森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ミタケスゲ

2016年03月31日 | 自然観察日記
明日から四月。栂池で観ている種はまだまだあるのですが、昨年の話はそろそろ終わりにして今年の比較的タイムリーな話題に移していこうと思いますので、このシリーズは今日で一応閉じます。

栂池自然園はあいにくこの時は悪天候も重なってごく一部の散策に留まりました。大小いろいろな湿原があり餓鬼の田んぼも各所にあります。高所の湿原の最も代表的な植物は実はミズゴケとヌマガヤなどのイネ科植物、それにスゲ類だと思います。スゲもなかなか難しいグループで少々かじったくらいでは物にすることはできません。しかし、比較礫分かりやすいものもありますから栂池の話題の最後に取り上げます。ワタスゲ湿原にミタケスゲがありました。果胞が大きくイガイガ状態になりますから覚えやすい存在です。高所の湿原には比較的普通に出てきます。

ミタケスゲの実

2016年03月31日 | 自然観察日記
一応実ということにしておきます。小穂は雌雄に分かれて上下について下の雌性の小穂が結実し実(果胞)になるということになります。この実がやや放射状について星のようなイガイガ状態になります。

オオカサスゲ

2016年03月31日 | 自然観察日記
大きいものになると1ⅿ近くの丈になりますが多くは70~80cm止まり。果胞が大きくとても目立つのが特徴でしょうか。カサスゲに比べ高所に見られます。以前菅平の湿原で木道沿いにびっしりと生えていた場所がありそれを思い出しました。これも笠を作る素材になるそうです。

ヤチスゲ

2016年03月31日 | 自然観察日記
栂池自然園のミズゴケ湿原にある小さな餓鬼の田んぼの中などに生育している湿性のスゲです。浅い池に水面が見えなくなるほどびっしりというわけではなく、まばらに生えています。こういう雰囲気で生育しているのはヤチスゲと見てまず間違いはないと思います(ただし、専門的に細かな分類をするとなるとかなり難しいと思います)。花は先端が雄生の小穂、下部が雌性の小穂。

オニシモツケ

2016年03月30日 | 自然観察日記
栂池自然園に入って木道を歩き始めるとオニシモツケの大群生に圧倒されます。夏ころには高い木道を歩いていても覆いかぶさるくらいの高茎の草本。九月初めは花は終わっていますから白い花の海を観ることはできません。綺麗とは言えない花後のくすんだ花序が茎頂に沢山付いています。

オニシモツケの実

2016年03月30日 | 自然観察日記
遠くで見ている気づきませんが、近くにある個体の花後の様子を見るとなかなか興味深いものがります。花序は線香花火のような小さなものがたくさん集まってできていますが、実もその花の後にびっしりと付いています。どの花も結実し実を結んでいるようです。雨に濡れてうなだれてはいるものの種を保存する意志みたいなものはかなり強そう。大繁茂しているわけも裏付けがあるのでしょう。

オニシモツケの葉

2016年03月30日 | 自然観察日記
掌状に分かれた葉が特徴で、柄には小さな葉片がみられます。したがって、単葉としないで複葉とする考えもあって、頂小葉が極端に大きい奇数複葉と見ることもできるそうです。

オオヒョウタンボク

2016年03月29日 | 自然観察日記
この種もなかなかお目にかかれない種ですが栂池自然園には園路に沿って生育している場所があるために必ず観察できます。前年にも見ているのですが、その時はまだ花の季節でなくつぼみを観ただけで、今回は花の季節は過ぎて果実の季節。うまく行きませんね。ヒョウタンボクの中にあっては白いやや大きめの花が見られるはずなのですが・・。オオヒョウタンボクは葉が大きいのがなんといっても大きな特徴で赤い果実は、まさにヒョウタンをイメージしたようなものです。

オオヒョウタンボクの実

2016年03月29日 | 自然観察日記
二つの果実が癒合しているのですが同じ大きさでないのが面白い。なぜでしょうね?ヒョウタンボクの仲間は、二つの花が同時に授精結実していなくても十分大きくなったら赤く熟せばいいのに・・、赤く熟すタイミングは同じなのでしょうか?果実は有毒だそうです。

クロツリバナの若い実

2016年03月28日 | 自然観察日記
なかなか見られない貴重なクロツリバナの実です。前年花を見ていますが、今回は果実。残念ながら若い状態で暗赤色に色づいたものではありませんから、その果実を見るにはもう少し遅い時期に再び来園しないと果たせません。植物を理解するにはそれぞれの季節の姿を知る必要があるわけですから一度や二度では無理は話で足しげく通う必要があります。したがって何年たっても域には到達できないということになります。まぁ気楽にゆるゆるすることにします。
ところで、このツリバナは花が暗赤色であることからクロバナと名付けられたと思われますが、クロバナロウゲと同じですね。亜高山帯以上に生育する貴重な種です。

クロマメノキ

2016年03月27日 | 自然観察日記
クロマメノキはまだ果実が色づいてはいませんでした。クロウスゴに比べ実は大き目でたくさんついていました。両種ともベリーとしてはかなり優秀な方だと思いますから、出会った時など一粒二粒失敬して山の恵みを感ずることができます。花は大したことがないかもしれませんが紅葉もきれいですから捨てがたい存在でっすね。クロマメノキは茎には稜がありません。

クロウスゴ

2016年03月26日 | 自然観察日記
高山帯に来ると必ず出会う種の一つで、今回は実の色づきを見ることができました。クロマメノキとしばしば混同してしまうので時々間違えて教えてしまいその都度訂正をしなければならない羽目になります。不思議と間違えやすいものは気を付けていても再び間違えてしまうという悪い「癖?」があって、植物の種名ばかりでなく人の名前でも同じようなことが起こります。そういえば学生時代にも同じような問題を再々間違えるということがありましたから、「つぼ」に嵌ってしまうものがあっるのでしょうか。
それはそうと、クロウスゴは「茎に稜が出る点でクロマメノキと区別する」と間違えないでいいと今では肝に銘じています。