高齢福祉事業者の倒産、19年は過去最多に
朝日新聞2020年01月27日05時00分
高齢福祉事業者の倒産、19年は過去最多に
老人ホームや介護施設を運営する高齢福祉事業者の2019年の倒産が、前年より13件多い96件と過去最多だった。利用者が増える一方で、競争も激しくなっている。ホームヘルパーなど介護人材の人手不足も、経営の重荷となっている。
民間の調査会社・帝国データバンクによると、都道府県別では大阪が19件と最も多く、神奈川10件、東京8件、北海道・兵庫各7件、福岡6件と続く。負債総額も17年の約129億円を上回り、過去最高の約161億円。昨年1月に民事再生法を申請した、介護付き老人ホームの運営会社「未来設計」(東京都)の負債額が約54億円と多額で全体を押し上げた。業態別では訪問介護が過半の51件を占め、通所介護24件、老人ホーム10件、高齢者向け住宅6件と続いた。
激しい競争を背景に、倒産は11年の14件以降増える傾向だ。介護保険法が00年に施行され、異業種からの参入が相次いだ。厚生労働省によると、訪問介護と通所介護の施設・事業所数は01年に約2万1千だったが、07年に約4万2千、17年に約7万9千まで増えた。異業種から参入した運営者は「ノウハウなどが不十分なまま、介護サービス事業に活路を見いだそうとする業績不振の企業も多かった」(帝国データバンクの阿部成伸氏)という。