今朝はマイナス8度だったが、昨日まではマイナス13~15度の日が続き、一日中冷凍庫の中にいるような気温だった。
歩いていたら、あちこちの家の軒先に下がっているつららを見かけた。
つららは屋根の断熱性能が低い場合、家の中の暖房によって暖まった熱が天井から小屋裏へと伝わり、ついに屋根の上に乗っている雪を溶かして水滴を作り、それが少しずつ軒先に流れて来て、低い外気温に触れてつららを作るらしい。
だから屋根下や天井の断熱性能が高く、家の中の熱を外へと逃がさない様な機密性の高い家にはつららはできない。
ある所で軒先に1.5mにもなると思われるつららを発見した。
最高気温がプラスになって暖気になると、屋根に積もった雪と共に、こうしたつららが自然に落下する。太さが直径十数センチにもなった先の尖った氷の固まりは、簡単に凶器にもなる。
また、それ程太くなくても、軒先にできた大きな氷塊と一緒に落下すれば、下に人がいる場合大変な事になる。
もしも、出入り口につららができたり、雪が落下したりしたら危険なので、家を建てる時は屋根の形をどうするかという設計が大切になる。しかし、中にはこうした点を配慮せずに建てられた家もたまに見かける。毎日出入りする家族や訪問客は冷や汗ものだろうと気の毒になる。
また、つららができてから屋根の雪がせりだすと、つららは次第に家の壁の方に向かって曲がりながら成長する。その場合、やがて成長したつららが、窓ガラスを突いて割ることがある。
いずれにしても被害を防ぐために、つららを予め落とそうとする家が多い。
私の子ども時代の家は、当時の北国の家が皆そうであった様に、断熱材など全く使われていないザルの様な家だったので、雪が降ると屋根に積もった雪の下層部が溶け、軒先にもの凄く大きなつららの固まりを作った。
男手のない我が家では、トタン屋根に登って雪下ろしをするのは中学生になった頃からの私の仕事だった。
当時は命綱などの配慮も知らず、スコップだけ持って上がった屋根から、暖気の日には何度も雪や氷と共に下に滑り落ちた。下にも積もった雪があったから怪我には至らなかったが、下手したら私の直後に落ちてきたスコップで怪我をしたかも知れなかった。思い出すと今でもぞっとするのである。
町には高層の建物が増えたが、つららや雪が突然落下する場合を想定して、危険箇所にロープを張り巡らし、立ち入り禁止の札を立てている所も多い。
しかし、予想できない所から落ちてきて怪我をすると大変なので、雪国に住む私達は滑って転ばないように足元に注意しながら、上部にも気を配って歩く。これから春先まで、こうした注意が欠かせないのである。
30年程前から、北国の家造りが研究され出し、今では高気密・高断熱の家が常識となっている。つららのできないそういう家を作るには建築費が当然高くなるから、冬暖かく夏涼しい北国の家は、今や日本一贅沢な家だとも言えるのである。