■シャーロック=ホームズ全集3 『バスカビル家の犬』 コナン・ドイル/著 偕成社
1985年 1刷 1990年 10刷 各務三郎/訳
市川英夫&プラスB/装丁 シドニー・パジェット/挿絵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
シャーロック・ホームズといえば
ジェレミー・ブレットが演じたドラマの再放送を何度も見て大ファンになった
神経質そうな細面のいかにも品のいいイギリス紳士という容貌で
両手を合わせて推理する姿を思い浮かべる
近所の図書館に行った際、手に入るかどうかわからない
少年少女シリーズをいろいろと探してもらい
この図書館にもあるかどうか尋ねた
シャーロック・ホームズシリーズと怪盗ルパンシリーズは
どの図書館にも並んでいるのをこれまで何度も見かけていたから
やはりこの2シリーズは揃っていた
先日ゲームアプリで本書を知り
気になっていたので借りてみた
表紙も挿絵も外国人が描いたものだからか
私好みの昭和っぽさがないのが残念
ホームズはその人の着ているもの、持ち物などで
年齢、職業などかなりの情報をズバリ当てるところから
もう推理が始まっているのが興味深い
本書でも、ホームズは常にあらゆる事件を抱えているため
彼の右腕のワトソン博士が活躍しているが
読み手も一緒に事件の犯人を推理する余白があるのが良い
私はタイトルの犬、怪事件を起こした犬とは
医師の飼い犬ではないかと推理しながら読んだ
【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意
●1 シャーロック=ホームズ氏
ホームズは徹夜をする時以外は朝寝坊だが
今朝は朝食のテーブルについている
ステッキを忘れたゆうべの客について推理する2人
「王立外科医学校出身者ジェームズ・モーティマー氏へ」と刻まれている
病院勤めを辞めて田舎の開業医になり、往診で歩き回っていると推理するワトソン
ホームズ:
君はこれまで僕の仕事ぶりを記録してくれて有難いと思っている
天から授かった才能がなくても、天才を刺激する見事な力を持つ人がいるものだ
君の間違いを調べると真実を発見することがよくある(w
CCHはチャリング・クロス病院の略
犬が齧った跡がある 歯形の大きさからスパニエルに決まってる
そこにちょうどモーティマーが入って来る
結婚して開業医になったと分かる
ホームズの頭の形に興味があり
死んだら頭蓋骨が欲しいと言い始める/驚
ホームズをヨーロッパ第二の専門家と言い
第一はフランスの人類学者ベルティヨンだと言って
ホームズの機嫌を損ねるw
●2 バスカビル家の呪い
1742年の古文書を見せて要件を話す
それが3か月前、突然亡くなったバスカビル卿と関係があると言う
古文書:
『バスカビル家の犬』には多くの説があり
ヒューゴー・バスカビルの直系にある我は書き遺す
いたずらに因果を怖れず、心して行く末に備えよ
ヒューゴーは野獣のごとき人物で
ある郷士の娘に恋し、数人で屋敷に忍び込み奪い去った
酒を飲んでいる間に娘は父の屋敷に逃げた
犬を放ち追うと、谷窪にヒューゴーの遺体と
巨大な黒き獣が食いついているのを見た
仲間の1人はあまりの恐怖に死に、1人は狂人となった
その後も子孫に謎の死が重なった
わが子らよ、悪霊のうごめく暗き夜に、荒野をすぐるなかれ
その後、モーティマーは亡くなったチャールズについての記事を読む
次の選挙にデボン区から立つと言われたチャールズは謎の死を遂げた
南アフリカで巨万の富を得て、バスカビル家に住んでわずか2年
チャールズは自然死と判定された
館ではバリモア夫婦が世話をしていた
チャールズは毎夜、就寝前にイチイ小道を散歩する習慣があり
当夜も小道のはずれでバリモアにより発見された
死に顔は信じがたいほど歪んでいた
子息はなく、もっとも近い血筋は
弟の子息ヘンリー・バスカビルで、アメリカにいると思われる
近所にいるのは博物学者のステープルトン兄とその妹
ラフター屋敷のフランクランド氏
チャールズは伝説を強く信じていて神経が参っていた
犬の吠え声が聞こえ、黒い影を見たと農民も噂が絶えない
ロンドンに行けば気が晴れるとすすめ、出発前夜のことだった
検死したのはモーティマーで、遺体の少し離れた場所に
ものすごく大きな犬の足跡を見たが警察には伏せた
伝説を持ち出して攪乱したくなかったため
●3 謎
足跡は遺体に近づいてはいなかった
門には錠がかかり、そこで人を待っていた様子
ヘンリーはもうすぐウォータルー駅に着くがどうしたものかと思い相談に来た
ヘンリーの父も若くして亡くなった
ほかに血縁者は末弟のロジャーがいるが
一家の厄介者で、イギリスから追われて、黄熱病で亡くなった
荒涼とした地方の繁栄はバスカビル家にかかっている
ホームズはヘンリーには何も言わないまま
明日10時にまた来るよう言う
気に入った事件だと無表情になり
精神を集中するために一人になるホームズ
ホームズ:
この世は分かり切ったことばかりなのに、誰もそのことに気がつかない
悪魔の手下は人間に化けているかもしれないよ
チャールズは必死に逃げて、悪い心臓が破裂して死んだんだ
荒野からなにものかがやって来たために
●4 ヘンリー・バスカビル卿
翌日、ヘンリーとモーティマーが来る
ホテルに見知らぬ者から警告の手紙が届いたと言う
「生命と常識の価値を知るものは、荒野を遠ざけよ」
新聞の切り抜き文字を見て
昨日慌てて『タイムズ』紙の社説から切ったものと推理するホームズ
ホームズ:
9ポイントのバージョイス活字で刷られた『タイムズ』紙と
半ペニーで売られる夕刊紙の識別は犯罪専門家にとって初歩的な知識
爪切りバサミで切ってあり
「荒野」は手書きだが筆跡を隠していることから
知人か、これから会う人物からのもの
『タイムズ』紙を読むのは高度な教育を受けた者
インクが何度も切れているのは、ホテルで書いたため
想像力を科学的に使っているのです
どんなにバカげたことでも聞かせてくれと言うホームズに
ヘンリーはホテルで深靴の片方が消えたことも話す
ロンドンに着いて、モーティマーと一緒に店で買ったばかり
ホームズに言われてモーティマーは古文書の話をヘンリーに話す
ヘンリー:
それは子どもの頃から聞かされていた
だが、悪魔などこの世にいない
祖先の家に帰る決心は変わりません
いったんホテルに戻ると出た2人を尾行するホームズとワトソン
2人と同様にショーウィンドウを覗くと
あごひげの男が馬車にいるのを見て慌てて追うと逃げられてしまい
彼もまた尾行していて、頭のいい男だと推理して悔しがるホームズ
馬車の番号を記憶(昔はクルマみたいに馬車にも番号があったのか
ヒゲもつけヒゲに間違いない
以前世話をしたらしいメッセンジャー会社に入り
カートライト少年に23のホテルを周って
切り抜かれた新聞を探すよう頼む
ホームズ:
玄関番に1シリングずつ渡して、昨日の紙屑を見せて欲しいと頼むんだ
玄関番はポーターを呼ぶから、ポーターにも1シリング渡す
結果はベーカー街まで電報してくれ
あとは御者の名前を問い合わせるだけだ
●5 切れた3本の糸
ホテルの宿帳を見て、ヘンリーの後にある2組が関係ない人物だと分かる
ヘンリーは今度は古靴がなくなったと激怒している
靴は深靴と古靴と今履いているエナメルしかない
ホームズは重大な事件を500も手掛けてきた
手掛かりの糸は何本かあると伝える
ヘンリーは今週末にバスカビル館に行く
尾行されていることを伝え、あごひげと言えばバリモアを思い出す
頼信紙に「ヘンリーを迎える準備はできたか」と打ち
グリンペン郵便局長にはバリモア本人に手渡すよう打つ
バリモアは館の4代目の管理人
主人がいなければ館でのんびり暮らせる
チャールズはバリモア夫婦にも遺産を分けた
モーティマーにも1000ポンド
残りの74万ポンドという高額な遺産がヘンリーに渡る
ロジャーは独身で亡くなったため
万一ヘンリーになにかあれば
デズモンド家の遠縁ジェームズ・デズモンドが相続することになるが
質素な牧師と分かる
ヘンリー:バスカビル家の復興には館、土地、金が揃っていなければなりません
ホームズはヘンリーにワトソンを連れて行くことを条件につける
冒険に弱いワトソンは喜んで護衛と報告を引き受ける
その後、深靴が見つかる
そして、バリモアは館にいると返事が来た
カートライトからは切り抜きが見つからなかったと返事が来た
御者のジョンは苦情を言われると勘違いして本人がやって来た
乗せたのは探偵で、名前はシャーロック・ホームズだと名乗った(爆
トラファルガー広場で乗せて、ヘンリーのホテルを周り
ホームズに気づかれた時、猛スピードで馬車を走らせて
ウォータルー駅に行った
40歳くらいの青白い顔の男
●6 バスカビル館
詳細な報告をして、推理は自分にまかせてくれと言われたワトソン
ヘンリーには1人で出歩かないよう忠告する
ヘンリーは父が死んだ時まだ10代で
バスカビル館は見たことがないため興奮している
素朴な駅に着くと兵隊が小銃を持って立っている
プリンスタウン刑務所から囚人セルデンが脱獄した
あまりに残虐な殺人をおかしたため
精神異常を疑われて死刑が減刑されたほど
農民は怯え切っている
荒野に細長い塔が2つあるバスカビル館
門番小屋は古いのと新しいのがある
ヘンリー:半年以内に電灯をずらりとつければ陰鬱さなどなくなる
館に入るとまさに典型的な旧家
バリモア夫妻が迎える
バリモアはチャールズが亡くなったショックで
仕事を引き継いだら暇をもらいたいと頼むが引き留めるヘンリー
ワトソンはヘンリーの隣りの部屋に泊まる
眠りが浅いため、夜中に女のすすり泣きを聞く
●7 メリピット荘のステープルトン兄妹
翌朝、太陽が入ると昨夜の陰気さは吹き飛ぶ館
女の泣き声のことをバリモアに聞くと
館には女は2人 下働きの女は別棟に寝ている
妻は変わりなかったと話すが
妻は泣きはらした顔をしている
電報は妻から受け取り、返事は口頭で妻に伝えたと答える
早速、ステープルトンが挨拶に来る
ワトソンが書く事件簿はこの辺でも読まれていて
ホームズの意見も聞きたいと探るがはぐらかすワトソン
ステープルトンがここに来たのは2年前
趣味のお蔭で飽きないし、自分が一番土地に詳しい
グリンペンの大沼に入ったら人も獣も助からない
体の動きがいい人が通れる道が1、2ある
話している間にも2頭目の小馬が沼に飲み込まれるのを見て慄くワトソン
うめき声が荒野に響いて
農民たちは「バスカビル家の魔犬」と呼んでいるが
沼地は時々妙な音をたてるものだと話すステープルトン
急斜面には石が積まれている
新石器時代の祖先の住居
ステープルトンの妹ベリルは兄と姿が真逆で
浅黒い肌、背が高い美女
ワトソンをヘンリーと勘違いしていきなり叫ぶ
ベリル:
いますぐロンドンに帰ってください!
あなたを思って警告しているのです
今言ったことは兄に黙っていてください
ステープルトン屋敷に招かれ
外は侘しいが中は洗練された家具が揃っている
ステープルトンは学校を経営していたが
伝染病で生徒が3人亡くなり、資金もムダになった
帰り道、近道を来たベリルにさっき言ったことは忘れてくれと言われる
伝説を信じているからヘンリーをここから連れだして欲しいと頼む
ベリル:
兄はバスカビル家に住み手が来て村が繁栄するのを願っているから
こんなことを言えば怒られる
●8 ワトソン博士の報告書1
ここからはホームズに宛てた手紙を写す(手法が面白い
脱獄囚は荒野ではいられないだろうから
よその土地に逃げたのだろうということになった
ヘンリーとベリルは熱愛状態になった
ベリルはいつも兄の顔色をうかがっている
兄も2人をけして2人きりにさせないでいることに気づく
ステープルトンはヒューゴー伝説の場所を案内する
草地に巨石が2つある
モーティマーは先史人類の頭蓋骨を発掘して大喜び
イチイの小道にも案内する
ラフター屋敷のフランクランドは訴訟大好きな変わり者の老人
訴えるのも訴えられるのも大好き(w)で
わざわざケンカをふっかけて、今は7件の訴訟を抱えて財産も怪しい
モーティマーも近親者の承諾なしに発掘したと告訴するつもり
アマチュア天文学者でもあり
今は望遠鏡で脱獄囚を見たいため荒野を見張るのに夢中
昨夜午前2時頃、バリモアが忍び足で使われていない部屋に入ったのを見た
●9 ワトソン博士の報告書2
バリモアが入った部屋を調べたら
そこの窓が荒野に一番眺望がきくと分かる
ヘンリーと尾行しようと計画
やがて館は大がかりな改築が始まる
ベリルを妻に迎える気配が濃厚
荒野に1人で出かける時にお供したいが
恋仲の邪魔をするようで難しくなった
それでも心配になり、丘から見ていると
ベリルとヘンリーが口論し、兄が来てヘンリーをののしった
うちのめされて歩くヘンリーに声をかけて
今の出来事を見ていたことを正直に話す
プロポーズを断られてショックを隠せないヘンリー
兄から妹には指一本触れさせないぞとまで言われた
その日の午後、兄は謝罪に訪れた
妹は自分の人生のすべてだから
心構えができるまで3か月欲しい
その間は友だちとして付き合ってくれと約束
そして、バリモアの尾行
ヘンリーは「ここで何をしている?」と問い詰める
バリモアは誰かをかばって言わないため
窓にロウソクをかかげて合図を送ると返事が来た
バリモアにクビを言い渡すと、妻が自分のせいだと言う
なんと、脱獄囚セルデンは妻の弟で、まだ荒野に隠れ
バリモアが食べ物を運んでいた
翌朝話し合うとして、ヘンリーとワトソンはセルデンを捕まえに行く
荒野に入ると犬の吠え声を聞く
さすがのヘンリーもこの日から恐怖におびえるようになる
セルデンは岩の割れ目から合図を送っていた
欲望むきだしの凶暴な顔
2人はセルデンに飛びかかるが逃げられてしまう
ワトソンは花崗岩の岩山の頂きに黒い男の影を見る
その瞬間男は消える
●10 ワトソン博士の日記 抜き書き
この後からは日記を参考に記憶をたよりに書く
私の唯一のとりえは常識
どうしても迷信は信じられない
この辺の人には全員会ったが、あの男は見たことがない
(もしやホームズ?
バリモアはセルデンを南アメリカに逃がしてやりたい
警察も荒野の捜査を諦めた
ヘンリーが警察に言わないと言ったことに感謝して
チャールズが亡くなった夜、婦人と会う約束だった話をする
1通の手紙が来て、暖炉で焼いたのが
追伸部分だけ残り、L・Lという名の頭文字が読めた
思い当たる人物がいない
チャールズ卿の名前に傷がつくと思い警察には伏せた
夕方、ワトソンは雨の中、男がいた黒岩まで来た
モーティマーもいつも気にかけてくれているが
愛犬が消えたとひどく心配していた
モーティマーに頭文字を話すと
フランクランドの娘がローラ・ライオンズでL・Lだと言う
ライオンズという画家と結婚したが捨てられた
たちの悪い父と夫に苦しんでいた
フランクランドはわずかな仕送りをしていて
今はタイプライターの仕事をしている
セルデンは3日前から連絡が途絶えた
食べ物はなくなっていたが、荒野にはもう1人いる
バリモアの妻が弟から聞いた話をしてくれた
1、2度会い、得体が知れず、なにか企んでいる様子
昔、人が住んでいた石小屋に住んでいる
少年を使って必要な物を運ばせている(カートライトくん?
●11 岩山の男
ホームズはとても多忙なのか返事もくれないため
ワトソンは1人でローラを訪ねる
父とは縁が切れていて、チャールズのことを話しても答えない
ワトソン:今話さないと醜聞が広まるかもしれない
手紙を1、2度書いた
結婚が破断となった時、何人かが助けてくれた
モーティマー氏、ステープルトン氏
ステープルトンと親しかったチャールズ氏も
翌日ロンドンに発てばもう何か月も会えないと思い手紙を書いたが
約束の場所には個人的な理由で行けなかった
夫からいつもいじめられていたが
法律では一緒に生活せよと言われた
ある程度の金を払えば自由の身になれると分かり
チャールズ卿にお願いした
その後、他の方が援助してくれた
そして朝刊でチャールズ卿の死を知った
ウソには見えないが、なぜあれほど青ざめたのかが分からない
次にワトソンは石小屋を訪ねる
その途中でフランクランドに出会う
2件の訴訟に勝って上機嫌で夕食に誘う
フランクランド:
訴訟のために自分をかたどった人形を火あぶりにすると言われたことを
警察に訴えたら、権利を守らないため後悔するぞと言ってやった
あの脱獄囚に食べ物を運ぶ少年を見た
望遠鏡を見せるとちょうど少年が消えるのを目撃する
ワトソンは慌てて小屋に入るが誰もいない
しかし誰か食事をした形跡があり
ワトソンの行動が逐一監視されていたメモを見つける
ひょっとすると守護天使かもしれない
●12 荒野の死
入ってきたのはホームズ!
猫のようにキレイ好きな彼の世話をしていたのはカートライト(やっぱり!
自分が身近にいたら敵が用心してしまうため
ワトソンだけを派遣したとわけを話す
ワトソンがローラの話をすると
ホームズ:
ステープルトンとベリルは夫婦だ
独身のほうが利用できるから
ローラはステープルトンと結婚する気に違いない
ロンドンで尾行していたのもステープルトン
教師をしていたと話したのは失敗だった
教師ほど調べやすいものはない
教師紹介所には、一度教職に就いた記録が残る
2日あれば準備はすべて完了するのだが
その時悲鳴が上がる もう手遅れか?!
切り立った崖から転落して首が曲がった男が死んでいる
事件を鮮やかに解決してみせたいばかりに
依頼人を死なせてしまったと激しく後悔するホームズ
犬を探すがもういない
闇雲に逃げる間に墜落死したと分かるも証拠がない
よく見ると、ヘンリーの服を借りたセルデンと分かる
犯人は服を見てヘンリーと思い
犬もヘンリーの匂いを嗅いで襲った
このままではキツネや大ガラスに食べられてしまうから(!
どこかに運ぼうとしているところにステープルトンが現れる
セルデンだと分かり、動揺を隠す
今夜、ヘンリーを招待したが来なかったから見に来た
ホームズを見てすぐ探偵と分かる
ホームズはワトソンと明日ロンドンに発たなければならないと話す
そう思わせておく必要があった
ホームズ:
頭がいい犯罪者は、自分の知恵にうぬぼれるものだ
ワトソンくんは生まれついての行動派だが
彼の犯罪を立証しようにも、12人の石頭の陪審員を納得させる証拠がない
ローラが役に立つかもしれない
ヘンリーは明日、ステープルトン家の夕食に招かれている
彼を1人で行かせるんだ
●13 網をはる
夜食を食べながら打ち合わせする
バリモアにセルデンの死を伝えるとイライザは激しく泣いた
悲しんでくれる女性が1人もいない男など悪魔しかいないものだ
ホームズはふいにたくさんの天井の肖像画を見て黙る
悪名高いヒューゴーの絵もある
帽子と巻き毛を隠して見せるとステープルトンそっくりだと分かる
ステープルトンも血縁だったと確信する
明日、2人がロンドンに帰ると言うと裏切られた気分になるヘンリー
馬車を返して、徒歩で帰っても安全だと保証するホームズ
クーム・トレーシー駅に着き
カートライトにはロンドンからヘンリーにホームズのフリで電報を打たせ
レストレード警部からは逮捕状を持参して来る返事を受け取る
その後、ローラに事情を話し
ステープルトンとベリルが夫婦で
バンデルーア夫妻という名である証拠写真を見せると
騙されていたと知り、真実を語るローラ
チャールズ卿に手紙を書くように言われ
約束の場所に行くなと止められた
その後、チャールズ卿の死を知った
●14 バスカビル家の犬
ホームズの欠点の1つは、いざという時まで計画を他人に話さないこと
周りの驚く顔を見るのが好きな性格
3人は夜の荒野に戻り、ステープルトンの屋敷のそばで
ヘンリーが出て来るのを待ち伏せる
次第に霧が迫り、3人は屋敷から少し遠ざからねばならなくなる
ようやくヘンリーが出てきて、帰路を急ぐ
その後、とてつもない巨大な黒い犬が
めらめらと炎を噴いて通り過ぎ、レストレードは恐怖の叫びをあげる
ホームズとワトソンは発砲し
ヘンリーに食らいつこうとした犬が断末魔をあげて死ぬ
青い炎に見えたのは鱗粉だと判明
ブラッドハウンドとマスティフの雑種らしい
銃声を聞いて、ステープルトンは屋敷にはいないと言うホームズ
家探しすると、ベリルが支柱に縛られ
首にはムチで打たれた跡がある
ベリル:
体中に傷があり、日常的に虐待されていた
愛されていると思っている間は
どれほどいじめられても耐えられた
でも道具にされていたと分かった
逃げるとしたらあそこしかない
大沼を通り抜ける目印に棒を立てたが
こんな夜にどう見つけるのかしら? と手を叩いて笑う
ヘンリーはこの時のトラウマで倒れて高熱を出し
その後、モーティマー氏と世界一周の旅をした
翌朝、霧は晴れ、みんなで底なし沼を歩く
胸まで浸かって見つけたのは、ヘンリーがなくした靴
犬に匂いをかがせるための靴で
ステープルトンがここで捨てたと思われるが
その後の足取りは見つからず
大沼に飲まれたと考えるしかない
その先の小屋であの凶暴な犬を飼っていた
モーティマー氏のスパニエルが食われた骨が残っている(涙
●15 事件の回想
この後、ホームズは重大な事件を2つ依頼された
ホームズは一度に1つしか引き受けない
その頭脳は捜査中のことしか考えず、過去の事件はすぐ忘れてしまうと言う
それでも記憶をたどって、海外旅行から戻ったヘンリーとモーティマーに
事件の真相をはじめから話して聞かせる
ロジャーは独身のまま死んだと言われたが
実は結婚して産まれた息子がステープルトン
コスタリカの美女ベリルと結婚したが
多額の公金を横領し、バンデルーアと名前を変えてイギリスに逃げてきた
帰国の船で肺病の教師と知り合い、学校を設立
やがて醜聞が広まり、名前をステープルトンと変えて
巨額の遺産を手に入れる計画を立てた
まずはチャールズ卿の近くに住み、近所と友だちになる
モーティマーから聞いて、チャールズ卿の心臓が弱いことを知る
動物商から一番獰猛な犬を買い、密かに小屋で飼った
だがなかなか機会がこないため
ローラに結婚すると思い込ませて手紙を書かせた
迷信を強く信じていたチャールズ卿は
犬に追いかけられて恐怖で心臓発作で亡くなった
ヘンリーはデボン州に来る前にロンドンで殺そうとしていた
変装して尾行し、犬に嗅がせるため靴を盗んだ
虐待され、部屋に閉じ込められていたベリルは警告の手紙を出した
手紙についた香水で女性が絡んでいると分かった
犯罪捜査の専門家は香料の75種類くらいは嗅ぎ分けられないといけない
この時点ですでにステープルトン兄妹にあたりをつけていた
過去3年間に大きな盗難事件が起きているのもステープルトンかもしれない
ホームズと出くわし、ダートムーアで待ち受けることにしたため
ロンドンにいると思わせる必要があった
犬は年寄りの召使いに世話をさせていた
彼はすでに国外逃亡している
現行犯で捕まえるしかないと思ったが
ヘンリー卿をあんな目に遭わせたことは僕のミスだ
ローラとベリルはステープルトンを疑っていた
愛しながら怖れる これはけして矛盾する感情じゃない
だが、いざとなってチャールズ卿を騙すことにベリルは反対した
ローラの存在を知って、スペインの血が流れる女性は簡単に許すものではない
ワトソン:相続人でも名乗り出ることが出来ないのでは?
ホームズ:
3つの道がある
南アフリカから財産権を請求する
ロンドンでしばらく変装する
共犯者を相続人に仕立て上げる
その後、ホームズは歌劇『ユグノー』にワトソンを誘う
■ホームズから逃げたかった男 コナン・ドイル 各務三郎
<ドイルの経歴まとめ>
1859産まれ
父は下級官吏だが絵も描いた
1871
スパルタ式教育の学校でスポーツに熱中
課題の詩を書いて文学に目覚める
1876
母のすすめで大学医学部に進学
生理学者ウィリアム・ラザフォード(『失われた世界』チャレンジャー教授のモデル
外科教授ジョゼフ・ベル(ホームズのモデル)のもとで授業を受ける
学生時代に初めて書いた冒険短編『ササッサ谷の怪』が掲載される
原稿料は3ギニー
捕鯨船に船医として乗船
アザラシ猟、捕鯨にも活躍
1882
医院を開業 病院は流行らず、その間、短編小説を書いた
1885
死んだ患者の姉ルイズと結婚
1886
ガボリオのルコック刑事もの、ポーのデュパン探偵に触発されて推理小説を書いた
ベル博士を思い
「もしあの人が探偵なら、魅惑的なのに
織的でないこの仕事を精密科学の域にまでもってきそうに思われた」
1887
心霊術に興味をもつ(そうだった!
1891
眼科を開業 患者はまったく来ない
作家になる決意をする(この辺に天の采配を感じる
「書くことにわが生涯を託そうと考え、狂喜して決心した」
1編、平均25ポンド
イラストはシドニー・バジェット(本書と同じだ
ドイルはホームズをもっと醜い男に考えていた
12編目でホームズを殺そうとするが母に大反対される
ドイルは真面目な歴史小説を書きたがっていた
(どんなに売れても、自分の好きなことでも
ままならないことがあるのが人生の興味深いところ
1892
最初のホームズパロディ『ペグラムの謎』が刊行
その後、無数に書かれ続けた
1893
『最後の事件』でホームズをモリアーティ教授とともに
ライヘンバッハの滝に墜落死させて、読者の怒りの手紙が殺到
妹コニーは後に、怪盗紳士ラッフルズもので知られる小説家
E.W.ホーナングと結婚
1899
アフリカでボーア戦争に軍医として従軍
1901
ジャーナリストの友人からダートムーアの魔犬伝説を聞いて取材
『バスカビル家の犬』を連載 『最後の事件』より前に設定
1902
ナイトの爵位を辞退しようとして母に反対されて受ける
1906 妻死去
1907 ドイルの力でエダルジ釈放
1912 SF冒険小説『失われた世界』刊行
1914 第一次世界大戦勃発
1927 最後の短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』刊行
1930 ウィンドルサムの自宅で71歳にて死去
■作品解説
『バスカビル家の犬』は『緋色の研究』『四つの署名』に次ぐ長編3作目
約8年間ファンを無視してきたドイルは魔犬伝説を聞き取材して描き上げた
怪奇小説が好きで、現地の風景を見事に取り入れた
実際のグリムズパウンド沼は普通の沼沢地
ドイル一族は絵の才能もあり、本書は文による絵画の才能が見られる
ホームズもので最も人気で
注目すべきは、作品の背景がビクトリア朝後期
発表したのはエドワード朝初期という点
まだまだ迷信を信じる人が多かった
フランスの推理作家ボワロー&ナルスジャックは
推理小説の根元にあるのは「恐怖」であると指摘している
1889年といえば、ワトソンは結婚して、ホームズとの共同生活はしていない
その他もいくつか矛盾がある
ドイルは読者からの「ホームズを生き返らせてください」という願いに
「ホームズは、ライヘンバッハの滝の底にいつまでもいることでしょう」と答えていた
本書の後ろにも偕成社のミステリーシリーズが載っていてどれも気になる
とくに、ホームズの長編のあと3つはいつか読みたい
これほど面白いとは知らなかったなあ
さすが世界中で読まれ続けているだけあると納得
表紙は、本書とまったく関係ないことに気づいた
船の上でオールを持つ男を棒で殴り殺そうとするもう1人の男の物騒な一場面
その次は「シエフィールドのやすりか・・・」(カバーがシール付けされていて読めない/汗
後ろも「ごみ捨て場の風景」と、内容とまったく関係ないばかりか
ホームズとも関係なさそう
当時のイギリスの市民を描いたのだろうか???
バジェットさんによる挿絵も写実的で
私的にはハマるほどではないフツーのイラストだった
それでも内容にぐいぐいと引き込まれ
ホームズ、ワトソンらとともに推理するのは夢中になる
ヘンリーが犬に襲われる手前で読むのを中断して
「犬が来るうううううううう!!」と叫びそうになったほどw
1985年 1刷 1990年 10刷 各務三郎/訳
市川英夫&プラスB/装丁 シドニー・パジェット/挿絵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
シャーロック・ホームズといえば
ジェレミー・ブレットが演じたドラマの再放送を何度も見て大ファンになった
神経質そうな細面のいかにも品のいいイギリス紳士という容貌で
両手を合わせて推理する姿を思い浮かべる
近所の図書館に行った際、手に入るかどうかわからない
少年少女シリーズをいろいろと探してもらい
この図書館にもあるかどうか尋ねた
シャーロック・ホームズシリーズと怪盗ルパンシリーズは
どの図書館にも並んでいるのをこれまで何度も見かけていたから
やはりこの2シリーズは揃っていた
先日ゲームアプリで本書を知り
気になっていたので借りてみた
表紙も挿絵も外国人が描いたものだからか
私好みの昭和っぽさがないのが残念
ホームズはその人の着ているもの、持ち物などで
年齢、職業などかなりの情報をズバリ当てるところから
もう推理が始まっているのが興味深い
本書でも、ホームズは常にあらゆる事件を抱えているため
彼の右腕のワトソン博士が活躍しているが
読み手も一緒に事件の犯人を推理する余白があるのが良い
私はタイトルの犬、怪事件を起こした犬とは
医師の飼い犬ではないかと推理しながら読んだ
【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意
●1 シャーロック=ホームズ氏
ホームズは徹夜をする時以外は朝寝坊だが
今朝は朝食のテーブルについている
ステッキを忘れたゆうべの客について推理する2人
「王立外科医学校出身者ジェームズ・モーティマー氏へ」と刻まれている
病院勤めを辞めて田舎の開業医になり、往診で歩き回っていると推理するワトソン
ホームズ:
君はこれまで僕の仕事ぶりを記録してくれて有難いと思っている
天から授かった才能がなくても、天才を刺激する見事な力を持つ人がいるものだ
君の間違いを調べると真実を発見することがよくある(w
CCHはチャリング・クロス病院の略
犬が齧った跡がある 歯形の大きさからスパニエルに決まってる
そこにちょうどモーティマーが入って来る
結婚して開業医になったと分かる
ホームズの頭の形に興味があり
死んだら頭蓋骨が欲しいと言い始める/驚
ホームズをヨーロッパ第二の専門家と言い
第一はフランスの人類学者ベルティヨンだと言って
ホームズの機嫌を損ねるw
●2 バスカビル家の呪い
1742年の古文書を見せて要件を話す
それが3か月前、突然亡くなったバスカビル卿と関係があると言う
古文書:
『バスカビル家の犬』には多くの説があり
ヒューゴー・バスカビルの直系にある我は書き遺す
いたずらに因果を怖れず、心して行く末に備えよ
ヒューゴーは野獣のごとき人物で
ある郷士の娘に恋し、数人で屋敷に忍び込み奪い去った
酒を飲んでいる間に娘は父の屋敷に逃げた
犬を放ち追うと、谷窪にヒューゴーの遺体と
巨大な黒き獣が食いついているのを見た
仲間の1人はあまりの恐怖に死に、1人は狂人となった
その後も子孫に謎の死が重なった
わが子らよ、悪霊のうごめく暗き夜に、荒野をすぐるなかれ
その後、モーティマーは亡くなったチャールズについての記事を読む
次の選挙にデボン区から立つと言われたチャールズは謎の死を遂げた
南アフリカで巨万の富を得て、バスカビル家に住んでわずか2年
チャールズは自然死と判定された
館ではバリモア夫婦が世話をしていた
チャールズは毎夜、就寝前にイチイ小道を散歩する習慣があり
当夜も小道のはずれでバリモアにより発見された
死に顔は信じがたいほど歪んでいた
子息はなく、もっとも近い血筋は
弟の子息ヘンリー・バスカビルで、アメリカにいると思われる
近所にいるのは博物学者のステープルトン兄とその妹
ラフター屋敷のフランクランド氏
チャールズは伝説を強く信じていて神経が参っていた
犬の吠え声が聞こえ、黒い影を見たと農民も噂が絶えない
ロンドンに行けば気が晴れるとすすめ、出発前夜のことだった
検死したのはモーティマーで、遺体の少し離れた場所に
ものすごく大きな犬の足跡を見たが警察には伏せた
伝説を持ち出して攪乱したくなかったため
●3 謎
足跡は遺体に近づいてはいなかった
門には錠がかかり、そこで人を待っていた様子
ヘンリーはもうすぐウォータルー駅に着くがどうしたものかと思い相談に来た
ヘンリーの父も若くして亡くなった
ほかに血縁者は末弟のロジャーがいるが
一家の厄介者で、イギリスから追われて、黄熱病で亡くなった
荒涼とした地方の繁栄はバスカビル家にかかっている
ホームズはヘンリーには何も言わないまま
明日10時にまた来るよう言う
気に入った事件だと無表情になり
精神を集中するために一人になるホームズ
ホームズ:
この世は分かり切ったことばかりなのに、誰もそのことに気がつかない
悪魔の手下は人間に化けているかもしれないよ
チャールズは必死に逃げて、悪い心臓が破裂して死んだんだ
荒野からなにものかがやって来たために
●4 ヘンリー・バスカビル卿
翌日、ヘンリーとモーティマーが来る
ホテルに見知らぬ者から警告の手紙が届いたと言う
「生命と常識の価値を知るものは、荒野を遠ざけよ」
新聞の切り抜き文字を見て
昨日慌てて『タイムズ』紙の社説から切ったものと推理するホームズ
ホームズ:
9ポイントのバージョイス活字で刷られた『タイムズ』紙と
半ペニーで売られる夕刊紙の識別は犯罪専門家にとって初歩的な知識
爪切りバサミで切ってあり
「荒野」は手書きだが筆跡を隠していることから
知人か、これから会う人物からのもの
『タイムズ』紙を読むのは高度な教育を受けた者
インクが何度も切れているのは、ホテルで書いたため
想像力を科学的に使っているのです
どんなにバカげたことでも聞かせてくれと言うホームズに
ヘンリーはホテルで深靴の片方が消えたことも話す
ロンドンに着いて、モーティマーと一緒に店で買ったばかり
ホームズに言われてモーティマーは古文書の話をヘンリーに話す
ヘンリー:
それは子どもの頃から聞かされていた
だが、悪魔などこの世にいない
祖先の家に帰る決心は変わりません
いったんホテルに戻ると出た2人を尾行するホームズとワトソン
2人と同様にショーウィンドウを覗くと
あごひげの男が馬車にいるのを見て慌てて追うと逃げられてしまい
彼もまた尾行していて、頭のいい男だと推理して悔しがるホームズ
馬車の番号を記憶(昔はクルマみたいに馬車にも番号があったのか
ヒゲもつけヒゲに間違いない
以前世話をしたらしいメッセンジャー会社に入り
カートライト少年に23のホテルを周って
切り抜かれた新聞を探すよう頼む
ホームズ:
玄関番に1シリングずつ渡して、昨日の紙屑を見せて欲しいと頼むんだ
玄関番はポーターを呼ぶから、ポーターにも1シリング渡す
結果はベーカー街まで電報してくれ
あとは御者の名前を問い合わせるだけだ
●5 切れた3本の糸
ホテルの宿帳を見て、ヘンリーの後にある2組が関係ない人物だと分かる
ヘンリーは今度は古靴がなくなったと激怒している
靴は深靴と古靴と今履いているエナメルしかない
ホームズは重大な事件を500も手掛けてきた
手掛かりの糸は何本かあると伝える
ヘンリーは今週末にバスカビル館に行く
尾行されていることを伝え、あごひげと言えばバリモアを思い出す
頼信紙に「ヘンリーを迎える準備はできたか」と打ち
グリンペン郵便局長にはバリモア本人に手渡すよう打つ
バリモアは館の4代目の管理人
主人がいなければ館でのんびり暮らせる
チャールズはバリモア夫婦にも遺産を分けた
モーティマーにも1000ポンド
残りの74万ポンドという高額な遺産がヘンリーに渡る
ロジャーは独身で亡くなったため
万一ヘンリーになにかあれば
デズモンド家の遠縁ジェームズ・デズモンドが相続することになるが
質素な牧師と分かる
ヘンリー:バスカビル家の復興には館、土地、金が揃っていなければなりません
ホームズはヘンリーにワトソンを連れて行くことを条件につける
冒険に弱いワトソンは喜んで護衛と報告を引き受ける
その後、深靴が見つかる
そして、バリモアは館にいると返事が来た
カートライトからは切り抜きが見つからなかったと返事が来た
御者のジョンは苦情を言われると勘違いして本人がやって来た
乗せたのは探偵で、名前はシャーロック・ホームズだと名乗った(爆
トラファルガー広場で乗せて、ヘンリーのホテルを周り
ホームズに気づかれた時、猛スピードで馬車を走らせて
ウォータルー駅に行った
40歳くらいの青白い顔の男
●6 バスカビル館
詳細な報告をして、推理は自分にまかせてくれと言われたワトソン
ヘンリーには1人で出歩かないよう忠告する
ヘンリーは父が死んだ時まだ10代で
バスカビル館は見たことがないため興奮している
素朴な駅に着くと兵隊が小銃を持って立っている
プリンスタウン刑務所から囚人セルデンが脱獄した
あまりに残虐な殺人をおかしたため
精神異常を疑われて死刑が減刑されたほど
農民は怯え切っている
荒野に細長い塔が2つあるバスカビル館
門番小屋は古いのと新しいのがある
ヘンリー:半年以内に電灯をずらりとつければ陰鬱さなどなくなる
館に入るとまさに典型的な旧家
バリモア夫妻が迎える
バリモアはチャールズが亡くなったショックで
仕事を引き継いだら暇をもらいたいと頼むが引き留めるヘンリー
ワトソンはヘンリーの隣りの部屋に泊まる
眠りが浅いため、夜中に女のすすり泣きを聞く
●7 メリピット荘のステープルトン兄妹
翌朝、太陽が入ると昨夜の陰気さは吹き飛ぶ館
女の泣き声のことをバリモアに聞くと
館には女は2人 下働きの女は別棟に寝ている
妻は変わりなかったと話すが
妻は泣きはらした顔をしている
電報は妻から受け取り、返事は口頭で妻に伝えたと答える
早速、ステープルトンが挨拶に来る
ワトソンが書く事件簿はこの辺でも読まれていて
ホームズの意見も聞きたいと探るがはぐらかすワトソン
ステープルトンがここに来たのは2年前
趣味のお蔭で飽きないし、自分が一番土地に詳しい
グリンペンの大沼に入ったら人も獣も助からない
体の動きがいい人が通れる道が1、2ある
話している間にも2頭目の小馬が沼に飲み込まれるのを見て慄くワトソン
うめき声が荒野に響いて
農民たちは「バスカビル家の魔犬」と呼んでいるが
沼地は時々妙な音をたてるものだと話すステープルトン
急斜面には石が積まれている
新石器時代の祖先の住居
ステープルトンの妹ベリルは兄と姿が真逆で
浅黒い肌、背が高い美女
ワトソンをヘンリーと勘違いしていきなり叫ぶ
ベリル:
いますぐロンドンに帰ってください!
あなたを思って警告しているのです
今言ったことは兄に黙っていてください
ステープルトン屋敷に招かれ
外は侘しいが中は洗練された家具が揃っている
ステープルトンは学校を経営していたが
伝染病で生徒が3人亡くなり、資金もムダになった
帰り道、近道を来たベリルにさっき言ったことは忘れてくれと言われる
伝説を信じているからヘンリーをここから連れだして欲しいと頼む
ベリル:
兄はバスカビル家に住み手が来て村が繁栄するのを願っているから
こんなことを言えば怒られる
●8 ワトソン博士の報告書1
ここからはホームズに宛てた手紙を写す(手法が面白い
脱獄囚は荒野ではいられないだろうから
よその土地に逃げたのだろうということになった
ヘンリーとベリルは熱愛状態になった
ベリルはいつも兄の顔色をうかがっている
兄も2人をけして2人きりにさせないでいることに気づく
ステープルトンはヒューゴー伝説の場所を案内する
草地に巨石が2つある
モーティマーは先史人類の頭蓋骨を発掘して大喜び
イチイの小道にも案内する
ラフター屋敷のフランクランドは訴訟大好きな変わり者の老人
訴えるのも訴えられるのも大好き(w)で
わざわざケンカをふっかけて、今は7件の訴訟を抱えて財産も怪しい
モーティマーも近親者の承諾なしに発掘したと告訴するつもり
アマチュア天文学者でもあり
今は望遠鏡で脱獄囚を見たいため荒野を見張るのに夢中
昨夜午前2時頃、バリモアが忍び足で使われていない部屋に入ったのを見た
●9 ワトソン博士の報告書2
バリモアが入った部屋を調べたら
そこの窓が荒野に一番眺望がきくと分かる
ヘンリーと尾行しようと計画
やがて館は大がかりな改築が始まる
ベリルを妻に迎える気配が濃厚
荒野に1人で出かける時にお供したいが
恋仲の邪魔をするようで難しくなった
それでも心配になり、丘から見ていると
ベリルとヘンリーが口論し、兄が来てヘンリーをののしった
うちのめされて歩くヘンリーに声をかけて
今の出来事を見ていたことを正直に話す
プロポーズを断られてショックを隠せないヘンリー
兄から妹には指一本触れさせないぞとまで言われた
その日の午後、兄は謝罪に訪れた
妹は自分の人生のすべてだから
心構えができるまで3か月欲しい
その間は友だちとして付き合ってくれと約束
そして、バリモアの尾行
ヘンリーは「ここで何をしている?」と問い詰める
バリモアは誰かをかばって言わないため
窓にロウソクをかかげて合図を送ると返事が来た
バリモアにクビを言い渡すと、妻が自分のせいだと言う
なんと、脱獄囚セルデンは妻の弟で、まだ荒野に隠れ
バリモアが食べ物を運んでいた
翌朝話し合うとして、ヘンリーとワトソンはセルデンを捕まえに行く
荒野に入ると犬の吠え声を聞く
さすがのヘンリーもこの日から恐怖におびえるようになる
セルデンは岩の割れ目から合図を送っていた
欲望むきだしの凶暴な顔
2人はセルデンに飛びかかるが逃げられてしまう
ワトソンは花崗岩の岩山の頂きに黒い男の影を見る
その瞬間男は消える
●10 ワトソン博士の日記 抜き書き
この後からは日記を参考に記憶をたよりに書く
私の唯一のとりえは常識
どうしても迷信は信じられない
この辺の人には全員会ったが、あの男は見たことがない
(もしやホームズ?
バリモアはセルデンを南アメリカに逃がしてやりたい
警察も荒野の捜査を諦めた
ヘンリーが警察に言わないと言ったことに感謝して
チャールズが亡くなった夜、婦人と会う約束だった話をする
1通の手紙が来て、暖炉で焼いたのが
追伸部分だけ残り、L・Lという名の頭文字が読めた
思い当たる人物がいない
チャールズ卿の名前に傷がつくと思い警察には伏せた
夕方、ワトソンは雨の中、男がいた黒岩まで来た
モーティマーもいつも気にかけてくれているが
愛犬が消えたとひどく心配していた
モーティマーに頭文字を話すと
フランクランドの娘がローラ・ライオンズでL・Lだと言う
ライオンズという画家と結婚したが捨てられた
たちの悪い父と夫に苦しんでいた
フランクランドはわずかな仕送りをしていて
今はタイプライターの仕事をしている
セルデンは3日前から連絡が途絶えた
食べ物はなくなっていたが、荒野にはもう1人いる
バリモアの妻が弟から聞いた話をしてくれた
1、2度会い、得体が知れず、なにか企んでいる様子
昔、人が住んでいた石小屋に住んでいる
少年を使って必要な物を運ばせている(カートライトくん?
●11 岩山の男
ホームズはとても多忙なのか返事もくれないため
ワトソンは1人でローラを訪ねる
父とは縁が切れていて、チャールズのことを話しても答えない
ワトソン:今話さないと醜聞が広まるかもしれない
手紙を1、2度書いた
結婚が破断となった時、何人かが助けてくれた
モーティマー氏、ステープルトン氏
ステープルトンと親しかったチャールズ氏も
翌日ロンドンに発てばもう何か月も会えないと思い手紙を書いたが
約束の場所には個人的な理由で行けなかった
夫からいつもいじめられていたが
法律では一緒に生活せよと言われた
ある程度の金を払えば自由の身になれると分かり
チャールズ卿にお願いした
その後、他の方が援助してくれた
そして朝刊でチャールズ卿の死を知った
ウソには見えないが、なぜあれほど青ざめたのかが分からない
次にワトソンは石小屋を訪ねる
その途中でフランクランドに出会う
2件の訴訟に勝って上機嫌で夕食に誘う
フランクランド:
訴訟のために自分をかたどった人形を火あぶりにすると言われたことを
警察に訴えたら、権利を守らないため後悔するぞと言ってやった
あの脱獄囚に食べ物を運ぶ少年を見た
望遠鏡を見せるとちょうど少年が消えるのを目撃する
ワトソンは慌てて小屋に入るが誰もいない
しかし誰か食事をした形跡があり
ワトソンの行動が逐一監視されていたメモを見つける
ひょっとすると守護天使かもしれない
●12 荒野の死
入ってきたのはホームズ!
猫のようにキレイ好きな彼の世話をしていたのはカートライト(やっぱり!
自分が身近にいたら敵が用心してしまうため
ワトソンだけを派遣したとわけを話す
ワトソンがローラの話をすると
ホームズ:
ステープルトンとベリルは夫婦だ
独身のほうが利用できるから
ローラはステープルトンと結婚する気に違いない
ロンドンで尾行していたのもステープルトン
教師をしていたと話したのは失敗だった
教師ほど調べやすいものはない
教師紹介所には、一度教職に就いた記録が残る
2日あれば準備はすべて完了するのだが
その時悲鳴が上がる もう手遅れか?!
切り立った崖から転落して首が曲がった男が死んでいる
事件を鮮やかに解決してみせたいばかりに
依頼人を死なせてしまったと激しく後悔するホームズ
犬を探すがもういない
闇雲に逃げる間に墜落死したと分かるも証拠がない
よく見ると、ヘンリーの服を借りたセルデンと分かる
犯人は服を見てヘンリーと思い
犬もヘンリーの匂いを嗅いで襲った
このままではキツネや大ガラスに食べられてしまうから(!
どこかに運ぼうとしているところにステープルトンが現れる
セルデンだと分かり、動揺を隠す
今夜、ヘンリーを招待したが来なかったから見に来た
ホームズを見てすぐ探偵と分かる
ホームズはワトソンと明日ロンドンに発たなければならないと話す
そう思わせておく必要があった
ホームズ:
頭がいい犯罪者は、自分の知恵にうぬぼれるものだ
ワトソンくんは生まれついての行動派だが
彼の犯罪を立証しようにも、12人の石頭の陪審員を納得させる証拠がない
ローラが役に立つかもしれない
ヘンリーは明日、ステープルトン家の夕食に招かれている
彼を1人で行かせるんだ
●13 網をはる
夜食を食べながら打ち合わせする
バリモアにセルデンの死を伝えるとイライザは激しく泣いた
悲しんでくれる女性が1人もいない男など悪魔しかいないものだ
ホームズはふいにたくさんの天井の肖像画を見て黙る
悪名高いヒューゴーの絵もある
帽子と巻き毛を隠して見せるとステープルトンそっくりだと分かる
ステープルトンも血縁だったと確信する
明日、2人がロンドンに帰ると言うと裏切られた気分になるヘンリー
馬車を返して、徒歩で帰っても安全だと保証するホームズ
クーム・トレーシー駅に着き
カートライトにはロンドンからヘンリーにホームズのフリで電報を打たせ
レストレード警部からは逮捕状を持参して来る返事を受け取る
その後、ローラに事情を話し
ステープルトンとベリルが夫婦で
バンデルーア夫妻という名である証拠写真を見せると
騙されていたと知り、真実を語るローラ
チャールズ卿に手紙を書くように言われ
約束の場所に行くなと止められた
その後、チャールズ卿の死を知った
●14 バスカビル家の犬
ホームズの欠点の1つは、いざという時まで計画を他人に話さないこと
周りの驚く顔を見るのが好きな性格
3人は夜の荒野に戻り、ステープルトンの屋敷のそばで
ヘンリーが出て来るのを待ち伏せる
次第に霧が迫り、3人は屋敷から少し遠ざからねばならなくなる
ようやくヘンリーが出てきて、帰路を急ぐ
その後、とてつもない巨大な黒い犬が
めらめらと炎を噴いて通り過ぎ、レストレードは恐怖の叫びをあげる
ホームズとワトソンは発砲し
ヘンリーに食らいつこうとした犬が断末魔をあげて死ぬ
青い炎に見えたのは鱗粉だと判明
ブラッドハウンドとマスティフの雑種らしい
銃声を聞いて、ステープルトンは屋敷にはいないと言うホームズ
家探しすると、ベリルが支柱に縛られ
首にはムチで打たれた跡がある
ベリル:
体中に傷があり、日常的に虐待されていた
愛されていると思っている間は
どれほどいじめられても耐えられた
でも道具にされていたと分かった
逃げるとしたらあそこしかない
大沼を通り抜ける目印に棒を立てたが
こんな夜にどう見つけるのかしら? と手を叩いて笑う
ヘンリーはこの時のトラウマで倒れて高熱を出し
その後、モーティマー氏と世界一周の旅をした
翌朝、霧は晴れ、みんなで底なし沼を歩く
胸まで浸かって見つけたのは、ヘンリーがなくした靴
犬に匂いをかがせるための靴で
ステープルトンがここで捨てたと思われるが
その後の足取りは見つからず
大沼に飲まれたと考えるしかない
その先の小屋であの凶暴な犬を飼っていた
モーティマー氏のスパニエルが食われた骨が残っている(涙
●15 事件の回想
この後、ホームズは重大な事件を2つ依頼された
ホームズは一度に1つしか引き受けない
その頭脳は捜査中のことしか考えず、過去の事件はすぐ忘れてしまうと言う
それでも記憶をたどって、海外旅行から戻ったヘンリーとモーティマーに
事件の真相をはじめから話して聞かせる
ロジャーは独身のまま死んだと言われたが
実は結婚して産まれた息子がステープルトン
コスタリカの美女ベリルと結婚したが
多額の公金を横領し、バンデルーアと名前を変えてイギリスに逃げてきた
帰国の船で肺病の教師と知り合い、学校を設立
やがて醜聞が広まり、名前をステープルトンと変えて
巨額の遺産を手に入れる計画を立てた
まずはチャールズ卿の近くに住み、近所と友だちになる
モーティマーから聞いて、チャールズ卿の心臓が弱いことを知る
動物商から一番獰猛な犬を買い、密かに小屋で飼った
だがなかなか機会がこないため
ローラに結婚すると思い込ませて手紙を書かせた
迷信を強く信じていたチャールズ卿は
犬に追いかけられて恐怖で心臓発作で亡くなった
ヘンリーはデボン州に来る前にロンドンで殺そうとしていた
変装して尾行し、犬に嗅がせるため靴を盗んだ
虐待され、部屋に閉じ込められていたベリルは警告の手紙を出した
手紙についた香水で女性が絡んでいると分かった
犯罪捜査の専門家は香料の75種類くらいは嗅ぎ分けられないといけない
この時点ですでにステープルトン兄妹にあたりをつけていた
過去3年間に大きな盗難事件が起きているのもステープルトンかもしれない
ホームズと出くわし、ダートムーアで待ち受けることにしたため
ロンドンにいると思わせる必要があった
犬は年寄りの召使いに世話をさせていた
彼はすでに国外逃亡している
現行犯で捕まえるしかないと思ったが
ヘンリー卿をあんな目に遭わせたことは僕のミスだ
ローラとベリルはステープルトンを疑っていた
愛しながら怖れる これはけして矛盾する感情じゃない
だが、いざとなってチャールズ卿を騙すことにベリルは反対した
ローラの存在を知って、スペインの血が流れる女性は簡単に許すものではない
ワトソン:相続人でも名乗り出ることが出来ないのでは?
ホームズ:
3つの道がある
南アフリカから財産権を請求する
ロンドンでしばらく変装する
共犯者を相続人に仕立て上げる
その後、ホームズは歌劇『ユグノー』にワトソンを誘う
■ホームズから逃げたかった男 コナン・ドイル 各務三郎
<ドイルの経歴まとめ>
1859産まれ
父は下級官吏だが絵も描いた
1871
スパルタ式教育の学校でスポーツに熱中
課題の詩を書いて文学に目覚める
1876
母のすすめで大学医学部に進学
生理学者ウィリアム・ラザフォード(『失われた世界』チャレンジャー教授のモデル
外科教授ジョゼフ・ベル(ホームズのモデル)のもとで授業を受ける
学生時代に初めて書いた冒険短編『ササッサ谷の怪』が掲載される
原稿料は3ギニー
捕鯨船に船医として乗船
アザラシ猟、捕鯨にも活躍
1882
医院を開業 病院は流行らず、その間、短編小説を書いた
1885
死んだ患者の姉ルイズと結婚
1886
ガボリオのルコック刑事もの、ポーのデュパン探偵に触発されて推理小説を書いた
ベル博士を思い
「もしあの人が探偵なら、魅惑的なのに
織的でないこの仕事を精密科学の域にまでもってきそうに思われた」
1887
心霊術に興味をもつ(そうだった!
1891
眼科を開業 患者はまったく来ない
作家になる決意をする(この辺に天の采配を感じる
「書くことにわが生涯を託そうと考え、狂喜して決心した」
1編、平均25ポンド
イラストはシドニー・バジェット(本書と同じだ
ドイルはホームズをもっと醜い男に考えていた
12編目でホームズを殺そうとするが母に大反対される
ドイルは真面目な歴史小説を書きたがっていた
(どんなに売れても、自分の好きなことでも
ままならないことがあるのが人生の興味深いところ
1892
最初のホームズパロディ『ペグラムの謎』が刊行
その後、無数に書かれ続けた
1893
『最後の事件』でホームズをモリアーティ教授とともに
ライヘンバッハの滝に墜落死させて、読者の怒りの手紙が殺到
妹コニーは後に、怪盗紳士ラッフルズもので知られる小説家
E.W.ホーナングと結婚
1899
アフリカでボーア戦争に軍医として従軍
1901
ジャーナリストの友人からダートムーアの魔犬伝説を聞いて取材
『バスカビル家の犬』を連載 『最後の事件』より前に設定
1902
ナイトの爵位を辞退しようとして母に反対されて受ける
1906 妻死去
1907 ドイルの力でエダルジ釈放
1912 SF冒険小説『失われた世界』刊行
1914 第一次世界大戦勃発
1927 最後の短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』刊行
1930 ウィンドルサムの自宅で71歳にて死去
■作品解説
『バスカビル家の犬』は『緋色の研究』『四つの署名』に次ぐ長編3作目
約8年間ファンを無視してきたドイルは魔犬伝説を聞き取材して描き上げた
怪奇小説が好きで、現地の風景を見事に取り入れた
実際のグリムズパウンド沼は普通の沼沢地
ドイル一族は絵の才能もあり、本書は文による絵画の才能が見られる
ホームズもので最も人気で
注目すべきは、作品の背景がビクトリア朝後期
発表したのはエドワード朝初期という点
まだまだ迷信を信じる人が多かった
フランスの推理作家ボワロー&ナルスジャックは
推理小説の根元にあるのは「恐怖」であると指摘している
1889年といえば、ワトソンは結婚して、ホームズとの共同生活はしていない
その他もいくつか矛盾がある
ドイルは読者からの「ホームズを生き返らせてください」という願いに
「ホームズは、ライヘンバッハの滝の底にいつまでもいることでしょう」と答えていた
本書の後ろにも偕成社のミステリーシリーズが載っていてどれも気になる
とくに、ホームズの長編のあと3つはいつか読みたい
これほど面白いとは知らなかったなあ
さすが世界中で読まれ続けているだけあると納得
表紙は、本書とまったく関係ないことに気づいた
船の上でオールを持つ男を棒で殴り殺そうとするもう1人の男の物騒な一場面
その次は「シエフィールドのやすりか・・・」(カバーがシール付けされていて読めない/汗
後ろも「ごみ捨て場の風景」と、内容とまったく関係ないばかりか
ホームズとも関係なさそう
当時のイギリスの市民を描いたのだろうか???
バジェットさんによる挿絵も写実的で
私的にはハマるほどではないフツーのイラストだった
それでも内容にぐいぐいと引き込まれ
ホームズ、ワトソンらとともに推理するのは夢中になる
ヘンリーが犬に襲われる手前で読むのを中断して
「犬が来るうううううううう!!」と叫びそうになったほどw