森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

モミジガサ

2014年11月30日 | 自然観察日記
妙義山の仲之岳神社の奥、鬱蒼とした森の中枯葉がたくさん積もっている中にしっかりと育ったモミジガサが一本立っています。林冠の葉が少なくなってきたとはいえまだまだ薄暗い環境です。ほかの草本類がほとんどない中でこの個体だけが目につきます。株立ちになることも多々あるのですが、保水性など土壌条件がよくないのでしょう、ここでは単独での生育です。面白い生態ですね。

モミジガサの果実

2014年11月30日 | 自然観察日記
花の季節はとうに終わっています。今は果実を飛散させるべくふわふわした状態。キク科に多い種子に付く落下傘が開き始めています。モミジガサにとってはあまり居心地の良いとは言えない場所からもっと適した場所を目指して次世代の子供を旅立たせます。それにしても、環境のよくないと思われる場所でもしっかり次世代の個体を残す生命の逞しさは見習う必要がありますね。

ヤマジノホトトギスの実

2014年11月29日 | 自然観察日記
木漏れ日の中にヤマジノホトトギスが浮かび上がりました。実を結びもう最後の仕事を遺すばかり。やがて水気を失い色をなくし果実を裂開させて地上部を切り離します。最後のステージの色彩が淡い緑色でこのやさしい感じが強く心に残りました。役割を終え静かに消える過程の中にも何かしら心を動かすものがあるのです。この年になってこそしみじみと理解できる自然の美しさでしょうか。

ヤマジノホトトギスの花

2014年11月29日 | 自然観察日記
ヤマジノホトトギスの花です。少し前に撮ったもの。紫斑が幾分少ない個体で、写真の出来も悪いため分かりずらいです。庭などで植えこまれたホトトギスを見るより、自生している姿の方が何倍も感動を与えてくれるものだと思います。野の花は見たい時に現場に行くのが一番いいように思います。

マルバマンネングサ

2014年11月28日 | 自然観察日記
マルバマンネングサが見られました。新潟県内ではごく一部にしか自生していない種です。越年草とされこのまま冬越しをするのでしょうか。葉がまとまり始めてロゼット状態になりそうな気配です。山地の岩場に自生するベンケイソウ科の種です。

マルバマンネングサの花

2014年11月28日 | 自然観察日記
2ケ月ほど早いときに撮影したマルバマンネングサの花。初夏の花というのが一般的ですが、秋のさなかで遅めの花が見られたものです。とはいっても個体数は少ないながらも結構盛んに咲いていました。ベンケイソウ科の他の花によく似ています。
新潟県内のマルバマンネングサの採集記録を見ると阿賀野川沿いでそれも福島県境に近い場所のみの記録です。日本海側には生育していないようで、阿賀野川を伝わって日本海側に分布を広げている種のように見えます。

トネアザミ

2014年11月27日 | 自然観察日記
関東圏では普通種とされるトネアザミです。道路わきの空き地に各所に観られました。アザミの種類は多くまだわかっていないものも多々あるようなのでかなり危ういものがあるのですが、新潟の秋には普通に見られるナンブアザミとの比較では葉の形や苞片の様子などで違いは分かります。草丈はナンブアザミよりは低くようです。

トネアザミの花

2014年11月27日 | 自然観察日記
花はほとんど見かけなくなっていましたが、遅い花も少し見られました。苞片は目立ち外側に開出しています。花は上向きに咲くこともあるということですが、この個体は横向きに咲く方が多いのではないかとおもいました。

ヒメヤブラン熟した実

2014年11月26日 | 自然観察日記
明るくなった林床にヒメヤブランの実がありました。ヒメヤブランは本州以南の日当たりのよい場所に生育するといわれていますが、あまり日当たりはよさそうな場所ではありませんでした。新潟県内では海岸線にわずかに点在しながら生育しているのですが、長岡あたりの内陸に入るとまったく見かけません。近縁種のヤブランも同じような分布で長岡あたりには自生はないと思います。しかし、関東圏ではかなりの内陸部にも普通に見られることは興味深いですね。おそらく積雪が関係しているのではと考えています。
ジャノヒゲと違って実は黒色ですから明るくなった林床といえどあまり目につきませんから、種子を運ぶ担い手は何なのでしょうか?生育状態も密生しているわけだはありませんから足元に落ちた実が発芽生育するとも考えにくい状況です。

ヒメヤブランの花

2014年11月26日 | 自然観察日記
この絵は以前訪れた榛名高原で撮影したものです。小さな草姿で花もかわいいため愛おしく思われる方も多いはず。環境は草原でここは日当たりはよさそうな場所でした。しかし海抜はかなりあるはずですから、妙義の林床と大差ないでしょう。太平洋側はかなり山奥のいろいろな環境に適応して生育しているようです。

シロヨメナ

2014年11月25日 | 自然観察日記
遅い花はシロヨメナ。枯葉が舞う頃に際立って白い花を見せつけます。花の少ないころに目立ちますから印象に残る花ですね。純白の色彩も晩秋に合う気がします。林の中にときに群がって咲くのですが、うるさくなく点々と存在しているのもいいですね。

ウラジロタデの花

2014年11月25日 | 自然観察日記
経験的に高海抜の荒地で見ることが多い種です。過去に新潟県の未丈岳の植物を調べたことがあって、この山頂部の草付に自生していたのを思い出しましたが、この発見地が実は県内ではほぼ北限の位置であることを知り感慨深いものをもっています(あくまでも県内の話で、北海道の高山の礫地にも見られます)。
ウラジロタデは雌雄異株でこの株は雄株。

シロヨメナの葉

2014年11月25日 | 自然観察日記
新潟県内にはシロヨメナは見られませんが別種としてタマバシロヨメナという種があります。生態は同じような環境で生育してて花期もほぼ同じ。葉の幅が広いので「玉葉」となったと思いますがそれほど「玉」のように丸くはないですね。しかし、太平洋側のシロヨメナの葉は間違いなくほっそりしていますから区別しやすいと思います。