森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

シャガ(アヤメ科) 2

2007年05月14日 | 自然観察日記
 この種は種子が出来ないのです。理由は3倍体(3n)の植物で生殖用の細胞がうまく作れないということなのです。少し面倒くさい話になりますが、例えば動物の個体は倍数体(2n)で半数体の卵(n)や精子(n)を作るときに「減数分裂」をして染色体数を半減させる仕組み(2n⇒n)があり、これが受精して新個体(n+n⇒2n)になるというわけです。
 3倍体(3n)の個体では半減すると1.5nという数学的な数字はありますが、現実には減数分裂が出来ないので結果生殖細胞が形成されず新個体が出来ないのです。
 植物のシャガも同じ現象があって種子(新個体)が出来ない種です。だから、繁殖している個体はすべて栄養繁殖(地下茎など)のものですから、日本に生育している個体は遺伝子がすべて同じということになりますね。
 それはそうと、この現象を利用したのが種無しスイカです。わざわざ3倍体のスイカを作ります。この花が種子を作ることが出来ないので種のない実が出来るというわけです。もちろん種無しスイカから次代の種無しスイカは作れません。3倍体のスイカを作るところに技と技術がいるんです。

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