行く末遠ければ

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地元サッカークラブ・カターレ富山を応援するブログ

リベンジはならずも、覚悟を示した同点劇。2位をキープ FC今治戦

2023-08-06 22:43:02 | カターレ富山
2-2のドロー。
なんというか、評価の難しい試合であったように思います。
先制点を奪い勝利への道筋をつけたにもかかわらず、勝ちきれず勝ち点3を得ることが出来なかった。3位鹿児島が敗れたことで、差を広げるチャンスだったのに1止まり。それは、マイナスと言えるところ。
一方で。これまでの悪いパターンにハマってしまったことで、逆転負けでの敗戦も必至か?という流れにあったけれど。追いつき、逆転の可能性も見せて最悪の事態を回避してみせたこと。それは、プラスと言えるところ。
結果だけ見れば・・・上位直接対決で勝てないカターレ、ホームでは強いカターレ、取りこぼしの引き分けが多い今治、アウェイではイマイチな今治、などなど。これまでのデータ通りと言えばその通りになってしまったのが、釈然としないというか。
それでも。
正直言って、本当にこれまで通りであったなら、負け試合であったと思います。
けれども。
逆転勝利こそならなかったものの、それでも引き分けて勝ち点1とはいえ加算した。
それは、とりもなおさずカターレの成長と言える部分。その事実は、きちんと評価しなければ。

前節のショックの大きい敗戦から1週間。引きずるわけにいかない、なんとしてもホームで勝利を!そんな気概を勝ち点3につなげねばならない今節でしたが。
必ずしもスタメンを固定するわけではなく、必要に応じて適宜変更も辞さないという方針の小田切監督。その方針にのっとって、ということでもあるのでしょうか。前節より大きくメンバーを変更して臨むこととなった今節。
大畑と林堂がCBでコンビを組み、左に安光、そして右に出場停止明けの柳下というディフェンス陣は、ほぼ想定通りとして。
中盤が、ガラッと変更。シルバと碓井というボランチの組み合わせに、サイドにはマテウスと松岡、トップ下に陽次、そして1トップに大野という。
シルバとマテウスというブラジル人選手が同時起用という、珍しい組み合わせ。そこにポジショニングに定評のある陽次、そして最近は途中出場となっていた松岡がスタメン復帰など、なかなかに「おもしろい」と言える布陣を敷いたな、と。
前の試合で負けたからやみくもに変えた、とかではなく。
今シーズンの特徴ともいえる、レギュラークラスとサブメンバーとの間の力の差が小さいという要素。それをしっかり活かし、考え抜いた起用だったと言えたのではなかろうかと。

すると、その起用に応えるかたちで、先制ゴールを挙げることに成功したカターレ。
試合開始からしばらく今治の攻勢に我慢の時間が続きながらも、それでもチャンスをうかがい続けたなかで。
14分、シルバの気の利いた縦パスを起点に、サイドを上がっていった柳下が果敢にシュート。それが相手選手に当たって入るオウンゴールを呼び込み、欲しかった先制点を挙げたのでした。
前節は累積警告で出場停止となり、チームも悔しい敗戦。今節の挽回を誓っていたであろう柳下。その彼が、やってくれた。その意義を知るからこその、価値ある先制点でした。

そのあとはスコアが動くことはなく、1-0で試合を折り返すことに。
ただ。
前節の鹿児島戦も、先の愛媛戦でも、先制ゴールを挙げたのはカターレ。けれど、それを勝利に繋げられずに逆転負けを喫してしまったという。
1点をリードしているとはいえ、それが即勝利につながるというわけではない。
だからこそ、1点のリードはハンデくらいのものとして、同点であるというような認識で挑まねばーーーそう、思っていたのですが。
悪い予感に限ってよく当たる、というのは世の常ではありますが。
後半開始早々の48分、FW千葉 寛汰に決められて追いつかれてしまい。
それでも、同点からしっかり勝ち越すことこそが肝要だーーーそうやって気を取り直している最中の58分。MF近藤 高虎に逆転ゴールを決められ、試合をひっくり返されてしまったのでした。
昨シーズン、アウェイ・ホームともに敗れてダブルをくらった今治戦ですが、その両方で決められていた近藤。今節の対戦でも、期するところはあったのではないでしょうか。
ミドルからの強烈なシュートを思い切りよく蹴り込み、しっかりと決めた近藤が賞賛されるべきではあるものの・・・。
正直言って、「そこから撃ってくるのか?」という油断があったのでは?という面も、無かったとは言い切れません。
もう“カターレキラー”を名乗ってもいいのでは?という近藤のゴール。前節もゴラッソなミドルシュートを決められた苦い経験。そして、なによりも・・・愛媛戦、鹿児島戦に続いて、またしても上位対決で先制しながら逆転されてしまったという、「なんで反省が活かせないんだ!」という失態・・・。
これまでの悪いパターンというものに、またしてもハマってしまったかたち。
シーズンダブルなどもう懲り懲り、どうしても勝たねば!という試合であったにもかかわらず。
試合の流れからすると・・・正直言って、敗色はかなり濃厚であったと思います。
ここであえなく敗れて連敗、それでなくても昨シーズンのリベンジを果たさねばならなかったはずの今治に、またもダブルをくらうという屈辱。そうなってしまう可能性が、かなり高まってしまっていた、と。

けれど。そうはなりませんでした。
逆転ゴールを決められたあとの63分、選手交代で一挙3枚替え。勝負をかけて高橋 駿太と高橋 馨希のW高橋と、吉平の攻撃的ポジションの3人を同時投入。
すると、この3人がやってくれました。
68分、ファウルからのFKの場面で、クイックリスタートからシルバが縦にボールを贈ると、それを受けたヨシキが駿太にワンタッチでパス、その駿太の折り返しを吉平が受けると見せかけてスルー、受け取ったヨシキが蹴り込み、ゴール!
見事な崩しから値千金の同点ゴールを決めてみせたのでした。
このところスタメン起用が続いていたところ、今節はベンチスタートだったヨシキですが、投入早々に大仕事をやってのけました。
現在、法政大学4年の特別指定選手であるヨシキ。その彼のJ初ゴールに、スタジアムのボルテージは最高潮に達したのでした。

その後も、逆転を目指して攻勢をかけるカターレ。
同点ゴールのヨシキが痛んで、途中出場ながら途中交代となってしまったり。
大畑がイエローをくらって、“今度こそ”、累積警告で次節の出場停止が決まってしまったり。
そんなアクシデントもありながらも、攻め立てるカターレ。得意のドリブルからの仕掛けを見せる松岡をはじめ、全員が最後の最後まであきらめることなく必死のプレーを続けました。
ただ、その頑張りもゴールにまでは至らず。
試合終了。
2-2のドローで決着となったのでした。

リードした後半の立ち上がりという、気をつけねばならないとわかっていたはずのところで、またも失点。それが先制ゴールをフイにする結果になってしまったこと・・・教訓を活かせず繰り返してしまっていることは、遺憾です。
けれど、一方で。
これまで通りであったなら、負けてしまっていた試合。悪い意味での「いつも通り」にハマってしまっていた試合。
それを、勝てなかったながらも引き分けに持ち込み、負けなかった。
リベンジを果たせず勝ちきれなかったけれど、負けなかった。
ベストの結果でこそなかったけれど。それでも、最悪の結果を免れたこと。その意義は、決して小さくありません。

今節の結果、首位の愛媛、2位の富山がドローで差は変わらず。3位の鹿児島、4位の沼津が敗れたことで、わずかに差が開くこととなりました。
直近2試合の上位対決で1分け1敗という結果ながら、致命傷と言えるほどの差がうまれなかったのは、ラッキーと言える部分もありますが。
ともあれ。
勝てなかったのは無念ではありますが、負けなかったことでチャンスが失われずに済んだ、と。
広げられてしまいかねなかった首位との勝ち点差も変わらず、自力優勝の可能性も消えていません。
もちろん、2戦連続勝ちなしという現状から目をそらすことなく、猛省は必要ですが。
首位奪還に向けて、前向きに、ひたむきに努力していかねばならない、そのこと自体には、なんら変わりなし。
ならば。
次節の松本、その次の福島と、またアウェイ2連戦となりますが。
アウェイが苦手とか言っている場合ではない。もちろん、連勝で次のホーム戦・岩手戦につなげねばならないことは、言うまでもなく。
今節の勝ち点1を活かすも殺すも、今後の頑張りにかかっています。
戦いは、続きます。