1-0で勝利!
リーグトップタイの総得点35のチーム同士が対決することとなった、今節の松本-富山戦。
それでも撃ちあいとはならず、1点をめぐる攻防となり。それを制したのは、シュートあたりの決定力がリーグナンバーワンであるカターレでした。
松本側の決定力不足に助けられたシーンもありました。劣勢に立たされ、あまり言いたくないけれど審判のジャッジが偏っていたのでは?という場面も何度も。
けれど。試合を通して、気迫あふれるプレーを続けたカターレは、最後の最後まで集中が途切れることは無く。1点差を守りきり、松本の大観衆を黙らせるシーズンダブルを達成。詰めかけた多くのカターレファン・サポーターに歓喜を届けたのでした。
リーグ最多動員クラブとして、およそJ3離れしたスタジアムの雰囲気を醸し出す松本のホーム・アルウィン。
今節は、お盆休みという時期に加えてカターレ側のファン・サポーターも数多く詰めかけたという要因も重なり、今季最多の11431人を動員することとなりました。
お盆休み、アウェイ戦のなかでも比較的行きやすい隣県対決という要素もあったにせよ。カターレファン・サポーターが応援遠征を決意したその背景は・・・やはり、この松本戦の重要度を熟知していたから、ということもあったかと。
シーズン後半戦の開始から2試合で、勝ち点わずかに1。その躓きの連鎖を、なんとしても食い止めねばならない。ここまで順位こそ揮わないものの、それでも実力のあるクラブに間違いはない松本。昨シーズンのアウェイ戦でも、無得点で敗れています。
だからこそ。完全アウェイという条件であるからこそ、駆け付けてカターレを鼓舞したいーーーそんな情熱。
アウェイ動員としては、間違いなく今季最多で、500人を超えたとか。
ゴール裏アウェイ側スタンドは、まさに立錐の余地無しといった塩梅で満席に。こんなになるなら、もう1ブロックくらいアウェイ席を開放してくれよ!などという声も多く聞かれましたが。
それだけ、ファン・サポーターにとっても気合の入る一戦。必勝を誓い、試合に臨むこととなりました。
これまで全試合出場してきた大畑が累積警告で出場停止。そしてヨシキが無念の負傷離脱。それらの条件だけでも、前節とまったく同じメンバーというわけにもいかなかったところでしたが。
GK田川、CBは林堂と、予想通り大畑に代わって今瀬。左SBに安光、右には古巣凱旋となる柳下。
ボランチにはシルバと、キャプテンマークをつけることとなった確井。左サイドハーフに吉平、右に松岡。トップ下に陽次、1トップに大野といったスタメン編成となりました。マテウスに代わって吉平など小変更はあったものの、概ね前節を踏襲したものに。
そんななかで、目を惹いたのがサブメンバー。
怪我で長らく戦線を離れていた下堂が復帰。待ち望んでいたファン・サポーターも多かろうと。
そして、いちばんのサプライズが、先日加入発表があったばかりの野口が、いきなりメンバー入りしたことでしょう。
もちろん、なんの見立てもなく獲ったわけでなく、補強ポイントとして見極めた上での獲得だったことでしょうが。プロキャリア5年目の野口にとっては、若手の育成型期限付き移籍と同じではなかろうと。出場してナンボ、という決意の期限付き移籍。ただ、それが合流から数日で、とは。
それでも。それを言うなら、田川だって開幕直前の加入。そこから正GKとして活躍し続けているじゃないか、と。ならば、ここも小田切監督の見立てを信じて応援するのみ。
日中は35℃を超える猛暑日が続く昨今。そのなかで、19時開始で27℃は、快適ですらありました。ピッチレベルでどうだったかまでは定かではないですが、コイントスで陣地変更を選んでキックオフ。
連敗阻止、そしてホームの大観衆の応援に応えるべく、気迫のこもったプレーを繰り広げる松本。
前から果敢にプレスを仕掛け、攻撃の突破口を探るカターレであったものの、なかなかうまい具合には攻勢に出られず。功を焦ってプレーが雑になってしまえば、個々の能力が高い松本が相手とあっては、勢いに押し切られてしまうところでしょう。
前節からスタメン変更で出場となり、気合の入っていたであろうMF國分 龍司。その彼に決定的なチャンスを作られてしまい、外れて胸をなでおろすという場面も。
夏移籍での加入から4試合連続スタメンとなった、元カターレの安永 玲央。シルバとの接触プレーで瞼の上を切ってしまうというアクシデントに見舞われた場面もあったけれど。横浜FC所属時の元チームメイトでもあり、シルバに悪気があったわけでないことはわかっていたので、気にするなと。気迫のプレーでもって、ホームのファン・サポーターに応えていました。
カターレの前半最大のチャンスは、29分。ペナルティーエリア付近からの直接FKの場面で、キッカーは林堂。同様の場面でこれまでも決めてきただけに、大いに期待されたのですが・・・ボールはクロスバーに当たり、惜しくもゴールならず。
前半は0-0で折り返すことに。
200発の花火が打ち上げられたハーフタイムを経て、いよいよ後半へ。
前節にしても、前々節にしても。後半の入りがまずくて失点を招き、それが勝利を逃す結果につながってしまっていただけに。今節はスコアレスの状態でしたが、ならばなおのこと。最大限に集中して危険の芽を摘み、無失点を続けること。3試合ぶりの勝利に向けて、必須条件でした。
あまり言いたくはないですが、審判のジャッジについて、「それを流すのかよ!」「そこで止めなくたっていいだろうが!」などなど、安定感に欠けていた印象。そんななかで、松本側の「それ、あからさまに手を使って止めてんじゃねーか!」という場面もしばしば。
もちろん、勝利に向けて松本も必死であったことは確かにせよ。それでも、荒いプレーでどうにかしようとする姿勢は、見過ごせない。それをもって良しとしてはならないだろうと。
59分、得点を獲りに行くというメッセージを込めて、陽次に代えて駿太を投入。
ただ、そのあとに再び國分にきわどい場面をつくられてヒヤリとしましたが。
そんななかで。
66分、ついに均衡が破れることに。
松本のボール回しに果敢に突っかかっていった松岡がボールを奪取すると、すかさず前を走る大野へとパス。それを受けた大野が蹴り込んだシュートが、相手DFに当たってコースが変わりながらもゴールに吸い込まれ。
待望の先制ゴールを挙げ、沸き立つカターレ側スタンド。
拮抗したなかでの先制ゴール。昨季の同カードでは無得点で敗れていただけに、その価値の大きさよ。
勝利に向け、ボルテージの高まるカターレ。
1点差では、なにが起こるかわからない。この流れの中で、同点・逆転負けなど、絶対にあってはならない。
そんななか、72分、守備固めとして先制ゴールの大野に代えて坪川を投入。同時に、イエローをもらっていた安光のフォローの意味合いもあったのでしょう、背番号47・野口がカターレデビューのピッチに立つことになりました。
今シーズンここまで、岡山ではリーグ戦出場機会のなかった野口。移籍後初めての出場が、あるいはJ2でもそれほど見ないような、1万1千人を超える熱気のこもったスタジアム。緊張もあっただろうし、不安も無いと言えばウソであったことでしょう。
それでも。
たとえ合流から日は浅くとも、勝利を目指して戦うカターレ富山の一員。それを、ピッチのプレーで見せてくれました。
気迫のこもったプレーぶりでサイドを駆け、相手に喰らいついていく姿。カターレファン・サポーターにとっては初めて見るわけですが、「良いじゃないか!」という好感触でもって受け入れられていました。
そして、5分あったアディショナルタイム。+1分に、試合を締めくくるべく2選手を投入。
元松本の椎名、そして怪我からの復帰戦となる下堂。
勝利のために、一瞬たりとも気の抜けない状況にあって。それぞれにこの試合にかける思いを胸に、全力でプレー。相手にゴールを許しませんでした。
そして、タイムアップ。試合終了。
見事に勝利をおさめ、3試合ぶり、シーズン後半戦初の勝ち点3を得たカターレ。
昨シーズンは敗れたアルウィンで、リベンジ成る無失点勝利。
試合後、挨拶代わりとばかりにサポーターを煽り、勝利の歓喜を共にする野口。その姿に感じ入った大勢のカターレファン・サポーター。
困難なミッションに全力をもって挑み、見事に完遂したこと。その意義の大きさを皆が知るだけに、勝利の味というものは格別でした。
勝ち点3を積み上げて、40に到達。土曜時点では暫定首位に立ったものの、翌日に愛媛が勝利したことで、再び3差。今節での首位奪還は叶いませんでした。
それでも。
ここ2試合続いた嫌な流れを払拭するような、価値ある勝利。
優勝を目指すカターレに、揺るぎはないーーーそれを再確認する勝利を挙げたからには。
自力優勝の可能性もあるなかにあっては、惑うことなく邁進していくのみです。
まずは、次節。
アウェイ連戦となる福島戦を制し、2連勝、そして2カード連続のシーズンダブル勝利を目指して。勢いを繋げる勝利、期待します。