◆近代オリンピックの創立者、ピエール・ド・クーベルタン男爵(1863年1月1日~1937年9月2日)は、オリンピックで「一儲け」しようと考えていたのであろうか。商業主義に毒されているオリンピックは、毒されており、クーベルタン男爵が「泣いている」のは間違いない。
「2020年夏東京五輪開催」が9月8日決定して、日本国中が一瞬、「祝賀ムード」で盛り上がり、「お祭り騒ぎ」したのも束の間、その熱気が俄かに「急冷状態」に転じ、「シラケ鳥」が飛び、単なる「から騒ぎ」に終わってしまいそうな気配である。
それは、国際オリンピック委員会(IOC)指揮下で、日本オリンピック委員会(JOC)が、「オリンピック」「五輪マーク」「がんばれ!ニッポン!」「マスコット」「聖火」が知的財産として管理していて、これらをマーケティング活動に利用できるのは、オリンピックのスポンサー企業だけだとして、厳しく規制しているからだ。全国各地の商店街や小売店などが「オリンピック記念セール」を行ったり、「五輪に絡めたセールイベント」などを開催したりすると、「アンブッシュマーケティング」(便乗広告)として「権利侵害」と判断され、知的財産を保護する商標法(侵害の罪)や不正競争防止法に違反した場合、懲役10年以下もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。また、民事訴訟では、高額の損害賠償金を請求されることになる。
◆本来、企業と文化・スポーツとは「メセナ」活動の関係であるはずである。すなわち、メセナとは、企業が主として資金を提供して文化、芸術活動を支援することであり、資金的バックアップや、企業が主催するコンサートやオペラの公演、スポーツなど各種イベントの開催などがある。メセナとは、フランス語で「文化の擁護」を意味している。
だが、いまやオリンピックにおいて、これらの知的財産は、契約金や協賛金を支払っているスポンサーしか使用できない。IOCが最高位と位置づけているスポンサーは、「TOPパートナー」をはじめ、JOCと契約する「JOCゴールドパートナー」「JOCオフィシャルパートナー」などだ。その内容は、権利によって数種類あるといい、協賛金は、コカ・コーラやマクドナルド、P&Gなどが契約している「TOPパートナー」は、1社あたり数十億円とも噂されている。その下のクラスの「ゴールド」が6億円、「オフィシャル」が2億2000万円くらいという。
日本では、知的財産侵害について鈍感に国民が少なくなかったけれど、中国の「偽物商法」や「商標法、意匠法侵害」が横行して、日本企業がかなりの損害を被る事態、あるいは事件が頻発していることから、ようやく知的財産権保護の意識が高まってきている。
そうした変化のなかで、IOC、JOCが、オリンピック関係の知的財産の管理を厳重にしていて、侵害行為を発見した場合、これに対して、単なる抗議や排除処置に止まらず、
法的措置も辞さない厳しい態度で臨むということが、マスメディアを通じて、大々的に報道されたことから、全国各地の商店街や小売店をはじめ、大中小零細の企業各社も、大いに「ビビリ」始めたのである。
これに加えて、東電福島第1原発の放射能汚染水が海中に大量流出している事件が、未解決であり、依然として「継続犯」として続いていることに対して、国民の多くが、「2020年夏東京五輪開催」をも危ぶみ始めている。
これらの恐怖や不安が高じて、一週間そこそこで、「東京五輪祝賀ムード」が、一気に冷え込んできているのだ。
◆いまのオリンピックは、あまりにも「商業主義化」している。入場料収入よりもテレビ放送権料と公式スポンサーの協賛金の割合が上回り、大企業中心のいわゆる「宣伝媒体」に堕落しており、さらに、舞台裏では、金品の贈与、買春の斡旋、土地転がしの利権供与などが、巧妙に繰り広げられているという。
今回、「東京五輪招致」に駆けずり回ったのは、安倍晋三首相が所属する自民党派閥「清和会」のいわゆる「文教族」として「スポーツ利権」を掌握している政治家とこれに加担している財界人、および官僚たちであった。
「東京五輪招致」を提唱し、熱心だったのは、石原慎太郎前東京都知事(日本維新の会共同代表=中川派→福田派「清和会」)であった。安倍晋三首相の祖父・岸信介元首相に可愛がられ、福田赳夫元首相の直弟子であった自民党派閥「清和会」会長を務めた森喜朗元首相(日本体育協会元会長)、下村博文文科相は、「清和会」メンバーであり、安倍晋三首相に忠勤を励んでいる。橋本聖子参院議員も、「清和会」会長・町村信孝元官房長官の下にいて、いま新設が取り沙汰されている「スポーツ庁」の初代長官(スポーツ担当相)の最有力候補とされている。ズバリ言えば、今回の「東京五輪の利権」は、これらの政治家が完全掌握しており、「美味しい蜜」は、すべて吸い上げる仕掛けになっている。踊らされているのは、無垢のスポーツ選手であり、大多数の国民であることを見逃してはならない。
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板垣英憲の最新著書 「TPP本当のネライ~あなたはどこまで知っていますか」(共栄書房刊)
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定価(本体1500円+税)
■TPP本当のネライ―あなたはどこまで知っていますか2013年9月刊
まえがき
第 1 章 TPPとアメリカの食糧支配
第 2 章 TPPの最大のネライは保険だ
第 3 章 TPPで日本医療界への食い込み ―― 国民皆保険制度の崩壊
第 4 章 TPPで雇用はどうなる ―― 解雇自由の法制化
第 5 章 米国「軍産協同体」が防衛省を食い物に ―― 米国の肩代わりをする「国防軍」の建設
第 6 章 米国が日米事前協議で日本政府に強い圧力をかける
第 7 章 日本のTPP参加に向けての経緯
あとがき
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」安倍晋三首相は「大日本帝国海軍」再建、輝かしい「軍艦旗」を翻し自力国防に努め、「日米英同盟」をも築く ◆〔特別情報①〕
世界支配層(主要ファミリー)が、「世界政府派」のジェイコブ・ロスチャイルド(欧州最大財閥ロスチャイルド総帥=小沢一郎代表と密接)に国連支配権掌握を認め、「国連正規軍」中心の世界秩序・治安維持を期待しているのを反映するかのように、安倍晋三首相は、「日米英同盟」構築に真剣に取り組んでいる。これは、TPP加盟国と深く関係しており、日本は新たなる世界戦略の展開に乗り出そうとしている。ただし、安倍晋三首相が国連正規軍創設のための憲法第9条改正をどこまで理解しているかは不明だ。
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社労族に献金する団体のメリット 国会議員たちは、金には目がない。それは、田んぼのヒルのようなところがある。たとえば、例の結域栄一・元日医理事は、「若い医師の会」のほかに政治家や医師、厚生官僚、新聞記者たちを含めた医療政策についての私的な研究・勉強会「医政問題懇話会」を主宰していたが、