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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



全日本柔道選手権大会
(2007/4/29 日本武道館)

井上康生が戻ってきたこともあり、例年以上に注目が集まった大会となった。

九段下の駅から日本武道館に向かう途中、田安門のあたりでは、大勢のダフ屋が余ってるチケットを求めていた。午前11時30分に会場に着いたときには、8割がたの席は埋まっていたのではないか。夕方の5時過ぎまでの長い戦い。これまでだったら、ベスト8が出揃う午後3時ぐらいになって満員状態になるところだ。観客の出足も早い。

ケガから復帰の井上康生、昨年の王者、石井慧はまだ学生。雪辱を狙う鈴木桂治。全日本選抜体重別で100kg超級を制した高井洋平。昨年のアジア大会で100kg超級の金メダリスト棟田康幸。昨年のこの大会で3位となった生田秀和、泉浩。他にも虎視眈々と優勝を狙う実力者が揃った。

そして、ベスト8には、棟田、高井、鈴木、石井、泉水、井上が順当に残り、片渕慎弥と庄司武男が加わった。いよいよ、そこからが見どころと思っていたが……。

今年の大会は、膠着状態が続く試合ばかりで、はっきり言って面白くなかった。柔道の醍醐味である一本勝ちが少なかった。ベスト8が出揃ってからの7試合のうちで、一本勝ちは、井上康生が泉浩を押さえ込んだのと、鈴木桂治が片渕慎弥を小内刈りに沈めた2度だけ。

もともと無差別級=最重量級同士の力が接近している対戦なので、そう簡単に一本はとれないと思って見ているが、それにしても寂しい内容だった。

大観衆が判定の結果にどよめくことはあったが、豪快な一本勝ちに歓声をあげることはほとんどなかった大会だった。若手の新たなスターの登場を願う声もあるようだが、井上(28歳)、鈴木(26歳)だって、まだまだ若い。彼らを筆頭に、柔道界全体の精進が必要なのではないか。

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