亜高山帯の一つの象徴的な種がベニバナイチヤクソウではないでしょうか。イチヤクソウの仲間でも群生する種として知られていますが、上高地にも群生している場所がありこの季節としては珍しく華やかな景観を楽しむことができました。
しばしば取り上げているようですが、花柱が長く伸び湾曲する形質がありユニークな特徴になっています。今まではイチヤクソウ科としていましたが、DNAに基づくAPG分類ではツツジ科に組み込まれています。ツツジ科亜科とイチヤクソウ亜科をまとめてツツジ科になるようです。
花はハルトラノオによく似ています。ただ、頂花軸は伸びて全体が細長い姿になります。下部の花序は葉腋に軸を伸ばさずかたまって付いています。この個体は花が終わり実をつけている状態ですが、あまり実付きが良くないのか、あるいはすでに実のいくつかが落ちてしまったのでしょうか。
根生葉は柄がありますが茎葉は無柄で茎を抱きます。新潟ではごく一部(苗場山)に自生しているとされますが、観る機会はありません。先日軽井沢に酔った時にごく普通に自生していましたから長野県内の山地には比較的多いもののように思います。
梓川沿いのササ原の縁に見慣れない低木を見つけました。葉はアワブキに似ていると感じながらも知らない植物に出会いやや興奮気味。日本にはまだまだ私の知らない種が山ほどあって学ばなければならないものは尽きることがありません。もう少し若ければなぁという思いもチラと出てきますが、これからでも遅くないと気を奮い立たせています。
これは雄花のようです。おしべが4本確認できます。新潟では気づきもしなかった種ですから県内にはないものと思って調べてみると、わずかに採集記録があります。多くは苗場山の長野県側なのですが、長岡の悠久山で採集記録(1962年)がありました。人が植えたものとも思えませんからごくまれに各地に存在するのかもしれません。