ダイヤモンド・オンライン 12月25日(火)7時0分配信
『経営危機にあるシャープが、テレビコマーシャルや新聞広告で、盛んにPRしているものがある。
「もう充電を気にしない。驚きの省電力。IGZO(イグゾー)」
太陽が照りつける砂漠の真ん中に、ぽつんと立った白いパラソルとチェアが映し出される。女優の崎野亜紀子さんがシャープ製のスマートフォンを操ると、上記のナレーションが流れてくる。
11月23日に始まったテレビCMで強調するのは、シャープの虎の子のIGZO液晶と呼ばれるディスプレイだ。
特徴は、高精細な上に電池が従来の数倍も長持ちすること。米アップルのタブレット型端末、iPadにも採用されて、2012年3月に出荷をスタートさせた。
2年累計8000億円超の巨額赤字を見込むシャープだが、主力の液晶事業こそがその元凶。13年3月期も同事業は1000億円以上の営業赤字を計上する見通しだ。
悩みのタネだった堺工場(大阪府)は台湾の鴻海精密工業との合弁会社として切り離した。残る主力工場の亀山工場(三重県)の自力再生は、IGZOに懸かっているといっていい。
「多くの社員がリストラで去る中、億単位の広告費を使うのはどうか」(シャープ社員)という批判がありながら、IGZOを推す理由がここにある。
しかし、必死のブランド戦略の裏には、ある“不都合な真実”が隠されている。
「11月上旬に材料の投入が終わり、下旬からIGZOの生産ラインはほとんど動いていない」
複数の業界関係者は、IGZOの主力生産拠点である亀山第2工場の惨状をこう明かす。 理由は最大顧客のアップルからの受注が止まったこと。iPad向けに第1、第2四半期と、それぞれ200万台以上あった受注が、秋口から激減。10月に発売された廉価版のiPad miniにも需要を食われ、韓国LGディスプレイに調達先を大きく絞り込まれた。自社製スマホも別工場で手がけるため、作る商品がないのだ。
あわてたシャープは、IGZOを搭載した高価な業務用ディスプレイの出荷計画を発表。しかし毎月1500台と少量で「生産能力の数パーセントにも満たない」(シャープ関係者)のが現実だ。
そのため亀山工場のIGZO生産ラインは年度内、“眠りつづける”という公算が極めて大きい。
中間決算で掲げた亀山工場の「下期の稼働率5割」は、本当のところ“高級品”のIGZOではなく、標準的なテレビ用液晶を韓国サムスン電子向けに赤字覚悟で大量生産して支えることになる。
同社の奥田隆司社長は「IGZOはシャープを救う技術だ」と断言する。しかし実際のビジネスには、いまだに大きな溝がある。』
(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)
日本の代表的弱電メーカーシャープの技術力が、これから生かされ復活出来るように日本の銀行は、日本の企業シャープを守る為に支援すべきでは有りませんか。国防も大事ですが、外資から日本の企業を防衛すると言う役割と責務が金融資本を司る日本の銀行には今必要ですし、日本人としての自覚と気概が最近希薄と思います。