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連載・特集 » 浅野秀弥の未来創案
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浅野秀弥の未来創案
【政治家とは何か?】
2016年7月7日大阪日々新聞
出自は千差万別
いよいよ、来週10日は参院選投開票日だ。政権選択の総選挙(衆院選)に比べ、3年ごとの夏に半数ごと改選の参院選時期は政権政党にいや応なく訪れる。消費増税の再延長を表明した安倍総理は「国民に信を問う」と表明したが、厳密に言えば首相が解散権を行使しての総選挙ではないから、この表現は当たらない。
国会議員構成をみると、約4割が二世三世の議員だそうだ。利権にまつわる人々にとって、世襲は自身の既得権益温存に有利に働く。次いで多いのは15%程度が国の官僚出身者だ。財務省、経産省を中心に最近では地方創生の掛け声に乗って総務省出身者も増えた。出身省庁で一定の官位を得てからの立候補は俗にいう族議員誕生につながるが、逆に年若くして退官し野党系からの立候補は出身省庁の批判勢力に転じるケースも。その他で一定の割合を占める勢力に地方議員や議員秘書の出身者もいるが、行政を動かすテクニックはたけていて、エリート官僚たちは警戒しなかなか胸襟を開こうとはしない。
最近増えているのは、このどれにも属さない公募組。一般サラリーマンやフリーターなどから、その政党の地域幹部の面接などを経て公認され、落下傘のように舞い降りる。例の産休育メン議員は不倫がバレ、未公開株購入の金銭トラブル発覚議員も出た。この2議員は元はといえば公募組。発想はよくても、選ぶ人間の目利き力や応募側の深層的倫理観まではなかなか見通せない。
ジャン・ジャック・ルソーは『社会契約論』で英国を例に挙げ、「人民は自由だと思っているが、それは大間違いだ。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるや否や、人民は奴隷となり、無に帰してしまう。その自由な短い期間に、彼らが自由をどう使っているかを見れば、自由を失うのも当然である」と述べた。
現代の政治家を選ぶ選挙制度を根本から見直す必要があると思うが、それにはまず有権者が現行制度で1票を投じないと何も変わらない。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。
連載・特集 » 浅野秀弥の未来創案
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浅野秀弥の未来創案
【政治家とは何か?】
2016年7月7日大阪日々新聞
出自は千差万別
いよいよ、来週10日は参院選投開票日だ。政権選択の総選挙(衆院選)に比べ、3年ごとの夏に半数ごと改選の参院選時期は政権政党にいや応なく訪れる。消費増税の再延長を表明した安倍総理は「国民に信を問う」と表明したが、厳密に言えば首相が解散権を行使しての総選挙ではないから、この表現は当たらない。
国会議員構成をみると、約4割が二世三世の議員だそうだ。利権にまつわる人々にとって、世襲は自身の既得権益温存に有利に働く。次いで多いのは15%程度が国の官僚出身者だ。財務省、経産省を中心に最近では地方創生の掛け声に乗って総務省出身者も増えた。出身省庁で一定の官位を得てからの立候補は俗にいう族議員誕生につながるが、逆に年若くして退官し野党系からの立候補は出身省庁の批判勢力に転じるケースも。その他で一定の割合を占める勢力に地方議員や議員秘書の出身者もいるが、行政を動かすテクニックはたけていて、エリート官僚たちは警戒しなかなか胸襟を開こうとはしない。
最近増えているのは、このどれにも属さない公募組。一般サラリーマンやフリーターなどから、その政党の地域幹部の面接などを経て公認され、落下傘のように舞い降りる。例の産休育メン議員は不倫がバレ、未公開株購入の金銭トラブル発覚議員も出た。この2議員は元はといえば公募組。発想はよくても、選ぶ人間の目利き力や応募側の深層的倫理観まではなかなか見通せない。
ジャン・ジャック・ルソーは『社会契約論』で英国を例に挙げ、「人民は自由だと思っているが、それは大間違いだ。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるや否や、人民は奴隷となり、無に帰してしまう。その自由な短い期間に、彼らが自由をどう使っているかを見れば、自由を失うのも当然である」と述べた。
現代の政治家を選ぶ選挙制度を根本から見直す必要があると思うが、それにはまず有権者が現行制度で1票を投じないと何も変わらない。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。