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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



韓国初日のプロ野球観戦では、調べていた時間よりも、試合開始時間が早まっていた。それでもかろうじて見ることができた。こんなことは、海外ならば当然だ。まぁ、よしとしよう。日にちがずれることだってよくあることだ。

韓国2日目は、日曜日。ここ数ヶ月、日曜日に必ずやっていることがある。「ビバ!サッカー研究会」というサイトのなかで、元朝日新聞記者の中条一雄さんが書いている「クラマー取材ノートから」という原稿をアップロードすることだ。縁あって、ぼくがやらせてもらっている。たいへん貴重な、そしておもしろい内容なので、ぜひご覧いただきたい。

出かける前に、ホテルのビジネスセンターで、自分のPCをインターネットにつなごうとしたのだが、どうもうまくいかない。フロントに聞けば「無理です」という冷たい答え。ネットにつなぐことができるから、このホテルにしたのに…。結局、夜、友人が泊まっていた別のホテルにPCを持ち込んで、ようやく作業終了。とりあえず無事にサイトにアップできたのでよしとしようか。

そして、3日目、最終日。飛行機の出発は夕方。特にすることもないので、2002年日韓W杯のときのように、明洞・ロイヤルホテルの上にあるサウナにはいって、マッサージをしてもらって、のんびりしようと思ったら、なんとサウナがなくなっていた。考えてみれば、あれからもう5年。韓国もずいぶん変わっているし、しょうがないか。

というわけで、早めに仁川空港に着くと、今度は、なんと飛行機の出発が1時間遅れになっているではないか。野球の開始時間が早まったかと思えば、飛行機の時間は遅くなる。最初から最後まで、なんともドタバタな韓国旅行になった。

しかたなく、仁川空港の4階レストラン街の通路の隅(写真)でブログの下書きをすることにした。この場所にしたのは、壁にコンセントを見つけたのと、人通りがとても少なかったため。ここで打ち込んだFCソウルの試合の感想は近日公開予定。

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FCソウル 0対1 水原
(2007/4/8 ソウルW杯スタジアム)


試合終了の笛が鳴ると、ピッチのほとんどの選手が、その場にへたり込んでしまった。まるで、優勝決定戦かと思うような壮絶な試合だった。特に、今季初の敗戦を喫したFCソウルの選手たちのダメージが大きかった。

Kリーグ(韓国プロサッカーリーグ)では、選手たちは、試合終了後に相手のサポーターに対しても挨拶するように指導されている(強制ではない)。勝利した水原の選手たちは、いち早く立ち上がり、センターラインからややホーム側に入ったところで、整列し、FCソウルのサポーターに向かって手をあげ、礼をしていた。しかし、FCソウルの選手たちは、敗戦のショックで、なかなか立ち上がれなかった。

また、試合後にFCソウルの関係者から聞いた話では、3月21日のカップ戦(4対1でFCソウルが逆転勝ち)の試合後の挨拶の際に、水原のサポーターから激しいブーイングをされていたことで、何人かの選手が挨拶することを拒んでいたという。

すると、ピッチの中に歩み進んだギュネス監督が、センターサークル付近に選手を集め円陣を組んで、こう言った。

「まだ試合は終わっていない。このスタジアムに来てくれた大観衆にきちんとあいさつをしないうちは、試合は終わったことにはならない」

「今日は負けてしまったが、君たちはまだ敗者になったわけではない。堂々とファンに感謝の気持ちを表せるのなら、この熱心な大勢のファンも君たちのプレーを認めてくれるはずだ。そうすることで、君たちは勝者になる資格を得られるのだ」

このことを聞いて、この日の敗戦と「ギュネスの言葉」は、FCソウルの将来にとって、勝つこと以上に価値があったかもしれないと思った。


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