安倍政権は集団的自衛権に関する閣議決定を終え、
秋の臨時国会で関連法案を審議するかと思いきや、
来年の通常国会まで先送りするようです。
法案の準備作業に時間がかかるという説明ですが、
本当の理由はそうじゃないと、私は思っています。
他に意図があって先送りしたのだと思います。
安倍政権は「集団的自衛権は喫緊の課題である」と
説明してきました。先送りは許されないはずです。
来年の通常国会(つまり予算成立後の4月以降)で
間に合うなら「喫緊の課題」ではないはずです。
では「急がなくてはいけない」と言ってきたのに、
ここで先送りする理由は何でしょうか?
よく聞く説明は、公明党に対する配慮です。
その点は理由の一部を説明していると思います。
一定程度は正しい説明だと私も思います。
私がそれ以上に重要な意図だと推測するのは、
野党分断のための材料ではないかと思います。
橋下系「日本維新の会」と「結いの党」の合流が、
円滑でないのは、集団的自衛権の問題があります。
衆院予算委員会で集団的自衛権に関する審議が、
来週の月曜日に予定されています。
予算委員会で「橋下系維新+結い」の統一会派が、
質疑者を出すことになるのですが、見ものです。
どちらのグループの議員が質疑に立つかによって、
政権の集団的自衛権に対する立ち位置が異なり、
統一会派なのに「不統一」なのが露呈します。
野党の中で集団的自衛権へのスタンスは異なります。
・結いの党、生活の党、社民党、共産党等は慎重です。
・日本維新の会(橋下系)や次世代の党は前向きです。
・みんなの党は前向きですが、一部に慎重論もあります。
・民主党内はまったく統一感がありません。
集団的自衛権の議論にある程度の決着がつくまでは、
野党の再編に向けた動きもスムーズに行きません。
秋の臨時国会で集団的自衛権の議論が終わらせると、
集団的自衛権の論争も過去の話になっていきます。
その後は野党再編の動きもやりやすくなります。
集団的自衛権で野党のバラバラ感を醸し出せるので、
安倍政権としては早々に決着をつけるのは損です。
野党分断のタネは、大事に維持したいはずです。
安倍総理としては閣議決定を済ませて満足したので、
その後の関連法案の整備など急ぐ必要はないのです。
集団的自衛権の結論を早く出す必要は初めからなくて
単に安倍総理とその周辺の自己満足に過ぎません。
集団的自衛権の来年通常国会への先送りという手段は、
敵ながらあっぱれと思うような効果的な戦術です。
このままでは一強多弱の状況はなかなか変わりません。
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