『ニュースを読まねば』
新聞が苦手、ニュース番組は面倒──そんなことでいい大人(中年)のくせに世の中で起きていることに疎くなってしまいました。
これでは社会人として失格です。そこで何とかせねばと思い、インターネット上でニュースを(一記事でいいから)読んではブログに感想のようなものを記そうと決めました。どこまで続くやら…。 2011年06月23日ニュースを読まねば様のブログnewsyomaneba.seesaa.netから転載させて頂きました。御高覧下さいませ。
国際原子力機関(IAEA)が原子力事象評価尺度(INES)の見直しを行うべく加盟国との協議にはいったという。
INESは原発事故の影響を判断する尺度で、このたびの福島第1原発の事故はレベル7と判断されているものだ。
しかしこの福島第1原発の事故が旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じレベル7であることに対し、IAEA内で異論が出ている。
そのため、INESの尺度をより細分化する方向で抜本的な改定を行うというものだ。
20日、原子力安全に関する閣僚会議が開幕し、天野之弥事務局長がこのINESの見直しについて表明した。
そもそもINESはチェルノブイリ原発事故がきっかけで検討が始まった尺度で、1992年にIAEAで策定された。
現在は事故レベルを0から7までの8段階に分類するようになっており、その判断基準は実はおおざっぱで、外部に漏れた放射性物質の量による。ただ、その量が数万テラベクレル以上になると全てレベル7という状態であり、これでは正しく事故の規模が認識できないという問題が生じている。
そこで現在検討されているのは、放射性物質の量の細分化と、より高いレベルの8や9を設けようという案が出ている。それはそれで、前提にしている事故を想像すると恐ろしい。案外福島第1原発事故が念頭にあるのかもしれない。
また、周辺住民の総被曝量の基準も追加すべきとの意見もでている。確かに人口密集地帯と、過疎地では事故の規模が異なってくるだろう。
IAEAではなく、原子力安全・保安院は、福島第1原発の事故で放出された放射性物質の量は77万テラベクレルだから、チェルノブイリの7分の1だと主張している。また、住民も早期に避難させた(?)ので、被曝の被害も少なく、INESの見直しがされれば福島第1原発の事故はチェルノブイリ原発事故よりもレベルが低いことになるだろう、と言っているが、それは数字の遊びだ。
実際はチェルノブイリ原発事故以上の事故なのかもしれないではないか。原子力安全・保安院は福島第1原発事故を過小評価しようとしているのではないか。
ヘタすると、福島第1原発事故は、新設されるレベル8以上になる可能性もある。
しかし天野之弥事務局長は福島第1原発事故の規模は、チェルノブイリ原発事故に遠く及ばないと異議を申し立てている。彼もまた、福島第1原発の事故をあえて過小評価したい立場にいるようだ。
また、マスコミの多くも福島第1原発の事故はチェルノブイリ原発事故よりも規模が小さいと伝えており、例えばINESが評価基準の一つとしている放射性物質ヨウ素131の外部放出は、福島第1原発事故はチェルノブイリ原発事故の10分の1としている。
果たしてその評価は正しいのだろうか。
マスコミでは報道されなかったが、5月23日、参議院の行政監視委員会が参考人を招致していた。
その一人である小出裕章・京都大学原子炉実験所助教は驚くべき発言をしていた。
「3月15日、東京ではヨウ素やセシウム、テルルといった放射性物質が、1立方メートルあたり数百ベクレル(Bq)検出されていました。これは'86年のチェルノブイリ原発の事故時、日本に降った量の何百倍、何千倍という濃度です。しかし、このデータを公表しようとしたところ、上司から『パニックを煽る』と言われました。行政も数値は把握していたと思いますが、おそらくそうした『パニックを止めよう』という力がいろいろと働いたのだろうと思います。名前は明かせませんが、私の同僚でも、検出したデータを公表しないよう言われた人たちが何人もいます」(2011年06月06日 週刊現代)
確かにパニックになる数値だ。私もこのような実態を知らずに都内でのほほんとしていた。
このような重大な情報をマスコミは報じていない。
同じく招致された参考人の孫正義・ソフトバンク社長は言う。
「政府の放射線量の公表数値は、γ線の数値だけになっている。私は、α線とβ線も計れるガイガーカウンターを持っているが、それで東京都内を計ると、公表数値の2倍くらいの数値になる。政府はウソをついていないが、本当のことも言っていない。」(2011年06月06日 週刊現代)
このことは政府も、東京電力も、原子力安全・保安院も伝えていない。
しかし、東京電力は恐ろしい情報を後出しすることで福島第1原発事故を過小評価させようとしている。
事故から2ヶ月以上もたった5月15日に、以下の発表をした。
「2号機、3号機もメルトダウンしている」
さらに24日にも以下の驚くべき情報を後出しした。
「1、2号機では原子炉格納容器に7~10cmの穴が空いている」
この情報を知った同じく招致された参考人の後藤政志氏(元東芝の原子炉設計者)はことの重大さや危険さについて憤った。
「原子炉がメルトダウンしているか、それに近い状態だというのは、最初から明らかだったんです。いまさら何を言っているのか。東電はどういう判断をしていたのか。当初言っていたように『燃料棒の一部損傷』だと本当に信じていたのか。それともメルトダウンの可能性を発表せず、事故をできるだけ軽く見せたいとでも思っていたのか──中略──そんな危機的な時に、東電は『これはチェルノブイリとは違います』などと言っていました。とんでもない話で、実は極めてギリギリな状態だったんです。重大な情報を伏せた上で壊滅的な爆発が起き、急性被曝で多くの人が避難できずに死んでいたら、まさしく犯罪です。殺人行為です。東電はそれほど恐ろしい危機的な状況下で、情報を隠していたのです」(2011年06月06日 週刊現代)
民主党衆院科学技術特別委員長・川内博史氏は政府の対応に疑問を持っている。
「大人も子供も関係なしに年間20mSvという基準を決めたのも、東電の賠償問題を気にしてのことではないかと言われています。被曝量の限度を年間1mSvのままにしておくと、賠償範囲が膨大なものになり、とても対応できないからだと。」
福島第1原発の事故を過小評価したい者たちがいることは確かだ。しかし、実態はチェルノブイリ原発事故を超える可能性がある。
琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏によると、チェルノブイリ原発事故の際、原発から半径300キロメートルの地域の人々に障害が出たことを以下の様に示した。
・事故の5年後から子どもの甲状腺障害急増。
・10年後から10人に1人が発病し、そのうち1割は癌。
・上記の結果、1000人に15人の子どもが甲状腺癌発病。
実はこの原発から半径300キロメートルというのは、福島第1原発に当てはめると東京がまるごと含まれてしまう。今後5年から10年後に、都民の体にも異常が見られるようになるかもしれない。
そして矢ヶ崎克馬氏は言う。
「政府の発表する放射線量からして、果たして正しいのかどうか疑わしい。欧米の科学者の中には『福島はチェルノブイリの5倍くらいの放射性物質を出している』という見解もあるのです」(2011年06月06日 週刊現代)
また、チェルノブイリ原発事故の影響については、前述の矢ヶ崎克馬氏が紹介した例の他に、北海道がんセンターの西尾正道院長は以下の報告を紹介している。
「チェルノブイリでは、10代で放射線を浴びた人が30代で子供を産んだら、奇形児や知的障害を抱えた子供が生まれた、という例が多数報告されています。医療従事者の中で、被曝する職場環境にいる人は個人線量計を付けていますが、それらの人達でも年間平均被曝量は0・21mSv。文科省の年間20mSvという基準はその100倍です。個人線量計も配布せずに職業被曝の限度と同じにするとは恐ろしい。しかもこれは外部被曝だけの話。内部被曝も通常より大幅に増えているので、合算した評価で対応する必要があります」(2011年06月06日 週刊現代)
しかも西尾正道院長は政府の発表の内容にも問題があると指摘する。
政府はセシウムとヨウ素中心の放射性物質についての数値ばかりを発表することで、プルトニウムやストロンチウムといった放射性物質の数値を隠蔽しているのではないか。
これは、先に紹介した孫正義氏が個人的に計測している放射線についての証言に重なる。
つまり、政府が公表していないプルトニウムは、政府発表のγ線の20倍の悪影響があるのだ。またストロンチウムも成長期の子どもにとっては骨の成長に障害を与える可能性が高いという。
枝野幸男官房長官は恐ろしい発言をしている。
「甲状腺の被害は、まったく出ていない。子供に関しては少しくらい被害が出ると思っていたけど、全然出ていないんだ。いずれ政府の判断が正しかったかどうか、結果が出ると思う」
福島第1原発周辺の住民を、実験台の様に見ているのではないか。
確かに政府発表は原子力安全・保安院の発表だけを聞いていれば、ある程度落ち着く。しかし、本当のところ、どのような事態が起きているのかを知るのは、かなり恐ろしい気分になる。
福島第1原発は、いったいレベル幾つになるのだろうか。