豊洲新市場の土地売却の真相、東京ガスが明かす…売却前に土壌汚染を東京都へ報告
Business Journalち2017年03月09日06時13分
豊洲新市場の土地売却の真相、東京ガスが明かす…売却前に土壌汚染を東京都へ報告
東京都議会の議会運営委員会は2月20日の理事会で、築地市場の移転先としている豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)をめぐる問題を解明するため、地方自治法100条にもとづく調査特別委員会(百条委員会)を設置することで合意。石原慎太郎元都知事や岡本毅東京ガス会長ら19人の証人喚問を決めた。筆者は1月18日に東京ガスに対して、都への土地売却の経緯について公開質問状を提出していた。その内容について公開する。
――豊洲用地について、いつ頃にどういう経緯で東京都に売却したのか。
東京ガス もともと弊社は、弊社豊洲用地について独自に同用地の開発計画(商業、オフィス、住居等を念頭に置いた開発プラン)を立案し、開発案件の誘致に着手するとともに、具体的な取組みを推進しておりました。そのような中、東京都は、当初の築地市場における現在地再整備計画を方針転換し、1999年11月、弊社に対して築地市場の豊洲地区(埠頭先端部)への移転、すなわち弊社豊洲用地の東京都への譲渡を打診してきました。弊社は東京都に対し、独自の開発計画が先行していることを説明し、市場移転先を東京都所有地のある埠頭根元とする事への再考のお願いと、併せて東京都に対し、後記の弊社が独自に実施した弊社豊洲用地の土壌汚染調査の結果を報告しております。
――一度断りながら、なぜ東京都による買収に応じたのでしょうか。
東京ガス 弊社は、東京都から再度、市場機能の確保とまちづくりの調和の観点から市場の埠頭先端部配置をしたいとの強い要望を受けました。このため、弊社は、卸売市場が公益性の高い施設であることに鑑み、2002年7月、これまでの開発計画を中止し、東京都に対する弊社豊洲用地の譲渡の要請を受け入れることとした次第であります。以上の経緯を経て、最終的に2011年3月、東京都と弊社との間で豊洲用地に関する土地売買契約を締結いたしました。
●費用負担の実態
――売却当時、豊洲用地に対してどのような汚染対策をしたのでしょうか。
東京ガス 弊社は1998年7月から1999年10月にかけて、石炭ガス工場の操業に由来する土壌汚染対策として、東京都のご指導を賜りながら自主的に土壌汚染調査を実施し、2001年1月、調査結果とともに対策工事についても公表いたしました。
その後、弊社は2001年2月から2007年4月まで「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に基づく土壌汚染対策に真摯に取組み、対策完了を東京都にご確認いただいております。その間、弊社は東京都に提出した汚染拡散防止計画書に記載の対策を実施することに加え、東京都から市場立地のために追加の土壌対策を要請され、追加の上乗せ対策を実施しております。
――その後の対応については。
東京ガス 東京都が「食の安全・安心」確保の観点から、市場用地としての安全性を高いレベルで確認するため、「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の提言に基づき改めて法令を上回る詳細な調査を実施したところ、新たに操業由来の土壌汚染が確認されました。弊社は、自然由来を除いた土壌汚染は弊社の工場操業に由来するものと考え、市場が公益性の高い施設であることから、これまでの経緯を踏まえ、東京都との協議の結果、東京都が「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の提言に基づき実施した土壌汚染対策工事の費用の一部を負担いたしました。
【瑕疵担保責任は免責されたのか】
豊洲新市場の土地は、届け出義務のある土壌汚染対策法の「形質変更時要届出区域」であるが、汚染除去が求められる「要措置区域」ではないことから、地下水の水質調査や汚染除去が義務付けられているわけではない。
それでも東京ガスは土地を引き渡す前に行った調査に2億円、2001年2月から7月までの間に土壌汚染対策として100億円、その後専門家会議の提言にもとづき、78億円を拠出したという。
土壌汚染の除去は東京ガスと都庁との合意のなかで自主的に行われてきたことだ。小池百合子都知事は1月20日の記者会見で「豊洲新市場は、高濃度の土壌汚染の実態がわかっていて、11年の3月の時点では、土壌汚染対策費用の額が、全体で586億円とすでに見込まれていたにもかかわらず、新規の用地購入の契約に当たって、知事の裁量権の範囲を超える土壌汚染対策費を適正に見込まない価格で売買契約を締結した」「将来にわたって瑕疵担保責任の免責が行われている」点を指摘し、問題視している。
しかし瑕疵担保責任とは、「売買などの契約で、契約の目的物に隠れた欠陥があった場合、売り主などが負う担保責任」(「大辞林」より)を指す。事前に土壌汚染の調査報告があるにもかかわらず、瑕疵があったといえるのか、あるいは瑕疵担保責任について事前の当事者間の取り決めがあったのか。
「私どもが調査した後に東京都が詳細調査をしたところ、私たちの調査では確認できなかった高い濃度の汚染が発見されたので、東京都と話し合い、追加の負担をしたのです」(東京ガス広報担当者)
これを瑕疵とよぶのか、呼ばないのか。仮に瑕疵がないとすると、どこから瑕疵担保責任という話が出てきたのか。「食の安心安全」の問題とともに、今後の大きな争点となることだろう。単なる政争の愚にだけはしてもらいたくない。
(構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト)』
事実関係から考えますと東京都側は、東京ガスに豊洲の汚染土壌問題で民放上の瑕疵担保責任を問えないのではありませんか。2011年3月の東京都と弊社との間で豊洲用地に関する土地売買契約を最終的な締結か
2021年3月で土地の瑕疵担保責任の時効になりますが。
豊洲の汚染土壌問題は、東京都側が知らぬ、存ぜぬでは済まされない民法学会通説の「善意無過失」であったとは迚も言えません。
豊洲市場問題は、東京都側の『安全管理』と「食の安心安全」、市場で日々働く人達の健康への影響の責任から逃れることは出来ません。