドリュー・バリモア、キャメロン・ディアス、ルーシー・リュー ほか
女性アクションものが続く中、三様の個性と美貌の3人が見せる本格アクションは痛快!
TVシリーズを一新させて、こちらもすでに2を製作中の上、『新絶叫計画』でもパロられてるあたり、
分かりやすいギャグと展開、お色気サービスたっぷりのハリウッド娯楽の王道。
数十曲のノリノリサントラの中には、なんと!ピチカート・ファイブもあり、
Fatboy Slim 、ロッド・スチュアート他豪華アーティスト目白押し。

開放的すぎて車狂のキャメロン、ワルのドリュー、機械ものに強く、俳優と付き合ってるルーシー。
ちょっと鍛えてあれだけになれるなら大したものw
でも、どんなに強くても、イイ男には従順で、チャドって男に支配されてるんだよね。
レース会場でのドリューのお色気作戦ほか、スキなしのボディをフルに使って、
いろんなファッションに身を包み、やりたい放題の開放感も観ていて楽しい。


『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1989)
監督:アキ・カウリスマキ 出演:マッティ・ペロンパー、カリ・ヴァーナネン ほか
同監督の新作『過去のない男』のサントラにCKBが使われるとのこと。以前聴いてファンになったらしい。
フシギなリーゼントに、同じくとんがった靴の大所帯バンドは、今作のヒットで来日も果したとか。
民謡から急にロックもできちゃうところが可笑しい。
星の数ほどいる明日のスターを目指すバンド。客の心を掴む、掴まないって実際何がポイントなのか?
見た目インパクト+演奏レベル+曲の良さ?

「なぜウケないか? 顔色が悪いからだ」

死体を運んでいるのを咎められ、留置所に数日間入れられてる間もずっと缶を叩いて音楽好きなのが笑える。
ホーンもしっかり入るとけっこーイケる音v 続編も作られたが今作ほどじゃないとか。


『キューティ・ブロンド』(2001)
監督:ロバート・ルケティック 出演:リーズ・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン  ほか
F氏オススメ。観て3日も経ったから細かいところまで覚えてないが
アメリカン・ドリームの女の子版。途中所々安易な展開はあるけど、軽いラブコメで観た後爽やかだからOK。
ペディキュアの中年女性と仲良くなり、配達人との間もとりもつ。
落し物を拾って、胸を張りながら起き上がるやり方は、成功率90%の男の落とし方とか? うーんアメリカでのみ通じる?
F氏曰く「ヒロインの顔が好きじゃなかったけど、観た後可愛く見える」んだとかw


『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)

監督:クリス・コロンバス 出演:ダニエル・ラドクリフ ほか 戸田奈津子訳
待望の第2作。ポスター等ではトビーがクローズアップされてた。
奇しくも同時期に、しかも同じく3部作で、同じファンタジー原作ものの『ロード・オブ・ザ・リング』
の2作目にも似たようなゴブリンが出てきて、まともに張り合ってる感じ
私は今シリーズのほうが好きだが、けっこー話が込み入ってきたから、子どもらが観て理解できるのか?

ハリー役の子が急に大人びてビックリ ロンは声変わり?
どんどん成長してゆく彼らのもっとも儚く、美しく過ぎ去ってゆく時代を夢物語とともに
急ピッチに記録しているタイムリーさがなんとも言えない。
ジニー役の子も妙に色気があるし、エセ教師役にはケネス・ブラナーがはじけている。
しかし、重要な校長役が本作を撮って亡くなったということで、残る1作をどうするのか気になる。
CGシーンも1作目は多少機械っぽい部分が残っていたが、今作ではより自然でスピーディに展開してゆく。
ストーリーに溶け込み、リアルなマジックワールドに完成v

「生まれより、何を選択するかで人間が決まる。自分で決めるんだ」みたいなセリフがとてもイイ。
トビーはHの機転で主人から靴下をもらって奴隷から自由の身となる。

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notes and movies(2003.2~ part3)

2014-01-31 09:21:39 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづきで、このノートのラスト。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ザ・リング』(2002)

監督:ゴア・ヴァービンスキー 出演:ナオミ・ワッツ、マーティン・ヘンダースン ほか
怖かった~~~ 日本版を最初に観た時の衝撃ほどじゃないが。
これだけお金かけてリアルにリメイクされたら、お客さんが可哀相だ
観客インタビューで「ホラー好きでよく観てるけど、こんな怖いの初めて~~~」って言ってたのも分かる。
ほぼ日本版通りだが、さすがに貞子じゃなく馬の話になってた。アメリカ人にはそのほうが分かりやすいからか?
で、続編『らせん』も作るかな? ワッツは来日もしたし、新作も続々。

これは見せられたほうにゃたまらん反則行為だよね~
でも見ちゃう人間の好奇心ってほんと食えない・・・ほんと、このプロットってうまくできてる(感心
キング・オブ・ホラーのS.キングも思いつかないだろう。ホラーの夜明けか?
これで日本ホラーの輸出が増えたら面白い。金田一耕助シリーズとか思い切りドロドロ系のやつ。


『マリー・アントワネットの首飾り』(2001)
監督:チャールズ・シャイア 出演:ジョナサン・プライス、ヒライリー・スワンク、クリストファー・ウォーケン ほか
以前読んだ『悪魔(デイモス)の花嫁』の話(王妃にソックリな娼婦が、
一夜の名声と富、愛欲しさに処刑の身代わりになる)かと思ったら全然違った。

フランス革命の引き金ともなった首飾りを巡るスキャンダルという実話に基づく中世劇。
事件関係者が本を書いて騒がれる形はこんな昔からあったらしい。
ここでの王妃は贅沢をしながらも民衆の支持を切望し、命もいとわない女性に描かれている。
過去のことは人の口に伝えられるかぎり、様々な主観によって歪められる。真実はどうだったのか?
波乱万丈とはこのこと。民主主義の現代になっても、政治、宗教、金、スキャンダルの縁は切れない。


『クロエ』(2001)

監督:利重剛 出演:永瀬正敏、ともさかりえ、塚本晋也、西島秀俊 ほか
ボリス・ヴィアンの不条理で無限に自由な世界を、多少設定は変えても大切に映像化したのが
日本で今の時代だということに驚き、そして嬉しい。本人はどうだろうか?
とてつもなく絶望的な結末なのに、ここまで美しく純粋な感動の余韻が残るこの傑作が
当時なぜ受け入れられなかったか不思議でならない。
ヴィアンに巡り会わせてくれたひやむ、ひいてはスカパラに感謝

少年が小説のネズミの代わりか? 医師が高太郎を慰めるために妻の写真を見せるシーンもちゃんと入っている。
いつもはキレた役が多い永瀬が優しい青年を好演。塚本さんまでリンクしているのにはビックリ。
やわらかな音楽と、2人の親密さと絶望感を表す部屋の照明が原作のイメージより、ずっと暖かなのが分かる。
これを機にヴィアン作品を全部映画化ってどーかな? 不条理さもそのまま、より原作に忠実なままでv


『プレッジ』(2001)
監督:ショーン・ペン 出演:ジャック・ニコルソン、ベニチオ・デル・トロ、ロビン・ライト・ペン ほか
予告編に感動して、観てみたら、泣くよりも胸騒ぐサスペンス劇。
豪華なキャスティング、渋い音楽の使い方、そして大ベテラン、ニコルソンの演技が見事。
止まらない幼児誘拐、レイプ、殺人、行方不明でも犯人が死刑になっても、
わが子を失った家族らの深い悲しみは消えない。

ハッピーエンドと思いきや、真実もハッキリしないまま寂しい終わり方。
が、このほうがよりリアルに恐怖と孤独感が伝わる。
平和な日常が描かれるほど、その裏に潜む暗い影がヒシヒシと伝わり、緊迫感が伝わる名演出だ。


『シンプル・プラン』(1998)
監督:サム・ライミ 出演:ビル・パクストン、ビリー・ボブ・ソーントン、ブリジット・フォンダ ほか
何年か前、Nさんから原作本をもらって一気に読んだミステリー。映画にしてもやっぱ面白い。
大金への欲がいかに簡単に人の善悪、良心、罪悪感の秤を狂わせてしまうか。
もっとも正直者だと思っていても分からないもの。微妙なバランスで保たれている人間関係も、家族ですら危ない。

「父が言っていた。男を幸せにするものはシンプルなこと。愛する妻、まともな仕事、
 信頼、尊敬し合える仲間と隣人。自分は気づかずに全て持っていた。幸せなはずだった」

以前ならささやかでも幸せだった家庭が、今となっては偽善で空しいだけになってしまっても
どうしようもないラストが哀しい。


『悪いことしましょ』(2000)

監督:ハロルド・ライミス 出演:ブレンダン・フレイザー、エリザベス・ハーレイ ほか
派遣先の誰かが絶賛してた1作。『ハムナプトラ』の男優の達者な変化ぷりと、
『オースティン~』の女優の迫力あるセクシーコスプレで、人の欲を叶える大人のマジックテイル。
笑えてほのぼのできる1本!

世界一繊細な男になっても、夕陽にいちいち泣けて「いつになったら沈むんだ!」て爆
プロバスケ選手になっても、滝のごとく汗をかいてバカ丸出し/爆泣

「本当は悪魔も神も自分の中にある。天国も地獄もこの世にあるの」

「マジックで叶えられるものじゃない。ゴールが重要じゃなく、プロセスが大事なんだ」


『キャッツ & ドッグス』(2001)
監督:ローレンス・ガターマン 出演:エリザベス・パーキンス ほか
可愛い&よく出来てる! 本物の動物たちの撮影も大変だろうけど、メイキングにあったCGや、
コンピュータで動く人形?の組み合わせが絶妙で、犬猫の愛らしさを残しつつ、うまく擬人化させてる。
CGは無限の可能性だね。人と動物の見事な共演v

でもこれって犬好き向きだな 会議中フリスビーで遊ぶ犬を高級ドッグフードで黙らせて、「SIT!」w
本部では本格的な訓練をさせているのに、人を見るとお互いのお尻を嗅いだり、
穴を掘ったりして誤魔化したりw 細かいギャグが可笑しい。


  

photo6:剣さんもいる。
photo5:ジャパサキのチラシ。
photo4:ポップジャムのハガキ(これは外したほう



【読書感想メモ】
「ヴェルコカンとプランクトン」ボリス・ヴィアン(追加で別記)
「赤い草」
「人狼」
「帝国の建設者」
「ぼくはくたばりたくない」
「死の色はみな同じ」
「醜いやつらは皆殺し」

「陰陽師11」岡野玲子/著 夢枕獏/原作
「からだレッスン」寺門琢己
「大阪学」大谷晃一
「続・大阪学」
「こんな飼い主と暮らしたい 犬編」澤邦彦


【歌詞をメモした曲】
♪FLYING BABY/真心ブラザース
♪FLY/YO-KING


【イベントメモ】
「善光寺7年に1度の御開帳」@長野


【ライヴレポ(追加で別記)】
冷牟田竜之presents TABOO 2003.2.14
ポップジャム公録@NHK 2003.2.17
CRAZY KEN BAND in FRIDAY@関内 2003.2.18
JAPAN CIRCUIT vol.10@赤坂BLITZ 2003.3.9
スカパラ HIGH NUMBERS TOUR@CLUB CITTA' 2003.3.19
FACTORY公録@フジテレビ 2003.3.29
ミシェルライヴ@赤坂BLITZ 2003.4.9
スカパラ@渋谷クアトロ 2003.6.5
ロッキングタイム@野音 2003.6.7
スカパラ HIGH NUMBERS TOUR FINAL@東京ベイNKホール

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