メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(前編)

2016-05-05 10:20:43 | ドラマ
放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(前編)
脚本:森下佳子 音楽:金子隆博 演出:梛川善郎
出演:阿部サダヲ、奥田瑛二、瀧本美織、矢島健一、井上芳雄、草刈正雄、麿赤兒、星田英利、大東駿介、河東けい ほか

たまった予録を観ました。



あらすじ(ネタバレ注意

明治27年。三井銀行大阪支店。小説を書く小林。
甲州の豊かな家に生まれ、両親は早くに他界したがお金に困ることはなかった。

“理想的な鼻”の美人コウを見かけてひと目惚れ。
ゆるい上司・高橋が栄転になり、いつも行く店で芸妓コウと再会し運命を感じる。

 

NYやパリで活躍していた新しい支配人・岩下清周(松代藩士の岩下佐源太の次男!)が着任。
厳しく、破天荒さに振り回されて仕事漬け。

しょっちゅう来て迷惑がられている発明家の栄田の耐久性のあるゴムに、無担保、出世払いで千円貸す岩下。

「これからは、電線に絶縁体が必要な時代が来る」

小林「金ひとつで事業を生かすことも殺すこともできる。銀行家は小説家なんです。ペンと金は同じなんですよ」


出世相があると言いに来たコウ。小林に結婚を迫る。



強引な事業の進め方が理由で、岩下が辞職に追い込まれる。

岩下の夢はこの国を冠たる一等国にすることだ。今後、自分で銀行を作ろうと思う。ついてくるか?」
「博打は苦手なので・・・」



小林は、名古屋に転勤を命じられ、2年半後、妻を連れて戻る。
コウを旅行に誘い、「出世のための結婚だ」と謝る。
コウのことがバレて、実家に帰る妻。これは新聞沙汰にまでなり笑われる。

大家「貧乏臭いっちゅうんは、本人の生き方の問題だす」



小林は、東京本店の調査係に異動。「紙くず」と呼ばれる仕事場で6年働いた。異例の長さ。出世コースから外れたことを意味する。


明治39年。
長男、長女が生まれる。
唯一の楽しみは、大阪の旧知の知り合いを訪ねること。

岩下の設立した北浜銀行は大阪の発展に貢献。藤田や発明家もいる。紡績、鉄鋼が発展して、スモッグも酷い



「新しい証券会社を作るからと社長になってくれ」と岩下に誘われる。

三井銀行を辞め、一家は東京の古い家に引っ越す。
しかし、株が暴落。「社長の話はいったん忘れてくれ」



電鉄ブームの最中、建設費が集まらない「箕面有馬電鉄」という行楽列車の清算業務を任される。

次男の咳は気管支炎で、汚い空気のせい。
小林は、電鉄の走る予定の自然豊かな場所に家族を連れて行く。



「ここを住めるようにすればいいのか」
(自然豊かなところに電鉄が通ったら、また空気が汚くなるじゃん


開発計画書を資産家に提出して説得する。
土地価格が安いのが売り文句で、住宅地を開発・分譲する。
鉄道計画はないものと思ってる住民を騙して安く買い叩くって。。。
駅から1時間は通勤時間の限界 住宅は月賦払いを提案。勤め人がターゲット。

「失敗したら、僕が借金して補填します!」初めての博打に出る。


借金ダルマ?が登場

集まらなかった資金は岩下が工面。
経費削減のため、使わない事務所を使い、学校出たての従業員を使い、建設中止で不要になった資材を使う。
パンフレットを作り、大きく宣伝。都心の環境悪化を訴え、郊外生活をすすめる。



明治43年。箕面有馬電気鉄道開業。後の阪急電鉄
唱歌も小林が作る。社長は岩下。小林は実務を取り仕切る。

 

岩下「どうやって思いついた?」

小林「空気のいい郊外に住みたいと妻が言ったので」
(小林はほんとにこんなに妄想家だったのかな?w

「出発進行~~~~!」



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放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(後編)

2016-05-05 10:19:43 | ドラマ
放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(後編)

つねに借金ダルマの悪夢にうなされる小林。
寂れた温泉しかなく、行楽電車の割に、休日の客足はイマイチ。

 

プールを作ったら「寒い!」と不評w 音楽隊の記事を読んでまたひらめく。


プールの跡地を使って、女の子だけのオペラを演る。「宝塚少女歌劇団」
それでも、経営はかつかつのまま。

 

神戸⇔奈良間をつなげないと乗客が伸びないが、岩下さんは乗り気じゃない。崩落事故の賠償費用で家を抵当に入れたため。

岩下「生駒山をぶちぬかねばならんのです」



大正3年。「宝塚少女歌劇団」の初公演は浦島太郎?
小林「台本はオレが書く」

 

岩下は新聞に叩かれる。


小林「景気が悪いから、こんな風に不満の捌け口が欲しいんだ」

新聞叩きが加熱し、銀行に預金の引き出しが押し寄せ、財界人も去る。
岩下は6月に頭取を辞任。8月倒産。46件も告訴される。

「電鉄も危うい。小林を助けてやってくれ。あいつの事業には人の息遣いがある。
 あいつが作り出す事業の先には豊かな生活が待っています」

平賀に託す。

北浜銀行を清算するため、新しい重役陣がきて、電鉄の株全売却を命令される。
「いいでしょう。買うのは私ですから」
借金ダルマが2人に増えるw


その後、名目だけの「灘循環鉄道」を買収するという小林。底値で買い、神戸までの大動脈が出来る。
線路を直線にして、駅を少なくして、「スピード重視」で梅田から神戸まで30分。並走する阪神から訴訟。

歌劇の曲本の最初に




大正9年。「神戸線」開業。「阪神急行電車」

大阪→神戸まで、阪神なら60分、阪急なら40分が売り。空いてて涼しいと自分でも宣伝する。

この頃から車内広告があったのね/驚



劇場で岩下と再会する。

 

岩下「無益な争いを止めて、阪神は阪急に合併を考えて欲しいそうだ」
小林「阪急が阪神を買収する形ならいいですよ。なぜなら岩下清周が作った会社だからです」

 

♪スミレの花が咲く頃~





昭和9年「東京宝塚劇場」建設。
 

「阪急百貨店」駅とくっついたビルは世界初!


 


自ら店に入り、お客の生の声を聴く。


昭和12年。映画会社「東宝」設立。

その経営哲学を書いた本はベストセラーになり「今太閤」と呼ばれ全国区に知れ渡る。


新聞社の取材を受ける長男・冨佐雄。

冨佐雄「駅にずっと立って客の声を聞いてアイデアを思いついたり、父の発想は割とおばさんなんです。」




昭和15年。
「日中戦争」が長引き、すべてが軍需優先となる。

 

働いても給料が変わらない「賃金統制令」の案を聞き、

統制なんてのは結局、法で化粧した泥棒だ。国がそんな発想しか出来んから困るんだ。
 わしに国をやらせてみろ。あんなもの一発で解決だ」

近衛から商工大臣になるよう言われる。冨佐雄は「父さんは政治に向いてない」と反対するが・・・。




「モノが潤沢にあれば、おのずと統制はなくなる」

当時、軍部の意向を受けて統制経済を進めていたのは、「企画院」の革新官僚と呼ばれる役人たち。

 
増産のアイデアをまとめた企画書を出そうとする小林に反対する



小林は総理に命じられてインドに行くが、日独伊三国同盟の余波で原油交渉は膠着し無駄足となる。

 

「経済新体制確立要綱」は小林の許可を取らずに通ってしまう。
企業は資本と経営を完全に分離し、資本は国家が管理し、経営は政府と軍の複合体の管轄下に置くという内容。

 


「こんなことをすれば、民間の活力が完全に死んでしまう」

人々の意見をレストランで聞いて、法案に修正を入れる。

「わが国はけっして共産主義国になるつもりではない。
 こんな体制は人間の本性に合ってないんだよ! 人間の本性は“我欲”だよ!
 働けば給料が上がる、ならば頑張って働く、息子を学校にあげてやりたい、ならば頑張って働く、
 世間に認められたい、ならば頑張って働く、そういうちっぽけな、切実な希望のもとにしか活力を出すことは出来ないんだよ!」

企画院官僚
その欲望を管理するしかない。勝つためには。私たちに絶望を抱かせるのは、あなた方、俗悪な資本家だ。

「つまらないんだよ、お前らの案は、戦争するのに足りないなら、
 法律を作って全部自分たちのものにすれば、なんとかなるだろうって、子どもでもできる発想だ。
 君たちがブレインなら、あ~この手があったか!という体制でも作り上げろと言ってんだ」

大東「仕方ないでしょう。軍が言うんだから」

小林は、修正案を可決させたが、機密漏えいの疑いをかけられ、あっけなく辞任に追い込まれた。

「まったく記憶にございません」

(たとえ、千人に一人でも「良い政治屋」という人がいたとしても、
 保守派が叩けば、誰からもなにかしらのホコリが出て、退陣させられるシステムになってるんだ。



冨佐雄「通るか通らないかの世界なんですよ、政治の世界は」

小林「どうしてそんなに冷静なんだ?」

冨佐雄「どのみち負けるからですよ。留学したので米英の生活を知っていますから。
    統制をかけようが、かけまいが、米英と戦えば負けます

小林「まあな」

冨佐雄「知ってて、なんで首を突っ込むんです?」

小林「岩下さんとの約束だからな」



昭和20年 終戦

 

 

「電車走らせてくる。出発進行だ!」


焼け野原にあずき色の電車が、敗戦直後に駆け抜けた

空襲を逃れた劇場では、宝塚を再開する。

「こんな時だからこそ、観たいんだ!」

百貨店も再建。そのために再び大きな借金を抱えた。




昭和31年

 
ダルマも年寄りになってるw

冨佐雄は、上あごにがんを患う。
 

小林「出世したって何もいいことがない。いくら出世したからって、死ぬ時はどうせ身ひとつだ。
   後を託そうと思ったって、あいつがいなくなるんじゃ・・・」

年越しを一緒にしようという妻。

「会いに行っても、行かんでも、死ぬ時は死ぬんですよ!
 お父さんも、私も、冨佐雄も、死ぬ時は死にます。せやから会いに行きましょう」


「約束って何ですか?」と筆談で聞く冨佐雄。

岩下「つまり真の一等国とは、この国に産まれて良かったと思える国」

小林「そういう社会にしたいもんだって。だから、わしはそのために働かなきゃいかんと思ったんだ」



「よし、じゃお前が治るまで、わしが代わりにやってやる。何かできることはないか?」

「東宝の忘年会に僕の代わりに話してくれませんか?」



 

小林:
私はね、これからのニッポンについていろいろ考えておるわけです。
専門家の話も聞き、研究もし、この国は素晴らしい国になるという結論を持っています。
ただ、そうなるには1つ条件があるんです。

それはね、みなさんが全員、働くことです。

働くというのはね、本来、とても楽しいことなんです。
夢を描いてね、知恵を絞る、努力をする、その果てに笑ってくれる人がいる。
そして、その対価として、報酬がついてくる、これがねえ、実に楽しい!
自分の人生がここにあると感じることができる。

(“我欲”がなくなり、みんなが平等になっても、ヒトは働くだろうな。
 楽しく、自分の好きなことをして、自分と誰かを喜ばせるために。
 それは、今の“働かされている”“生活のために働く”という意味とは全然違うんだ。


岩下「お前は真の一等国に必要なものは何だと思う?」
小林「努力が報われるということじゃないでしょうか」



小林:
努力は絶対に報われなきゃなりません。報われると嬉しいでしょ?
立場が代わったら、今度は報いようとするでしょ?
そういう循環をもつ社会は、頼もしいことになると思うんです。


みなさんは知らないでしょうね。働いても、働いても報われない、
そんな時代が長く続いてしまいましたからね。

ですが、みなさんはとにもかくにも生き抜いてここにいる。
生き抜いて、今ここにいることができる。
ここまで、今日までこられたのだから。

きっと遠くない未来、この国は頼りがいのある国になります。
この国で働くことが誇りであり、徳であり、物心両面に報われることがもっとも多い国になると思います。
みなさんなら必ずできる。そう期待しています。



享年84。これが最後のスピーチだった。


ラストは、阿部ちゃんが歌劇団と一緒に踊って、「ありがとう!」というシーンでジ・エンド。








日本人は、これからアジアをまとめて、世界を平等にするくらいの民族だと、私も思うな。
そうなるには、さまざまな困難を経験して、過去の過ちを繰り返さず、そこから学び、研究し、力を合わせて、
1人1人が「変わりたい」と思った時がその時なんだ。


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『永遠のマドンナ 原節子のすべて』(出版協同社)

2016-05-05 10:18:43 | 
『永遠のマドンナ 原節子のすべて』(出版協同社)
佐藤忠男/監修 1986年 1600円

※2001.5~のノートよりメモを抜粋しました。
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あらすじ(ネタバレ注意
各出演作品のポスター、1シーンの写真、普段のポートレートがふんだんに入っているのがイイ。

半生、評論、小津との関係性、全作品リスト、年譜もある。
共演者との思い出には、憧れあり、意外に素人っぽいエピソードもあり。

監督の兄のすすめで女優となり、ドイツとの合作映画に出演し、
日本を代表する清純さと同時に、戦後の自由の象徴ともなった。

兄を亡くし、白内障を患って、42歳という、まだ華のあるベテランの円熟期ですっぱり引退。
鎌倉に住み、マスコミにいっさい顔を出さない神秘の人になってしまった。

本人は、教師かなにかになりたかったため、スター気取りがなかったという。
どうして結婚しなかったのかは大きな疑問。

大正9年生まれっていうのも驚いた。
今でもイキイキと、華やかで、恥らう乙女の輝きがフィルムの中で永遠に蘇り続ける女優。

偶像視され、現実とのギャップに苦しんだかもしれないが、
私たちの心に安らぎを与え、誇りをもって、日本人女性の素晴らしさを国際的にも自慢できる。

そんな女優はほんとうに貴重だ。


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『別冊太陽 名女優 写真家・早田雄二の撮った“永遠に輝く一瞬”』(平凡社)

2016-05-05 10:17:43 | 
『別冊太陽 名女優 写真家・早田雄二の撮った“永遠に輝く一瞬”』(平凡社)
早田雄二/著 初版2000年 2200円

※2001.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


あらすじ(ネタバレ注意

早田雄二
『映画の友』『映画ファン』発行の映画世界社社長の弟。
昭和12年頃からプロカメラマンになる。市川崑監督『穴』にも出演。
映画会社から借りる写真で飽き足らず、撮影所に出向いて、雑誌専用に撮って掲載。
スタジオ・ポートレート全盛期を築く。
1989年ヨーコ・オノ、1991年マイルス・デイヴィス(死の4ヶ月前)も撮った。1995年他界。


原節子にはじまり、篠ひろ子まで、銀幕の雲の上の存在から、お茶の間のスター、
そしてちょこっと「男優編」も付いた、美しいポートレートの数々。

背景、衣装、ポーズにもそれぞれの個性があふれていて、それに合わせたカメラワーク、
ビデオでチェックできたお気に入りの俳優もいれば、まだ知らない俳優もいる。

母に見せたらきっと懐かしがるだろうな。見せてあげたい。


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『日本映画戦後黄金時代12 日活の監督』(全30巻 日本ブックライブラリー)

2016-05-05 10:16:43 | 
『日本映画戦後黄金時代12 日活の監督』(全30巻 日本ブックライブラリー)
初版1978年

※200.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


あらすじ(ネタバレ注意
日活というとポルノっていう、暗くて湿っぽいイメージがあったけど、それけじゃないんだ。

石原裕次郎、赤木圭一郎、小林旭、二谷英明、宍戸錠らのスターを生み出し、
「太陽族」と呼ばれる戦後の現代っ子らの“カッコいい”姿っていうのを先取りして、
アクション、現代劇、サスペンスなど、いろいろあったのね。

驚いたのは、長門裕之さんの出演作品の多さ
秘蔵っ子だったのか?!
どう見ても、桑田に見えて仕方ないけどw

“渡り鳥”シリーズとか、シリーズものもいろいろ当たったみたい。


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