箱男130ページ、密会6ページ
この二作はペアらしい。両方の作品に解説を書いている平岡篤頼氏が書いている。箱男は盗撮もので密会は盗聴ものだそうである。
両作の解説と箱男を半分ほど読んだところでの感想は「叙述方法についての実験作」だな、ということ。いずれも作中「ノート」「報告」を多用することである。これは他人の顔にも採用されているが、他人の顔では物語のリニアな流れを読者がフォローすることが自然に出来る。
箱男ではストーリーの流れをリニアに追おうとすると読者は混乱する。再読三読して自分で物語を再構成するしかない。
実験的技法を評価鑑賞するだけなら良いだろうが、それ以上内容、テーマ、文章を玩味することは出来ない。それが前衛的な作品なのだ、イイノダということらしい。それは平岡氏も認めている。文章を味読するのは無駄である。意味がない。