今でも国連安保理常任理事国入りを目指す日本外交のピント外れ
天木 直人 | 外交評論家
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きのう7月22日の毎日新聞が一面トップで驚くべきスクープ記事を掲載した。
すなわち安倍首相は中南米訪問中の8月1日に日・ブラジル首脳会談を行い、そこで国連安保理常任理事国拡大に向けた国連改革を2015年に再提案する事をブラジルと確認し合うというのだ。
よくも、こんなピント外れで、非現実的な外交が出来るものだ。
それを主張する外務官僚とそれに乗せられる安倍首相の馬鹿さ加減はいまに始まったことではないが、こんな馬鹿げた事を一面のトップ記事として掲載した毎日新聞も毎日新聞だ。
安保理改革は常任理事国すべての同意が必要である。
ただでさえ日本の常任理事国入りに反対する中国だが、2015年は日中関係は最悪になる。
米国の安倍首相に対する不信は根強いものがあり、また安倍・プーチン関係も不透明になることは間違いない。
そんな中で、どうして日本の常任理事国入りが可能になるというのか。
おまけに、国連の安全保障理事会そのものが機能不全に陥りつつある。
シリア問題で、ウクライナ問題で、イラク問題で、ガザ問題で、そして今度のマレーシア航空機撃墜問題で、国連安保理事会はパンク状態
だ。
そんな中で国連常任理事国入りを持ち出すとは。
いかに日本・ブラジル首脳会談が議題が無いかという証拠だ。
安倍首相の中南米訪問が無意味であるかということだ。
よくも地球俯瞰外交などと自画自賛して外遊を続けられるものだ。
安倍首相も外務官僚も、あまりにも甘やかされている(了)
天木 直人
外交評論家
2003年、当時の小泉首相に「米国のイラク攻撃を支持してはいけない」と進言して外務省を解雇された反骨の元外交官。以来インターネットを中心に評論活動をはじめ、反権力、平和外交、脱官僚支配、判官びいきの立場に立って、メディアが書かない真実を発信しています。主な著書に「さらば外務省!」(講談社)、「さらば日米同盟!」(講談社)、「アメリカの不正義」(展望社)、「マンデラの南アフリカ」(展望社)。
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