天木 直人 | 外交評論家
<time>2014年7月7日 7時41分
</time>解釈改憲の閣議決定を強行して得意絶頂にあるかのように見える安倍首相であるが、どうやら憲法9条の怒りに触れて、ここに来て急に、安倍首相は辞任を早めることになりそうな雲行きになってきた。
なぜか。
それは世論調査が明らかにしたように国民の多くは解釈改憲を望まず、それを強行した安倍内閣の支持率が下がったからだ。
しかし、それだけでは安倍首相は辞任しない。
私が安倍首相が辞任せざるを得なくなると確信する理由は、自ら公言した自衛隊関連法案の国会通過が不可能となること必至であるからだ。
なぜか。
それは自衛隊関連法案の改正そのものが、憲法9条違反の法律改正であるからだ。
一強多弱のいまの政治状況下では、あの特定秘密保護法も成立させたぐらいだから、どんな法律でも強行できると思われがちだ。
私もそう悲観的に考える一人だった。
しかし、よく考えて見るとそうはいかない。
今度の解釈改憲は憲法学者らがこぞって反対している。
国民の支持もない。
何よりも法の番人である最高裁判所の違憲性が米国の極秘文書で明ら
かにされた。
ここまで客観情勢が解釈改憲に不利になれば、法の下剋上を許すような自衛隊関連法案の改正など安倍首相が強行することなど、とてもじゃないが出来はしない。
担当大臣を置いて国会対策を強化してみても、自衛隊法の改正は不可能である。
報道によれば安倍首相はすでに自衛隊法の改正は来年の通常国会まで先送りすると逃げを打ったようだが、そんな事をすればますます自滅する。
年内にも作らねばならない日米安保ガイドラインの改正が、文字通り憲法9条を否定して行われるという事になる。
常日頃、中国を相手に「法の支配」の重要性を繰り返してきた安倍首相にとって、自己矛盾の極みとなる。
自衛隊関連法案の改正は100%不可能だ。
ということは閣議決定した解釈改憲は否定されるということだ。
安倍首相は憲法9条の怒りに触れて辞任することになると私が考える理由がこにある。
しかし、今度ばかりは仮病で辞めさせてはいけない。
最後まで首相にとどまって、自らの誤った政策の数々についてその責任を取ってもらわなければいけない。
今度ばかりは、そう簡単に辞任させてはいけないのである(了)
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外交評論家
2003年、当時の小泉首相に「米国のイラク攻撃を支持してはいけない」と進言して外務省を解雇された反骨の元外交官。以来インターネットを中心に評論活動をはじめ、反権力、平和外交、脱官僚支配、判官びいきの立場に立って、メディアが書かない真実を発信しています。主な著書に「さらば外務省!」(講談社)、「さらば日米同盟!」(講談社)、「アメリカの不正義」(展望社)、「マンデラの南アフリカ」(展望社)。
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