3-1で勝利!
ライバルチームがそれぞれ勝利を積み上げていくなかで、後れを取るわけにはいかないカターレ。必勝の気概とともに乗り込んだ、アウェイ岐阜戦。
序盤からペースを握ったカターレではあったものの、PKから先制点を奪われてしまうことに。
しかし、それでも。
前半のうちに追いつくことに成功し、勝負の後半。今度はカターレの側がPK獲得。それを確実に決めきり、逆転に成功。
勝利への機運高がまる中で、さらにダメ押しの3点目を決め、試合の趨勢を決定づけると。
岐阜の反撃を許さず抑え込み、見事に勝利して前回対戦のリベンジを達成。
雨中の決戦を制し、駆け付けた多くのカターレファン・サポーターと共に勝利を分かち合ったのでした。
ホームの岐阜にとって、残り7試合の時点で昇格の望みは絶たれたものの、それでもおよそ4500人が詰めかけた今節。
そのなかでも、アウェイ戦としては行きやすい隣県対決でもあり、カターレファン・サポーターもまた多く駆け付け、ビジター側スタンドを青く染めたのでした。
選手入場時、岐阜の選手たちはアキレス腱断裂で戦線離脱となってしまったキャプテン・柏木を激励すべく、揃いのTシャツを着て入場。
思い起こせば、昨シーズンの同カード。そのときには、前の試合で大怪我・長期離脱を余儀なくされることとなった柳下を激励すべく、カターレ選手たちが揃いのTシャツを着ていました。
そのときには、必勝の誓いもむなしく敗れてしまったわけですが・・・。
今回、立場が真逆というならば。結果もまた真逆に、すなわち今度はカターレ側の勝利とせねば!と。
小田切監督体制となって3試合目、過去2試合は同じスタメンであったところ、今節は変更が加えられることに。
昨シーズンまで所属していた岐阜に凱旋するかたちで、川西がスタメン起用。また、控えメンバーでも、最近はメンバー外であった吉平、シルバといった面々が名を連ねることとなりました。
試合開始に合わせたかのように降り始めた雨の中、キックオフ。
試合は序盤からカターレが持ち味を発揮。相手に圧力をかけつつ、機を見て果敢に攻め上がるというスタイルを、この試合でも。
なかでも、出色の出来と言えたのが松岡でしょう。巧みなボールコントロール、そして得意のドリブルでの攻め上がり。明らかに、相手は嫌がっていました。
そしてさらに岐阜にとって厄介であったであろうことは、松岡だけでなくマテウスも同じように脅威を与えていたこと。その2人を中心に攻めの形を作り、川西にフィニッシュを託そうとする形が、しっかりと見てとれたのでした。
しかし。
先制点は、岐阜の側に。25分、PKから失点し、リードを奪われることに。
ペナルティーエリア内で足をかけられて転ばされた、との判定ですが・・・どうにも納得できない、誤審では?というもの。
確かに足を伸ばして防ぎにいっていたものの、それはあくまでボールに向かっていて、相手選手の足を削った、というものではなく。
それがかわされるかたちとなって、足が伸びていた状態。それには、ひっかけて転ばせようとする意図はなく。
それに自分から引っかかりにいって転ぶという、明らかなシミュレーション。
ただ、その判定が覆ることはなく。
岐阜県出身で地元凱旋となった山田が立ちふさがったものの・・・FW藤岡 浩介にリーグトップタイとなる14得点目のゴールを決められることに。
攻勢に出ていたカターレが優位に試合を進めていたなかでの、ショッキングな失点。
小田切監督体制となって3試合目にして初の失点。初めてビハインド状態で追いかける展開となりましたが。
けれど、失点によって意気消沈することはありませんでした。
松岡、マテウスの仕掛け、それをバックアップする柳下や松本。中央では陽次と柴田のボランチコンビが的確につなぎ、カターレのペースを形成し続けました。
得点の予感というものは、確かにある。
ならば、それをいかに実現するか。最低限2点を獲る必要があるなかで、まずは同点に追いつくために。
そんななかで、前半も残り少なくなった43分。
ここでも果敢にドリブルで仕掛けた松岡がゴールライン付近まで攻め上がり、中央へとマイナスのクロス。それを左足で蹴り込んだのは安藤!
相手を引きつけつつの崩し、それをドンピシャのタイミングで決めるという理想的なゴールによって、前半のうちに試合を振り出しに戻すことに成功したのでした。
先の讃岐戦で2ゴールを挙げた安藤と、1ゴール1アシストを記録した松岡。その2人が、またもアウェイ戦で結果を残すことに。
ここまであまり芳しくない結果が続いていたアウェイ戦にあって、勝利に向けて勢いのつく同点ゴールとなったのでした。
後半に入っても、カターレの攻勢は変わらず。
切り込んでいくだけでなく遠目からも狙っていくなど、硬軟織り交ぜた攻撃でリズムよく攻め立て。
明らかに、カターレのペース。ならば、いかに逆転ゴールを挙げて勝利への道筋をつけるか。
スタンドから応援していても、焦りのようなものは感じませんでした。
勝利は、既定路線。それを、いかにものにするかというだけの話。
しかして、チャンスはめぐってきました。
75分、ペナルティーエリア内で安藤が倒され、今度はカターレがPKを獲得。
そう、今度はしっかりと相手のファウルとわかるプレー。判断は妥当と言えました。
PKで先制されたこの試合、こちらにもそのチャンスが訪れたならば、なんとしても決めて逆転せねば!というところ。
ここ最近のカターレにあっては、PKのシチュエーションでは吉平がキッカーを務めてきたものの、この試合では控えからまだ出場しておらず。
誰が蹴る?と思っていたら、川西からボールを託されるかたちで、マテウスが蹴ることとなりました。
スタンドのカターレファン・サポーターが固唾をのんで見守るなか、冷静に蹴り込んで見事に決めたマテウス!ついに、逆転に成功したのでした。
このシチュエーションに関して、個人的な見解なんぞを。
PKを誰が蹴るかについて、明確には決まっていなかったとのことですが・・・川西が蹴るという選択もあったのではないかと。
それでなくとも、失点というかたちではあったけれど、前半にPKがあったこの試合。
「もしも自分たちがPKを得たら、どうするか?」という意識は、頭の中にあったのではなかろうかと。
しかして、実際に自分たちの側にPKのチャンスがおとずれたわけですが。
逆転ゴールを挙げる、大チャンス。勝手知ったる長良川競技場で、恩返しゴールを決めるーーーその絶好の機会を、川西は敢えて譲った。
人によっては、「せっかくのチャンスをフイにするのか?甲斐性なしめ!」などとなじる者もいるやもしれませんが。
そのあたりは、解釈の違いというか。正しいとも正しくないとも、どちらにもとれるところ。
私見ではありますが、川西の選択は支持したいです。
必ずしも消極的だったとは思いません。勝手知ったる古巣対戦であるなら、なおのこと。
岐阜のGK・松本 拓也は、川西にとって昨季までのチームメイト。キックの傾向、タイミングや呼吸といったクセが知られている相手とも言えるわけで。
キッカーの側が絶対的に有利であるPKではありますが、必ず決まる保証があるというものではない。それが見知った相手ならばなおのことで。
情報量としては他の選手にも増して少ない、ブラジル人助っ人のマテウスに託すという判断。それによってゴールが決まる確率が1%でも2%でも上がるならば、自分のゴールにこだわることはない。こだわるとするなら、それはチームの勝利についてだーーーそのあたりの考慮が実際にあったかどうかは、傍目にはわかりませんが。
結果、マテウスは期待に応えて見事にゴール。託した側、託された側の双方が覚悟を決め、それを結果に繋げてみせた。なかなかに趣のあるシチュエーションであったかと。
逆転ゴールによって勝利への道筋をつけたカターレでしたが。
それを見ていたサポーター仲間が、「まだだ」と言いました。
ホーム戦では、逆転負けで1-3で敗れている。そのリベンジと言うなら、2-1では足りないだろうが、とのことでした。
まさに、そのとおり。
同じ勝つにしても、岐阜サポーターから「PKというアンラッキーがあって負けた」などと言われては、面白くない。
そうだ、少なくともあと1点獲らないとな!と、頷き合ったのでした。
そんななか、試合も終盤の83分。
自陣ゴール前の混戦から、こぼれたボールを押し込まれるかたちでゴールに入れられてしまい・・・大型ビジョンにGOAL!の表示が。
しかし、それがオフサイド判定。
辛くも事なきを得て、大きく息をつくことに。
すると、その直後でした。
再びPKを与えるわけにはいかない岐阜のディフェンス陣に対し、ペナルティーエリア内で果敢に体を張る安藤。その頑張りから相手に渡さなかったボールを、懸命に足を出して蹴り込んだのは、途中出場のシルバ!
まずは同点に、という岐阜の意志をくじく、決定的な3点目が決まり、勝利を大きく引き寄せたのでした。
5分あったアディショナルタイムも、しっかりと気を抜くことなくプレーし続け。
そして、タイムアップ。
逆転負けを喫したホーム戦の借りを返す勝利でもって、見事にリベンジを果たすことに成功したのでした。
降り続ける雨のなかにあっても、ビジター側スタンドに咲く笑顔。
内容に結果が伴う見事な勝利を挙げて、3連勝。アウェイ戦で勝ち点3を持ち帰ることが出来たのでした。
いわき、鹿児島、藤枝の上位陣がそれぞれ勝利し、差を詰めることは叶わなかったものの。藤枝との直接対決に敗れた松本と、勝ち点で並ぶこととなりました。
依然として厳しい、勝ち続ける以外にない状況ではありますが。
それでも。
やれるという手応えは、あるいは今シーズンでもいちばんの高まりのように感じられます。
出場した選手たちだけでなく、チーム全体が良い雰囲気を作り出し、それがファン・サポーターにも伝播しているように感じられる。そんな実感があります。
ならば、やるべきことはシンプル。
勝ち続けること。
まずは、次節の今後を左右する重要な決戦である藤枝戦に向けて。
精進を続けていかねば。