森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オオカメノキ 冬

2007年12月31日 | 自然観察日記
 予報どおりの朝になりました。吹き溜まりには20cmくらいの積雪です。朝から雪消しの作業で一汗掻きました。運動不足になりがちな冬場、この雪消しが手ごろなトレーニングになります。アウトドアはしばらく休止、ブログの維持が大変です。集めておいた資料を引っ張り出してのつなぎになりますが仕方ありませんね。
 秋口にも取り上げましたが、オオカメノキの冬の様子です。いわゆる裸芽というものですが、彼の芽は防備が無いのがすごいところ。よほど寒さに強い性質を身に着けたのでしょう。他の植物にはない不凍の仕組みがあるのではないのでしょうか。

らせん構造

2007年12月30日 | 自然観察日記
 フジの蔓が何重にも巻きついた造詣が面白くパチリ。雑巾を固く絞ったような表面は枯死しているようになっていました。フジは左巻き(右回りに伸びていく)のらせんです。
 らせんの構造は生物には基本的なものだそうで、至るところに見られます。なかでも、遺伝子であるDNAの二重らせん構造は分子レベルの世界です。幾何学的ならせんは右巻きと左巻きがあるのですが、DNAは右巻きで左巻きは無いのだそうです。一方でアサガオは右巻き(左回りに伸びていく)でフジとは逆。両方のタイプがありますから、この辺りの現れ方の差にはどういうカラクリがあるのでしょうか。興味深いところですね。

ツワブキ

2007年12月29日 | 自然観察日記
 歳の暮れ、寒波の襲来を控えながらも今日は暖かい日です。陽の光はありませんが、新年を迎えるための家の掃除には都合のいい日です。ツワブキの緑を見ながらの作業です。
 至るところに植えられているツワブキですが、越後に自生地はあるのでしょうか。うかつにも私の辞書の中は空白です。寺泊の海岸近くの石垣にほとんど野生状態で生育している場所があるのですが、あれももともとの自生ではなく移植によるものだと思っています。
 山菜好きの越後の人でもツワブキを食べる人は少ないようですが、春の新芽は結構いけるのではないかと思っています。沢山新芽が出たら、少しだけ頂きたいものだと考えています。 

ノイバラの実

2007年12月28日 | 自然観察日記
 河原で見つけた名残の彩り。ノイバラの実がまだ朽ちず地際に伏せ気味にありました。
 赤い実は存在をアピールする色。しかし、色づいて短期間に無くなったら長い冬の間、冬眠しない留鳥などにとっては困ったことになります。春を待つ間、少しずつ減っていくのが理想ですね。
 鳥の餌になるとは限りませんが、ノイバラにとってもいづれ何かに食べられて種子の移動を計れれば目的は達せられます。辛抱強くそのときを待つ赤い実なのでしょう。

ヤナギ

2007年12月27日 | 自然観察日記
 一冬に何日あるかないかの素晴らしい晴天になりました。煙突の煙も引き締まった大気の中真っ直ぐに上がっています。週末から寒波の襲来が伝えられていますが、今日は暖かい一日になるようです。陽の光を楽しみたい日ですね。
 柳の芽がほころんでいるように見えます。近づく寒波に大丈夫なのでしょうか。芽鱗という帽子を取るにはまだ早いと思いますが、間違ってスイッチが入ってしまったようです。
 ヤナギは典型的な陽樹で、主に湖沼が陸化してくる過程の最初に出現してくる低木から高木です。アカマツが溶岩台地などの乾いた地に林を作るのと対比させるといいですね。ヤナギはどちらかというと湿地向きです。
 

葉痕 ハート型

2007年12月26日 | 自然観察日記
 今朝も国道を横切る白鳥が7羽。はじめに5羽、少し送れて2羽が上空を東へ飛んでいきます。決まって見附市と三条市の境の民家の途切れたところです。毎朝餌探しに行く上空の獣道といったところでしょうか。私の通勤路と三次元で交差します。
 ところで、茎から葉が落ちた後の文様が面白いと興味をもたれる方も多いものです。多くはハート型をしていて維管束の痕跡文様が人に見えたりサルに見えたりします。これは何に見えますか?
 これは自ら作った「傷」で、断面から細菌などの進入を招きかねない極めて危険極まりない場所です。そこをそうさせない仕組みがあるから落葉というダイナミックな事ができるのですね。植物の免疫システムもなかなかのものです。

ヒメジョオン

2007年12月25日 | 自然観察日記
 この時期にヒメジョオンです。寒波に合ってか少々痛々しい風情です。越年草で普通はこの時期ロゼット状態で地に伏せています。スイッチが入ってしまって花茎が立ってしまったのでしょうか。これから結実して次世代の種子を残す確率は少なそうです。これも地球温暖化の一現象かなぁ?

冬芽 ニワトコ 

2007年12月24日 | 自然観察日記
 これでも越冬芽なんですね。ほかの植物は茶色のコートをまとってがっちりと防寒しているかんじですが、ニワトコはごく薄着の感じです。ことのほか寒さに強いんでしょうか。
 でも見方を変えれば、芽の隣ペンに葉緑体をもっていれば、寒い時期少しでも晴れれば栄養作りに励めます。生きていくうえでの知恵かもしれません。

カンタケ 2

2007年12月23日 | きのこ・菌類
 私の家の隣が社になっていて、大きなケヤキの森になっています。そのケヤキに巻きついているフジノキがあります。もう100年以上は経っているのではないかともおもいますが、その先端は20mはゆうに越すほどの古木・大木なのです。このフジノキ、子供のころ直径60-70cmはあったものが最近見たら直径20cm程度に痩せています。実はかなり以前から、枯死部分の木部にカンタケが取り付いています。この菌の影響でしょう、今はかっての風格がなく弱々しいものになってしまいました。
 子供のころお宮のフジノキにでるカンタケでいい思いを沢山させてもらいましたが、最近はカンタケをとったという話を聞きません。絵はヤナギの木に出ていたものです。

カンタケ 1

2007年12月23日 | きのこ・菌類
 本格的な冬の到来を前にして雑木林を歩くとカンタケに会いました。ヒラタケと同じものですが寒い時期に見られるからカンタケのほうが風情があっていいですね。こまめに探すと結構あるものであちこちの枯れ木などに生えています。目に付きやすいのですが、人が入らないせいでそのままになっています。

ミズギの赤い枝

2007年12月22日 | 自然観察日記
 ミズキの冬芽です。この時期枝が特に赤く色づき綺麗ですね。これも大きな特色。時々活花用のに市販されているのを見かけます。この絵からも感じられますが、枝の広がりがほぼ平面状になって春には花が同じ平面に咲きます。

バルレリア(キツネノマゴ科)

2007年12月21日 | 自然観察日記
 今年もあと10日。太平洋側と違い今日も暗い空です。毎朝の通勤の途中で国道の上空を横切る白鳥の群れによく出会います。今日は7羽。たいがい西から東に飛んでいますから、信濃川の河川敷あたりをねぐらにしている群れが餌を探しにいくのでしょうか。
 今日は何を載せようか探していて、キツネノマゴ科のバルレリアという熱帯植物が目に留まりました。花弁が白と青の2色で筋が入ったよう。なんでこんな芸ができるのでしょうか。察するに、花弁を作る大元の細胞に色素体があるものとないものがあるのでしょう。それが起点になって分裂成長すると色素体のない細胞の列と色素体のある列が生じるのではないでしょうか。小さな細胞の中のいろいろな部品(細胞器官)の由来や性質を追ってみると、また興味深い話が沢山あります。

冬芽 トチノキ

2007年12月20日 | 自然観察日記
 生活環境が悪化する北国の植物は冬芽のあり様は死活問題です。普通は何枚もの芽鱗で防御するものが多く、中には微毛を蓄えていたりします。
 このトチノキは芽鱗の外が分泌液でべたべたになっています。防寒の意味もあるのでしょうが、案外冬芽を食べにくる昆虫などからの防御になっているのかもしれません。
 ところで、冬芽や乾季に作る芽を休眠芽といいますが、この芽の位置でその植物の生態を予測できますし、もっとマクロにその地域に生息する植物の休眠芽の分析で地域の気候や環境を理解することもできます。

シラカバの蕾

2007年12月19日 | 自然観察日記
 この種のブログの冬の素材を探すのが結構大変で苦労しています。時折近くをふらついて素材探し。2年もやっているともうねた切れ状態で、そろそろ仕舞いの頃かなぁ・・などと考えてしまいます。でも、結構このブログ作りが生甲斐に似た状態にもなっていて、止めるに止めれない・・。
 そんな中、シラカバの蕾が目に入りました。これは雄花です。雄花の付け根の枝先におそらく雌花と思われる芽があります。カバノキの仲間は尾状花序が特徴ですが、風媒花の典型的な形態をしています。一本の花序から放出される花粉の量はどれくらいでしょうか。膨大な数字になるものと思いますが、これが花粉症の原因で北地では多くの人を悩ませているとか。花粉症は杉だけではないのです。
 このシラカバは典型的な陽樹で、高原の伐採地などでは真っ先に群落を構成します。しかし、遷移という法則があるために時間とともに陰樹に置き換わりシラカバの林は消えていきます。シラカバ林を維持するにはせっせと林床に芽生えた陰樹を駆除しなければなりません。観光資源としてのシラカバ林、自然保護という観点とも絡めてどう管理するか議論があるところです。

この違い分かりますか?

2007年12月18日 | 自然観察日記
 少し難しいかな?たまたま隣り合わせにイチイとオッコ(オンコ)が植えてあります。左の葉の長めなのがオッコ(オンコ)で右がイチイです。
 庭木として重宝がられるオッコ(オンコ)は、実はイチイの突然変異種で高木になりません。形が美しく整うので旧家などでは良植えられています。かなりの古木でも花や実を見たことがありませんから多分不燃性なのでしょうか。
 イチイは高木になります。岐阜や北海道などでは雄大な高木を見ますが、私がであった越後での自生種は越後山脈などの稜線でみんな強風にいじめられていました。
 赤い実を付け結構美味しい果肉を持ちます。でも種子は有毒とか。このイチイ別名をオッコ(オンコ)とも言いますから、庭木のオッコとごちゃごちゃ。でも、そこまで区別しなくともいいのかもしれません。