昨日は、朝、予め焼いた「芋餅」をタッパーに入れ、前日に焼いた「マドレーヌケーキ」買った「ハッサク」と「葡萄ジュース」を持参して伯母のホームに向かった。
行くことを言ってあったものだから、伯母が部屋から下りてきて玄関先で待っていてくれた。
二人でエレベーターを使わないで、4階までゆっくりと階段を上った。
伯母が住む町は北海道の豪雪地帯なので、毎日雪が降る。外に出られないので、伯母は日に3回位、5階までの上り下りをしてトレーニングしていると言うのだ。段差は高齢者向けに15cm位の緩い勾配になっているが、それでも腰が曲がった88才にとっては楽ではないはずだ。
私は「下りるときに転倒したら大変なことになるから、手摺りをつかんでゆっくりと下りてね。」と注意を促した。
部屋に入ってからお土産を広げ、まず「ケーキ」を食べて貰った。お菓子屋さんの様な包装に驚きながら、「美味しい。」と言って食べてくれた。
昼ご飯が出ないホームなので、昼過ぎに「芋餅」を電子レンジで温めて食べさせた。
こちらも伯母がずっと作ってきた澱粉と塩だけ加えて作る芋餅とは味付けが違うので美味しいらしかった。(私の場合は、その他にバター、砂糖、胡椒を少しずつ加えて洋菓子風味にしてある) おまけに昨年、伯母の畑に私が植え付けた新品種『洞爺』は、黄色い色で甘みが強く、伯母にとっては初めて食べる芋なのだ。
「ハッサク」は袋を破って中を食べるのが大変だと言うので、果物ナイフで一つ一つの袋に切り込みを入れて食べやすくして上げた。
昨日はゆっくりと4時間程いたので、色々な話ができた。
話の中で特に気になった事は、「ホームにいると何もしなくても良いので、この頃特に頭が呆けて行く気がする。」と言う伯母の言葉だ。
そう言えば何となく目の力が弱った様だし、歩き方もたどたどしくなった。ほとんどしなかった物忘れも最近はよくするようだ。唇も半分しびれたようでしまりが悪いという。医者に言っても、歳のせいだと言われるだけらしい。
ホームでは、朝夕の食事と入浴、安全は確保され、何一つ日々の生活は心配しなくても良い。一見、高齢者に取っては楽で良いことづくめに見える。しかし、それが私には、伯母から生きる力を奪って行っているように思えて仕方がない。私がそう言うと、伯母も「そう思う。」と言うのだ。「私の家へ来て、去年までのように食事の支度を一緒にしないかい。」と言ってみたが、「もうできなくなった。」と情けないことを言う。
今、伯母の介護認定は「要支援1」だ。私は「要介護2になったら、良いグループホームを探そうね。グループホームは、残存能力を活用する手助けをしてくれるから。」と話した。
帰りは私を玄関まで送ってくれた。帰り道の1時間、一人になった高齢者にもっと良い暮らし方はないのだろうか、と考えながら運転して来た。