存在する音楽

ジャンルに関係なく良いと感じた曲は聴く
誰かの心に存在する音楽は
実際に音が鳴っていない時にも聴こえてくることがある

the songwriters vol.2

2009-07-12 07:17:14 | 佐野元春
僕もソングライティングをしていて切実に感じられることなんですけれど。曲が先なのか詞が先なのか?

小田:ほとんど曲が先、数曲だけ詞が先でほとんど曲が先。
佐野:するとメロディが浮かんで、アレンジを最終の響きというのが頭の中に浮かぶんですか?
小田:そうですね。詞に対する当てはまるメロディーというのは曖昧で、まだ他に違うメロディーがあるんではないか?と考えてしまう。メロディを犠牲にするということは ちょっと大袈裟だけど、二の次にするのは自分は不快な感じがする。

佐野:自分の話なんだけども、あるメロディが浮かぶでしょう?それに当てはまる言葉がこれしかないというのが含まれているんじゃな いかな。と信じるんですよ。それを丹念につむぎだすのがソングライターの仕事じゃないかな、と思っているんです。
小田:いきなり 良い言葉が見つかれば良いけど、「あの日あの時あの場所で君に会わなかったら見知らぬ二人のまま」ってメロディーと字数が合うんだけど、当たり前のことを言っているだけど、どこにも、ああそうか というんじゃなく、感じることはなく、感性でわかるんじゃなく、俺ってとっても懐疑的だし、これで良いのかどうか自分ではわからない。何年か経って、あれで良かったんだなと思うことがある。それの方が多いくらい。
「さよなら」は今はとてもはまっているなと思うけど、最初はだんだん近づいてくるみたいな曲だったんだけど、スタジオに行く時に何か違うなと思うようになり、唯一全部書き直して
佐野:「さよなら」は、先ほど僕が言ったピッタリとしたメロディと言葉がこれ以上ないという曲の一つ
このメロディーにはこの言葉、この言葉にはこのメロディー

さよなら 、we are 、over、1982年ツアーに関してのアナウンスが流れる
コンサートで使われた ひまわりに we are overと文字が出る映像は懐かしい。


佐野:小田さんにやってもらいたいことがある。「言葉にできない」を実際、小田さんの手書きで詞を書いてもらいたい。やってもらえますか?
小田:はい。
佐野:これはちょっと裏話があるんだけれど、面白いエピソードがあるんで話してもらえますか?
小田:もう何年くらい前か、財津が提案して、一緒に同じ曲を作ろう、と今はコラボレーションという言葉があるけれど、その当時はなかったんで。一緒にやろうって。ユーミンもすぐ手を上げる方だから。緊張感もあるし、どんな感じになるのかって。曲を書いて、「今だから」の話。今度詞になるときに、小田さんそんな字を書くの?って言われて、ユーミンがこんな字で書いているのか、財津はそんな字で書いているのか。とそのときのそれぞれの この字で書いてきたって思ったことがありましたけど。
(これレコードでは持っていますが、CDとかでも聴けないかなあ。プロデュースは教授で、高中正義ギターというあたりも、とても良いです。)

「言葉にできない」を眼の荒い方眼紙のような紙に黒いフェルトペンで書いていく。
僕はね、何をやるんでも才能があってさらさら出てくるんじゃなくてね、これとこれとどっちがいいんだ?あれがいいんじゃないか?これがいいのか?こっちの方がましか。とかなり迷いながら試行錯誤して、もっと良いのがないのか?という諦めないでもっと良いものがあるまでやる

佐野:歌詞ではない ららら というスキャットが この曲のコアになってますね
 感情が、あまりにも言いたいことがある。あまりにも人に伝えたい情報が自らこぼれてしまう。もう言葉じゃない正に言葉じゃない、例えばスキット ららら で繰り返される部分を聴くと、ららら でないと伝えられない感情は何なのか?という想像する楽しみがありますね。

もう、オフコースはもう解散することがわかっていて、最後のツアーで、最後に歌う歌になるんだろうなってことがわかっていて、それなりに重いものにしたかった。それに詞を書くことが基本的にはとても嫌なんですね。本当に、詞を書くのが嫌だな、書かなくてすむものはないかな?みんなが勝手にふくらましていってくれるもの「ららら」の中に、何かみんなが見つけてくれるんじゃないか。
それはどんな感情かな?
やっぱり悲しいこと、悔しいこと、辛いこと、嬉しいことというのを ららら に託せば何か今までとは違う伝わることがあるんじゃないか。

佐野: ららら という言葉に続く言葉 悲しくて これもう最初に飛び込んでくる言葉ですね 聴き手としては ららら という切ないメロディーの後に抑えられる言葉として 悲しくて これは万人がすぐにキャッチできる感情 そしてまた繰り返されて ららら の後に全く眞逆の 嬉しくて という言葉が出てくる
これはね、小田さんの真骨頂かな。
ららら の裏側には、それと同じくらいの嬉しくてという感情が張り付いているという これが僕たちの感情ではないのかという ことを丁寧に見せてくれる。それも理屈ではなく素晴らしいメロディーで。これが僕が一番感動するところなんです。

小田:君に言われて思い出したけど、そうか「嬉しくて」が最後に出てくるんだって。
レコーディングのリハーサルをやってて、みんなが帰って、そういう曲を書かなくちゃって思って一人でピアノを弾いていて、 ららら メロディーになって 最後に嬉しくてが出てきた時に、ああ これは届くな。って思ったね。

クリスマスの約束の映像「言葉にできない」

dialige
早稲田大学の学生から質問
初めて曲を作ったのは?
中学の音楽先生でとても良い先生がいて、先生は僕がポップミュージックに憧れているのを知っていて、
小田君 残りなさいとか言われて、スタンダードな曲を弾いてくれたりして・・・
授業で先生が曲を書くように言って、8小節で書くという授業で、とてもクリエイティブな先生で、俺は誰のが良いとかよく知っているので、他のやつよりもできるだろうと思っていたんで、まとまった練習曲のような作った曲を弾いたら、先生は何の感想もなく、そのまますっと次の人の曲にいったんだよね。
佐野:みんな経験ないから、ちゃんと出来てなくても面白さがあるというか
小田:つまらない曲だったのか。そんなに冷たくされたのがショックで、今その先生に聞いて見たいんだけどね。

曲を作る時に埋められない時はどうしますか?
埋められるまで、何とか考えるね。ここはもう無理だと思うときは、最初から辛いけど作り直さなきゃいけないと思う。ふっと湧いて埋まるようなことってあんまりないようね。そこは頑張って頑張って埋めるしかないかな。その曲にぶつかって、ああ何ともなくてよかったな。そんなことだらけですよ。

立教大学の学生
影響を受けた本は?
藤沢周平さんの歴史時代小説とか好きですね最近読んだ本では。他にもみんなのよく読んでいるものも沢山読みましたね、漱石も。俺にとって漱石っていうのは絶対的な存在で、頭も良いし、漢文もできるし、英文学もできるし、最近漱石を分析した本を読むと、ひょっとしてこれだった(ゲイ)とかのではないかという まことしやかに書かれているのを読むと面白いんだけど、絶対的に輝いているものが段々なくなっていくものがでてくると何か寂しいなって。音楽もそうだけど。

佐野:多感な頃に触れた小説や音楽はどうしても思い描くものですから(ちょっと聞き取りにくかった)、ものごとを見るときの感じるときの一つの物差しのようになってたりしますよね。
小田:僕らが書いたものをファンの人たちが凄く喜んで聴いてくれているけれど、それが絶対的なものとして受けとるからちょっと複雑な思い

佐野:ライブやっていてアレンジとか歌い方とか変えたりしますか。
小田:あるね。ライブやっていっぱいわかることがあるからね。お客さんの前で、この曲はこうだったんだって。
佐野:時代に合わせて自然に変わることもあると思います。

音楽の力で世界を変えられることはあると思いますか?
全部を変えられるかとかはわからないけれど、文化とかは変えられると思う。
ビートルズのことなんかを考えたら、そういう力はあるんじゃないの?
最近、音楽とは何かと考えることがあるけど、音楽の力というのは凄く不思議だよね。

詞を書くのがお好きではないというお話でしたが、曲だけでも表現できるものもあるのに、それでも歌詞がついた音楽に拘るのは、どういうことですか?
佐野:良い質問だよね。
小田:佐野君は詞を書くのは嫌じゃないの?
佐野:僕は詞を書くのが嫌だというのが不思議でね。僕は嫌じゃないですね
小田:僕は詞には拘ってないね。歌うのは好きだった。音楽というのは歌詞がついていて当たり前だと思っているんだよね。歌う以上は自分が素直に歌うものを歌いたいから、必死に探して作って歌う。

歌を作る時に大切にしているのは?
小田:自分が気に入るかどうか。自分が気にっていれば一番強いから。納得するかどうかしかないかな。
佐野:僕も誰か喜んでくれるから書くときの動機になる。実際に誰かに喜んでもらった時は良かったなと思う。でも、その時の偽りの心で書いても偽りの思いで歌って聴いて喜んでもらうという矛盾が残るわけです。正直でありたいと心がけています。
小田:佐野君は僕よりもずっとアーティストだなって思う。僕は正直に書いて良いものが書けりゃよいけど、良いものができるとは限らない。レベルに達しないというところでの戦いだから。5分でも書けそうな曲、そこと戦うよね。

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CDTV perfume

2009-07-12 01:14:09 | TV番組
久しぶりに見ています。
チャート 知らない音楽がまた増えています。

何となく見ていたら、perfumeがコメントをしていましたが、短時間でした。
歴代シングルのビデオが流れていましたが、DVDの初回限定盤では全部入ってないので、ちょっとなあと思いました。

着歌は木村カエラのhot pepperのcmで歌っている例の曲が1位らしいです。
未発売のもので、みんな着うたして聴いてるんだ。なるほど。



コメント (2)
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