0-2で敗戦。
シーズン13敗目ーーー突きつけられた、重い現実。
前日に行われた試合の結果、愛媛のJ2復帰、J3優勝が確定。残り1枠となった昇格、その圏内にいる鹿児島が敗れたことで、勝てば順位を逆転できるという状況で迎えた今節でしたが。
勝負弱さというには、あまりにキツい敗戦。
千載一遇のチャンスをフイにしてしまったーーーそう悲観する向きもありますが。
それでも。
可能性が断たれたならばいざ知らず。
残り3試合となり、厳しさが跳ね上がったことは否めないにせよ、それでも。
それでも、3位は変わらず。圏外からの逆転の可能性がいちばん高いところにいることは、確かです。
うつむくことなく、残り3試合を戦い抜かねばなりません。
奈良との前回対戦は30℃を超える暑さとの戦いでもありましたが、今節は9.7℃、肌寒さのなかでの試合となりました。
午前中はどんよりとした曇り空、試合開始頃には冷たい雨の降るあいにくのコンディション。初めて訪れた奈良ファン・サポーターの印象はどうだかわかりませんが、とりあえず、地元のカターレファン・サポーターとしてみれば、「またかよ」「いつものことだ」という条件ではありましたが。
そんな天候とは裏腹に。
試合前、カターレファン・サポーターの表情には明るさがありました。
勝てば、昇格圏復帰ーーー皆が、前日の鹿児島戦の結果を把握していただけに。
もちろん、勝負は終わってみなければわからない。
けれども、例年の今頃のように、可能性が消えた、あるいは実現がほぼ不可能という数字の上だけのもの、という状況であれば、もっと悲壮感めいたものがあったと思われます。
それだけ、今シーズンの、いまの状況に対する期待。そして、高揚感。
もちろん、奈良も手強い相手。けれど、今のカターレならばやってくれるはず!
そんな思いが、表情に出ていた。そんな気がします。
そんな思いを背負いつつ、降り続ける雨の中キックオフ。
前節と変わらないスタメンで連勝を目指したこの試合。ここ最近の傾向通り、立ち上がりから相手陣内に攻め入り、優位に試合を進めることに。
ただ、リーグ屈指の堅守を誇る奈良もさるもの。良いかたちはつくれても、なかなか決定的なチャンス創出にまでは至らず。
それでも、粘り強くプレーを続け、首尾よく先制点につなげられたらこちらのものーーーそう信じて応援を続けました。
・・・が。
ひとつのプレーが、試合の行方を大きく左右してしまうことに。
前半も大詰めの42分。
ハーフウェイライン付近での競り合いからこぼれたボールを、FW酒井 達磨が思い切りよく超ロングシュート。
前掛りになっていた田川の頭上を越え、ゴールに吸い込まれてしまうことに。
思いもよらないかたちでの、ショッキングな失点で先制を許すことになってしまいました。
GKとしてはあってはならない田川のポカ、やらかしだ、と責める向きもあるかもしれませんが。
けれど、そうは思いません。
ときにペナルティエリア外に飛び出してでも、リスクを負ってでもなお果敢に飛び出していってピンチを防いだことが、その判断に救われたことが、これまで何度あったことか。
その積極性が彼の持ち味であり、たとえ今回のことがあろうとも、それを腐すことがあってはならない。そう思います。
ただ・・・その失点もさることながら、それにつながるプレーでシルバが負傷、交代を余儀なくされるという。想定外続きの、なんとも痛い状況でハーフタイムを迎えることに。
確かにショックの大きい失点ではあった。
けれど、これが後半ではなかったのが不幸中の幸い。ハーフタイムで切り替えることができるじゃないかと。
先制ゴールがなんだ、そんなのはハンデくらいに割り切って、同点、逆転を!
・・・しかし。
後半開始から11分という、カターレにとってまずは同点というタイミングで、MF嫁坂 翔太に追加点を決められてしまい、いよいよ苦しくなってしまうことに。
それでなくとも、守備に自信を持つチームである奈良。勝利への道筋をつけた相手に苦戦を強いられ。
やはり、焦りもあったのでしょう。
ここ最近の試合で見られたような、効果的な攻撃パターンがなかなか繰り出せず。
その上、シュート意識まで低下してしまっていたような気がします。
確実性を意識してのことでしょうが、そこでシュートだろ!という場面で未遂に終わってしまったりだとか。
やみくもにシュートし続ければいいというものでもないにせよ、雨のピッチコンディション、シュートからなにかが起こる、という可能性もあったけれど・・・。
奈良の堅実なパス回しに翻弄されながら追う立場にあっては、なかなか冷静に判断するにまでは至らなかったということでしょうか。
もしも、の話をしても仕方ないにせよ・・・もしもシルバが退場せず残っていたら。
あるいは、良い意味で空気を読まないミドルシュートを放つなどして、状況を変えていたかもしれないな、とか。
大野、吉平、椎名らを投入して打開を図るも、奏功せず。
無情の、試合終了のホイッスル。
実に9試合ぶりという無得点で、痛すぎる敗戦を喫してしまったのでした。
試合終了間際の失点で逆転負けを喫した沼津戦、同じく試合終了間際の失点でドローとなってしまった岐阜戦。そして、今節の奈良戦の敗戦。
今シーズン、なかなか波に乗り切れないと言われながらも、それでも好成績を残してきたホーム戦で・・・この大事なシーズン終盤戦で、3試合連続で落としてしまったという現実。やるせないものがあります。
雨に濡れながら、険しい表情でピッチを周る選手たち。
ゴール裏のファン・サポーターは、彼らが場外へと消えるまでコールを続けました。
勝つべき試合を落とした無念さは、耐えがたいものがありますが。
それでも、やるしかない。
やりぬくしかない。
そんな思いを、願いを、声援に込めて。
まだ、残り3試合あるーーーその認識が、なにより肝要です。
たとえ今節勝利して2位に浮上していたとして、残り3試合で負けて逆転を許していたのでは無意味。
逆に、今節の結果浮上できていなかったとしても、重要なのは最終節終了時点での順位であって。
その時点で2位に、昇格枠に入っていることが、なによりも大事であり。
そしてまた、今節の結果で可能性が失われたわけでもなんでもない。
鹿児島が残り3節のうちで再びやらかす、勝利を逃すことが条件となっていますが、それは決して、あり得ないことではなく。
鹿児島の状況だけを気にすればいいだけの状況は、むしろ恵まれてさえいる。
今節の勝利で6位浮上となった奈良の昇格の可能性は、消えずに残ったものの。それでも、実現には上位2位から5位までの全てのチーム状況が自分たちに優位に働かねばならないという難易度。ほぼ、数字だけの可能性と言えましょう。
それを思えば。
鹿児島の勝敗を直接どうこうすることはできないけれど、それはほかのクラブも同じ。
そのなかで、意識すべき上位が1チームのみというのが、3位たるカターレの現在地。
いちばん逆転の可能性が高いクラブ、その事実に変わりはないのだから。
残り3試合を、全勝するために。
挫けている暇はありません。悔やんでいる暇はありません。
ただ、前を向き、勝利を見据えて進んでいくのみ。
戦いは、終わっていないのだから。