政治運動の目的は私たちのしあわせをとりもどすこと
「植草一秀の『知られざる真実』」
2019/11/08
政治運動目的は私たちのしあわせを取り戻すこと
第2476号より転載させて頂きました。
ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019110817154660182────────────────────────────────────
「しあわせの経済」国際フォーラムが11月9日・10日に、横浜戸塚の明治 学院大学戸塚キャンパスで開催される。http://economics-of-happiness-japan.org/
すでに10月25日付ブログ・メルマガで紹介させていただいた。https://bit.ly/34E7Sgn
クラウドファンディングへの協力を呼びかけさせていただいたが、これ以降、 寄付が急増して目標額が達成されたとのことだ。
ご協力くださったみなさまに深く感謝申し上げたい。
「しあわせの経済」国際フォーラム2019は 11月9日(土)1030~1800 11月10日(日)1000~1730
明治学院大学横浜キャンパス (JR・横浜市営地下鉄戸塚駅からバス10分)
で開催される。
2日間通し券は一般2000円、学生1000円。
1日目は海外からの参加者、堤未果さんなどによる講演が行われる他、楽曲演 奏、映画上映なども併設される。
2日目には3つの時間帯にそれぞれ4つずつ、計12の分科会が開催される。
「オールジャパン平和と共生」も実行委員会に加わり、2日目の分科会をセッ ティングさせていただいている。
2日目1330~1500の時間帯、B-3のセッションを担当する。 https://bit.ly/32roK8w
B-3 グローバルからローカルへ~日本における大転換への道筋 From Global to Local: Exploring a Path towards the Great Transformation in Japan
多国籍企業は利益拡大のため国境を越えて私たちの生活を変えてきました。大 量生産・大量輸送・大量消費によって生み出されたものは私たちの幸せではな く、人々の孤立と不安です。この流れへの疑問を共有する動きが広がっていま す。
自然のなかに人が暮らし、人と人とがつながり、支え合うローカルなコミュニ ティに私たちが失いつつあるしあわせの原点があるのではないでしょうか。し あわせを取り戻す道筋をみなさまと考察したいと思います。
トーク: 山田正彦(弁護士、元農林水産大臣) 堤 未果(国際ジャーナリスト) ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ (Local Futures、イギリス/オーストラリア) モデレーター: 植草一秀(「オールジャパン平和と共生」運営委員)
企画:オールジャパン平和と共生
ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ氏がローカリゼーションへの筋道を示した映画 『幸せの経済学』の制作者である。
ホッジ氏は、以後、「ローカル・フューチャーズ」を設立し、「しあわせの経 済」会議を世界各地で開催し、国際ローカリゼーション運動の最先頭に立って いる。
ホッジ氏はスウェーデン出身。
1975年、インド・ラダック地方への外国人の入域が許可された後の最初の 訪問者の一人。
言語研究者として長期滞在、ラダック語の英語訳辞典を制作。
以来、ラダック文化とそこに暮らす人々に魅了され、毎年ラダックで暮らすよ うになった。
急速に進む開発とそれに伴う文化と自然環境の破壊を憂い、現地の人々と共 に、ラダックの持続可能な発展を目指すプロジェクトLEDeG (The Ladakh Ecological Development Group)を創設。
この活動が評価され、もう一つのノーベル賞として知られる、ライト・ライブ リフッド賞を1986年に受賞。
40カ国以上で訳された著書『ラダック 懐かしい未来』は世界中で大きな影 響を与えた。
国境を越えて活動を拡大する巨大資本の目的は利潤の極大化である。
さまざまな制度、システム、法体系、国際条約は、巨大資本の利潤極大化のた めに構築されてきた。
人々のしあわせのための仕組みではなく、大資本の利益拡大化のための仕組み なのだ。
民主主義の制度は、そこに暮らす人々が主役、主人公であり、その人々のしあ わせを実現するための仕組みであるはずなのだが、実際には巨大な資本が政治 を支配し、情報空間を支配し、制度と規制、法律を支配して、巨大資本の利益 を極大化するための現実を生み出している。
その結果として、本来の主人公である市民、主権者が不幸せになるという悲劇 が広がっている。
ドキュメンタリー映画 『幸せの経済学』 https://amzn.to/35VRPMt
は、しあわせに満ちあふれていたラダックがいかにして「ふしあわせな社会」 に変質していったのかを鮮明に描き出している。
ラダックの人々の透き通った瞳の輝きが本来のしあわせの存在を示している。
この現実を変えるのは容易なことではない。
しかし、多くの人々がさまざまな角度から、新しい試みを示している。
週末の2日間を「しあわせの経済国際フォーラム」ですごし、新しい発見をす ることもとても有意義なことだと思う。
日本で山本太郎さんが訴えていることは、「死にたくなるような状況」を変え ようということだと思う。
「死にたくなってしまう」若者があとを絶たない。
「死にたくなる」のは若者に限らない。
1990年代後半にバブル崩壊の後遺症としての金融危機が広がった。
この局面で消費税増税が強行されて、株価暴落が引き起こされた。
自殺者数が跳ね上がり3万人を超える状態が1998年から2011年まで1 3年間も持続した。
その後、自殺者数は減少したが、いまも2万人を超える自殺者数が記録されて いる。
そして、15~39歳の各年代の死因第1位が自殺なのである。
「世界幸福度ランキング」で日本は156ヵ国中58番目だ。
この「ふしあわせな国」ニッポンを変えたいというのが山本太郎氏の根源的な 動機であると思う。
経済の問題は大きい。
最低賃金が極めて低く、最低賃金で労働者を消耗品として使い捨てにする大資 本が拡大し続けている。
その低所得の人々の苦しみを加速させているのが消費税大増税だ。
しかし、問題はそれだけではない。
人と人とのつながりが乾燥し、凶悪化してしまっている。
家庭内における問題がますます拡大している。
経済問題ともリンクして、人々の一番大切な「居場所」である家庭が安楽の場 ではなくなってしまっている。
人々は孤立し、生活不安は日増しに色濃くなる。
この状況をもたらしている現代社会の構造を根底から変える必要がある。
こうしたなかで、新しいライフスタイルを見出し、独自に取り組む人々は増え ている。
私たちが生きてゆくためにどうしても摂取しなければならない食料の問題。
グローバルな大資本は大量生産、遠隔地輸送、大量消費のシステムを構築し、 安全でない食品の提供を拡大させている。
農業や牧畜は私たちの地域における暮らしと不可分に結びついていた。
私たちの生活、コミュニティとも不可分に結びついていた。
その農業、漁業、酪農、牧畜、林業が生活とコミュニティから切り離されて大 資本の大量生産の枠組みに移行させられている。
このライフスタイルを独自に変えて、新しいライフスタイルを構築する人々が 世界各地で拡大している。
遺伝子組み換え、化学肥料、農薬を使わない有機農法を拡大させる運動も拡大 している。
しかし、先進国全体としては、依然として巨大資本が支配権を握り、社会を支 配する構図を維持している。
本当の問題解決には、この部分にも入り込む必要がある。
私が政治の問題を重視するのは、社会全体を変えるためには、どうしても「政 治過程」を乗り越えなければならないからである。
人々のムーブメント、うねりを広げて、社会全体を変革する次元にまで高める ことが必要であると考える。
今回来日されるメキシコのパトリシア・モゲルさんは、昨年も来日してメキシ コのトセパンモデルについてのレクチャーをしてくれた。
本年はその続編を聴くことができる。
メキシコでは新しい大統領がトセパンモデルを現実の政策運営に活用してい る。
イタリアではローカリズムを提唱する「五つ星運動」が政権に参画して大きな 試みを展開している。
韓国でも文在寅大統領が有機農業の拡大を推進している。
私としてはローカリズムの運動と政治運動との関わりについてフォーラム参加 者と有意義な議論をしたいと考えている。
※:民主主義政治における政治指導者は、己に対して何よりも自己自制心がなければならな いのであるが、7年に及ぶ安倍政治にはそれが皆無等しい、従って実際政治が国家国民のための政治ではなく、特定のための政治になり、それが1%の資本、多国籍企業の極大化の政策となり、国民の反動をおさえるためにNHK.はじめ大手新聞、テレビを政治権力の奉仕し機関化し、国民の眼をくらまして、政治の実態は暴虐極まりない暴政独裁に化しているのであるが、国民は何も知らずにすぎている7年に及んでの長期政権化したいるのである。