8Jul
2016
イラク戦争は妥当とした噴飯物の安倍政権と打つ手のない野党
英国のイラク戦争独立調査委員会が8年越しの検証を重ねてついに検証結果の報告書を公表した。
何をいまさらという思いだが、その内容には驚かされる。
ここまで厳しく当時の英国の責任者の判断を断罪するとは思わなかった。
新聞が報じるその概要はほんの一部に過ぎないが、この膨大な報告書を丹念に読み解けば、あの米国のイラク攻撃が如何に間違っていたが証明されるだろう。
そして小泉政権時の日本の対応の無策ぶりがあぶりだされてくるに違いない。
だからこそ、安倍政権ははやばやと「日本政府はこれ以上検証しない」と幕引き宣言をした。
すなわち世耕弘成官房副長官は7月6日の記者会見で、小泉政権時の判断はいまでも妥当性を失うものではないと言い切ったのだ。
その言い草が噴飯物である。
つまり日本を英国と同列には論じるのは適切ではない。
人道支援と後方支援だけしかしていないだ。
だからこれ以上検証しなくてもいいと言ったのだ。
逆だ。
英国は米国の戦争に苦渋の決断で参戦した。
だからこそ、その苦渋の決断の背景を詳細に検証して、その判断の誤りを認める勇気を示した。
ところが日本は初めに支持表明ありきだった。
検証すべき内容がないほど無責任な支持表明だった。
それがばれると国民を裏切ることになる。
世界に恥じをさらすことになる。
だから検証しないのだ。
検証しようにも検証するほどの材料さえないのだ。
そのようないい加減な政策決定だからこそ、いまあらためて検証されなければいけないのだ。
それを封印する安倍政権は噴飯物である。
しかし、そんな噴飯物の安倍政権を、野党は追及できない。
安倍政権が。これ以上検証しなくていいとする最大の根拠は、既に2012年に外務省が検証報告書を出したからだ。
ところがこの検証報告書は外務省の下っ端官僚が鉛筆をなめて書いたわずか17ページのものだ。
対米従属だけでイラク戦争を支持を決めた当事者が、みずから書いた検証報告書など、泥棒が縄を編むような笑いものでしかない。
しかし、それを認めたのが当時の民主党政権だ。
その民主党政権の主要な連中が居座る今の民進党が、安倍政権に検証を求める事がどうしてできるというのか。
すべてがそうであるように、ブーメランのように跳ね返ってくるのがオチだ。
それなら民進党がやり直せばいいじゃないかとなる。
そして、その民進党と野党共闘を組む共産党がイラク検証を安倍政権に求めても、「野党内部で調整してから出直せ」となる。
英国のイラク戦争検証報告書が突きつけたもの。
それは噴飯物の安倍政権と打つ手のない野党共闘の惨状だ。
日本の政治の救い難さである。
それだけではない。
きょうの朝日新聞も毎日新聞も、日本も検証しろと求めている。
安倍政権がそれに応じるとでも本気で思っているのだろうか。
メディアもまたおためごかししか書かない憤懣ものである(了)